日本語の「単語」には色々な種類があります。そのうち、文法上の役割に応じて区別したものが「品詞」です。
入試問題では品詞の種類をこたえる問題が出題されるほか、読解の問題を解く際にも品詞を考えることがヒントにもなることがあります。今回は、品詞の種類について勉強していきましょう。
Contents
品詞
品詞とは
品詞について学ぶ前に、「単語」について知る必要があります。「単語」ということばはふだん何気なく使っていると思いますが、国語の勉強をする上では正確な意味を確認しましょう。
単語…これ以上区切れないところまで区切った、意味をもったことばの最小の単位。
次に、品詞について学習しましょう。
品詞…単語を文法上の役割に応じて分類したグループのこと。
日本語には、10種類の品詞があります。それでは、次の項で品詞の分類について見ていきましょう。
品詞の分類
品詞は以下のように分類できます。
① 品詞の分類
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
品詞を分類するときは次のような手順で考えていきましょう。
②品詞分類を考える手順
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
品詞の種類
10種類の品詞について、それぞれ説明していきます。どのような特ちょうを持っているかを覚えることで、品詞を分類する問題も解けるようにしましょう。
動詞
動詞は述語になれる単語(「用言」)のうち、言い切りの形にしたときに「ウ段」の音で終わるものです。主にものごとの動作や作用を表しています。動詞は後に続く単語によって形を変え、これを活用といいます。動詞の活用には、五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用の5種類があります。
例:歩く・行く・笑う・帰る・行く・来る・する
動詞には自動詞と他動詞という2つの使われ方のパターンがあります。他動詞とはズバリ、「目的語をとる動詞」のことです。たとえば、「わたしはリンゴを食べる」という文章の場合、「リンゴ」が目的語になります。この時「食べる」は他動詞です。
一方で「彼が走る」という文章には目的語はありません。この時の「走る」は自動詞です。主語が他のものに作用を及ぼしている場合、その文章の動詞は他動詞になります。
もう一つ、動詞については可能動詞を勉強しましょう。可能動詞とは「行ける」「走れる」のように、「~することができる」という意味を表す動詞のことです。五段活用の動詞のみ、可能動詞に変化することができます。
可能動詞は「~れる」という形になるものが多いですが、同じような形になる普通の動詞や文法的に正しくない使い方である「ら抜きことば」とまちがえないように注意しましょう。
例:登れる・書ける
形容詞
形容詞は用言のうち言い切りの形にしたとき「~い」という形で終わる単語であり、ものごとの状態や性質などを表しています。動詞と同じように活用します。
例:大きい・高い・重い・かわいい・楽しい・貧しい
形容動詞
形容動詞は、用言の中でも言い切りの形が「~だ」となる単語のことです。形容詞と同じようにものごとの状態や性質を表し、また活用もします。
例:きれいだ・幸せだ・満足だ・豊かだ・ささやかだ・じょうぶだ
名詞
名詞は主語になれる単語(「体言」)のことです。日本語の中で主語になれる品詞は名詞だけです。また、動詞などとちがって活用はしません。
例:犬・食事・母・ギター・フランス・徳川家康・あなた・ここ・一羽
名詞にはいくつかの種類があります。普通名詞は「犬」や「食事」のように一般的なものごとの名前を表す名詞のことです。また、固有名詞は「フランス」や「徳川家康」のように場所や人物など、1つしかないものの名前を表す名詞です。代名詞は「あなた」や「ここ」のようにある人やものごとなどを代わりに指し示しています。もう一つの数詞は「一羽」のように数や量、順番などを表すことばのことです。
副詞
副詞は修飾語になる単語のうち、用言(動詞、形容詞、形容動詞)を修飾するもののことです。活用はありません。状態や程度などを表すほか、決まったパターンで使われる「呼応の副詞」というものもあります。
例:ゆっくり・だんだん・きらきら・とても・少し・まるで・たとえ
連体詞
連体詞は、その名の通り体言(名詞)を修飾することばです。かかる名詞をくわしく説明する働きがあり、活用はしません。
例:この・その・小さな・おかしな・いろんな・とんだ・あらゆる・わが
「~の」「~な」「~た(だ)」「~る」「~が」という5つの形で終わるものがあります。入試問題で出てくるものは種類もそれほど多くないので覚えてしまいましょう。形容詞や形容動詞との区別がつきにくいものもありますが、連体詞は活用がないということを頭に入れておいてください。
③ 連体詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
接続詞
接続詞は文章と文章をつなぐ品詞のことです。前後の文章の関係を表すため、文章読解の問題では大きなヒントとなることばです。
「順接」「逆接」「並列」「添加」「説明」「選択」「転換」など様々な役割があります。文章中での使われ方についてはこの記事も参考にしてみてください。
例:だから・しかし・また・そして・つまり・それとも・ところで
感動詞
感動詞は活用がなく、主に独立して用いられる単語のことです。感動のほか、あいさつや応答、呼びかけなどを表します。
例:やれやれ・こんばんは・やあ・うん・ねえ・よいしょ
助動詞
助動詞はそれだけでは意味を持たない付属語のうち、活用をする単語です。体言や用言に付属し、意味を添える役割があります。
様々な意味があり、「受け身」「可能」「自発」「丁寧」「希望」「打ち消し」「断定」「過去」「推量」「意思」などに分けることができます。
例:られる・ます・たい・ない・だ・です・た・よう・らしい・ようだ
助詞
助詞はほかのことばに付属して意味を肉付けしたり、単語と単語をつないだりするはたらきを持ちます。それだけで意味をもつことはなく、助動詞とちがって活用もしません。
例:が・の・を・に・から・けれど・さえ・など・か・ぞ
いろいろな品詞
使われ方によって、単語は品詞を変えたり、いくつかの品詞どうしが合わさったりします。
品詞の転成
ある単語の品詞が変わることを「品詞の転成」といいます。品詞の転成については、4パターンを頭に入れておきましょう。
①動詞→名詞
動詞の連用形(「~ます」に続く形)が名詞になったものです。
例:動き(「動きます」の「動き」の部分)・笑い・歩き・流れ
②形容詞→名詞
形容詞の連用形(「~なる」に続く形)が名詞になったものです。
例:近く(「近くなる」の「近く」の部分)・遠く
③助詞→接続詞
例:頑張って勉強したけれど、テストの点数は良くなかった。(「けれど」は助詞)
頑張って勉強した。けれど、テストの点数は良くなかった。(「けれど」は接続詞)
④副詞→感動詞
例:彼はお水をちょっと飲んだ。(「ちょっと」は副詞)
ちょっと、そこの君、待ってくれ。(「ちょっと」は感動詞)
複合名詞
複合名詞とは、2つの単語が組み合わさって1つの名詞になったものです。様々なパターンがあるので、覚えるのではなく問題で出てきた時に考えてみましょう。
例
- 朝日(名詞「朝」+名詞「日」)
- 花見(名詞「花」+動詞「見る」)
- 話し声(動詞「話す」+名詞「声」)
- 暗やみ(形容詞「暗い」+名詞「やみ」)
- きれいごと(形容動詞「きれいだ」+名詞「こと」)
- 出入り(動詞「出る」+動詞「入る」)
- 遠浅(形容詞「遠い」+形容詞「浅い」)
- 遠回り(形容詞「遠い」+動詞「回る」)
派生語
派生語は、ある単語の前後に接頭語(せっとうご)や接尾語(せつびご)が付いてできた単語です。名詞になる者もありますが、3.1で説明した動詞や形容詞がそのまま名詞に転成したものとの区別に注意しましょう。
例
- お米(接頭語「お」+名詞「米」)
- ひた走る(接頭語「ひた」+動詞「走る」)
- 真新しい(接頭語「真」+形容詞「新しい」)
- もの静かだ(接頭語「もの」+形容動詞「静かだ」)
- 寒さ(形容詞「寒い」+接尾語「さ」)
- 寒がる(形容詞「寒い」+接尾語「がる」)
- 豊かさ(形容動詞「豊かだ」+接尾語「さ」)
終わりに
この記事では、国語の基本中の基本である日本語の品詞について説明しました。基本ではありますが、考えることや覚えることも多く勉強がおろそかになりがちな分野でもあると思います。まずは品詞の分類がまちがいなくできるよう、ひごろの読書から一つ一つの単語に注意してみましょう。
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参考
四谷大塚『四科のまとめ』
https://www.yotsuyaotsuka.com/kyozai/yonka/
初めまして。髙橋利弥と言います。
武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。
よろしくお願いします。