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近年の出題傾向
出題傾向
問題構成
吉祥女子中学校の算数は第1回、第2回、第3回すべて大問5問で構成されており、内容や得点は以上のようになっています。これに加えて2・3のいずれかで1問、4・5のいずれかで1問の計2問の記述式の問題が入り、記述問題を含む問題に関しては配点が5点程加わります。
出題単元・出題傾向
概要
- 第1問では計算問題と1行問題が合計7問出題される小問集合の問題です。それぞれの問題は基本的なものがほとんどで、幅広い単元から出題されます。他の問題と比べても問題数が多いので早く的確な計算が求められます。
- 第2問・第3問は1行問題よりも難易度がやや高い問題で構成されています。小問が複数設置されている場合が多く、はじめの問題ほど易しい問題で、順番に解いていくことで誘導的に後半の問題に進むことができるようになっています。
- 第4問・第5問は応用的な問題です。それまでの問題と比べ、単純な処理能力だけではなく、受験者の思考力を試す問題が多いです。しかし問題の意図をしっかりと把握し、単元の基本事項を一通り理解できていれば必ず解くことができる問題です。またその他の問題と同様に小問がいくつか用意されているため、後半の問題が分からなくても最初の問題を解くことができれば誘導的に解き進めて行くことができます。
- 難易度に振れ幅はありますが、難問ばかりではなく、基本的に単元への理解度がある程度あれば十分解くことができる問題で構成されています。基礎、応用を段階的に網羅していけば順調に得点を伸ばすことができるでしょう。
内容
- 第1問の計算問題・1行問題ははじめに四則計算が2問ほど設置されています。近年の問題では、計算結果そのものを答えさせるのではなく、計算の中の□に入る数を逆算して、空欄に入る値を答えさせる問題が出題される傾向にあります。
- 計算問題の次には幅広い分野から応用小問題が出題されています。特に食塩水の濃度・約束記号・割合と比・集合・場合の数・特殊算・図形や体積の求値などから出題されています。単純な計算が多く難易度が低い分、問題数は他の問題よりも多いので、素早く的確に解き進める必要があります。
- 吉祥女子中学校の特徴として、前半と後半の問題で難易度がかなり変わってくるということが挙げられます。特に後半2題は全体的に難易度が高めです。頻出分野は速さ・図形・数の性質です。速さは旅人算などにグラフを関連づけて解く問題が特に多く出題されます。図形は回転体、平行移動や回転移動に関する問題が頻出です。回転や移動の軌跡や回転・移動後の図形の面積・体積を求めさせる問題が出題されます。
- 数の性質についてですが、前者2つに比べて出題頻度は低めです。過去には整数の性質などを扱った問題が出題されました。計算のみで答えを求めることができず、考えられる値を全て書き出さなければいけない時間のかかる問題が出題されることもあります。
対策
分野別
- 速さ
まずは旅人算で使う基本公式や速さの3要素(速さ・時間・距離)の関係を理解しましょう。その上で速さに基本問題や典型問題を一通りおさえましょう。池の周りを歩く問題、往復しながら出会いと別れを繰り返す問題など、速さにおける3要素が見えづらい問題に取り組む必要があります。
また、出題の傾向として、グラフを利用して解く問題が多くなっています。例えば2地点間で複数人往復する、異なる時間に出発する場合に二者が出会う、もしくは追い越す時間を求めさせる問題などが頻出です。このような問題においてグラフを全く使わず手計算のみで解くことも不可能ではありません。しかしグラフを使うと、図形の相似や比を使うことができるため、より簡単に解くことができます。グラフを利用する解き方に慣れておきましょう。 - 図形
図形の分野では、回転体に関する問題や平行移動に関する問題が多く出題されます。全ての問題に共通して言えるのは、基本的な面積公式や体積公式を完璧にしておくことです。
余力のある人は円周率に関する計算結果をある程度頭に入れておくと良いでしょう。円周の長さや円の面積で行われる計算のうちでも頻出のものに関しては、計算結果をある程度覚えておくと計算ミスを減らし、検算の手間を省くことができます。
次に、回転体や平行移動に関する典型問題になるべく多く触れましょう。回転となる軸を意識しつつ、回転・移動後の図形の概形がすぐ理解できるように練習しましょう。
おすすめの教材
- 『予習シリーズ』(四谷大塚)
四谷大塚や早稲田アカデミーなどを始めとした中学受験大手塾と同じカリキュラムで算数の学習ができるシリーズ。各学年用の教材が出版されており、レベルに合った教材を選ぶことができます。予習シリーズ6年下まで一通り理解すれば中学受験における典型問題は一通り抑えることができます。予習シリーズが終了したら過去問を中心に応用問題に取り組みましょう。 - 『中学入試 算数 実力突破 計算と一行問題』(受験研究社)
吉祥女子中学校は第1問の計算問題・1行問題でどれほど得点を稼げるかが合否を分けます。幅広い単元から出題されるため、どの単元から出題されても焦らず解けるよう、全ての単元からランダムに出題される問題集が好ましいでしょう。この問題集は毎日10分取り組むことを推奨しています。毎日少しずつの量でいいので計算問題に触れていくことで、第1問で必要となる計算力は十分身につけることができます。
合格点を取るには
計算問題は満点を目指そう
大問間で難易度にかなり差があるため、比較的易しい計算問題で確実に点を稼いでいくのがよいでしょう。
また、出題分野は偏りがあまりないため、特定の単元の問題のみを解くのではなく、様々な分野の問題を解きましょう。
時間配分に注意しよう
前述の通り、前半の問題と後半の問題で難易度に差があります。後半の問題に時間をかけすぎて前半の問題で点を落とすことがないようにしましょう。
具体的には第1問に5~10分、ほかの問題は10分前後で解いていけるといいでしょう。見直しをするときは、特に第1問の簡単な問題を中心に確認し、絶対に取りこぼしのないようにしましょう。
問題の意図を考えよう
第2問以降の問題では、大体の問題に小問が用意されています。小問は誘導的に配置されており、⑴から難易度順に並んでいます。つまり⑴の易しい問題から順番に解いていけば段階を踏みつつ後半の問題に進めるということです。前の問題の結果を利用して次の問題を解く後図を意識しましょう。
また、このとき問題の意図を考えてみましょう。それぞれの小問でどのようなことを聞かれているのか、そのことはそれ以降の問題でどのように活かすことができるのか。問題を作る側は必ず何らかの目的があってその小問を用意しているはずです。闇雲に解いていくのではなく、作問者からのメッセージに注意を向けてみましょう。
入試問題に挑戦
総括
今回は、吉祥女子中学校の算数入試対策についてご紹介しました。算数が苦手な人でもポイントさえ抑えれば必ず高得点を狙えるようになるはずです。他科目とのバランスを考えつつ、限られた時間の中で優先順位に気をつけながら最大限の対策をしましょう。
また、本校は学校ホームページで入試に関する様々な情報が公開されていることも特徴的です。問題構成や出題者の意図などが詳細に載っているので是非参考にしてみてください。
おすすめ記事
参考
- 吉祥女子中学校2020年度用5年間スーパー過去問、声の教育社
- (吉祥女子中学校ホームページより) 「入試問題の構成や出題傾向」
- 吉祥女子中学・高等学校HP
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こんにちは!ライターの福久はなです。 都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。 塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。 これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。 皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!