中学受験・社会 戦後の経済をまとめてみる~その4

数回に分けて日本の戦後の経済について解説してきました。経済は私たちの生活に密接に関わる分野であるとともに、歴史とともに変化していくものです。

身近なはずの経済ですが、用語や概念が難しいことが多く、受験生にとっては理解が追いつかずに苦手になりやすいところです。学習期間も短いので、苦手意識を引きずったまま入試に突入、ということも少なくありません。

ですが、入試で求められる知識はそれほど細かいものではありません。基礎的な経済の知識、仕組みがわかっていれば、入試レベルの問題もそれほど難しく考える必要はないのです。

今回は、戦後の経済について、平成に入ってからの重要なポイントをまとめていきます。

平成不況(1992年~2001年)

前回、バブル景気とバブル崩壊について解説しましたが、バブルの崩壊とともに、日本は深刻な不景気に陥りました。バブル景気では特に不動産関係の企業が非常な好景気を受けて発展しましたが、バブル崩壊とともに不動産関係の企業を中心に多くの企業が倒産しました。

不動産関係の企業だけでなく、それらの企業にお金を貸していた金融機関も影響を受けました。貸していたお金が回収できず、「不良債権」がたまり、金融機関の内部状態が非常に悪くなったのです。

金融機関の中には、破たんしたり、国有化されたものもあり、他にも多数の企業が統廃合されることが相次ぎました。それに伴って、従業員のリストラ・解雇も多く起こり、リストラされた人々の就職難が大きな社会問題になりました。

この経済の低迷期間は、「失われた10年」と呼ばれることもあります。これにより、戦後から発展してきた日本の経済は10年後退したといわれています。この時期は、就職氷河期といわれ、学生の就職難も大きな社会問題になりました。

いざなみ景気(2002年~2007年)

さきほど、金融機関が多くの不良債権をかかえたことを書きましたが、少しずつ不良債権の処理が進んでいきます。そうすると、景気が回復してきました。日本銀行がとった金融緩和政策による円安によって製造業の業績が上がり、新興国の需要が増大したことも関係して、自動車などの輸出関連企業の売り上げが増大したことが、景気が回復した要因といわれています。

その一方で、個人消費は伸び悩み、低所得者層が増加することになりました。不景気が続いたので、個人がものを買わなくなり、お金が出回らなくなったり、リストラなどの影響で収入が減った世帯も増えたのです。そのため、景気が回復したとはいえ、「実感なき景気回復」とも呼ばれます。

当時の小泉政権の政策は、雇用の不安定化を生み、社会的弱者を切り捨てていると批判されました。「ワーキング・プア(低所得者層)」や「格差社会」ということばが注目されたのもこのころからです。「いざなみ」というこの景気の名前は、これまでの好景気の名前と同じく、日本神話に由来しています。

世界金融危機(2008年~)

かつて、アメリカには「サブプライム・ローン」というローンがありました。低所得者など、返済能力が低い人でも家が買えるように作られた住宅ローンだったのですが、アメリカでも不動産価格が下落したため、ローンが払えず自己破産する人が増えたのです。

ローンで貸したお金が回収できないため、銀行は次々に倒産していきます。いわゆる、サブプライム・ローン問題と呼ばれ、社会問題となりました。このローンに関係して、リーマン・ブラザーズという証券会社が問題を抱えていることが明らかになり、結局経営破たんしてしまいました。

この巨大企業の破たんは、アメリカの経済に大きな影響を与えました。300以上の銀行が倒産したといわれています。この出来事を「リーマン・ショック」といいます。聞いたことがあるのではないでしょうか。

この一連の事件により、世界金融危機が起こり、日本でも生命保険会社や金融機関が経営破たんするなど影響を受け、職を失った人も多かったのです。それにより、私立の学校に通っていた子どもの学費が払えなくなり、公立に転校する生徒も出てきて、日本の社会にも大きな影響がありました。受験生にとっては実感がないかもしれませんが、同じ世代でも大変な思いをした人も多かったのです。

戦後史のまとめとして

学校でも塾でも、戦後の歴史はあまり時間をかけて学習できないと思います。内容が濃く、知っておくべき知識も多いのですが、歴史の最後にかけあしで説明されて終わり、ということが多いです。歴史の前半に時間をかけすぎてしまって、時間が足りなくなってしまうのです。

歴史の用語を短時間で簡単に取り上げて説明するだけで、あとは教科書やテキストを読んで問題を解いておくように、といわれて終わり、そのような経験をしていませんか?それでは、戦後の経済はおろか、歴史の流れも把握できませんよね。

しかし、戦後から現代にいたる歴史は、公民分野や時事問題にも大きく関係してきますので、決して軽視してはいけないところなのです。経済も歴史とセットでかけあしで説明され、仕組みを理解できずに問題だけ大量に解き、答えを覚えるような勉強方法になりがちです。

一方で、親御さんの世代やさらにその先輩の世代の方が実際に経験したり、見聞きしたりしたことも多いところなので、親御さんが受験生に解説しやすい時代ともいえます。ぜひ、「経験者は語る」を地でいっていただき、バブル時代にどのようなことが起こったのか、どのような経験をしたのか、オイルショックの世の中がどうだったのか、リーマン・ショックのときの日本の混乱ぶりなどについて説明してあげてください。

経験者が説明すると、受験生も理解しやすく、苦手意識が薄れます。毎日動いている経済やニュースについても興味を持つことができます。ぜひ、ご家族で話題にして一緒に学習してみてください。現代の歴史や経済に興味を持つことができると、苦手なところが一気に解消します。ぜひやってみてください。

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