大学受験と部活道の両立は可能?部活を最後まで続けて難関大学に合格する本物の「文武両道」とは

 私は高校時代、サッカー部に所属していました。最後の大会では都大会まで勝ち進み、引退したのは3年生の10月。サッカー部で得た思い出や経験は一生忘れられないものになりました。一方の大学受験の方はと言うと、現役時は第一志望校(国立大学)に落ちたものの、併願していた私立の難関大学には合格することができました。

 部活と受験勉強の両立というのは大変難しい問題です。二者択一を迫られた結果、受験を選ぶ人も多いと思います。では、本当にその選択は正しいのでしょうか?そもそも、この二者択一(どちらかを途中であきらめる)は本当にすべき選択なのでしょうか?

 結論から申し上げると、私は部活と受験勉強の両立は充分に可能だと思っています。具体的に言えば、部活を続けることで得られるプラスと、続けることで受験勉強が遅れるマイナスを比べた時、前者の方が大きいのではないかということです。

 今回は、これらの問いについて経験や友人・先輩の例も考えながら自分なりに答えてみようと思います。

部活を続けることのプラスの面

 先ほども記した通り、私自身は部活と受験の両立は充分に可能である、という考えを持っています。もちろん、「高校サッカーで1月の全国選手権に出場しながら東大を目指す」といったような極端な例は分かりません。しかし、都道府県大会でかなりの好成績を残しつつ難関大に合格することは難しいながらも不可能ではないと思うのです。

 やや逆説的にはなりますが、部活を途中で引退することのデメリットを一言で言うと「もったいない」ということです。人間関係的には、高3の夏という最も難しい時期を一緒に過ごした同級生との関係は非常に深いものになります。更に、部活動における技術的にも、それまでの課題を克服してきた高3の最後の時期はまさに集大成といえるでしょう。それを経験せずに辞めてしまうのはとてももったいないと思うのです。

 その他にも理由があります。部活動は楽しいものですが、その過程では厳しい練習や悔しい敗戦、思うように成長できず壁にぶつかる時期など、必ずつらい経験があると思います。しかし、高校の3年間部活をやり遂げたという経験や達成感は、その後の人生で自信を与えてくれます。「根性論」のようになってしまいますが、受験勉強などで少々辛いことがあっても部活のことを考えれば精神的にかなり楽になりました。

部活を続けることのマイナス面

 勉強に支障が出る、というのは具体的にどのような分野で出るのでしょうか。まず考えられるのは、地歴や理科の学習が遅れてしまうことでしょう。これらの科目は、より重要な英数の対策が中心になってしまうために疎かになりがちです。また、同じような理由でセンター試験(共通テスト)対策も不十分になることがあります。限られた時間の中で2次試験の対策に追われ、更にどうしても時期が早い(本番が1月にある)ために完璧には仕上がりませんでした。

 しかし、逆に言えば明確に思いつくのはこの二つくらいです。英数さえしっかりやっていれば、地歴や理科など他の科目で失敗してもカバー出来ます。つまり、部活がある間は英語と数学の対策をしっかりやって、引退してから地歴の問題演習等やセンター対策に取り組めば部活による遅れは挽回できるでしょう。

 生活面で言えば部活の疲れが受験勉強に響くことが当然あります。私も、部活の後に自習室や図書館に行って勉強しようとしても、疲れて眠ってしまうことがしばしばありました。

 これに対する解決策としては、朝型の生活習慣に変えることなどが挙げられます。そもそも、入試の本番は朝からテストがあります。そのため、普段から早寝・早起きを心がけておくことで入試の直前に生活習慣を慌てて変える必要もなくなりますし、朝に勉強をすれば眠くなることもなく、効率よく学習を行うことができるのです。

 以上に書いたように、部活を続けることによるマイナス面は必ずしも解決策がない問題ではありません。だからこそ、部活と受験勉強の両立はじゅうぶんに可能ではないでしょうか。

部活と受験に関するいくつかのケース

 ここでは部活と受験の両立に成功した、もしくは失敗したケースについて知人の経験から書いていこうと思います。

 私のサッカー部の同期はほとんどが10月まで部活を続けましたが、一人だけ春の大会(3年生の5月ごろ)を終えて引退した人がいました。しかし彼はセンター試験の結果が振るわず、現役時は志望校にも合格することが出来ませんでした。

 一方で10月まで部活を続けた同期の中には国公立の医科大学に現役合格した人もいました(彼は面接で尊敬する人物を問われ顧問の先生の名前を出し、サッカー好きの面接官の好感触を得たそうです)。また、同期には現役での東大合格者こそいなかったものの、慶應義塾大学や東京理科大学などの難関大合格者は複数いました。

 ちなみに、同じ部活の先輩や後輩の中にも8月の末まで部活を続けて東大に現役合格したメンバーがいる一方で、春で引退を決めた部員たちの成績が必ずしも良いという訳ではありません。

 つまり、部活を引退した時期と受験の結果に決定的な関係性はなく、結局は個人次第と言えるのではないでしょうか。

両立を成功させる勉強法

 それでは、どのように学習を進めれば部活との両立が可能なのか、具体的に二つの方法を考えていきます。

 一つ目は、部活をしている時期からコツコツ勉強をやっておくことです。しかし、手当たり次第に勉強を進めれば良いという訳ではありません。2年生までは英単語や英文法、数学などの基礎をしっかりと固めておき、地理歴史や理科は3年生に入ってから、部活の引退後に志望校対策やまたはセンター対策にまで手を出すというような割り切りが重要ではないかと思います。

 ① 両立パターンその1

 (筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可)

 そしてもう一つは、(これは学校の進学説明会で野球部のOBの方がおっしゃっていたことなのですが、)夏までは部活に集中し引退後にスパートをかける、という方法です。この場合でももちろん全く勉強をしなくても良い訳ではなく、英単語等の知識は登下校時に勉強する、学校の授業の予習・復習だけはしっかりとしておく、といつた準備は必要です。

② 両立パターンその2

 (筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可)

 いずれの場合でも、重要なのは部活と勉強の時間をきっちり分けること引退後にしっかりと気持ちを切り替えて勉強に集中することです。特に、引退後に頭を「受験モード」に切り替えることは欠かせません。メリハリを付けなければ中途半端な勉強になってしまい質・量ともに不足してしまうでしょう。

おわりに

 ここでは運動部を念頭において書いてきましたが、文化部の生徒や、生徒会活動・学校行事に取り組んでいる生徒に関してもほぼ同じことが言えると思われます。

 塾の合格体験記などで「部活道と受験勉強の文武両道を達成しました!」など書いてあるのをよく見かけますが、実は途中で引退していたということが多々あります。しかし私は、最後の大会まで部活に対して本気で取り組んで引退時に悔いを残さず、その上で受験にも成功することこそ本当の「文武両道」であると思います。この文武両道は難しいですが、決して不可能ではありません。

 部活を通じて得た経験は大きな財産になります。私は部活を続けながら志望校に合格した人のことを心から尊敬しています。部活と受験勉強の二者択一を迫られた際に二者を両方目指す、そんな選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。

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初めまして。髙橋利弥と言います。 武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。 よろしくお願いします。