急に国語ができなくなった?5年生で感じる国語の壁を乗り越えて偏差値を10上げる方法【中学受験】

4年生までは国語で苦労したことはなかったけれど、5年生になって急に国語の成績が落ちた、というケースは少なくありません。今まで通りに文章を読んで、設問にきちんと答えているのになぜ成績が下がるの?と疑問に思いながら、日々の宿題に追われて対処できていないご家庭も多いのが現状です。

ではなぜ、5年生になると国語の成績が下がってしまうのでしょうか。もちろん成績をキープできるお子さんも多いですが、国語に苦手意識を持ってしまう場合、多くが設問にきちんと答えている「つもり」になっているけれど、実は的を外しています。そのズレをきちんと意識できないと、弱点克服が後回しになり、直前に時間が足りないということにもなりかねないので注意が必要です。

また、4年生から5年生に学年が上がると、文章そのものの難易度はたしかに上がります。単に難しいことばが出てくるというわけではなく、文章量が増え、内容が抽象的になるというのが特徴です。小学生は精神年齢に個人差が大きく、抽象的な思考ができるかどうかによって国語力に差がついてしまいます。いわば5年生という時期は、「国語の壁」にぶち当たる時期だと言えるでしょう。

ですが、その状態を放置するわけにはいきません。今回は、国語の壁を攻略するために必要なこと、特に選択肢問題の攻略によって成績を上げる方法について解説します。この壁を越えると国語の偏差値が10は上がります。ぜひ参考にしてください。

4年生と5年生の国語、何が違うの?

5年生で「国語の壁」にぶち当たってしまい、成績が下がってしまうお子さんの中には、4年生までは国語は「特に何も勉強しなくてもできた」というケースが少なくありません。そのため、なぜ急に成績が下がってしまったのか理由が分からないというご家庭は多いです。

そうすると、お子さんは、これまで得意だったはずの国語ができなくなったと国語嫌いになり、保護者の方はなぜ成績が下がったのか、そして上がらないのかがわからずに焦ってしまいます。がむしゃらに国語の問題演習の数を増やし、何とか対策しようというご家庭も多いのですが、それでは同じことの繰り返しです。まず何よりも大切なのは、「なぜ5年生になって国語の成績が下がったのか」その原因を見つけることです。

では、なぜ5年生になって国語の成績が下がってしまうのでしょうか。そこには、4年生と5年生の国語の問題には大きな違いがあるからです。その違いを把握しないと、どれだけ問題演習をしても、なかなか成績は上がりません。

文章の質・量が変化して抽象的になる

4年生のときの読解問題を思い出してみてください。特に説明的文章については、テーマや内容が比較的理解しやすかったのではないでしょうか?また、設問も比較的聞き方が分かりやすく、設問が聞いていることを把握しやすかったでしょう。

そのため、文章を「精読」しなくてもなんとなくカンで「これが正解かな」とあたりをつけると、それが正解であることも少なくありません。しかし、設問に「なんとなく」という姿勢であたるクセがついてしまうと、5年生になったとたん、その姿勢が通用しないことになり、成績が下がってしまうのです。

5年生は、中学受験の勉強の中心となる学年です。各教科に言えることですが、4年生から5年生になると、急に問題が難しく感じるものです。国語も例外ではありません。国語の場合、読まなければいけない本文が急に長くなり、内容も抽象的になってくるので、読めば答えがわかる、といった状況ではなくなってしまうのです。また、設問が聞いている内容も分かりにくくなります。設問自体の文が長くなるので、何を聞かれているのかをつかむことが難しくなるでしょう。

このように、5年生になると読まなければいけない文章の量・質がぐんと難度アップしてしまうので、それについていけないと成績も当然上がらなくなり、焦るあまりにたくさん問題演習を繰り返すものの解決できずに国語を避けてしまうようになってしまいます。

国語は4教科の土台となる教科です。読み、理解、書きがきちんとできないと、どの教科でも答案を作ることはできません。聞かれているのに答えるのが中学入試ですが、聞かれていることが分からなければ答えられませんよね。だからこそ、4年生から5年生になるタイミングで国語の内容が変化するという点を理解したうえで、それを意識した勉強が必要になってくるのです。

設問別・5年生の国語のワナ

国語の読解問題は、選択肢問題・記述問題・そして漢字など語彙の問題に分かれます。ここでは、設問の種類別に、5年生になると何が変わるのか見ていきましょう。

選択肢問題の正解がパッと見て分からない

塾の授業でも、家庭学習で行う宿題でも、国語の読解問題の多くを占めるのは「選択肢問題」です。5年生になると記述問題も増えてきますが、その基本となるのも選択肢問題でいかに正答できるかです。選択肢問題では、本文の内容について聞かれることがほとんどです。つまり、選択肢問題での正答率が高いということは本文を正確に読めていること、反対に正答率が低いということはどこに何が書いてあるのか把握できていない、ということです。

4年生の間に解いてきた選択肢問題は、設問の聞き方も比較的親切で、本文もどこに何が書かれているか把握しやすかったでしょう。本文自体の長さもそれほどではなかったので、選択肢問題の正答率は高かったのではないでしょうか。

また、4年生までは間違っている選択肢の場合、明らかに間違っていることが多く、消去法を使えば比較的容易に正解が分かることが多いです。しかし、5年生になると、選択肢を見てもどの部分が本文と合っているのか、それとも間違っているのかパッと見て分からなくなります。選択肢問題の設問が長く、何を聞かれているのかを把握できない、また選択肢一つひとつも長文化するので、それぞれ文中に書いていることと照らし合わせるのが難しくなってきます。

4年生の間の選択肢問題の解き方が「なんとなくこれ」で正解してきてしまった場合、設問をよく読み、選択肢を吟味するというクセがついていないので、消去法で解こうとしても正解がどれだか混乱してしまうことが増えてしまうのです。つまり、解き方そのものを変えないと、国語の成績が上がらない要因となってしまうことに注意しましょう。

また、これまでの選択肢問題の選択肢には、本文と「まったく同じ」表現がそのまま使われているケースが多かったはずです。選択肢問題の目的は、本文の内容を正確に理解できているかをはかるところにありますから、ある意味それは当然のことだったかもしれません。しかし、5年生になると、そのように単純な問題は減ってきます。代わりに増えるのが、内容は本文と同じだけれど「言い方を変えてある」選択肢です。

受験生はどうしても「答えを探そう」とします。そのため、完全に言い回しまで合致していれば簡単に正解が分かるかもしれませんが、言い回しが変わっていると、本文と同じ意味なのか、それとも違う意味なのかが一瞬ではわからなくなるので、答えを探そうとしても「答えがない」と混乱してしまうのです。

また、気を付けなければいけないのは、本文の言い回しをそのまま引用しているけれども設問で聞かれていることとは対応しない問題や、一般常識を書いた選択肢が紛れ込んでいるため、誤誘導されて間違えてしまうことが増えることです。お子さんは答えがパッとわからないと、文中に出てきた言い回しがそのまま入っている選択肢や、一般常識で「そうだよな」と思う選択肢を選んでしまいがちなので、注意しましょう。

記述問題は書き抜きだけでは通用しない

5年生では、まだ記述問題はそれほどたくさん出てくるわけではありません。サピックスのように記述用テキストがある場合は別ですが、通常の塾では選択肢問題の最後に記述問題がちりばめられていることが多いでしょう。

4年生のときの記述問題は正解できていましたか?おそらくまったくできない、ということはなかったのではないでしょうか。4年生の記述問題では、本文に書かれている内容をそのまま丸写しすれば正解できる問題が少なくありません。そのため、どこに何が書いてあるかわかっていれば、素直に文中から答えになるところを書き抜き、文末処理をすれば正解した受験生も多かったはずです。

しかし、5年生からの記述問題はそう単純ではありません。本文中に書かれていることはもちろん使うのですが、そのまま書き抜いただけでは正解にはなりません本文中の内容を設問に合わせて自分で解釈し、その内容を流れよくまとめなければなりません。

たとえば、物語文の記述は5年生の関門の一つだと言えるでしょう。5年生になると、出題される物語文の中に象徴的な表現が増えてきます。たとえば空の色、川にかかった橋、そういった一見「ものごと」に見えるものが実は登場人物の心情を表しているといったことが多くなってくるのです。これを「情景描写」と言います。もしそれをなんとなく読み飛ばしていると、記述問題でその部分が狙われたときに何も書けなくなってしまいます。

本文にある象徴的な表現について、それは何を表している表現なのかをしっかり読み解きながら、自分のことばで言い換えて答えさせるといった記述問題が増えてきます。受験生が非常に苦手とするところであり、難関校が好んで出題するタイプの記述問題です。論説文でも、筆者が使っている表現がどういう意味合いで使われているのかをしっかり把握できないと、採点者が分かるような文章を書くことができないので注意が必要です。

また、書き抜き問題も広い意味で記述問題ですが、4年生のときは傍線部のすぐ近くに答えがあることも少なくありませんでしたが、5年生以降は傍線部から離れたところに解答があるケースが非常に増えます。本文の最初のほうに傍線が引かれているのに、答えは最後のほうに書かれているといったことも少なくありません。そうすると、結局本文全体の正確な読みが要求されるので、難度がとても上がるのです。

一文字だけ見てもイメージできない漢字が増える

読解問題というと、選択肢問題や記述問題だけと思われがちですが、本文中に使われている漢字の意味が高度になります。また、書き取りの問題も出てくるのですが、同音異義語、同訓異字が増えてくるので、読みはわかっていても違う感じを答えてしまうケースが多いのです。

たとえば、「ふうき」と聞いてどのような漢字を思い浮かべますか?「風紀」「富貴」などがあります。「風紀」が一番よく出てくるでしょうが、「紀」なのか「記」なのかあやふやで間違ってしまう受験生は多いです。漢字一文字だけ見てもどういう意味を指すのかイメージできないことが増えてくるでしょう。

同音異義語としては、たとえば「ついきゅう」ということばを考えてみましょう。「追及」「追求」「追究」とありますが、それぞれ意味が異なります。正確に理解していないと、その本文に合った漢字を選んで書くことができません。

国語を指導してきた立場からすると、4年生のときは漢字テストも満点があたりまえだったのに、5年生になると正答率が一気に下がってしまうお子さんは少なくありません。小テストなどで第〇回と範囲が決まっていれば何とか正解できるものが増える、といった状況ですが、範囲を決めずに、これまで学んできたところ全体から出題すると正答できないケースが多いです。

漢字というとどうしてもルーティンワーク、ただ書いて覚える、というイメージがあるかもしれませんが、読解問題においては本文の読み、設問の読み、記述問題の書きと、正確な漢字を正確にかけなければ〇にならないので、なめてかかっては痛い目に遭います。

5年生からの読解問題は理屈で考えないと正解できない

5年生の国語の問題が、4年生に比べて格段に難化することと、その原因をお伝えしましたが、特に中心になってくるのは読解問題ですよね。そこでつまずいてしまうと、国語の成績は低下し、なかなか上げることが難しいです。なぜ読解問題でつまずいてしまうのでしょうか。ここでは、その理由を考えていきましょう。

読解問題でつまずいてしまう大きな原因として、「なんとなく」本文を読み、「なんとなく正しそうな」解答を選び、書いていることが挙げられます。つまり、本文の内容についての起承転結を意識せずに読み、重要な部分とそうでない部分の読みわけができていない、つまり論理的に本文や設問を読んでいないことが、読解問題、つまり国語の成績を下げてしまうのです。

文章中に書かれているさまざまなことが読んでも一つひとつバラバラのままで、どことどこがつながっているのか意識できないので、読んだつもりになってしまい、実際には本文の内容をほとんどつかめていないことも少なくありません。

逆に言えば、この点を改善すれば、国語の成績はグッとアップするということです。偏差値が10上がることも珍しくないので、ぜひ早いうちにコツをつかんで成績を上げていきましょう。具体的にどうしたらいいかというと、普段の国語の読解問題の勉強をする際に、理屈で「ここには筆者の問題提起が書いてある」「具体例が書いてある」「筆者の意見はここ」「登場人物が〇人」「こういうできごとが起こった」「心情がここにかいてある」「場面が変わった」「心情が変化した」といったことを読み取っていくのです。

4年生まで国語で苦労しなかった受験生の場合、一文ごとにつながり、文脈を考えながら読むのが面倒だとして、そうしたポイントを意識せずにサーっと本文を読み飛ばしてしまいがちです。ですが、それが成績をどんどん下げていく原因だということに気がつかなければ、いつまでも成績は上がりません。読んで内容を把握できなければ設問に答えられないからです。

国語は、フィーリングで解ける教科ではありません非常に論理的に、「なぜこうなるのか」を考えさせる教科です。まずはそこに気づくことが重要です。読解問題を作っている人は、これは中学入試問題を作る先生も同じですが、それぞれの設問について「なぜこういう答えになるのか」を、その根拠とともに答えることを要求しています。そこには、文章中に書かれていることを「客観的に」読み取ってほしいというメッセージが込められています。

よく「今回の文章は読めなかった」「合わなかった」とおっしゃる受験生や保護者の方がいらっしゃいますが、作問している側は生徒一人ひとりに「合った」出題などしていません。つまり、フィーリングや主観で読むことは要求していないのです。求めているのは、あくまで「客観的な」「文章中に書いてあることを正確に把握する」ための読解力です。

これは、説明文や論説文だけでなく、物語文や詩の読解でも同じです。大切なのはその文章に書かれている筆者の意見や作者が伝えたいこと、そのために何を書いているのかをつかむことであり、受験生がそれを読んでどう思ったかという主観は求めていません。これは、受験生もそうですが、保護者の方にも意識していただきたい点です。お子さんが「今日の文章は合わなかった」といった場合には、一緒にもう一度文章を読むなどして、「どこに」「何が」書かれていたかを理屈で確認するようにすると、読み方が正しい方向に変わってきます。

そして何より、解答をカンで答えることはやめなければいけません理屈で考えると、その結果導き出される解答はおのずとひとつに絞ることができます。そのためには、なんとなく読みをしないこと、理詰めで読んでいかないと正解できないことをお子さん自身が気づくことが大切です。

カンで解くのではなく、本文の構成を考え、一文一文のつながり、文脈を意識すると正解できることを身をもって知ることです。こう書くと難しく感じるかもしれませんが、要は「どこに何が書いてあるか」印や書き込みを入れながら正確に読み解いていき、何について描かれていた文章なのか読み終わったときにわかっている状態になれば設問にも正解できる、ということです。そう実感できる機会を意識的に作り出すことが大切だと言えるでしょう。

塾でも国語の問題は論理的なもので、「ここにこう書いてあるから解答はこれになる」ということは教えてもらえます。ですが、その解説を聞きっぱなしにしていては読解の方法が定着しません。家庭学習で、お子さんと一緒にその日に塾で読んできた文章をもう一度読み、どこに何が書かれているのか説明できるか確認してみましょう。これはそれほど時間をかけずにできます。設問までやる必要はありません。文章を読んで内容を確認するだけなので、15分~20分程度で振り返りができます。

その際には、一文ごとに何が書かれているか確認して、意味が分かっていないことばや表現が出てきていたら調べる、あるいは対話して理解できるようにしていくことが大切です。文のつながりが分かると、内容の把握はそれほど難しくありません。文と文が論理的につながっており、最後のまとめまで続いていることに気づくことを繰り返していく、つまり論理的に読む機会を増やしていくと、必ず国語の成績は上がります。やり方を一度つかめば、その通りに繰り返していけばいいのが国語の特徴ですから、早いうちに論理的な読みの力を身につけていきましょう。

国語には正しい解法がある~選択肢問題の攻略が国語の壁を越えるカギ

国語が「なんとなく読んで正解できる」教科ではないことがお判りいただけたと思います。国語は非常に論理的で、必ず設問と本文の内容が結び付きますので、正しい解法がある教科です。

特に5年生では、選択肢問題を以下に攻略するかが、成績を上げるカギになります。なぜなら、選択肢問題は途中点がなく、正解か不正解かしかありません。そのため、非常に差がつきやすい問題だからです。

選択肢問題は、ただ単に選択肢だけをながめても解けませんよね。設問を読んだら、本文に戻って対応しているところを見つけ、その内容を確認して選択肢に戻って正解を見つけるという手順が大切です。

選択肢問題の正答率が低く、国語の成績が下がってしまっているお子さんは、こうした一連の手順を踏んでおらず、なんとなく選択肢を読み、正解だと「自分が思った」ものを正解としてしまいます。しかし、ここで言う正解とは、出題した人が「正解である」と決めている選択肢です。ですから、自分が正しいと思うかどうかは関係ありません。

正しい手順を踏んで正解していくためには、本文を理屈で理解し、どこに何が書いてあるかをつかんで、文章に書かれている内容の把握が必要です。それができていれば、選択肢一つひとつに惑わされずに、確実に正解を選ぶことができます。では、具体的に選択肢問題の成績を上げていく方法と注意点を見ていきましょう。

消去法だと正解を選ぶのは難しい!

四谷大塚の調べによると、入試の国語の読解問題の中で、選択肢問題が出題される割合は約6割となっています。これは、正しい語句を選ぶような問題は除き、いわゆる読解、つまり本文の内容を問う選択肢問題の割合です。また、中学入試では、国語の中で読解問題が8割かそれ以上を占めることがほとんどです。その6割が選択肢問題だということは、これを攻略しないと得点が取れない、ということを表していると言えるでしょう。

国語というと、気になるのは記述問題ですよね。大学入試改革の影響もあり、たしかに記述問題を出題する中学校は増えてきています。また、特に難関校の場合、選択肢問題よりもほぼオール記述といった出題をする中学校も少なくありません。女子最難関校の桜蔭中学校ではほぼオール記述ですし、麻布中学校や武蔵中学校なども同様です。

こうした記述中心の中学校を第一志望校にする場合、6年生になってから志望校対策を行っていくわけですが、いきなり何か記述せよ、と言われてもできるものではありません。その土台になっているのが本文の「正確な読み」、つまり選択肢問題が出題されたら確実に正解できる力です。

難関校の中にも、選択肢問題が中心の中学校は多いです。たとえば、女子難関校の豊島岡女子学園中学校は、国語の問題は選択肢問題がほとんどですし、共学最難関の渋谷教育学園幕張中学校、男子難関校の海城中学校でも、記述問題の占める割合はそれほど高くなく、選択肢問題で正確な読みを試している傾向が続いています。

そんな中学入試の選択肢問題ですが、近年の問題の傾向として、以下のような特徴があるので押さえておきましょう。

  • 選択肢の数自体が多い
  • 選択肢の文が長くなっている
  • 「○○をすべて選べ」など、正解が複数、あるいはゼロといった問題が出題される、つまりひとつ選んで安心できない
  • 選択肢の内容が「一見」とても似ており、丁寧に吟味しないと正解できない

これらの特徴を見ても、選択肢問題が多く出題されているからその学校が易しいわけではないと見て取れますね。こうした傾向は塾のテキストでも見られるのですが、選択肢問題を受験生が解いているようすを見てみると、消去法で解いているケースが非常に多いです。しかし、消去法だけで解こうとすると、選択肢を吟味しきれないので正答率は下がります。5年生からの難度の上がった選択肢問題ではなおさらです。

お子さんが「選択肢を2つまで絞ったけれど、最後どちらか選ぶので間違えてしまった」と言うことはありませんか?解答をいくつか選ぶ問題であればそれほど顕著ではないかもしれませんが、正解は決まっています。迷って最後の選び方で間違えた、というのはおしくもなんともなく、厳然とした「間違い」なのです。

消去法に頼っていると選択肢問題の正答率が上がらないのに、なぜ消去法を使うのでしょうか。これには、理科や社会といった教科の知識問題の解法が影響していると考えられます。理科や社会の選択肢問題の場合、リード文を読み、選択肢の正誤を答えさせる問題が多いですが、その場合、選択肢どうしを比較しながら解くことが多いです。

理科で「○○の足の生え方の正しいものを選びなさい」という問題の場合、図を選んだり、〇本という選択肢が並んでいてその中から正解を選ぶことがほとんどです。その場合、選択肢を見比べて正しい答えを選ぶわけですが、国語でやってしまうと、正答率を上げることはできません。

国語の選択肢問題では、消去法は最終手段だと思っておきましょう。模試や入試本番など、どれだけ考えても分からないときに白紙答案にしないための最終壁です。最初から消去法で答えるクセはつけないようにしましょう。国語の場合、選択肢を比較するのではなく、一つひとつの選択肢を吟味することが大切です。正解となる内容、つまり設問で聞かれている内容がよく分かっていないのに、選択肢を見比べてもどれが正しいかわからず、1問に時間を取られ過ぎて時間配分に失敗してしまいます。

近年の中学入試の国語の選択肢問題は、選択肢自体の数が多く、一つひとつの選択肢も長文化しています。また、選択肢を一見するとどれも同じようなことを書いているように読めてしまうことも多いです。こうした特徴から、より迷いやすくなるので、消去法では迷いが増えるだけです。

設問→本文→選択肢のセオリーを守って解く

選択肢問題には、れっきとした解法があります。ですから、それを守って1問ごとに解いていかなければなりません。よくやってしまいがちなのが、設問を読んですぐに選択肢を見て選ぼうとすることです。一度本文を読んでいるので、わかっている気になってすぐに選択肢を選ぼうとする受験生は多いです。制限っ時間もあるのでその気持ちはよく分かるのですが、これは間違いを産む解答方法なので注意してください。

いくら本文を一度読んでいるとしても、その本文は何千字といった長文です。6年生になれば1万字を超えることも少なくありません。その長さの文章を一読しただけで、内容を客観的につかむことができるでしょうか?答えは「否」です。一度読んだだけだと、印象に残ったところはわかっていても、主観が入ってしまう(自分はこう思うんだけどな、など)ことも多く、本文の内容を客観的に把握できていないことは少なくありません。

選択肢問題を解くにあたっては、本文を読んだ後にまず設問を読みます。それから本文に戻って設問に対応しているところを見つけてから、選択肢を読みはじめる、というのがセオリーです。これは早いうちに習慣化しておきましょう。あくまで選択肢問題を解く際のヒントは本文中にしかありませんから、もう一度確認して正しいかどうか確認するそのひと手間が差を分けるのです。

また、当てはまる選択肢をすべて選ばせるような選択肢問題の場合は、本文を読んだ後に選択肢と本文の内容の吟味作業をていねいに行わなければ正解できません。なかには「正しいものがない場合は〇と答えなさい」など、正解がない設問もあります。桜蔭中学校ではこうした問題がよく出題されます。

当てはまるものをすべて選ぶ問題は、答えとなる内容が本文中に並んで書かれてあることがあります。ただし、なかには本文全体を通して合致する選択肢もあるので注意しましょう。そうした選択肢は、文章の全体の内容と照らして正しいもの、といったように設問に必ず指定があります。設問もしっかり読み、見落としの内容にしましょう。

選択肢は、長文化する傾向にありますが、たとえば選択肢の前半は本文の内容と合っているけれど後半は間違い、といったややこしい選択肢も多く出題されます。だからこそ、選択肢の文脈にそって、本文と内容が合致しているか細かく丁寧に見ることが大切なので、毎回必ず端折らずにやっていきましょう。

その選択肢、本当に正解?根拠を答えられるようにしよう

国語を指導していると、受験生に選んだ選択肢について「なぜそれを選んだのか」理由を聞いたところ、答えられないということが多くあります。それはなんとなく選んでいることを表しています。

選択肢問題で大切なのは「なぜその選択肢が正解なのか」という根拠を文章中から押さえることです。選んだ選択肢がたまたま正解した場合は、特に理由を深く考えないことが多いので注意が必要です。そのままにしていると、選択肢問題の解き方がおざなりになってしまうだけでなく、実はわかっていないのに正解にしてしまうことになるので危険です。

よくやりがちなのが、選択肢問題で、設問と本文の因果関係があるかどうかを確認せずに、本文に書かれていることばが選択肢にあると、それが正解だと飛びついてしまうことです。特に選択肢の文が長く、いくつも読まなければならない最近の選択肢問題では、本文の内容を把握しきれず、設問の内容、選択肢一つひとつも整理できないことも少なくありません。

因果関係とは、「〇だから△」という、原因と結果の関係のことです。しかし、因果関係を無視して選ぼうとすると、文章中のことばが入っているというだけで、「AだからB」と本文に書いているのに、「BだからA」という選択肢を選んでしまうケースが少なくありません。

たとえば、「日本人は目立たないことを好むので、争わないようにしている」と書いている文章があったとしましょう。これを「日本人は争わないようにしているので、目立たないことを好む」とすると、原因と結果がひっくりかえってしまいます。本文と選択肢を照らし合わすことを怠ると、こうした間違いが生じてしまうので、できたはずなのに間違っていた、ということが多いのです。

こうした間違いを防ぐためには、なぜその選択肢が正解、あるいは不正解なのか、という、解答の根拠を選択肢ごとに本文に戻って確認することです。正しい選択肢をピンポイントで選べるようになれば、時間短縮にもなりますし、選択肢問題の解法のセオリーが身についたということです。多く出題される選択肢問題だからこそ、解法をしっかり押さえておきましょう。

語彙力アップが選択肢問題の正答率を上げるポイント

選択肢問題を解くときには、正確な語彙力、豊富な語彙力が必要です。選択肢問題では、本文中の表現を同じ意味の違うことばで変換されていることが少なくありません。違う表現であっても、本文の表現と意味が同じであれば正解になる可能性があります。しかし、語彙力がないと、同じ意味かどうかが分からず、同じ表現の選択肢を探そうとするけれどひとつもなくて途方に暮れる、ということもあり得るので注意が必要です。

たとえば、「いぶかしく思った」という表現があったとしましょう。このことばの意味を知っていますか?いぶかしく思うというのは、怪しい、疑問、不思議に思うという意味が含まれています。しかし、「いぶかしく」ということばが分からないと実は同じ意味なのに見落としてしまいます。

入試において、選択肢問題ではこのように本文の表現と選択肢に使われていることばが違うけれども意味は同じ、というケースは多く出題されます。そこには、中学校側が「このレベルのことばは知っていてほしい」と考えていることがうかがえます。意外に難しいことばが使われていることもあるので、もし選択肢問題を解いていてわからないことばが出てきたら、すぐに調べて書き留めておきましょう。

まとめ方と表現の幅がカギ~記述問題の攻略法

ここまで、中学入試で多く出題される選択肢問題について、解法のセオリーをお伝えしましたが、もう一つ気になるのは記述問題ですよね。記述問題は、本文中の表現を解釈し、設問で聞かれていることに合致しているところを何か所か探して、起承転結をつけてまとめて表現することが求められます

文章のまとめ方がよく分からず、記述問題は苦手、という受験生の方は多いですが、まず設問で聞かれていることを整理してみることをおすすめします。何を聞かれているのかを箇条書きで書き出してみて、そのことについて書かれている部分を本文中から探します。筆者の意見をまとめなさい、というのであれば本文中の筆者の意見が書かれているところとその理由を確認し、字数に合うようにまとめていきます。物語文であれば、心情を書いているところを探し、どこで変化したのか、あるいは情景描写の中から心情が書かれているところを探して、適したものをわかりやすく書くことが大切です。

多くの場合、選択肢問題が続いた後で記述問題が配置されていることが多いのですが、それは選択肢問題を解く中で本文の内容を正確に把握できていることを前提に記述でまとめなさい、というメッセージです。そのため、記述問題対策としても選択肢問題で正解することは大切です。

記述問題でうまくまとめるためにも、文章を読む際には、どこに何が書いてあるかをしっかり把握しておくことが何より大切です。余白などに「ここは心情」「ここは意見」「具体例」「理由」「できごと」といったように簡単にメモをしておくと、あとで見返したときに文章がどのような構造でできていて、どこを使って書けば正解できるかが分かります。ぜひやってみてください。

なめてはいけない漢字練習

記述を書く際に、漢字を使う必要がありますが、もし誤字があると減点されてしまいます。同音異義語なども多いですから、熟語の一文字を間違えただけでも減点されるので、漢字の知識は正確でなければいけません。

どうしても読解問題に目が行き、漢字練習をおろそかにしてしまうご家庭が多いのですが、漢字には一つひとつ意味があります。正しい漢字を正しい用法で書けなければ、いくら文章が読めたとしても解答で不正解になってしまいます。

また、本文を読む際にも、読めない漢字が多いと内容が把握できません。また、間違えて覚えていると用法を間違えて使ってしまいかねません。このように、漢字の正確な知識をなめては国語の成績は上がらないのです。偏差値を10上げるための読解方法をマスターし、さらに漢字の知識も正確にしていけば、国語の偏差値が最終的に20上がることも珍しくないのです。

練習するときは、ただ一文字ずつ何度も書いて覚えるのではなく、熟語の形で、また用例を意識してどのような文脈でその漢字を使うのかを整理しましょう。

まとめ

今回は、4年生から5年生に上がると成績が下がってしまいがちな国語について、偏差値を10上げるコツをお伝えしました。国語はなんとなく読んでなんとなく答えてしまいがちな教科ですが、必ず解法のセオリーがあり、正解は決まっています。なんとなく正解できるほど、中学受験の国語は甘くありません。

国語が苦手、成績が下がった、どう上げたらいいかわからない、という方は文章の読み方が正確ではなく、設問の読み方もおざなりであることがほとんどです。丁寧に読む、どこに何が書いてあるかつかむ、選択肢を丁寧に吟味し、まとめる記述の場合は漏れなく正確に書かなければいけません

こうしたことを意識するだけで、お子さんの国語の文章に対する姿勢は変わります。国語の成績が上がってくるとほかの教科の成績も必ず上がってきます。ぜひ、5年生になって成績が下がった場合は、解法をしっかり確認し直し、一つひとつの文章を大切に読んで設問に丁寧に答えていきましょう。偏差値20アップも十分見込めますよ。家庭学習でぜひ意識してください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、一橋セイシン会にて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。