意外と知らない?中学受験算数の採点基準

お子さんの解いた問題をご家庭で採点するとき、「ん…?これって〇にしていいの?×になるの?」と困った経験はありませんか?もしくは、返されたテスト答案を見て「なぜ×にされたかわからない」と感じたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

例えばそれが今通っている自分の学校や塾のテストであれば、採点をした先生に聞くのが最も確実です。しかし、入試のテスト答案は返却がされないので、「どういう解答の仕方が×になるのか」を正しく把握していないと不安な方も多いと思います。

この記事では、「中学受験算数における一般的な採点基準」についてご紹介したいと思います。ただし、あくまでも「一般的な採点基準」であり、テストを作成した先生の性格によっては独自のこだわりがあって、この基準に当てはまらない場合もあるのでご容赦ください。

字が雑だと×になる?

字が綺麗かそうでないかは採点基準には直接関係ありません。ただし、「字が雑なせいで別の数字に見えてしまう」のであれば、×にされてしまう可能性があります。また、「筆圧が弱くて字が薄い」のも危険です。

  • 「0」と書いたつもりなのに「6」に見える
  • 「1」と書いたつもりなのに「7」に見える
  • 小数点を打ったつもりなのに薄くて見えない

上記は採点で「×」にされてしまう一例です。

「どういうつもりで書いたか」が採点の際に考慮されるのは、途中式も一緒に見るような一部の学校のみです。解答欄に答えのみを書く場合、たいていは「採点者の目にどう映るか」で判断されます。

よく男の子などはダイナミックな字を書いていることがありますが、ちゃんと正しく読めるのであれば多少雑でも大丈夫です。ただ、上に書いたように、別の数字に見えてしまうようならしっかりと注意しましょう。

単位は必要?不必要?

算数のテストでは、多くの場合に解答欄に単位がついています。「何mですか」という問題でも、すでに解答欄に「m」が書かれていれば、受験生は数字のみを解答欄に書けばよいことになります。

しかし、そこで受験生が「何m」と単位まで書き入れてしまった場合、解答欄にもともと書かれているものと単位が重複するため、×にされる可能性が高いです。すでに解答欄に単位が書かれている場合は、単位を重複して書かないということに注意しましょう。

また、解答欄に式を書いてしまうお子さんもいますが、途中式を求められている問題でない限りは、式を解答欄の中に書く必要はありません。むしろ、「余分なものを書いている」として×にされる可能性もありますので気をつけましょう。

要するに、「単位に合わせて数値のみを答えればよい」ということがほとんどなのですが、一部に例外があります。例えば男子校の武蔵中学、女子校のフェリス女学院中学などがその例外となる学校です。

武蔵中学の場合、解答欄が設けられておらず、途中式から解答まですべて自分で余白の中に書いていくスタイルの入試です。途中式が書いていなければ減点もありますし、解答は自分で単位も含めて「これが答えだ」と明確にわかるように書く必要があります。逆に、答えが間違っていても途中式で考え方のポイントが合っていれば部分点ももらえます。

フェリス女学院中学の場合も、途中式を記述する必要があります。ただ、解答欄については、欄はありますが単位が記入されていません。したがって、「解答欄の中に単位も含めて解答する」というスタイルになります。

いずれにしても、出題形式によって単位を書く必要があるかどうかが変わってきます。お子さんの志望校の入試がどういうスタイルになっているかを確認しておきましょう。

分数・小数の解答の注意点は?

答えが分数や小数になる場合に、「0.5」でも「1/2(2分の1)」でも同じ大きさなので、小数に直せる分数であればどちらで答えても構いません。ただし、「小数で求めなさい」などと指定があればそれに従わなくてはいけません。分数指定なのに小数で答えたり、小数指定なのに分数で答えたりすれば当然×になります。また、答えが仮分数になった場合には、帯分数でも仮分数でもどちらで答えても構わない、というのが一般的です。

ただし、どちらで答えても構わないからと言って、両方を解答欄に書くと×になります。「0.5」でも「1/2」でも〇になりますが、「0.5(1/2)」と答えてしまうと、「余分なものを書いている」として×にされる可能性があります。

また、分数や小数の場合には「最も限定されたシンプルな形で答える」というのが中学受験算数においては暗黙の了解となっています。分数列の規則性の問題などは別ですが、計算で求めた結果の分数や小数には下記のような採点基準が設けられているのが一般的です。

  • 分数は約分した形で答える(約分していなければ×)
  • 小数点以下の最後に0が付く場合には、消して答える(1.0は1として答えないと×)

「同じ大きさなのになんで×にされるの?」と疑問に思う方も中にはいるかもしれません。しかし、こうして「ルール決め」をしておかないと大変なことになるのは、少し考えればわかることです。

もし2/4が〇になるのであれば、200/400でも1234/2468でも〇にしなければならなくなります。もし1.0がよいのであれば、1.00でも1.0000000000でもよいという理屈になってしまいます。そうすれば、答え方は無限にあるということになるのがおわかりでしょうか。これでは採点基準にはなりません。そうならないように、このようなルール決めをしてあるのです。

ただし、「四捨五入して小数第1位まで求めなさい」などの問題で四捨五入した結果が「1.0」なのであればそれは消してはダメです。あくまでも「小数第1位までが有効数字」となるため、その場合には有効数字として問われているところまで答えるのが正解です。逆に言えばそれ以外の解答が×になります。

記号やアルファベットで答える場合の注意点は?

算数は他の教科に比べれば記号選択の問題は少ないのですが、平面図形や立体図形の切り口の問題で該当する図形を記号で選択する問題や、対応する辺や面を答えるといった問題が出題されることがあります。

このような問題の場合に気をつける点としては、「記号の型を間違えない」のと「対応する順番に気をつける」ということでしょうか。

例えば、選択肢が「ア~オの中から記号で答えなさい」というような問題で、カタカナで「イ」と答えるのが正解となるところを、答えを「い」とひらがなで答えるとどうなるでしょうか?これはもちろん、「×」になります。選択肢はカタカナでしか用意されていないのにひらがなで答えたという時点で、内容がどうであれ不正解になるのです。

また、線対称や点対称、立体を展開図から組み立てる問題などで、「辺ABと重なる辺はどの辺ですか」というような問題があった場合には順番に気をつけて答えましょう。「点Aと重なるのが点D」「点Bと重なるのが点C」であれば、「辺ABと重なるのは辺DC」というように、重なる点の順番通りに答えるというように指導を受けているはずです。テストでも同様に、対応する点の順番通りに答えなければ不正解、もしくは減点という扱いになります。

言葉を答えるときの注意点は?

立方体を平面で切断したときの切り口となる図形の名称を答えさせるなどの問題で、記号選択ではなく受験生に名称を書かせる問題もあります。この際に気をつけるべき点は「漢字指定であれば漢字のみで答える(ひらがな混じりは×)」ということです。逆に、漢字指定でなければ、ひらがなで答えても構いません。(このような問題のときにカタカナで答えるのはどう考えても不自然であまり見た経験もないのですが、漢字指定でなければ×にはならないと思います。)

また、漢字を書いたときに漢字を間違えていれば当然×になります。ただし国語の漢字テストとは違いますので、漢字の「とめ」「はね」まで細かくみられることはありません。多少字が雑でも、形と画数さえ合っていれば問題ありません。それでももし漢字に自信がない場合には、漢字指定でない限りは無理に漢字で書く必要はありません。

その他、大きい桁の数字などを漢数字で答えさせる問題でも、「漢数字で答えなさい」と書かれていれば、「漢数字以外は×」となります。ひらがなや普通の数字が混じっていたら不正解です。

採点する側として

ご家庭で疑問に思うかもしれない採点基準について、一般的な基準を記しておきました。自分自身も過去に何千人と受けるテストの採点を幾度となく経験している中で、「これは…〇にしていいのか×にすべきなのか…」と悩んだことがあります。その際、テストごとに出題者が「こういう解答は×」という採点基準を設けており、ほとんどのテストで共通していた採点基準を「一般的な」として表現しています。

それでも、見ていく中で「この生徒、10って書いたつもりなんだろうけど、どう見ても76に見えるんだよなあ…もったいないなあ」というようなとき、〇にしてあげたい気持ちをぐっと押さえて×をつけていたことが何度もあります。採点基準が決められている以上、その生徒だけ甘くしてしまうのが不公平だというのももちろんですが、そこで×にしなければその生徒はその後も同じことを繰り返すでしょう。練習で甘やかしていてもし本番で×になったら、その方がその生徒のためにならないとわかっているからこそ、その場で心を鬼にできるのです。

おうちでも、算数の採点で基準に困ったらこの記事を参考にしていただければと思います。ただし、あくまでも一般的な基準です。学校の先生や塾の先生の独自の基準がある場合には、理不尽な内容でない限りはそちらに従って解答するのががよいと思われます。(先生という職業の中には、こだわりが強すぎる上に他人にそれを強要するタイプの人間が珍しくないので、変だなと感じたら他の先生に相談しましょう。)

(ライター:桂川)

おわりに

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