中学受験パパの中学校訪問記~男子校・共学校編

中学受験も直前期に入ってきましたね。学校説明会もいよいよ大詰めです。いろんな学校を訪問し、第1志望校はおおむね決定されたご家庭も多いのではないでしょうか。

また、模試の結果や過去問の出来などをみると、なかなか第1志望校を決めきれない、あるいは様々な学校を見学に行って、併願校をどうしようかと考えていらっしゃるご家庭も多いと思います。

学校見学は、学校の中を見ることのできる良い機会ですが、わかりやすい説明会、わかりにくい説明会などいろいろあります。また、その説明を聞いて学校にどのような印象を持つかどうか、どういう点を重視するか、もご家庭によってそれぞれポイントがありますよね。

学校説明会に行かれるのは、お母様が多いかとは思いますが、今回は、男の子のお子さんをお持ちのお父様目線から、これまでに学校見学に行った中で持った印象がどのようなものか、ご紹介したいと思います。

渋谷教育学園渋谷中学校

渋谷と原宿の真ん中にある、非常に交通の便もよく、いわゆる「おしゃれな街」にある男女共学校です。東京の一等地にあるためか、校庭がかなり狭く、外に出て発散したい男の子にとってはエネルギーを持て余してしまうかもしれません。

柔道の強豪校として有名で、オリンピック選手も輩出しており、トロフィーが並んでいます。当然のことながら柔道関係の施設は非常に充実しています。開閉式の柔道場をはじめ、その充実ぶりには目をみはるばかりです。

教育に関しては、「自調自考」という校訓が有名です。単に詰め込み教育を行い大学進学実績を出すというよりは、自分で考え、調べ、自由にいろいろなものを吸収していこうという自由な雰囲気の学校だという印象を用いました。

校長先生は、説明会で、穏やかな語り口で、「これからの時代を予測するのは難しい。単に教わるだけではなく、得た知識を自分なりに深化させていく必要がある。そのような教育を目指します。」とおっしゃっていました。

これは、これからの大学入試改革においてもとても重要な視点だな、と改めて思いました。渋谷教育学園渋谷中学校の「自調自考」は、あえていろいろな学校が標榜している「アクティブ・ラーニング」の先を行くものであり、急に始めたものではなく、これまでずっと学校全体で意識されてきたものなのだという印象を受けました。

説明会では、生徒さんが案内係を務めてくれたのですが、皆さん、厳しく勉強や学校行事を「やらされている」という様子はなく、むしろ自主的に取り組んでいるような印象を受けました。説明会の案内係も、自分が通う学校のために、自分から立候補するそうです。このような生徒の姿勢は、非常に魅力的なものだと感じました。

大学進学についても、海外に留学する生徒さんが増えているようです。帰国子女入試にも力を入れているので、そういったお子さんが留学を選ぶことが多いようですが、中学に入ってから一生懸命英語を勉強し、先生も親身になって指導することによって、一般入試で入学して、大学は海外に留学という生徒さんもいるそうです。ちなみに、この学校の帰国子女入試の英語の問題は、非常に難しいです。

偏差値60を超える共学校は少ないということもあり、大変な人気校です。説明会に足を運んで気に入ったという親御さんやお子さんも多いようです。エスカレーター式の附属校でないことや、国際的な雰囲気があることもほかの共学校と異なる魅力なのだと思います。

本郷中学校

城北、巣鴨、本郷というと、伝統もあり、人気の高い男子校ですので、男の子をお持ちの親御さんは学校説明会に足を運ばれた経験がおありなのではないでしょうか。

どちらかというとおっとりした、実直な雰囲気の男子進学校です。学校説明会で話をされた先生方からも、大げさなアピールはなく、派手な教育改革というよりは、控えめに、まじめに学校の良さを説明、宣伝しておられる印象を持ちました。

大学私学実績としては、特に早慶への進学に強いようです。最近は、医学部への進学を志望する生徒さんも増えているそうです。

われわれ親世代としては、ラグビーや、北島康介選手をはじめとした水泳などが強い、スポーツに力を入れている学校という印象が強いのですが、近年では御三家クラスの次のレベルに位置する進学校になっています。

実直な生徒さん、先生が多いように感じました。そういう校風からも、じりじりと偏差値を上げ、人気校となっているのではないかという印象を持ちました。JRや都営線の巣鴨駅から徒歩5分ほどと通学の便もよく、通いやすいと思います。

巣鴨中学校

伝統的に厳しい校風の男子校として有名だと思います。われわれ親世代のころからその印象は変わりません。校外学習で水泳やマラソンなどもあります。それだけですと実施している男子校は多いのですが、特に巣鴨流のスポーツに力を入れていて、近年では珍しいスパルタ教育という感じがします。

巣鴨中学校という名前ですが、最寄り駅は巣鴨駅ではなく、池袋駅、大塚駅、北池袋駅からが近いです。

かつては御三家に次ぐ難関校で、開成中学を受験する生徒さんが併願校として選んでいた学校ですが、近年はこのような厳しい校風が敬遠され、少しずつ偏差値を下げてきています。

また、最近は、インターネットで合格発表を行う学校が増えていますが、巣鴨中学校は学校での掲示による合格発表のみで、インターネットによる合格発表はしていません。また、入学手続きが合格発表の翌日に設定されているなど、近年の中学受験事情を考えると、かなり不便さを感じざるを得ませんでした。そういう点も、偏差値を下げてきている原因かもしれません。

成績上位者は医学部進学を希望することが多いようで、以前は東京大学の合格者数がかなり多かったのですが、医学部進学熱に押され、東京大学をはじめとする国公立大学の合格者数は減少傾向にあります。

栄東中学校

近年非常にレベルを上げてきており、今や埼玉県の共学では随一の人気を誇る学校と言ってもよいのでしょうか。大宮近郊に位置しているので、都内からの通学時間はかなりかかりますが、それでも受験者数は増えています。

栄東中学校の入試は複数回あり、コース制度や特待制度などもあることもあってか、2月の東京入試が第1志望の生徒さんも、受験はまず栄東中学から、という方が多いようです。特に東大選抜は偏差値が非常に高くなっていますが、まずここで一つ合格をとっておき、自信をつけてその後の入試に挑戦していく、という形がパターン化しているようです。

学校説明会は、女性校長の個性もさることながら、意欲的な若い先生が多く、エネルギッシュな雰囲気を感じました。アクティブ・ラーニングの先駆校としての実績もあり、多くの授業で教育法として取り入れ、独自のカリキュラムを練っているようです。

一方でインターネットの情報では、「学費が高い」というような話題で盛り上がっている学校でもあります。ですが、実際に通学している生徒さんの親御さんに聞いてみたところ、

  • 授業料は標準的で高すぎるということはない。
  • 系列校である埼玉栄高(スポーツ強豪校として有名)が、全国大会、たとえば甲子園に出場するなどとなった場合には、寄付金のお願いが配られる(もちろん強制ではない)。
  • ロッカーを買わせられる(それほど高額というわけではないそう)。
  • 給食費があるため、トータルで納入する金額が高く見えるかもしれない。

このようなことをおっしゃっていました。

これまでは都内の難関校・中堅上位校の「おさえ校」という印象が強かったせいか、合格者数は定員に対して大きく水増しして発表されてきました。

しかしながら、最近は栄東中学校も都内の有名進学校レベルの大学進学実績を出すようになり、その結果から人気がうなぎのぼりとなり、今年の入学者は定員を大きく上回ったということです。来年度の入試は、さらに難しくなることが予想されます。

すべり止め、と安易に考えて全く過去問を解いたりといった対策なしに受験するには難しい学校の仲間入りをしてきています。

城北中学校

まずまずの大学進学実績を誇る伝統ある進学校ですが、これと言って学校がアピールすることもあまりなく、特徴がないという印象をお持ちの方も多いかもしれません。

城北中学レベルの中堅上位進学校(巣鴨中、城北中、成城中など)は、大多数が国立大学や早慶といった上位大学に進学しているにもかかわらず、偏差値はMARCHレベルの系列中学より偏差値が低くなってきている傾向があります。

大学入試改革に大きな不安を感じているご家庭が多いこともあるのでしょうが、エスカレーターが、あまりアピールできていないため、少しもったいないな、という印象を受けま

校則は公立校に比べると厳しいところもあるようですが、先ほどご紹介した巣鴨中学ほどではないそうです。実際に、広いグラウンドもあり、活発に運動している生徒さんも多く見受けられました。

このグラウンドは、東京都の学校にしては、非常に広く、充実したクラブ活動ができると思います。アメリカンフットボールなど、広い運動場があるからこそできるクラブもあるようで、文武両道を目指したいお子さんには良い環境ではないかと思います。

まとめ

実際に足を運んだ学校について、実際に通っている生徒さんやご家庭からも情報収集したことを述べさせていただきました。見学に行った学校のうちの一つを第1志望としてわが家の息子も日々受験勉強の追い込みに一生懸命です。

父親ができることは、環境や経済面でわが子を支えてやれることだと思います。以前はどうしても勉強の内容に口を出したり、自分で教えようと躍起になって親子でバトルしたこともありましたが、勉強の内容に関しては、ここまで来たら本人と塾の先生にお任せしようと決めています。

親としては今後も入試説明会などに足を運び、少しでも学校へのあこがれをわが子が持てるよう、モチベーションアップに貢献して、残された時間を精いっぱい頑張れるように後方支援に徹して、合格したわが子の顔を見たい、いまはそのように思っています。まだまだ受験までには時間があります。親としてできること、親にしかできないことを粛々とやることによって、子どもの頑張りの後押しをしたいですね。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。