国語の「表現技法」7つをわかりやすく解説!比喩、対句法、反復法、呼びかけなど

詩や物語では、ものごとを印象付けたり余韻(よいん)を残したりするためにさまざまな表現技法が用いられます。また、説明文などで筆者が主張を強調するために使われることもあります。

つまり、表現技法を読みとくことで筆者が伝えたいことをより深く理解することができるのです。 

今回は、いろいろな表現技法について説明していきます。 

表現技法の種類 

表現技法にはいくつかの種類があります。まずは1つ1つその役割や使い方を説明していきます。 

比喩 

比喩(ひゆ)法ある物事を別のものにたとえる表現方法です。説明する物事に具体的なイメージを与えるという役割を持っています。 

比喩法には「直喩(ちょくゆ)」「隠喩(いんゆ)」「擬人法(ぎじんほう)」の3種類があります。 

  • 直喩…「~のような」「~みたいな」「~のごとし」など、たとえであることを示す言葉を用いた表現です。
      • 太陽のように明るい
      • 動かざること山のごとし
  • 隠喩…「~のような」「~みたいな」「~のごとし」のような表現を使わずにある物事を他の物にたとえる表現方法です。暗喩(あんゆ)と言うこともあります。
      • ガラスの瞳(ひとみ)(すきとおった「瞳」を「ガラス」にたとえている
      • ガラスの心(精神的に弱く「心」がこわれやすいことを「ガラス」にたとえている
  • 擬人法…人間でないものの様子を人間にたとえて表現する方法です。
    • 例:
      • 空が泣いている(雨が降っている様子を「泣いている」と人間にたとえている
      • かつおぶしがおどる(かつおぶしがれる様子をおどり」にたとえている

倒置法 

倒置(とうち)法は、普通の言い方と言葉の順番をいれかえた表現方法です。ある言葉を強調したり、リズムをつけたりするという役割があります。 

  • 例:
    • こっちに来るよ、車が(本来なら「車がこっちに来るよ」という語順)
    • ざあざあ降っている、雨が(本来なら「雨がざあざあ降っている」

体言止め 

体言止め(たいげんどめ)とは、文章の最後や詩の行の終わりを体言(名詞)で終えるという表現方法です。その体言(名詞)を強調づけ、またリズムを付けたり余韻(よいん)を持たせたりする役割があります。詩や短歌、俳句で多くみられる表現です。 

  • 例:
    • そよそよと気持ちよくく風(「風」という体言(名詞)で終わっている)
    • 誰しもが持っている優しい心(「心」という体言(名詞)で終わっている) 

対句法 

対句(ついく)法は、対(つい)となる言葉を対応する形で並べることで文章や詩にリズム感を持たせる表現方法です。対になる表現とは、対立した意味や反対の意味、もしくは似た意味の語句のことを言います。 

  • 例:
    • 青い空と白い雲(「青い」と「白い」「空」と「雲」がそれぞれ対になっている
    • 父の大きな背中と母の小さな背中(「父」と「母」「大きな」と「小さな」「背中」が対になっている) 

反復法 

反復(はんぷく)法同じ言葉をくり返し使う表現です。その言葉を強く印象付けるという役割があります。 

  • 例:
    • 走れ走れ、とにかく走れ(「走れ」という言葉をくり返している)
    • 辺り一面の、(「人」という言葉をくり返している) 

省略法 

省略法は、ある言葉や文章・詩の一部を省略する表現方法です。文章を簡潔にし、省略された言葉を読者に想像させることでその言葉を印象付ける役割があります。また、味わいや余韻を持たせるという効果もあります。 

  • 例:
    • 雪が降る まっしろな雪が
      (2つ目の「雪が」の後の「降る」が省略されている)

呼びかけ 

呼びかけは、文章・詩の中の物事や読者に対して呼びかけるような表現を用いる技法です。呼びかける対象に注意を向けさせるという役割があります。 

  • 例:
    • おーい春よ来い(「春」に対して呼びかけている)

表現技法を使った例文

練習問題 問題編 

それでは、実際にいくつかの文章・詩などを読んでどの表現技法が使われているかを考えてみましょう。 

やわらかに柳(やなぎ)あをめる北上の 

岸辺(きしべ)目に見ゆ泣けとごとくに 

石川(いしかわ)啄木(たくぼく) 

 

智(ち)に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい。 

夏目漱(なつめそう)石(せき) 「草枕(くさまくら)」より) 

 

おうい雲よ 

ゆうゆうと 

馬鹿(ばか)にのんきそうじゃないか 

どこまでゆくんか 

ずっと磐(いわ)城(き)平(だいら)の方までゆくんか 

  山村(やまむら)暮(ぼ)鳥(ちょう) 「雲」より 

 

のろいな 

のろいな 

なのはなの 

はたけのなかをゆく汽車は 

ひら 

ひら 

ひいら 

あとからその汽車 

追つかける蝶々(ちょうちょう) 

  (山村暮鳥 「春」より) 

 

その時です。俄(にわか)に天井に白い泡がたって、青びかりのまるでぎらぎらする鉄(てっ)砲弾(ぽうだま)のようなものが、いきなり飛込んで来ました。 

宮沢(みやざわ)賢治(けんじ) 「やまなし」より) 

 

大寺を包みてわめく木の芽かな 

高浜(たかはま)虚子(きょし) 

 

金剛(こんごう)の露(つゆ)ひとつぶや石の上 

川端(かわばた)茅舎(ほうしゃ) 

※金剛:ダイヤモンドのこと 

練習問題 解説編 

それでは、上の問題の解説をしていきます。 


  • この短歌に使われている表現技法は倒置法です。本来なら「泣けとごとくに岸辺目に見ゆ」の語順ですが、倒置法を使うことで「泣けとごとくに」が強調されています。
    訳:柳の若葉が柔らかく、青く芽吹いている北上川の岸辺の光景が目に浮かぶ。まるで私に泣けと言うように。

  • 夏目漱石の「草枕」のはじめの一節です。ここに使われているのは対句法です。最初の2文がAにBすればCという形になっており、また3文も似たような表現が用いられているため文章にリズム感が出ています。

  • この詩では呼びかけ擬人法の2つが使われています。まず、最初の「おうい」が呼びかけです。詩の中の「雲」に呼びかけることで読者の注目を集めるという効果があります。また、その後の「のんきそうじゃないか」「どこまでゆくんか」などは「雲」を人間にたとえる擬人法です。これにより「雲」に具体的かつ身近なイメージを持つことができます。

  • ③とおなじく山村暮鳥の詩です。この詩で使われている表現技法は反復法です。最初の2行の「のろいな」や5・6行めの「ひら」がくり返され、これらの言葉の意味が強調されています。

  • ここで使われているのは比喩法のうちの直喩です。ある「もの」の様子が「ぎらぎらする鉄砲玉」にたとえられています。さらに~のようなものという表現が使われているので暗喩ではなく直喩だと分かります。また、ここで使われるように「まるで」も比喩表現を見つけるための手がかりとなることが多いので注意しましょう。

  • この俳句では擬人法が使われています「木の芽」が人にたとえられ「わめく」という表現が用いられていることが分かったでしょうか。また、少し分かりづらいですが「大寺を包む」というのも比喩表現の一つだと言えるでしょう。

  • これは少し難しかったかもしれません。「金剛の露」とは「金剛(ダイヤモンド)のように光りかがやいている露」という意味です。つまり、この俳句には隠喩が用いられています。 

おわりに 

この記事では国語の問題で出てくる表現技法について説明しました。表現技法はそれ自体が問題になることは少ないですが、文章や詩を読む際に正しく内容を理解するヒントになります。 

表現技法について意識するポイントは 

  • 「どこに何の表現が使われているか」
  • 「その表現にはどんな役割があるか」
  • 「その表現によって意識させたい部分・強調したい部分はどこか」 

の3つです。 

詩や短歌は表現技法がたくさん使われるので、まずどこかに今回説明したような表現がないか探してみてください。また小説や説明文の問題でも表現技法を見つけた場合はその効果を考えてみましょう。 

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参考

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初めまして。髙橋利弥と言います。 武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。 よろしくお願いします。