アクティブ・ラーニング、具体的には何をするの?取り入れている学校を紹介!その3

学校によってさまざまな取り組みが見られるアクティブ・ラーニング。足を運ばれた学校説明会でも必ずといっていいほど耳にされてことばではないかと思います。もちろん、このように大きく取り入れられる前から、対話式、能動的な授業を行ってきた伝統校も数多くあります。

ですが、いまは2020年の大学入試改革をみすえて、これまで特にこのような能動的・主体的な学習を意識してくることのなかった学校も、アクティブ・ラーニングについて研究会を立ち上げ、各学校での授業の進め方、方法などについて先生方が意見を交わしています。

麻布中学校は男子御三家の一つで、アクティブ・ラーニングといった最近有名になってきた指導法など関係ないのでは、と思われるかもしれませんが、昔から、ことばこそ使ってきませんでしたが、本質的なアクティブ・ラーニングを取り入れており、新たに取り入れようとしている学校の先生が見学に行くという現象もあります。

大学入試改革が行われる2020年もだんだん近づいてきました。今回は、アクティブ・ラーニングを積極的に取り入れている代表的な学校の取り組みを紹介したいと思います。

かえつ有明中学校

東京都江東区にある中高一貫校です。時代のニーズに適した教育システムを積極的に、しかも多く取り入れ、アクティブ・ラーニングをひっぱっていく役割を果たしてきており、注目が集まっている学校です。

昨年退職されてしまいましたが、校長の石川先生が中心的な役割を果たし、アクティブ・ラーニングを効果的に行なうためのアイディアをたくさん出してこられ、かえつ有明中学校も非常に有名になりました。

かえつ有明中学校では、大きく分けて3つのアクティブ・ラーニングを実践しています。

  1. PIL型・・・いわゆる「教え合い」学習です。小林昭文教授が提唱されているような、「聞く授業ではなく、生徒が予習して、お互いに教え合う」というものです。
  2. PBL型・・・グループで協力し、問題を解決する学習方法です。
  3. TOK型・・・知識の体系をさらに深めるために議論しあう学習方法です。

2020年の大学入試改革で求められる「思考力・判断力・表現力」を意識していることがよくわかります。ただ、教える側に技能がなければできる授業ではなく、ただの野放図な授業になってしまうので、教員はさまざまな意見交換をしたり、教科横断で一つのテーマを学習するなど、新しい取り組みを行い、教員の力を高めるとともに、生徒に興味を持たせることのできるような授業を意識しています。

学校説明会でアクティブ・ラーニングについて質問する際には、教員がどのように答えるか、という点もよく観察してきていただきたいと思います。練られたアクティブ・ラーニングと、とりあえず見切り発車のアクティブ・ラーニングでは、主体である生徒が身につけられる能力に大きな差が出てきてしまいます。細かいかな、と思っても、きちんと答えてくれる学校は、それだけ真剣にアクティブ・ラーニングに取り組んでいるといえるでしょう。

聖学院中学校

東京都北区にある中高一貫の男子校です。こちらは、PBL型(Project Based Learning)、つまりグループで協力し、問題を解決していく学習方法に特化してアクティブ・ラーニングに力を入れています。

学校の本館5階に、Future Center を設けています。これは、まだ日本では取り入れている学校は少ないのですが、その場を、生徒たちの自由な意見交換の場として様々な形で利用するスペース、と考えればイメージできるのではないでしょうか。

PBL型を取り入れた北アルプス蝶ケ岳登山では、実施後の振り返りとしてポスター・セッションや、プレゼンテーションなどを行っていますが、その際にこのFuture Centerを活用しています。このFuture Centerをどう活用できるかどうかは、アクティブ・ラーニングに生徒が自主的に取り組んでいけるかどうかと密接な関係にあるといってもいいでしょう。

タイで行われる研修旅行でも、積極的にPBL型のアクティブ・ラーニングを取り入れており、無医村に訪れた生徒が医学部を目指すようになったり、ユネスコの職員を目指すようになったりするなど、生徒がさらに能動的な取り組みができるように成長するきっかけを作るようになっています。

聖学院中学校では、入試にもアクティブ・ラーニングを意識した方式を取り入れています。レゴ入試などは有名かもしれません。しかし、ただ作ればいいというわけではなく、出題に沿ったものが作られているか、なぜそのようなものを作ったのか、さらにそれをどのように説明・表現するのか、という点まで細かく採点基準を設けているそうです。

そして、2020年の大学入試改革を意識しているということが見て取れる入試になっています。授業でもそういった意識をもって、生徒が自主的に取り組む授業、教員がヒントを与えながら試行錯誤させ、最終的には問題解決をどのようにしていくか、ということを授業の核としているということです。

三田国際学園中学校

東京都世田谷区にある中高一貫校です。もともとは女子校でしたが、共学校化し、校長先生の強力なリーダーシップによって、偏差値も人気もうなぎ上りになっています。

三田国際学園中学校では、アクティブ・ラーニングのことを「相互通行型授業」と訳しています。ICT(コンピューター授業)をふんだんに取り入れて実践しているのが大きな特徴です。

PBL型の情報授業に力を入れており、プログラミング言語「Scratch」を利用して、ゲームをグループで作成したり、映画のプロモーションプログラムをグループ内でアイディアを出し合い、協力し合ってプレゼンテーションまで行います。

他の授業でも、教員が「トリガー・クエスチョン」(トリガー=引き金)を発し、生徒の思考力を高める工夫をして、一方通行の授業を改善し、教員からの質問やヒントから、自分で試行錯誤し、問題を解決していくという授業は、今後の授業のスタンダードの形になっていくと考えられます。

その他にも・・・

アクティブ・ラーニングというのは、自由な発想を生み、問題を解決していく能力を養っていこうという教育です。ですから、「これが正しい形」というものははっきり言うとありません。いくつかの授業の進め方の型はあっても、型にはまった教育ではなく、生徒が能動的に何事にも取り組んでいき、それが学習にもよい影響を与えるというサイクルができているかが重要です。

アクティブ・ラーニングは、いまやほとんどの学校で取り入れられています。また、アクティブ・ラーニングが標榜されてくる以前から、もともと学校の学習システムが「生徒が能動的に学習できる」ものであったり、「思考力や協働性を高める」ものであったりするケースもあります。実はアクティブ・ラーニングは、以前から取り入れられている学習方法でもあったわけです

たとえば、埼玉県の女子中高一貫校で、難関校として知られる浦和明の星女子中学校で実施されてきたクリスマス会もそのひとつです。社会奉仕委員会を中心として、生徒たちが自主的にディスカッションをして施設への贈り物をするなど、社会貢献への意識を持つような行事が行われています。

また、東京都板橋区にある男子中高一貫校の城北中学校では、鎌倉や東京の各地でフィールドワークを行っています。フィールドワークのあとには、そこで発見したもの、体験したことについて、プレゼンテーションを実施しています。

まとめ

アクティブ・ラーニングは決してこの何年かで生まれたものではありません。どうしても知識偏重といわれてきた日本の教育ですが、アクティブ・ラーニングはそれらの知識をいらない、と位置付けるものではありません。

あるテーマについて自分で問題やゴールを設定して試行錯誤し、皆にわかるように表現していく、それは、正しい基本的な知識があってこそできるものです。アクティブ・ラーニングは、知識詰め込みというのではなく、自分で必要だと思う知識を積極的に身につけ、わかりやすく表現していくというプレゼンテーション能力の養成にも今後非常に重要な役割を果たしていくと思われます。

ただ、先ほども書きましたが、アクティブ・ラーニングについて、学校の中で十分に議論せずに見切り発車でやれICTだ、プレゼンテーションだ、とカリキュラムだけ作ってみても、それはうまくいかないどころか、これまで批判されてきた知識さえも身につけることができません。

各学校がどのようにアクティブ・ラーニングをとらえ、それによってどのような生徒を育てていきたいと考えていくのか、また、生徒一人ひとり異なる個性をどのように伸ばしていくのか、そこまで考えているかどうか、ぜひ学校を訪問した際に、教員や校長先生に聞いてみてください。積極的に説明できる学校は期待していいでしょう。しかし、学校の中で方向性が定まっていない場合は、おそらく納得できるような説明は返ってこないでしょう。

発想と工夫次第でアクティブ・ラーニングは日々進化し、新たに創造されていくものです。アクティブ・ラーニングに取り組む学校の真剣度を、ぜひ見極めたうえで、受験するかどうかを決める一つのきっかけにしていただきたいと思います。わが子の能力を、どこまで伸ばしてもらえるか、それを期待できる体制が整っているか、ことば先行になっていないか、そういったところをしっかり見極めていきましょう。

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