短歌と俳句で差をつける!絶対におさえたい「句切れ」と「季語」

短歌や俳句(はいく)について、しっかりと勉強したことはありますか?以前の記事では詩について説明しましたが、短歌や俳句も詩と同じように手を付けづらいという人が多いのではないでしょうか。しかし、決してむずかしいわけではなく、ポイントさえつかんでしまえば問題ありません。それでは、短歌や俳句の読解について基礎から見ていきましょう。

短歌

まずは短歌について説明していきます。短歌を読むうえで大事なことは句切れがどこにあるかを考え、作者が何に感動しているかを正確にとらえることです。

短歌の形式

短歌は詩のなかまで、「5・7・5・7・7」の五句三十一音からなる定型詩です(一つの音のまとまりを「句(く)」と呼びます)。「定型詩」が分からないという方はこちらの記事もごらんください。

それぞれの句を一句、二句…といいますが、特別な名前でよばれる句もあり、最初の句を「初句(しょく)」、最後の句を「結句(けっく)」とも言うことがあります。また、最初の三つの句を合わせて「上(かみ)の句」、最後の二つの句を合わせて「下(しも)の句」とよびます。

多くの短歌は「5・7・5・7・7」のルールをまもって作られていますが、このルールよりも音の数が多いことを「字余り」、音の数が少ないことを「字足らず」といい、その短歌のことを「字余りの歌」「字足らずの歌」とよぶこともあります。

ちなみに、「しゃ」「きゅ」「ひょ」などは合わせて一音と数えますが、「っ」はそれだけで一音と数えます。

  • 「きしゃ」は二音(「き」「しゃ」)
  • 「こっぷ」は三音(「こ」「っ」「ぷ」)
  • 「ちょっと」は三音(「ちょ」「っ」「と」)

句切れ

「句切れ」とは、短歌の中で意味や言葉のつながりが切れるところのことです。句と句の間に切れ目があり、その場所によって「初句切れ」「二句切れ」(「二句切れ」の場合は二句と三句の間に意味の切れ目があります)などのようにいいます。また、句切れがない場合は「句切れなし」のように表現されます。

ふつうの文章の場合だったら「。」がどこにくるか?と考えると分かりやすいでしょう。

表現技法

短歌には詩などと同じように色々な表現技法が使われ、余韻(よいん)や深みがもたらされています。特に比喩法(ひゆほう)や倒置法体言止めなどがないか注意してみましょう。表現技法についてはこの記事でも詳しく説明されているので、分からないことがあればぜひ確認してみてください。

また、短歌の特別な表現技法として「枕詞(まくらことば)」があります。枕詞は語順をととのえる役割がありますが、どの言葉に結び付くか、言葉と言葉のセットが決まっています。

  • たらちねの・母(「たらちねの」という言葉が「母」という言葉にかかる枕詞です。)
  • あしびきの・山(「あしびきの」という言葉が「山」という言葉にかかる枕詞です。)

短歌の読み方

短歌を読むうえで大切なことは、作者が何に感動してその短歌を作ったのかを正確にとらえることです。短歌は詩のなかまなので、まずは同じように場面や心情などが表れている言葉を探してみましょう。

ほかにも、「けり・かな・かも」といった言葉は感動をあらわす言葉なので、これらが付いた言葉は感動の中心になっていることが多くなっています。

また、倒置法により前に出た言葉や、句切れ・句の最後の言葉により作者の感動が分かることもあります。

おもな作品

それでは、いくつかの有名な短歌を見ていきます。それぞれ、句切れがどこにあるか、表現技法が使われているかなどを考えてみてください。

A ふるさとのなまりなつかし停車場(ていしゃば)の人ごみの中にそを聴きにゆく 石川啄木(いしかわたくぼく)

B 木に花咲(さ)き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな 前田夕暮(まえだゆうぐれ)

C 金色(こんじき)のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり夕日の岡に 与謝野晶子(よさのあきこ)

  • 解説
    • A
      この短歌は「ふるさとの訛(なま)りがなつかしい。だから、駅の人ごみの中にそれ(ふるさとの訛り)を聴きに行く。」という意味です。
      二句目の「なつかし」で文章が切れているので、「二句切れ」ということになります。また、三句目の「人ごみの中に(ひとごみのなかに)」は八音あるので「字余りの歌」です。
    • B
      この短歌は「木に花が咲き、君が私の妻となる四月はなかなか遠く先のことに感じるものだなあ。」という意味です。句切れはありません。一句目の「木に花咲き(きにはなさき)」が六音で、字余りになっています。
      1.4で書いたように「かな」というのは作者の感動を表しています。「四月が待ち遠しいなあ」という、作者の気持ちを読み取りましょう。
    • C
      「金色の小さな鳥の形をして、銀杏の葉が散っている。夕日に照らされた岡に。」という意味です。「散るなり」で意味が区切れており、「四句切れ」となっています。
      この短歌のポイントは、2つの表現技法が用いられていることです。1つ目は比喩法です。「金色のちひさき鳥」は銀杏の葉っぱのことを表しています。この比喩表現により、葉っぱが軽やかにはらはらと散る様子を想像することができます。また、「銀杏散るなり 夕日の岡に」というのは、本来なら「夕日の岡に 銀杏散るなり」という順番になるはずです。ここでは、あえて順番を逆にする倒置法により余韻がもたらされています。
      この短歌は非常に美しい情景を読んだ歌です。具体的な様子まで想像しながら読めるといいでしょう。

俳句

続いて俳句について説明していきます。俳句も詩の一種類で、「世界で最も短い詩」とも言われます。俳句を読むうえでもっとも大切なのは、その俳句がどの季節を表現しているかをとらえることです。

俳句の形式

俳句は「5・7・5」三句十七音からなる定型詩です。

短歌と同じように「字余り」「字足らず」の句もあり、音数の定型にとらわれない「自由(じゆう)律(りつ)」と呼ばれる俳句もあります。

俳句を作ったり読んだりするうえで最も重要なのが「季語」です。俳句は季節と関係の深い文学作品なので、必ず季節を表す言葉である「季語」を1つ入れることがルールになっています。この季語が問題として問われることもあるので注意しましょう。また、季語を分類して解説などをつけた書物のことを「歳時記(さいじき)」などといいます。

季語を考える際には、まずは「季節が表れていそうな言葉はないか?」と探してみてください。「雪」(冬の季語)や「蝉(せみ)」(夏の季語)など、常識的に考えて分かるものもあります。ただし、昔の季節は今のカレンダーとずれているのでまちがえやすいものもあり、注意が必要です。

表1 おもな季語

(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

もう一つ、形式の上で大切なのが「切れ字」です。俳句にも意味の切れ目があり、それを表す言葉を「切れ字」といいます。「や」「かな」「けり」など決まった言葉が使われ、意味の切れ目を表したり、リズムを整えたり、また作者の感動を伝え余韻を持たせたりする役割を持っています。どこに句切れがあるかによって、「初句切れ」(一句目の最後に切れ字がある)、「二句切れ」(二句目の最後に句切れがある)、「中間切れ」(二句目の中に切れ字がある)と呼ばれることもおさえましょう。

感動の中心

俳句をよむ際にも、作者が何に感動したのかを考えることが重要です。まずは、場面などの情景を想像してみましょう。ここで手がかりになるのが季語です。どの季節によまれた俳句なのかを判断して、その季節に応じた情景を考えてみてください

切れ字や表現技法(倒置法や比喩など)を手がかりにして感動の中心を読み取ることもできます。切れ字が付いている言葉は作品のテーマになっていたり、表現技法が使われているところは作者が強調したいところだったりするので、特に注意して読むようにしましょう。

主な俳人

俳句を作る人のことを「俳人(はいじん)」と言います。ここで、特に有名な俳人についていくつか紹介していきます。

  • 松尾芭蕉(まつおばしょう)…江戸時代前期の俳人で、俳句を芸術作品として完成させた人物です。主な作品に『奥の細道』があります。
  • 小林一茶(こばやしいっさ)…江戸時代後期の俳人です。人間味のある個性的な俳句を生み出しました。
  • 正岡子規(まさおかしき)…明治時代初期の俳人です。「俳句」という呼び方を定着させました。

主な作品

最後に、有名な俳句についても見ていきます。どの季節の俳句か、切れ字はどれかなどを考えてみましょう。

A 古池やかはず飛び込(こ)む水の音 松尾芭蕉

B 雪解けて村いっぱいの子どもかな 小林一茶

C 柿(かき)食へば鐘(かね)が鳴るなり法隆寺(ほうりゅうじ) 正岡子規

D 青蛙(がえる)おのれもペンキぬりたてか 芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)

  • 解説
    • A
      松尾芭蕉の代表的な俳句の一つです。初句の「や」が切れ字であるので「初句切れ」になります。また、最後の句が「水の音」という名詞になっており、体言止めの表現技法により余韻が持たされています。
      季語は「かはず(蛙)」で、の季語です。
    • B
      「雪解けて」という言葉からも分かるように、この俳句はの句です(季語は「雪解け」となります)。
      三句目の「かな」は切れ字であり、作者の感動の中心が「子ども」にあることが分かります。春の訪れを喜び、外ではしゃぐ子どもたちの様子が思い浮かんだでしょうか。(ただし、三句目に切れ字があるので「句切れなし」ということになります。)
    • C
      二句目の「なり」が切れ字で、「二句切れ」の句です。また、Aの俳句と同じように「法隆寺」という名詞で終わらせる体言止めを用いることで余韻を持たせています。
      季語は「柿」で、の季語です。柿を食べ秋になったことを実感した様子が表現されています。
    • D
      Aと同じく「蛙」という言葉が入っていますが、「青蛙」の季語です。この俳句で注目したいのは比喩表現です。「青蛙」のピカピカと光るすがたを「ペンキ塗りたて」という表現にたとえています。この比喩により、蛙の色やツヤをよりはっきりと想像することができるのです。

おわりに

この記事では短歌と俳句について説明しました。短歌や俳句、また詩などは説明文や小説に比べ出題されることも少なく、対策もおろそかになりがちです。しかし、だからこそもし出題された時は周りと差をつけるチャンスでもあります。

今回説明した句切れや季語は大きなポイントとなります。そして、詩と同じように表現技法にも気を付けながら読んでいくことが大切です。

短歌や俳句は日本の伝統的な文学作品で、世界中で愛されている芸術でもあります。「入試問題」だとむずかしく考えるのではなく、多くの作品を読んで、美しい情景に思いをはせてみるのもいいのではないでしょうか。