これで解決!吉祥女子中学校社会の特徴と対策法を徹底検証

中学受験において一度は耳にする「御三家」という言葉があります。 数ある学校の中でも代表的な学校のことを意味し、女子御三家は桜蔭中学校・女子学院中学校・雙葉中学校の3校となっています。

いわゆる御三家の学校のほかに、最近では「新御三家」と呼ばれる学校も存在します。女子新御三家は、豊島岡女子学園中学校・鷗友学園女子中学校・吉祥女子中学校の3校です。これらの学校は、大学合格実績の向上などにおいて勢いがあり、近年特に注目されています。

今回は、女子新御三家の一つである吉祥女子中学校について、理科の入試傾向や入試対策方法についてご紹介します。

近年の出題内容

出題傾向

過去3年間の出題内容

2020年度
〈大問1〉歴史〜日本の偉人と外交史〜
〈大問2〉地理〜食品流通の性質とその歴史〜
〈大問3〉公民〜核兵器・核実験の歴史〜
2019年度
〈大問1〉歴史〜日本の外交史・貿易史〜
〈大問2〉地理〜地上行政制度について〜
〈大問3〉公民〜グローバリゼーションに関する問題群〜

2018年度
〈大問1〉生物〜呼吸について〜
〈大問2〉物質〜水の沸騰について〜
〈大問3〉地球〜月の動きについて〜

出題傾向についての詳細

吉祥女子中の社会は、試験時間35分に対して大問が3問、総設問数が30〜40問前後となっています。

高度なひらめきや思考力を必要とする問題は出題されていません。あくまで単元についての本質的な理解を問い受験生の演習量が得点に直結するような内容となっています。そのため、今まで学習してきた解法や技術をいかに応用させ、展開させていくことができるかがカギになります。

まれに点差を分けるような難易度の高い問題が出題されることもありますが、実際にはそのような問題が直接合否を分けるわけではありません。しっかりと単元についての理解を深めていれば必ず高得点を狙えるような内容となっています。

当校の社会は、地理、歴史、公民の3分野すべてからまんべんなく出題されることが特徴的です。一つの分野から1問ずつ出題されることが多く、バランスの取れた出題が見られます。他校で時事問題が出題される場合は、公民分野の大問で出題されることが多いですが、当校では違います。過去には地理・歴史分野のテーマの問題の中で時事問題が出題されたこともあります。

吉祥女子中の社会では、外国ではなく、日本の地理・歴史・公民に関するテーマから出題されることが多いです。その中でも「外交史」、「産業・経済史」、「地方行政」、「国会・内閣」、「日本国憲法」、「交通・通信・貿易」、「農林水産業」といったテーマの問題がよく出題されています。

当校の社会の特徴として、様々な形式の問題が出題される、ということが挙げられます。基本的には記号選択や適語補充といった穴埋め形式の問題が中心となっていますが、なかには理由説明を求める10語程度の記述問題も出題されています。あらゆる種類の問題がバランスよく出題されことが特徴的です。

また吉祥女子中の社会は、他校と比べてもリード文の量が多いことが特徴的です。そのため時間に余裕があるわけではありません。思わず一つの問題に時間をかけすぎてしまうと大幅な失点につながりかねないため、時間配分は徹底して行いましょう

記号選択や適語補充の問題が全体の7〜8割を占めるため、全体的に難易度はそこまで高くなく、受験生同士で点数に差がつきにくい内容となっています。問われていることは基本的なことばかりなので、知識の抜け忘れを一つずつ克服することが重要です。

入試対策

分野別対策法〜実際の過去問を解いてみよう!〜

吉祥女子中の社会では、地理・歴史・公民の3分野全てからバランスよく出題されることが特徴的です。実際の過去問を抜粋しながら、分野ごとの対策方法についてご紹介します。

実際の出題例1〜歴史〜

(2020年度第1回・第1問より抜粋)

  • 問1 下線部①(稲作・仏教・暦法・鉄砲)について述べた文として正しいものを次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
    • ア 稲作が大陸から日本に伝えられたのは縄文時代の終わりごろのことで、三内丸山遺跡には初期の稲作の跡が確認できる。
    • イ 仏教が公式に日本に伝えられたのは、百済の王が日本の天皇に仏像や経典を贈った6世紀のことであった。
    • ウ 日本では、中国から伝わった月の満ち欠けにもとづいた太陰暦が用いられてきたが、17世紀はじめにヨーロッパから伝わった太陽暦に変更された。
    • エ 16世紀中ごろ、日本との通商を求めるポルトガル国王の国書を持った使節が種子島に対抗し、島主に鉄砲やガラス製品などを贈った。
  • 問2 下線部②(紀元前後の小国家や邪馬台国)について中国の歴史書に記されている内容として正しくないものを次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
    • ア 「倭の奴国の施設が貢ぎ物を持って、あいさつにやってきた。皇帝はこれに対して金印を授けた。」
    • イ 「わたしの祖先は、みずからよろいやかぶとを身につけ武装し、東は五十五国、西は六十六国、さらに海をわたって九十五国を従えてきました。」
    • ウ 「楽浪郡の海の向こうに住んでいる倭人は、百あまりの国々に分かれていて、定期的に貢ぎ物を持ってあいさつに来ているということだ。」
    • エ 「その国は元は男子を王としていたが、国同士の争いが長く続いたため、みなで一人の女性を立てて王とした。」
  • 問4 下線部④(栄西によって、新たに禅宗が日本に伝えられ)について、栄西が伝えた禅宗の宗派名を漢字で答えなさい。

【答え】問1 イ 問2 イ 問4 臨済宗

〔ポイント〕吉祥女子中の社会では、日本の歴史、特に外交史や経済史の問題がよく出題されています基本的には記号選択問題となっており、リード文中の下線部ごとに設問が用意されています。

問1のように「正しい選択肢を選ぶ」問題もあれば、問2のように「正しくない選択肢を選ぶ」問題もよく見られます。ひっかけの選択肢も分かりやすいものが多く、難易度が易しい問題がほとんどです。このような問題では、「時間をかけすぎないこと」「確実に満点を目指すこと」を心がけましょう。

また、問4のように用語記述の問題も少なからず出題されます。用語自体は中学受験社会において暗記必須の基本的なものである場合がほとんどなので、こちらも同様に必ず得点しておきたい問題となっています。

実際の出題例2〜地理〜

(2019年度第1回・第2問より抜粋)

  • 問1 下線部①(製造業などの工業)に関連して、日本の工業について、事業所数、従業者数、製造品出荷額等(2014年)を事業所規模別(※)に比較して述べた文として正しいものを次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。※事業所規模別では、働く人が300人以上の大規模事業所を大工場、働く人が300人に満たない中小規模事業所を中小工場と区分している。
    • ア 大工場で働く人の割合は、すべての工場で働く人のおよそ70%であり、事業所数をみると、大工場の割合は、工場全体のおよそ99%を占める。
    • イ 中小工場で働く人の割合は、すべての工場で働く人のおよそ70%であり、中小工場の製造品出荷額等の割合は、製造品出荷額等全体のおよそ80%である。
    • ウ 事業所数をみると、大工場の割合は、工場全体の1%ほどであるが、大工場の製造品出荷額等の割合は、製造品出荷額等全体のおよそ80%である。
    • エ 事業所数をみると、中小工場の割合は、工場全体のおよそ99%を占めるが、中小工場の製造品出荷額等の割合は、製造品出荷額等全体の半分近くである。
  • 問8 下線部⑧(ドイツ)では、東経15度の経線を標準時子午線としています。日本で2月1日午前10時のときの、ドイツの日時を答えなさい。なお、時刻は午前か午後かを明確にして答えなさい。
  • 問9 下線部⑨(物流網)に関連して、産地から販売する店まで、農作物を低い温度のまま輸送するしくみを何と言いますか。カタカナで答えなさい。

【答え】問1 エ  問8 2月1日午前2時  問9 コールドチェーン

〔ポイント〕吉祥女子中の社会はほとんどの問題が記号選択形式ですが、選択肢が用語ではなく説明文となっている場合も多いです。このような問題では、問1のように「主語が同じでも述語部分が異なる」「述語部分は似ているが、些細な部分が異なる」といったひっかけの選択肢が用意されていることがほとんどです。

その選択肢の特徴や、ポイントとなりそうな部分には目印をつけておき一つずつ消去法を使って候補を絞っていくようにすると良いでしょう。

問8の標準時子午線に関する計算問題は、中学受験社会の地理では必須となっています。社会というと計算問題が出題されるイメージはあまりないかもしれませんが、必ず得点しておきたい問題です。

問9も用語記述の問題です。他の分野の問題と同じく、出題される単語は基本的なものばかりなので、絶対に落としたくない問題です。

実際の出題例3〜公民〜

(2020年度第1回・第3問より抜粋)

  • 問2 下線部②(日本国憲法)に関連して、次の条文は日本国憲法第99条です。条文中の空らんに入る語句を漢字3字で答えなさい。

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の□は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

  • 問4 下線部④(核兵器や核実験を制限するさまざまな条約)に関連して、こうした条約の一つに核拡散防止条約があります。しかし、この条約は不平等であるとして批准をしていない国もあります。どのような点が不平等であるのかについて「5大国」という言葉を使って一行で説明しなさい。なお、5大国とは、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中華人民共和国のことです。
  • 問9 波線部a (NGO)にあたる組織として正しいものを次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
    • ア 国家公安委員会 
    • イ 国境なき医師団
    • ウ 世界貿易機関
    • エ 国際労働機関

【答え】 

  • 問2 公務員  
  • 問4 すでに核兵器を保有している5大国にだけ、核兵器の開発や保有を認める、という点。
  • 問9 イ

〔ポイント〕問2のように、単なる用語記述ではなく適語補充の問題もよく出題されています文脈の中で考える癖をつけましょう。

また吉祥女子中の社会では、大問ごとに1問ずつ記述問題が出題されています。問8のように、1行程度の短い記述を求める問題がほとんどで、どれも典型的な内容のものばかりです。記号選択問題や用語記述に比べると難しく感じるかもしれませんが、こちらも満点を目指したい内容となっています。

記号選択問題は、「選択肢が説明文の場合」、「選択肢が単語の場合」の2パターンありますが、問9は後者にあたります。知識があれば一瞬で答えることができるような内容なので、あまり時間をかけたくない問題です。

高得点を目指す上での「カギ」とは?

問題の難易度も基本〜応用レベルまで多岐にわたり、様々な難易度の問題が出題されています。ほとんどの問題は基本〜標準レベルの問題となっており、社会が苦手な場合であっても高得点を狙いたい内容となっています。また当校の社会はスピード勝負の内容ではありませんが、全体的に難易度が易しめに設定されている分、差がつきにくい内容となっています。

高得点を取るために、まずは知識問題で満点を目指すことが重要です。吉祥女子中の社会は、記号選択や適語補充といった知識問題の割合が大きいことが特徴的です。このような問題は、知識の定着度や理解度がそのまま得点に直結します。苦手な単元がある場合は早急に対策を行い、知識の抜け忘れがないようにしましょう。

また吉祥女子中の社会は、どの問題でも冒頭のリード文が非常に長く、分量が多いことが特徴的です。実際には、リード文を読まなくても、設問ごとに指定されている下線部の単語にのみ注目すれば十分解くことができます。リード文に事細かく目を通していると時間を使い過ぎてしまうため、必要な箇所だけに意識を向けるようにすると良いでしょう。

問題文の読み間違いをはじめとしたケアレスミスは大幅な失点につながりかねないため、慎重に取り組みましょう。試験時間終了前の5〜10分間は、必ず見直しや検算の時間にあてるようにしましょう。試験時間が始まったらまずは全体に目を通し、全体のうち自分の得意分野の問題や、解きやすそうな問題から手をつけるようにすると良いでしょう。

参考