中学受験・社会 戦後の経済をまとめてみる~その3

何回かに分けて、戦後の経済についてまとめています。戦後すぐのGHQによる占領下で行われた経済政策、その後戦争などが間に入り、特需を受けて伸びていった日本の経済。前回は高度経済成長時代について書かせていただきましたが、その時代の日本の経済の伸びがどれだけ大きかったのかということは、そのあとにはやはり下り坂になったりする状況を見ていくことによってさらに全体像をつかむことができます。

経済は生き物です。関わる国、政策、国どうしの国際関係、戦争、資源、人、ありとあらゆる要素がからみあって、そのときどきの経済状況を創っていきます。なかには外側はよく見えても、実際の内容が良くない経済状態の時期もあります。

最近は大学卒業生の内定辞退率が非常に高くなり、就職について史上最高の売り手市場といわれています。でも、20年前、10年前などは、就職氷河期と言われた時期もあったのです。これも、背景には学生を採用する企業の成長度合い、業績が密接に関わって起こる現象です。

経済はどうしても他の歴史や経済といった分野に比べて、何か他人ごと、という印象を持ってしまうかもしれません。ですが、われわれの日常生活に経済は非常に密接に関連しています。密着しているだけに、あたりまえすぎてかえって理解できない、そんなこともよくあるようです。

どうしても使われる用語が難しく、なかには似通ったことばを逆に覚えてしまうケースもよく見られます。その用語の意味とともに、その当時の経済や政治などの状況をよく考えて理解するようにすることが、経済の学習ではとても重要です。

敬遠されがちなところでもある経済分野ですが、実は生活に密接しており、一度仕組みがわかるととても面白く、興味をもつことができる分野です。勉強する時期が遅いため、時間がない!とあせってしまうかもしれませんが、生活と一体にして勉強を進めていきましょう。

安定成長期(1973年~1991年)

前回書いた、高度経済成長時代がひと段落したものの、その後も政府は、省エネルギーや公共投資に力を入れ、安定した経済成長が進みました。

円安ドル高という為替相場の影響もあって、自動車や電気製品などの輸出が増加しました。日本の生産業にとってはよいことですが、輸出した製品を買う国の経済全体は貿易赤字となってしまいます。

日本も、この時代にはアメリカなどと貿易摩擦が発生しました。貿易摩擦がなぜ起こるのかについては、このような為替相場の変動による製造業の輸出が大きな影響を与えます。ニュースでも為替や輸出業、貿易赤字、などということばがよく出てきますね。これらの文字は、ただ用語集や1対1対応の問題集を丸覚えしてもすぐ抜けていってしまいます。自分で2つの国の間のお金と物の行き来を書き出してみると、理解が進みますよ。

また、円安、円高とドル高、ドル安ということばもよく出てきますね。これは、サピックスなど、大手塾の最上位生でも混乱して不正確にしか覚えてられていないことが多いところですから気をつけながら理解しましょう。受験直前に覚えていなくてあわてるということの内容に、日本の通貨である円と、アメリカの通貨であるドルの組み合わせ考えると理解しやすいです。

組み合わせとしては、円安ードル高、円高ードル安ということになりますが、たとえば円安ードル高で考えてみましょう。1ドル120円としてみると、1つのものを日本からアメリカに売るときに、アメリカ国内では120円で売ることができます。だから、自動車などの製造業にとっては円安ードル高の方がありがたく、そうすると製造業の業績が良くなり、お金が回るので景気が良くなる、という仕組みです。

逆に、円高ードル安だとすると、1ドル80円として考えてみると、同じ1つのものをアメリカで売るときには80円でしか売ることができません。そうすると製造業にとっては同じものを売るのに安くしか売れないので、業績が悪化し、日本経済も景気がだんだん悪くなる、そういう仕組みです。

円高のときは、逆にアメリカから何かを輸入するときに、円安のときは120円したものが80円で買えるということになりますから、輸入業にとっては、また海外のものを買う際には得になるわけです。海外旅行に行って、買い物をするときに円高だから安く買えた、という話を聞いたことがありませんか?

この為替の仕組みはなかなか頭に入りにくいです。何か小さなものでいいので、実際に日本とほかの国とが売買することを考えて、親御さんとお子さんでいくらのお金がやり取りされるのか、だから円安だ、円高だということを身をもって経験してみると忘れにくくなりますよ。入試でもよく出される知識(しかも総合問題の中で出題される)なので、しっかり理解しておきましょう。

プラザ合意(1985年)

アメリカの貿易赤字が増大し、貿易摩擦が起こっていたので、それを是正するために、アメリカ、イギリス、旧西ドイツ、フランス、日本の5か国間による、財務大臣(当時は大蔵大臣)、中央銀行総裁会議が開催されました。この会議での合意が、ニューヨークのプラザホテルで行われた会議でなされたことから、「プラザ合意」と呼ばれます。

当時のアメリカの大統領は誰だかわかりますか?ロナルド・レーガン大統領です。当時のレーガン政権は、ドル安政策に方向転換し。日本は円高を受け入れることになりました。その結果、為替レートはわずか1年の間に、1ドルが230円台から120円台になります。

先ほど書いたところですが、1ドルが230円から120円になるということは、何か製品を1つ230円でアメリカで売ることができていたものが、120円でしか売れなくなるということになるので、製造業は大ショックを受けることになります。製造業は日本の貿易の要ですから、この影響で、日本は1985年に円高不況に陥ってしまいました

バブル景気(1986年~1991年)

プラザ合意をきっかけに円高不況に陥った日本は、不況対策として、政府が公共事業への投資を行う「財政出動」と、民間銀行が日本銀行からお金を借りやすくすることによって、世の中の通貨量を増やす、いわゆる「金融緩和」を実施しました。

その結果、不動産の価格がみるみるうちに高騰しました。ほかにも、円高不況にあえぐ企業のために法人税率を引き下げるなど、税金の引き下げも行われ、株式や不動産にお金が回りやすいという状況が生まれていたのです。

特に、土地は右から左へ売るだけで利益が出る、投資用マンション(実際に住むわけではなく、資産を増やすために持つマンション)は1晩で価格が2倍になる、などということが実際に起こっていました。「土地ころがし」「不動産ころがし」という現象です。

このように、土地や株式が異常に高騰する状態を資産インフレ、あるいはバブルといいます。バブルとは「泡」といいますが、ぱちんとはじけると中身がなくなってしまいます。経済の本当の姿と、見た目のバブル経済の間には大きな差があったのです。このころは、バブル景気が永遠に続くとまで思われていました。

バブル崩壊

土地と株式以外の物価は上昇しませんでしたが、インフレ(物価高)を警戒した政府は策を講じます。一つは、不動産融資総量規制というものです。難しく感じるかもしれないですが、「不動産」「融資」「総量」「規制」と分けて考えると、それほど難解なことばではありません。この不動産融資総量規制は、金融機関が不動産業者に対してお金を貸すことを規制するというものでした。それまでに、金融機関が不動産関連の業者に対して、際限なくお金を貸していたことによって不動産バブルが発生していたという状況がその原因として挙げられます。

もう一つは、地価税の導入です。世の中のお金を回収し、地価が上がりすぎるインフレをおさえ込もうとしました。その結果、土地の需要は急激に下がり、価格は暴落しました。

その影響によって、多くの銀行が不良債権を抱え込むことになります。債権とは、「貸したお金を返してもらう権利」と理解しておけば良いでしょう。ですから、不良債権とは、簡単に言うと、「回収不能の債権」「返してもらえなくなった借金」ということです。

このような不良債権を多くの銀行が抱え込むと、その銀行はお金を貸すことができなくなります。いわゆる「貸し渋り」が起こるのです。企業は銀行からお金を借りられなくなるので、事業を拡大できませんし悪くなった業績を立て直すこともできません。従業員の給料は減らされ、ひとびとの購買意欲は低下します。

この一連の流れを、「バブル崩壊」といいます。バウル崩壊の原因についてはほかにも様々な意見がありますが、中身のない経済を、中身があるものと思って物価が押し上げられ、しかもそれが株式や不動産だったので、はじけたときの効果が大きかったということです。

まとめ

高度経済成長を経て安定期をむかえた日本の経済ですが、バブル経済をはさみ、非常に長い不況に入っていくことになります。バブル経済については、親御さんはちょうど学生の頃などに経験していると思います。また、バブル崩壊についても就職などのときに経験されているのではないでしょうか。

なかなか理解しにくい経済の分野こそ、親御さんの出番です。経済は用語の意味と仕組みが理解できると、応用するのがとても楽になります。ぜひ、お子さんがしっかり理解できているかどうか確認してあげてください。

もしできましたら、ご自身の経験もふまえて、そのころの経済の状況がどうだったのか、生活にどんな影響が出ていたのか、お子さんに話してあげてください。経験談を聞くことは、経済の理解には不可欠です。ぜひ、親子で日常のニュースなども題材に、話し合う機会を持つようにして、経済分野を克服しましょう。

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