2020年の大学入試改革の狙いと2つのポイント

ニュースなどで話題になっているので、すでにご存じの方も多いとは思いますが、2020年度(実施は2021年1月)から、大学入試が変わります。特に改革年度にお子さんが大学受験をむかえるというご家庭では、入試改革によってどのような入試になるのか、これまでの入試と何が違うのか、など、その動向を気にしながら見守っておられると思います。

また、これから中学受験を受けるというお子さんの場合、新しい大学入試を受けることになりますから、受験する中学校が大学入試改革に向けてどのような取り組みをするのか気になるところでしょうし、または、どのような改革が行われるのかがわからない不安の中、大学の附属中学校を受験しようと検討されているご家庭も多いことともいます。

いずれにしても、今後のお子さんの進路を考える際には、この大学入試改革についてできるだけ詳しく知っておく必要があるでしょう。

今回は、現在発表されている情報をもとに、新しい大学入試で変更される内容などについてまとめていきます。

大学入試を変更する狙いとは?

今回行われる大学入試改革は、大学入試センターが平成2年に導入されて以来、約30年ぶりの大改革となります。国際的にみて、日本の大学の競争力の低下が様々な調査で明らかになるなどしたことから、グローバル社会で活躍できる人材を育てるため、大学入試のバリエーションを増やしていくことが一番の狙いと言われています。

現在の知識や技能の確認を中心とした、いわば知識重視のセンター試験を、「大学入学共通テスト」として、知識や技能を問う問題にとどまらず、その知識や技能をどう活用するのかという力を問う検査となる予定です。

また、2次試験と呼ばれる各大学ごとの「個別学力検査」では、「思考力・判断力・表現力」が問われるとされており、問題に主体的に取り組む姿勢が問われるようになります。つまり、知識や能力を覚えるだけではなく、それをいかに活用することができるかを重視し、そのような能力の活用ができる生徒を大学は求めている、と言えるでしょう。

大学入試改革の具体的なポイント1

新しい「大学入学共通テスト」には、記述式問題が導入されることになっています。現在のセンター試験はマークシート式ですが、国語と数学でそれぞれ3問程度の記述式問題が出題される予定です。ただし、配点割合や、実際にどのような部分を記述式問題にするのか、などの詳細についてはまだ発表されていないため、初めのうちは問題の傾向をつかみづらいことにならざるを得ないという不安はあります。

大学入試計画の具体的なポイント2

従来のセンター試験の英語は、「読む」「聞く」という技能を中心的に問う問題でしたが、「話す」「書く」技能を加えて、外部の民間試験を活用する案も示されています。この英語の4つの技能を活用し、グローバル社会で通用する子どもを育てるためには必要なことではありますが、民間試験を導入する案に関しては、賛否両論の意見があります。果たしてそれが大学入学時に求められる英語能力とマッチしているかどうか、という点が議論をよんでいるところです。

民間試験を採要する概要としては、高校3年の4月から12月の間に2回まで、英語資格・検定試験結果(英検、GTEC、TOEFLなど、10種類の中から今後決定される、とされています)を活用するとしています。

受験生にとってのメリットとしては、これまでの1発勝負だった入試に対し、複数回のチャンスが与えられることや、高校時代から4つの技能の習得を目指すことができる、といったことが挙げられています。

反対に、結果として受験の時期が早まることにもなるので、経済的、または地域的格差、学校ごとの教育内容などによって格差が生じやすいこともあり得るので、懸念材料となっています。

2017年現在、中学3年生から新テストの対象になる

2020年度から新テストが導入されること自体は決定しているものの、その試験の詳細はまだ確定しておらず、一般に公表もされていません。特に公立高校からは準備が間に合わないのではないかという批判も出ています。

新しい大学入試を受ける対象となる年代のお子さんをお持ちの方は特に、これからの動向にしっかりアンテナを張っておく必要があります。くれぐれも口コミだけに頼るなど、不正確な情報に振り回されないようにしていくことは気をつけてください。

まとめ~これから中学受験をむかえるご家庭へ

これから中学受験をむかえるお子さんをお持ちの親御さんは、学校説明会などで、ぜひ新しい大学入試に対してその学校がどのような対策を打とうとしているのか、それがカリキュラムの中にどのように組み込まれているのか、そして学校そのものがどのようなポリシーをもって生徒一人ひとりの能力を伸ばしていこうと考えているのか、そういった点をしっかり把握してほしいと思います。

中学校によって考え方はまちまちです。だからこそ、6年間預けることを考えれば、よりわが子の能力を伸ばしてくれる、しっかり面倒を見てくれる、また親御さんに対しても情報公開をしていく姿勢のある学校を選びたいですよね。

これから、学校入試説明会、入試説明会などの受験生向け行事が増えてきます。中には個別相談を用意している学校もたくさんありますので、そういった機会を積極的に利用しましょう。校長先生をはじめ、学校の先生がどのように生徒に対峙するのかをしっかり見ておくことはとても大切です。そしてそれは、受験生が見抜くことは難しく、やはり親御さんの役割だと思います。

新しい大学入試がどのようなものになるかという中身の部分と、それに対して各中学校がどのような教育を行っていくのか、それを具体的に説明できるのか、そういった視点を持って学校選びの一つの基準としていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。