横浜雙葉中学校は、神奈川県横浜市中区山手町にある、キリスト教カトリック系の私立女子中学校です。神奈川県内の私立女子校の中でも歴史が深く、創立は1900年に遡ります。
完全中高一貫校となっており、高校からの入学はできません。
県内でも屈指の難易度をほこり、フェリス女子学院、横浜共立学院とともに神奈川県の女子御三家として有名です。
今回は、そのような横浜雙葉中学校の、社会の出題傾向や入試対策方法についてご紹介します。
Contents
入試情報
問題構成・解答形式
横浜雙葉中学校の社会は、試験時間40分に対して大問が3問、総設問数が25〜35問程度となっています。ここ数年で大問数は一定ですが、総設問数は年度によって10問程度の幅があり、かなり変化しています。
基本的には地理・歴史・現代社会(公民、時事含む)の3分野からそれぞれ1問ずつ出題されており、融合問題などはあまり見られません。
近年の出題内容
- 2020年度
- 2019年度
- 2018年度
出題傾向
概要
横浜雙葉中学校の社会は、試験時間40分に対して大問が3問、総設問数が25〜35問程度となっています。
基本的には地理・歴史・現代社会(公民・時事含む)の3分野からそれぞれ1問ずつ出題されることがほとんどです。複数分野を組み合わせた融合問題のようなものは出題されていません。
難関男子校で見られるような、難問・奇問は見られません。高度なひらめきや思考力を必要とするというよりは、単元についての本質的な理解を問うような良問が揃っています。
また当校の社会では、様々な形式の問題が出題されることも特徴的です。一般的な中学受験社会でよく出題されるような記号選択、適語補充、用語記述、並び替えといった知識問題がほとんどですが、記述問題なども各大問につき少なくとも1問は出題されています。
出題傾向についての詳細
横浜雙葉中学校の社会では、地理・歴史・現代社会(公民・時事含む)の3分野からまんべんなく出題されることが特徴的です。
ここ最近の出題パターンを見てみると、大問数は常に3問で一定です。総設問数は25〜35問の間で幅広く変化しています。
なかでも地理からは「国土と自然分野」「日本の各地方」「日本の諸産業」といった問題が、歴史からは「文化史」「経済史」といった問題が、公民からは「三権分立の仕組み」「国会の仕組み」「国際社会の取り決め」についての問題がよく出題されています。
難問・奇問といった、高度なひらめきや思考力を問うような問題は見られません。あくまで受験生の単元についての本質的な理解を問うような問題がほとんどです。難易度がそこまで高くない分、受験生同士で点差がつきにくいことも特徴的です。
合格平均点は例年6〜7割程度と、そこまで高いわけではありませんが、他教科とのバランスを考えるとできるだけ社会で点数を稼ぎたいところです。
また、幅広い形式の問題が出題されていることも特徴的です。一般的な中学受験社会でよく見られるような記号選択、適語補充、用語記述、並び替え問題といった知識問題が大部分を占めていますが、記述問題なども各大問につき少なくとも1問は出題されています。
記述問題は、事象や経緯についての説明を求める問題から、自分自身の意見を述べたり、考察を求めるような問題まで様々です。
当校の社会は、とにかく問題分量が多いことが特徴的です。試験時間が40分と、かなり短いなかで、多い年では30問を超える問題を解き終えなければなりません。
1問あたりにかけることのできる時間は1分程度とかなり短いので、試験時間には余裕がありません。時間がない中で完成度の高い解答が求められるので、高得点を取る上では解くスピードも非常に重要です。
入試対策法
分野別対策法〜実際の過去問を解いてみよう〜
横浜雙葉中学校の社会では、地理・歴史・現代社会(公民・時事含む)の3分野からまんべんなく出題されることが特徴的です。
そのなかでも特に頻出の歴史の問題について、実際の過去問を抜粋しつつ、対策法をご紹介します。
(2019年度第1回・第1問より抜粋)
〔1〕日本の各地には、その地方の歴史や文化を紹介・展示する博物館があります。博物館には、地域の歴史を一般の人に紹介し、説明するだけでなく、現在に伝わる昔のものや、歴史を解明する手がかりになる資料を整理し、保管する役割もあります。次のA〜Nの各文章は、日本各地の博物館について述べたものです。後の問いに答えなさい。
- A「根室市歴史と自然の資料館」は、北海道の東部、根室市にある博物館です。この博物館にある「国境標石」は、 (あ)樺太にできた国境を示す為に日本が設置した目印の石で、国境を海で隔てられていることの多い日本にとっては、大変珍しい資料です。また、資料館の近くの納沙布岬にある「望郷の岬公園」には、この近くに住むアイヌの人たちが1789年に起こした(い)「クナシリ・メナシの戦い」の約20年後に建てられた石碑があります。
- B「開陽丸記念館」は、北海道の西部、江差町にある博物館です。この博物館は、江戸幕府が開国した後にオランダから購入した「開陽丸」という軍艦の形をしています。この開陽丸が、(う)大政奉還の後に起きた旧幕府軍と新政府軍の戦いで、江差町の沖合で沈没したことから、その形を復元して建てられました。博物館の中には、沈没した開陽丸から引き揚げられた、武器や道具なども展示されています。
- C「青函トンネル記念館」は、青森県の津軽半島の外ヶ浜町にある博物館です。青函トンネルは、(え)1961年から建設が開始され、トンネル内に大量の水があふれ出すなどの難しい工事の末に、1987年に完成しました。この博物館は、工事の青森県側の基地があった場所に建てられ、実際にトンネル工事のために掘られた坑道まで、ケーブルカーによって下りることができます。
- D「弘前市立弘前博物館」は、青森県の桜の名所として知られる弘前城の中にある博物館です。江戸時代、この弘前には弘前藩という藩がありましたが、(お)江戸時代を通して何度も大きなききんに見舞われ、多くの犠牲者を出しました。博物館には、弘前の祭りとして有名な「ねぶた」に関する展示の他に、ききんと戦ってきたこの土地の歴史についての展示もあります。…
- 問1 下線部(あ)について、この石が設定されたのは何年ですか。次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
- ア. 1856年
- イ. 1896年
- ウ. 1906年
- エ. 1946年
- 問2 下線部(い)について、この石碑の裏面には、以下のⅠのような文章が書かれています。また、その横には、現在、以下のⅡのような説明の書かれた看板が、根室市教育委員会によって設置されています。このⅠとⅡの文章から、歴史について研究する時にどのようなことが大切だとあなたは考えますか。その考えを書きなさい。
- Ⅰ 「寛政元(1789)年の夏5月に、この地の凶悪なアイヌの人たちが、集団となって反乱を起こして立ち上がった。不意に殺されてしまった侍と庶民の合計は71人で、その姓名の記録は、別に役所に保管してある。ここに、とむらいのために石碑を立てる。」注 もとは漢字のみで書かれた文章ですが、読みやすい現代語にしてあります。
- Ⅱ 「寛政元(1789)年5月、和人のアイヌ民族に対する脅迫や非道行為によって追い詰められた結果、国後島と現在の標津町、羅臼町付近のアイヌ民族が和人71人を殺害した。この出来事は、「クナシリ・メナシの戦い」と呼ばれ、最終的にノッカマップ(根室市牧の内)で戦いに関わったアイヌ民族37人が和人によって処刑された。(途中省略) 墓碑裏面には、和人の視点からアイヌ民族が不意に襲ってきたとあるが、和人が殺害された原因は、アイヌ民族への非道行為が原因であり、石碑の内容と事実は異なる。」注 和人とは、アイヌ民族ではない本州出身者のことを意味します。また、もともと書かれた文章に、ふりがなをつけています。
- 問3 下線部(う)について、この戦いの中で新政府軍を率いた人物で、後に自由民権運動を指導することになる土佐藩出身の人物は誰ですか。次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
- ア. 板垣退助
- イ. 大隈重信
- ウ. 木戸孝允
- エ. 西郷隆盛
- 問4 下線部(え)について、この工事中(1961年〜1987年)に起きた事がらを、次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
- ア. 沖縄返還協定が結ばれ、沖縄が本土に復帰した。
- イ. サンフランシスコ平和条約が結ばれた。
- ウ. 朝鮮戦争が起こった。
- エ. 阪神・淡路大震災が起こった。
【答え】
- 問1 ウ
- 問2 (自分自身の考えを書く)
- 問3 ア
- 問4ア
〔ポイント〕
- 横浜雙葉中学校は、地理・歴史・現代社会の3分野のなかからまんべんなく出題され、各分野に対して大問が1問ずつ用意されています。
- 歴史の問題のなかでは、経済史・政治史・文化史に関する問題が頻繁に出題されています。
- 特定の時代に限定して出題されるというより、特定のテーマに沿って様々な時代の歴史的事項を問うような場合が多いです。
- また今回の問題のように、基本的な用語説明や記号選択などの知識問題がほとんどです。難易度はそこまで高くない場合が多いので、満点を目指したい内容となっています。
高得点を目指す上での「カギ」とは?
- 知識問題では満点を目指す
横浜雙葉中学校の社会では、難関男子校で出題されるような難問・奇問は出題されていません。
あくまで単元についての本質的な理解を問うような良問が揃っています。受験生の知識量や演習量がそのまま得点に直結するため、苦手分野を残さないようにしっかり対策を行いましょう。
一方で、問題によって難易度に少しばらつきがあることも特徴的です。問題によっては、「今まで学習した内容を関連づけて推測する」ような、一筋縄ではいかないようなものもあります。
覚えていればすぐに答えることができるような知識問題は、時間をかけずに解き終え、なおかつ満点を目指しましょう。 - 過去問演習は入念に
横浜雙葉中学校の社会では、様々な形式の問題が出題されることが特徴的です。
一般的な中学受験社会でよく見られるような、記号問題、適語補充、用語記述といった問題、並び替え問題が大部分を占めているものの、記述問題なども各大問につき少なくとも1問は出題されています。
記述問題は、歴史的事項の概要や経緯を説明させるような簡単なものから、自分自身の意見を述べたり、考察させたりするような手応えのある問題まで様々です。
入試本番で独特の形式に戸惑うことがないよう、過去問演習は本番までにあらかじめしっかりと行いましょう。 - 時間配分は慎重に
横浜雙葉中学校の社会は、試験時間40分に対して大問が3問、総設問数が25〜35問となっています。
1問あたりにかけることができる時間は1分程度となっており、あまり時間に余裕がないことが特徴的です。
かなり手ごたえのある問題も多いため、記号選択形式が中心だからといって油断せず、冷静に取り組みましょう。
試験時間が始まったらまず全ての問題に目を通し、得意な分野や解きやすそうな問題から手をつけましょう。
試験終了前の5〜10分間は必ず見直しの時間とし、計算ミスや解答の抜け落ちがないかどうかしっかりと確認しましょう。
まとめ
今回は、横浜雙葉中学校の入試情報や、社会の出題傾向、入試対策方法についてご紹介しました。
当校の社会は、試験時間40分に対して大問が3問、総設問数が25〜35問程度となっており、試験時間に対する問題量がかなり多いことが特徴的です。
高度なひらめきや思考力を問うというよりは、単元についての本質的な理解を問うような問題がほとんどで、受験生の知識の定着度や演習量がそのまま得点に直結するような良問が揃っています。
また「記号選択や用語記述といった知識問題がほとんどである」、「様々な分野からまんべんなく出題される」といった点も特徴的です。過去問研究は抜かりなく行い、入試本番で動揺しないようにしましょう。
入試本番まで時間は限られていますが、他教科とのバランスを考えつつ、できる限りの対策を行いましょう。
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参考
- 年間学校行事|横浜雙葉中学高等学校
- クラブ活動|横浜雙葉中学高等学校
- 教育理念|横浜雙葉中学高等学校
- 交通アクセス|横浜雙葉中学高等学校
- 施設紹介|横浜雙葉中学高等学校
- 制服紹介|横浜雙葉中学高等学校
こんにちは!ライターの福久はなです。 都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。 塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。 これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。 皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!