フェリス女学院中学校社会2021年度過去問読解〜ジェンダーギャップ指数〜

今回は2021年度のフェリス女学院中学校の社会の過去問を一部修正して社会の問題の解き方、ジェンダーギャップ指数について説明していきます。 

問題

次の文を読んで、__a〜eについての問いに答えなさい。 

 国連は世界が抱えている問題に向き合い、a SDGsとして17分野の目標を掲げています。その一つに性(ジェンダー)による差別や困難をなくすジェンダー平等があります。世界経済フォーラムが毎年発表しているb ジェンダーギャップ(男女格差)指数を見ると、日本では特に女性の政治分野への進出が進んでいないことがわかります。現在のc 衆議院における女性議員の割合は9,9%にとどまり、世界の女性議員比率ランキングではでは190か国中167位と、とても低い順位になっています。
 このような状況を改善するために、候補者男女均等法が2018年に制定されました。この法律により、国会やd 地方議会の選挙で、各政党は候補者数を男女同数にする努力が求められます。これはあくまで目標であり、義務ではないため限界もありますが、より多様な声を政治に反映する第一歩と言えるでしょう。政治だけでなく、あらゆる分野において、e 女性も男性と同じように参加できる社会をめざしていくことが大切です。

問a

SDGsとは( )な開発目標のことを指します。( )に入る言葉を答えなさい。

【解答】持続可能 

朝日新聞より

SDGs」とは、「Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)」の略称です 

問b

ジェンダーギャップ指数は、経済・教育・保健・政治の4分野14項目で、男女平等の度合いを数字で表したものです。男女平等の状態であると指数は「1」になり、「0」に近づくほど不平等で男性優位な状態と評価されます。次の表は、2020年度の日本に関するジェンダーギャップ指数および世界における順位を示したものです。この表から読み取れることとして、まちがっているものをすべて選びなさい。

ア、日本では、9割以上の女性が大学などの高等教育機関に進学する。
イ、日本では、女性の方が男性より健康寿命が長い。
ウ、日本の国家代表は過去50年、全員男性であった。
エ、日本の女性は、世界的にみて管理職になる割合が高い。

分野 

項目 

日本の順位 

(153ヵ国中) 

指数 

(日本) 

指数 

(世界平均) 

経済 

労働参加率 

79 

0.814 

0.661 

同一労働での男女賃金格差 

67 

0.672 

0.613 

収入における男女格差 

108 

0.541 

0.499 

管理職※1につく男女比 

131 

0.174 

0.356 

専門職・技術職につく男女比 

110 

0.680 

0.756 

教育 

識字率 

1 

1.000 

0.899 

初等教育(小学校)在学率 

1 

1.000 

0.757 

中等教育(中学校・高校)在学率 

128 

0.953 

0.954 

高等教育(大学など)在学率 

108 

0.952 

0.931 

保健 

男女の出生数 

1 

0.944 

0.925 

健康寿命※2の男女比 

59 

1.059 

1.034 

政治 

国会議員の男女比 

135 

0.112 

0.298 

大臣の男女比 

139 

0.056 

0.255 

過去50年間の国家代表の在任年数の男女比 

73 

0.000 

0.190 

※1:管理職とは、職場で責任を持って指揮をとる役職のこと
※2:健康寿命とは、健康上の不安がなく日常生活を送れる期間のこと

(世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2020 より作成
一部わかりやすく言いかえています)

【解答】ア・エ 

まずは正解の選択肢からみていきましょう。 

イ、日本では、女性の方が男性より健康寿命が長い。⇨「保健 健康寿命の男女比」を見てみると、日本の指数は「1.059」になっています。「0」に近づくほど不平等で男性優位になり、「1」は男女平等の状態です。そのことから、「1」を越えている健康寿命の男女比は、女性の方が健康寿命が長いことを表していると考えることができます。
 更に、日本の順位が59位であることから、日本だけでなく世界的にみても女性の方が健康寿命が長いことが分かります。

ウ、日本の国家代表は過去50年、全員男性であった。⇨「政治 過去50年間の国家代表の在任年数の男女比」を日本の指数を見てみると「0.000」になっています。よって過去50年間、女性の国家代表は存在しなかったと考えることができます。

次にまちがっている選択肢をみていきましょう。 

ア、日本では、9割以上の女性が大学などの高等教育機関に進学する。⇨「教育 高等教育(大学など)在学率」の日本の指数を見てみると「0.952」となっています。「1」が男女平等の状態と考えると高等教育(大学など)在学している男女のうちわずかに男性の方が多いということになります。よって女性の9割以上が進学するのではありません。指数は男女比に基づいたものです。

エ、日本の女性は、世界的にみて管理職になる割合が高い。⇨「経済 管理職につく男女比」の日本の指数を見てみると「0.174」とあり、「0」に近い指数です。そのことから管理職になるのは男性の割合の方が多いと考えることができます。

問c

衆議院について述べた次の文のうち、まちがっているものを一つ選びなさい。

ア、内閣が提出した法律案は、常に参議院よりも先に衆議院で審査される。
イ、議員の任期は4年間で、立候補できるのは25歳以上である。
ウ、内閣の政治に反対する場合、衆議院だけが内閣不信任決議案を出すことができる。

【解答】ア 

衆議院と参議院についてきちんとおさえておきましょう。 

 

衆議院 

参議院 

人数 

475人 

242人 

任期 

4年(解散あり) 

6年(3年ごと半数改選) 

被選挙権 

25歳以上 

30歳以上 

選挙制度 

小選挙区比例代表並立制 

比例代表制 

衆議院は参議院に比べ、任期が短く、解散もあるため国民の民意を反映しやすいとされ、衆議院の優越が認められています。具体的な内容か以下の通りです。 

  • 法律案の議決…衆議院と参議院が異なる議決をした場合は、衆議院で出席議員の3分の2以上の賛成で再可決した場合は法律となります
  • 予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名…衆議院と参議院が異なる議決をし、両院協議会でも一致しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となります。 
  • 予算案の先議権、内閣不信任案の決議…衆議院にのみ認められています。

以上のことをふまえ、選択肢をみてみましょう。「ア、内閣が提出した法律案は、常に参議院よりも先に衆議院で審査される。」とありますが、衆議院が先に審査を行うことができるのは法律案ではなく、予算案になります。 

問d

地方議会が制定する、その地域のみに適用する決まりのことを何といいますか。漢字で答えなさい。 

【解答】条例 

条例は方公共団体の区域内において適用される自治立法であり、国の法令に違反しない範囲で定め、議会の議決で制定されます。 

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