【中学受験】入試直前!科目別・入試の傾向と問われる力とは~算数編

いよいよ2月1日からはじまる東京、神奈川の入試も直前に迫りました。志望校の入試日まであとわずかの時間ですが、自分がこれまで学習してきたことを信じて、入試当日、最後まであきらめずに入試問題に取り組んでいただきたいと思います。直前に迫った入試の対策としては、新たな問題に手を付けるよりも、基本を押さえる学習をしていきましょう。具体的には、時間配分や、入試の教科の順に沿った当日のシミュレーション、最後に確認しておきたいこと、それも難しいことではなく基礎知識や計算、漢字などの、誰もが正解してくるようなところを落とさないようにするようにして、イメージトレーニングをするのがよいでしょう。

今回は、算数について、昨年の入試傾向をふまえながら、中学校側の出題意図や、受験生のどういう力を試したいと考えているかについて、まとめてみます。算数は毎年同じような出題をする学校もあれば、傾向を変えてくる学校もあります。また、全体的に難易度が上下する科目でもあります。

そして、変化する大学入試に向けて、求められる力が中学入試問題にどのように表れているかについても分析してみます。全く形式が変わるというよりは、入試問題の中でどのように中学校が新しくなる大学入試に向けてどのような能力をみたいと思っているのか表しているのかについてざっと見てみましょう。

これまでも、思考力や判断力を入試問題で試すような出題をしている中学校はたくさんあります。今後もその傾向は続いていくと思いますが、最近顕著になってきている特徴についてまとめますので、これまで学習してきたことを重ね合わせて、最終調整をする参考にしていただきたいと思います。

入試が迫ってくると、どうしても最後まで1問でも多く問題を解かなければ!と思う科目といえば、やはり算数だと思われます。どのような問題が出題されたとしても、何に関する問題なのか、そのためには知っているどの知識を使えばいいのか、融合されている問題についてはどのように整理して解いていけばいいのか、そういう基本姿勢を大事に直前までこれまでやってきたことのおさらいをしていきましょう。そうすると、入試当日、「これを聞きたいんだな」と、入試問題と「対話」することができます。

入試問題は、志望校が受験生に向けて発しているメッセージです。そのメッセージを読みとって当日しっかり力を発揮できるように、最後の確認のつもりで基本を押さえた学習をしていきましょう。

2017年度の中学入試の算数の傾向はどうだったのか

一昨年、2016年度の算数は、近年まれにみる難しい問題が多く出題されました。受験者の平均点が50%を下回った学校が全体的に増加しました。中学受験では、隔年現象といわれるように、前年度非常に受験者平均点が下がったときはそれを調整するように、難易度を調整するということが良く行われます。

2017年度は、前年の2016年度に入試問題が難しくなった学校では受験者の平均点が上がり、逆にそれほど難しい問題が出題されなかった学校は難化しました。たとえば、男子校の最難関である筑波大附属駒場中学校や、海城中学校、駒場東邦中学校、栄光学園中学校、聖光学院中学校や、芝中学校、城北中学校、桐朋中学校といった男子校は2016年度の受験者平均点が下がった学校は、その反動からか2017年度は受験者の平均点が上がりました。

逆に、女子校や共学校の中には、2016年度受験者の平均点が下がった反動からか、難しくなった学校が見られました。たとえば、鴎友学園中学校、フェリス女学院中学校、学習院女子中等科などの女子校、渋谷教育学園幕張中学校、市川中学校などです。このように、算数の入試問題の難易には隔年現象が見られました。

問題の内容を見ても、2016年度は多くの学校が、これまであまり見たことのないような新傾向といわれるようなバラエティに富んだ問題が出題されましたが、2017年度はどちらかというと非常にバランスの良い、標準的な入試問題が多く出題されました。

基礎基本を徹底的に問う問題や、受験標準レベルの応用問題が出題の多くを占めており、難問、奇問といわれるような問題や、全くなじみのない問題はあまり見られませんでした。とくに、大学附属の中学校や、女子の伝統校といわれる中学校では、各学校、例年の出題スタイルから大幅に外れたような出題はあまりなく、従来の傾向にのっとった問題が出題された、という印象でした。これらの学校を受験した方にとっては、日ごろの基礎の訓練や、例年の過去問をしっかりやりこんでいった成果が出やすい入試だったといえます。

立体図形の問題の出題が目立った

立体図形は、図形の問題の中でも得意不得意が分かれる分野ですが、2017年度は、特に立体図形の問題の中でも、「立体切断の問題」が非常に多く出題されたのが特徴でした。立体図形の中でも特に差がつく単元です。

たとえば桜蔭中学校では、小さな立方体を組み合わせて作った立体から、いくつかの小さな立方体を取り除いて立体を切断するという、女子校としてはやはりかなり難度の高い、斬新な立体切断の問題が出題されました。東京女学館中学校では、切断した立体の展開図から角度や面積を求める問題が出題されました。立体と展開図の関係については、受験生であれば必ず学習しているはずなのですが、切断した立体の展開図、という問題は特徴的でした。

栄光学園中学校では、立方体の頂点記号を展開図に書き写すという、基本的な手法を問われる問題が出題されました。非常に基本的な手法の問題ですが、焦るとミスを誘うような出題なので、差がついた問題だったといえるでしょう。

このような立体図形の問題を中学校が入試問題として出題するのは、単に空間把握能力だけを見たいから、ではありません。立体図形の問題を解くときに必要になる、「ていねいな作図」「条件の整理」「条件を見落とさない」という点をしっかり押さえられているかどうかを見たいから出題するのです。

これは、これまでの受験勉強で作図を怠っていないか、問題文に出てきている条件を一つひとつていねいに読んでいるか、つまり「雑に解いていないか」ということ、正答にたどり着くにはどうしたらよいかをきちんと積み重ねてきたかどうかを見たいという学校のメッセージです。そのような習慣を普段から積み上げてきていれば、一見難しく思える立体図形の問題も、得点源になることがあるので、敬遠することなく、問題文をよく読んで取り組みましょう。

その他に目立った出題にはどのようなものがあったか

筑波大附属駒場中学校では、同じ大きさの正三角形を敷き詰め、それに順に書き込んだ数字の規則性に関する問題が出されました。これは「四角数(平方数)」の考え方に着目することがポイントです。筑波大付属駒場中学校は、このようなある「数」の考え方に着目できるかどうかを試す問題が良く出題されるので、意識しておきましょう。

サレジオ学院中学校では、トランプのカードを規則に従って切っていく問題が出題されました。カードの操作のしかたをどのように処理するか決める、最初のひと手間が肝心です。自分で「解き方を発見する」喜びを味わえる、非常に良問といっていい問題でした。

入試問題はたしかに差をつけるために作成されている部分はありますが、「こういうところに気づいてほしい」「自分なりに試行錯誤してほしい」という、学校側からのメッセージですから、怖がらずに手を動かして問題に食らいつくという姿勢がとても大切だということをぜひ忘れずに、問題を「攻略しよう」と楽しんでほしいと思います。

栄光学園中学校で出題された、円周上に正多角形をかいていく問題は、「ひもをN等分する」タイプの問題で、既約分数の個数を考えることがカギです。このタイプの問題は、他の学校でも数多く出題されました。

立教新座中学校で出題された、いわゆる「メネラウス型」の三角形の問題は、昨年の筑波大附属駒場や今年の渋谷学園渋谷でも出題されました。「メネラウス型」の三角形はいまや中学受験の算数では定番となりつつある問題です。ぜひ、解き方に慣れておき、直前にも確認しておきたいものです。

雙葉中学校で出題された、整数の規則性の問題はかなり面倒ですが、考え方しだいで時間を短縮できる問題でした。規則性の問題は難関校では必ずと言っていいほど出題されます。よく考えると規則性を見つけることはそれほど難しくない問題も多いです。短時間で正解を導くために、解き方の工夫を現場でできるように、直前に1問2問解いておくとよいかもしれません。

麻布中学校で出題された砂糖水の問題は、「割合」と「不定方程式」と「数の性質」が融合された問題でした。いかにも麻布らしい、斬新な問題でした。麻布中学校の算数の特徴として、設問が次の問題の誘導となっていることが多いです。設問の誘導に乗って、AとBの容器に加える角砂糖の数が「互いに素」という条件に気づくことがポイントです。融合問題であっても、問題文の中のヒントや、前の設問で解いた過程を意識して解き進むことは、他の中学校でも重要です。

問題文の長文化~算数にも読解力が求められている

最初に、算数の問題の難易度には隔年現象がみられるということを書きましたが、特に最難関校といわれる中学校では、毎年、時代をリードするような難しい問題が出題されており、その傾向には変化は見られません。2017年度も例外ではありませんでした。

特に、近年の傾向として、算数の「問題文の長文化」が目立つようになってきています。たとえば、開成中学校などの最難関校では、大問1問につき、問題用紙を1枚分使って、様々な条件が問題文の中に示されるケースが増えてきました。

問題文が長文化するということは、その中に問題を解くヒントがたくさん含まれているということでもあるのですが、急いで読み進んでしまって条件を一つでも読み落としてしまうと、問題文全体の条件を整理するのに苦労するということは、塾でも習ったのではないでしょうか。実際に、受験した生徒さんの中には、「1問が長くて、解ききるのに時間が足りなくなるのではないかと不安になった」と話していた方もいらっしゃいました。

このような問題文の長文化は、いかに複雑な条件を整理し、ていねいに処理して正解を導くかという、いわば「算数における読解力」を問うものだといっても過言ではありません。2020年から新しくなる大学入試を意識した出題が目につくようになってきたとも言えます。このような傾向は、今年度の入試でも続くと考えられます。

算数の問題文は国語よりもちろん短いのですが、その中にヒントがすべてつまっています。どうしても時間切れが気になってしまう算数ですが、国語と同様、問題文をしっかり読み、解答のヒントとなるような部分については下線を引いたり、1行を読み飛ばしたりしないように気をつけるようにしましょう。

算数にも記述問題?教科横断的な問題の出題も

2017年度、特に目を引いた問題の一つに、駒場東邦中学校で出題された、「実生活において算数の考え方が活かされて感動したり、面白いと感じた出来事について」簡潔に説明しなさいという記述解答させる問題がありました。単に問題文を読んで計算に持ち込んで正答を出す、というこれまでの主流の問題ではなく、自分で問題を設定して、それについて採点者に対してわかりやすく説明する問題です。表現力はもちろん必要になりますし、試行錯誤して例を挙げたりという力が要求されました。

この問題は、今後行われる大学入試改革の際に行われる新テストで要求される能力の方向性に対して、駒場東邦中学校なりの考え方が示されている問題だったといえます。今後、このような問題が増えてくる可能性があるので、教科横断的な考え方を意識しておくことをオススメします。

まとめ

2017年度の入試では、斬新な新傾向問題の出題は少なめでした。しかし、2016年度に出題されたような新傾向問題が、今年度以降の入試で、さまざま形を変えて出題される可能性は大いにあります。ですが、新傾向問題といっても、解けない問題ではありません。大切なのは、「見たこともない問題と出会ったときに、知っている解法などのアプローチ方法をいろいろと試す」ことです。最後まで粘り強く考えられるようになるために、大切なのはやはりそれぞれの単元の基礎・基本の考え方の理解です。

2017年度の入試の算数の問題は、今後の大学入試改革を視野に入れた設問が増加傾向にありましたが、全体としては特殊なテクニックが必要な問題が多かったというより、むしろ基礎・基本の徹底こそが合否に直結する、解法のきっかけを思いつくような問題が出題されていたといえます。

問題の条件を読み取り、整理していく力、規則を書き出すことで一見バラバラに見える数字の中に規則性を見出す力、ていねいに作図する力など、一つひとつの手順をおろそかにせず、解き進めていく力中学入試では問われています。難問と思われるような問題でも、解くためのきっかけは基礎基本の考え方の中にあります。ぜひ、今年度の入試でも、最後まであきらめずに試行錯誤して問題に取り組んでください。

また、計算問題はほぼすべての学校で出題されます。その際、解答用紙に答えだけを記入する方式がほとんどです。中には、長文問題あっても、海城中学校のように解答だけを書く方式をとる学校もあります。算数の基本中の基本は、速く、正確な計算力と、解法を見通すために手を動かして試行錯誤する努力です。これはどの年度でも変わりません。直前まで、計算力をしっかり磨いて入試当日をむかえましょう。

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