中学受験・国語 出題傾向のポイント3つ

近年、中学受験の国語の問題は、年々難化してきています。例えば、問題文一つ読むにしても、小学校で習う漢字だけではなく、より難しい漢字が使われていることも多いです。ひらがなにされている場合もありますが、たいていはふりがなをふって、原文そのままで出題されることが多いです。また、読解問題では客観的に正確に文章の内容を読み取らなければなりませんし、記述問題の対策も必要です。しかし、国語の勉強はどうしても後回しにされがちです。出題傾向が難化していることを考えれば、早いうちからしっかり対策しておく必要があります。

今回は、特に首都圏の国語の入試問題の出題傾向について、3つのポイントを解説していきます。

ポイント①問題文の長文化傾向

中学入試では、学校によって出題される文種も違います。物語文の読解+論説文または説明文の読解+漢字という組み合わせがオーソドックスですが、学校によっては物語文の読解一題、論説文の読解一題で、その中で漢字やことばの知識を出題する学校もあります。

様々な出題形式がありますが、最近の傾向としては、問題文が非常に長文化してきているということが言えます。限られた時間内で文章を読み進め、内容を理解し、問いに答えていく、という非常に「忙しい」入試になって来ています。解答する際に、問題文に戻って確認しようにも、長文のため数ページにわたっており、いちいち確認していては時間切れになってしまいます。ですから、初めの一読でいかに正確に文章の内容を把握することが出来るか、が合否を分けるといっても過言ではありません。

そこで、最初の一読の際に、自分なりに文章のポイントとなるところに線を引いたり印をつけたりして、どこに何が書いてあったか整理しながら読み進むことが必要になります。場面が変わるところ、登場人物が増えたり変わったりしているところ、心情が変化しているところ、筆者の意見が書いてあるところ、具体例が書いてあるところ、話題が変わるところ、など問題文を読む際にはポイントとなるところがいくつかありますから、そういうところを押さえながら速く、正確に読むことが要求されます。

ポイント②記述問題が増えている

さきほど、学校ごとに出題形式、傾向が異なることを述べましたが、全体的にみると、これまで選択肢問題がほとんどだった学校も、記述問題を出題する方向にシフトしてきています。単純な書き抜き問題だけではなく、30字、50字、あるいは100字、200字でまとめなさいというような問題が増えています。その記述総字数も増加傾向にあります。2020年に大学入試が大きく変わることの影響もあるかもしれませんが、単なる処理能力だけではなく、表現力も見たい、出題した問題に対してどう返してくるかというコミュニケーション能力を見たい、という学校が増えてきています。

これまでも、難関校では記述中心の学校が多かったですが、近年では、中堅校でも記述問題を出題する学校が増えてきています。また、難関校では、単にまとめなさいというものではなく、「自分の言葉で」「具体的に」述べなさい、という問題が出題されます。記述問題で得点を重ねるには段階を踏んだ練習が必要です。いきなり書けるようになるものではありません。記述問題だけに気を取られてしっかりした文章の「読み」が出来なくなるのは困りものですが、記述問題の場合は設問をよく読み、まず中心となる部分を作り、理由などで肉付けして字数におさめる必要がありますから、最初は短くても構わないので、端的に聞かれていることに答える、という姿勢をみせ、短くても必ず書くようにしましょう。選択肢問題と異なり、部分点がありますから、それを積み上げられるよう、いくつの要素を書かなければならないか見抜き、過不足なく書く練習を少しずつ積んでいくことが必要です。

記述問題は配点が高いですから、白紙答案を出すのではなく、求められている答えの一部でも書けるよう、練習を重ねましょう。

ポイント③選択肢問題の出題が巧妙になってきている

従来の選択肢問題は、4~5択の中から2択まで絞り、内容が文章と合っているものを選べば正解できるものが多かったです。そして、明らかに違うとわかる選択肢も含まれていて、2択までは比較的容易に絞ることが出来る傾向にありました。しかし、最近では明らかに違う選択肢を選ぶのが難しくなってきています。選択肢問題を解く基本は、その選択肢の内容が全体として文章中に書かれている内容と合っているかどうか吟味するところにありますが、選択肢の前半はあっているが後半は間違っている、時間に追われる受験生が飛びつきそうな一般常識で考えればこうなる、という選択肢など、吟味することが難しくなってきています。

また、最近の出題傾向としては、選択肢そのものが非常に長く、たとえば海城中学などは各選択肢が50字以上あるという問題も出題されています。そうなると、文章そのものが長文なうえ、さらに長い選択肢をいくつも読まなければならない、全体として読む字数そのものが大変多くなってきていますから、さらに選択肢をしっかり読み、文章の内容と合致しているかどうか確実に答えることが難しくなってきています。いわば、「選択肢の読解」も求められているわけです。

長文に加え、長い選択肢をいくつも読み、さらに問題文との照らし合わせを制限時間内に行わなければならない、そういう意味で一番難化しているのはこの部分と言えるでしょう。選択肢問題だから、と軽く考えるのではなく、模試や普段の学習でも、各選択肢をしっかり文章と照らし合わせて正解を見つけ出すこと、そして必ず解説を読み、選択肢のどの部分が合っていてどの部分が間違っているのか確認する習慣をつけておく必要があります。

まとめ

今回は中学入試の国語の難化傾向について大きく3つのポイントを紹介しました。問題文の長文化、選択肢の長文化からはより速く正確な、客観的な読解力が要求されているということが言えます。記述問題の増加傾向からは、より表現力、コミュニケーション能力を見たいという中学校側の意図が見えます。さらに選択肢問題の難化傾向からは、与えられたものを精査する力を求められているといえます。語彙力、読解力、表現力すべてについて、要求されるレベルが全体的に上がってきています。直前期になって慌てないよう、今のうちからこのことを意識し、一つ一つの読解問題を大切に学習を積み重ねていきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。