中学受験・国語 随筆文の読解ポイント4つ

「随筆文」というとどういうイメージを持ちますか?物語文と似ているようでもあり、論説文や説明文と似ているようでもあり・・・読みやすい印象のわりに、どういう文章?と言われると答えにくいかもしれません。

随筆文とは、作者の経験をもとにして、比較的くだけた文体で書かれている文章エッセイといった方がわかりやすいかもしれませんね)です。経験がもとになっていますから、物語文のように思えるものや、論説文に思えるものなど、はっきりと「この文種」と言い切れないところが特徴です。

随筆文のタイプは大きく2つに分けられます。1つは、作者の経験をもとに、その感想がつづられているもの、もう1つは、経験をもとに作者の意見が述べられているものです。感想なのか、意見や主張があるのか、というところに違いがあるわけです。ただし、先に書いたように、それらがすべて組み合わさっているようなものもありますので注意が必要です。

比較的自由な形式や構成で書かれている文章なので、中学受験生にとっても読みやすいと思いますが、これを中学受験の国語の読解問題の材料にされると、とたんにどう読んだら分からなくなる受験生はとても多いのです。読みやすいだけに、ポイントがなかなか絞れず、また、どのようなルールに従って読み進めばよいのかわかりにくいからです。今回は、随筆文の読解のポイントについて書いていこうと思います。

 ポイント①作者の経験と感想の組み合わせの随筆文の読解

このタイプの随筆文は、最初に書いた2つのタイプのうちの1つ目です。随筆文は、最初にも書きましたが、自由な形式や構成で、作者が経験した事実を紹介しながら書かれています。ですから、基本的には、作者がそのときどきで何かを経験している様子をイメージしながら読むとよいでしょう。しかし、自由な形式で書かれているため、時系列になっているとは限らないので注意が必要です。たとえば、急に「子どものころ・・・」と回想が入ってくるように、いきなり時間軸が変わることがあります。随筆文を読み進めるときは、こういった「変わったところ」に注目しながら読むことが必要になってきます。

そういう意味では、このタイプの随筆文は、どちらかというと物語文と似ています。物語文でも、時間軸が変わったところは、話の流れが変わるところですよね。同じように、随筆文でも、読みながら、作者の「子どものころ」の話なのか、あるいは「一昨年の」話なのか、作者の気持ちに合わせて、作者の話を聞くような気持ちで読み進めると。内容が理解しやすいです。このタイプの随筆文の読解は、作者が主役の物語文の読解に近い、といえます。

このタイプの随筆文は、作者の経験だけが書かれているわけではありません。経験に基づいた作者の感想があちらこちらにちりばめられています。楽しかった思い出、悲しかった思い出、つらかったこと、うれしかったこと、など、喜怒哀楽に関する言葉(物語文でいうと『心情語』にあたります)が出てきます。それがいわゆる「感想」の部分、言ってみれば作者の「心情」が描かれている部分です。作者が経験した事実と、作者がどのように感じたのかという心情の部分に分けながら読みとると、作者の言いたいこと、意図していることを理解することができます。作者の心情を読みとる、という点で物語文の読解方法に近づけて読むとわかりやすいでしょう。物語文の心情の読み取りと同様に、心情が直接書かれていることもあれば、間接的に書かれていることもありますから、注意して読み進みましょう。

ポイント②作者の経験と意見の組み合わせの随筆文の読解

これは、2つ目のタイプの随筆文です。作者の経験と、それに基づいた作者の意見や主張が書かれているパターンです。1つ目のタイプとどこが違うか見極めるポイントは、経験談までは同じ流れですが、経験をもとに、作者の意見や主張の理由や根拠が書かれているかどうか、です。作者の心情(喜怒哀楽)が書かれているのか、意見や主張の理由や根拠なのか、という部分をしっかり押さえましょう。

理由の部分に使われる表現としては、「なぜなら・・・」や、「・・・だからだ」というようなものがあります。そういう表現は必ず線を引くなどして押さえておきましょう。厄介なのは、意見や主張が中心的に書かれていても、そこに作者の喜怒哀楽に関する表現、つまり心情表現も出てくる場合があることです。その場合は、心情表現の前後に、何らかの作者の発見や意見、主張が述べられているので、きちんと読み分けていかなければなりません。

ポイント①で紹介した、経験と感想の組み合わせのパターンの随筆文と同様、作者の話を聞くイメージを持ちながら読み進んでいく点は同じです。ただし、作者の意見や主張があちこちにちりばめられていますから、結局作者は何が言いたいのか、作者の意見を集約しなければならない、結論を読みとらなければいけないという点で、論説文の読解方法により近い読み方が必要にいなってきます。

ポイント③問われるのはあくまで客観的な読解力

様々な随筆文の読解問題がありますが、設問に「これは作者の感想ですか、それとも意見ですか」というような問いはまず出ません。随筆文を出題している場合、経験と感想の組み合わせの文章なのか、経験と意見の組み合わせの文章なのかは受験生に判断させ、物語文、論説文、どちらの読解手法に合わせて正確に作者の意図を読みとらせるという作問者の意図があるからです。感想なのか意見なのかなどという設問があっては、あえて随筆文を出題している意味がありません。

問われるのは、出題されている随筆文が2つのうちのどのパターンに属するか、などということではなく、あくまでも文章中の作者の経験を正確にに読みとったうえで、「作者の心情」あるいは「作者の意見」がどのようなものなのかを「客観的」に読みとることです。ですから、「この文章を通して、作者はどのようなことを伝えようとしているのか、まとめなさい」という記述問題や、作者の心情、意見に関する選択肢問題、作者の経験を正確に読みとれているか試す問題が出題されます。あくまで、随筆文の読解は、作者の実際の経験に基づいて、作者がどのような気持ちになったのか、あるいはどのような考え、意見を持っているのかという点に注意して客観的に読みとることが大事です。

ポイント④物語文、論説文両方の読解ルールを使い分ける

随筆は作者の経験をもとにして書かれていますが、経験という事実に対して必ず「それでどうなったのか」という部分があります。それは、作者の感想や気持ちであったり、作者の意見や主張という形で文中に表れてきます。随筆文は大きく分けて2つのパターンがあるということを書かせていただきました。物語文寄り(作者の感想、気持ちが中心になっているもの)、論説文より(意見、主張が中心になっているもの)の2つですが、中にはどちらとも取れない、「ハイブリッド型」もあります。

その場合は、経験に加え、作者の感想や気持ち、意見、主張など様々出てきますから、書かれている内容に応じて読解ルールを使い分ける必要があります。作者の気持ちの流れをくむときには物語文の読み方、最終的に作者がどのような意見や答えに行きついたのかという「まとめ」の部分があるならば、論説文の読み方が必要になってきますので、パターンを決めつけずに客観的に読んでいく必要がありいますから、注意してください。

まとめ

随筆は自由な形式、自由なことばで書かれているだけに、1つの文章に対して物語文や論説文の読解ルールを使い分けて内容を客観的に読みとる必要が出てきます。さらに設問も作者の経験や気持ち、意見、主張に関して様々なものが用意されています。

塾で扱われる頻度はあまり高くなく、随筆文をたくさん読む機会がないことも、受験生にとっては「随筆文の読解ってよくわからない」と思ってしまう理由の一つだと思います。随筆が出題されている中学校を志望する場合には、過去問や、薄くてもよいので随筆文の読解問題集にあたり、くだけた文章をルールに従って客観的に読む練習を積んでおきましょう。様々な学校の過去問を集めた入学試験問題集から随筆をピックアップして練習するのもおすすめです。その際には、作者の経験とそれ以外の部分の読み分けに気をつけながら問題を解くようにしていきましょう。

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