【中学受験】入試直前!科目別・入試の傾向と問われる力とは~理科編

2月入試も目前になりました。国語、算数に続いて、今回は理科の入試の傾向と、問われている力についてまとめていきます。

理科や社会は、特に科目横断的な問題が出題されることもあり、また、問題文だけでなくデータや資料を読みとることが要求される科目です。テキストなどで学んできた内容をさらに発展させた内容が出題されることもありますし、逆に細かい内容に見えても実は学校の教科書に書かれている内容を題材にした問題が作られていることもあるのです。

これから始まる大学入試改革では、正確な基礎基本の知識と、長文を読み解く力、さらには自分で問題を設定して解答を試行錯誤しながら見つけていくという姿勢が非常に大切になってきます。使えるヒントは全て使う姿勢を入試当日にも発揮していただきたいと思います。

これまで学習してきた内容を、実際の入試問題で「どのように使えるか」を考えることが入試のキモになることを忘れずに、最後まで基礎基本をおろそかにせず、少し自信がないな、というところをおさらいして入試に取り組んでいきましょう。

理科の各分野の特徴的な問題

多くの学校では、生物、地学、化学、物理の4単元からまんべんなく出題されることが多い理科の問題ですが、近年はどのような特徴があるのでしょうか。2017年度に出題された問題を例に、理科の各分野の出題の特徴をまとめてみましょう。

生物分野

生物分野の中で、植物に関する出題としては、基礎基本事項を確認したうえで、データの読み取りが正確にできるかどうかを試す問題が増加して言います。題材としては、光合成やそれに関連するテーマが多く出題されました。たとえば、明治大学附属明治中学校、東邦大学付属東邦中学校、麻布中学校でも出題されました。

中でも、麻布中学校は、光合成の基礎基本をきちんと押さえたうえで、光合成に光の色を絡めた「光発芽」の問題が出題されました。難関校でも、知っていなければならない基礎知識は難しいものではありませんが、そこから問題文や資料の誘導にしっかりのって解いていく力が要求される問題が目立ちます。

動物に関する問題としては、昆虫、メダカ、人体などを中心として、データ読み取りの問題が増加しています。2017年度は、サレジオ学院中学校や本郷中学校などで、胎児循環やヘモグロビンなどについて出題されました。どちらかというと、細かい知識を問うというよりは、問題文の中に出ているデータをいかに正確に読みとるかが重要なカギとなる出題でした。

地学分野

天体の単元では、太陽・地球・月・星の動きについての総合的な問題が出題されています。天体の動きをイメージできていないと解くのが難しいところですので、直前には星座早見盤を利用するなどして、天体の動きの基礎基本をしっかり押さえておくようにしましょう。

2017年度の出題としては、早稲田中学校で、星座早見盤や惑星の会合周期についての問題が出題されています。また、女子学院中学校では、惑星の半径や密度のデータ解析や周期、惑星探査機「あかつき」など、時事的な話題を絡め、さまざまな角度から現場で考えさせる問題が目立ちました。

気象は、出題が増加傾向にある単元です。特に、飽和水蒸気の量のデータをもとにして、湿度や露点について問う問題が増加しています。湿度などは身近な現象なのですが、イメージが持てないと、データがただの数字に見えてしまいます。必ず問題文の中に説明がしっかり書かれているので、その中にある条件を読み飛ばさないようにしましょう。この飽和水蒸気量の問題は、中央大学附属中学校、城北中学校、白百合中学校、桐朋女子中学校などで出題されました。

地学全体としては、流水のはたらきについてのグラフの読み取り問題が、鎌倉女学院中学校などで出題されました。受験生が苦手とする地層の問題は、立教新座中学校や栄東中学校などで出題されましたが、立体の断面図を問う理論的な問題として出題されるようなケースが増えています。また、時事問題に関連する問題としては、プレート、火山、地震に関する問題が多くの中学校で出題されました。地学の問題は、時事問題と関連させて出題される傾向が強くなっているので、今年度も出題される可能性が高いところです。

化学分野

化学分野で毎年数多くの学校で出題されるのは、水溶液に関する問題です。ものの溶け方、水溶液の色や性質、物質の化学反応、気体の発生など、多岐にわたって出題されていますので、水溶液に関する基礎知識は必ずおさらいしておきましょう。

また、ものの燃焼や気体の発生、中和についても多く出題されています。特に、長い問題文とともに、グラフや表の読み取りをさせる問題が出題の中心になっています。

このように、長い問題文の中に書かれている条件を整理させ、グラフや表からデータを正確に読みとらせるような問題は化学分野に限らず、すべての分野で増えてきています。そして、問題自体は初見の問題が多いので、基礎知識と、現場で焦らずに文章を正確に読み、データを抽出する力が試されています。

また、意外に学習がおろそかになりがちになっているのが、「実験器具の使い方」です。小学校の理科の授業で使った実験器具について、また、それと同じ原理を持つ新しい実験器具を題材にした問題の出題が増えています。ですが、一度扱った実験器具であっても、正確な使い方の手順などを忘れてしまっていることが非常に多いです。もし理科のおさらいをする際には、実験器具の使い方の手順、実験器具の部品の名称などを正確に覚えられているか確認しておきましょう。

実験器具の問題としては、メスシリンダー、顕微鏡、上皿てんびん、ガスバーナーをもとにした問題が特に多く出題されています。実験器具の使い方を具体的に問う問題や、メスシリンダーなどの目盛りの読み取りもよく出題されています。これらは、実験の経験があったり、教科書にばっちり載っている内容です。

海城中学校では、気体発生の問題と絡めて、試験管の正しい加熱のしかたを図に描く問題が出題されました。このように、自分で図を描かせる問題も実験に関する問題では頻出ですので、正しい方法を教科書や資料集で見直しておきましょう。

物理分野

物理分野で出題が多いのは、力学(力のつり合い)の問題、電気に関する問題、光・熱・音に関する問題です。

力学については、問題文や資料に出てくるデータに基づいて計算をさせる出題が増加しています。2017年度は、たとえば、海城中学校で、グラフを見ながら、キャリーバッグの重心や地面との角度について考えさせる問題が出題されました。

振り子、放物運動、斜面の運動、ばね、ものの衝突などの問題は非常に多く出題されています。学習院女子中学校では力の大きさをはかるセンサーに振り子をつるし、振り子の運動について詳しく分析させる問題が出題されました。

麻布中学校では、慣性の法則が出題されました。この考え方は中学以降も物理の問題ですが、現象そのものを理解するのは難しいことではありません。麻布中学校の問題では、自転車の加護に入れたボールと水筒、遊園地のアトラクションなど、非常に様々な材料を示しながら考えさせる、難問といえる出題でした。

電気に関しては、磁気の作用や発熱、電圧に関して思考を問う問題が目立ちました。白百合中学校では、電磁石について総合的に考えさせる問題が出題されました。また、芝中学校では、電圧・電流の問題が特徴的でした。近年増えていた、発光ダイオード、コンデンサー、光電池、手回し発電に関する出題は、昨年よりは少なくなりましたが、依然出題されることもあるので、基本知識は押さえておきましょう。

光・熱・音に関する問題は、特に音に関する問題の出題が増えています。光に関しては、浦和明の星中学校など、多くの学校で光の反射の問題が出題され、洗足学園中学校では、光の速さに関する問題も出題されました。また、2017年度は光の三原色に関する問題が目立ち、鴎友学園中学校、浅野中学校、青山学院中学校などで出題されています。鴎友学園中学校で出題された光の三原色の問題は、カラー印刷での出題でした、鴎友学園中学校の理科の入試問題は、カラーの図が出題されることで有名です。

熱に関する問題では、熱による状態変化に関する問題が頻出です。水の分子と状態変化についての出題などが出題されましたが、他の単元に比べ、問題をよく読めば解けるように構成された問題が比較的多いです。問題文をしっかり読み、条件をきちんと書き出すという基本姿勢を忘れないようにしましょう。

教科書に載っている基本事項、身の回りの題材がカギ

先ほども書きましたが、近年の理科の入試問問題は、教科書に載っている基本事項を出題することが増えています。2017年度も、早稲田中学校で、昆虫の体のつくりについて出題されています。ほかにも、アサガオとヘチマのつくりをはじめ、教科書に載っている基本事項が数多く出題されました。基本事項を確実に理解したうえで「いかに考えるか」を問う問題が増えています。

実験観察問題が特に生物分野では多く出題されますが、その際にも必要なのは、長いリード文を正確に読みとること、基本事項をもとにその場で試行錯誤する姿勢です。見たことがない、と怖がるのではなく、問題文にあるヒントを見つけるようによく読むように心がけましょう。

また、教科書以外にも、身の回りにあるものを題材とした出題も増えています。たとえば、2017年には、東邦大学付属東邦中学で、三路スイッチの問題が、横浜共立中学校ではボールペンに使われている「し温インク」について出題されています。また、食育と絡め、マメ科の植物やもやしについての出題は、慶應普通部やフェリス女学院中学など、さまざまなところで出題されました。環境問題に関連させて、グリーンカーテンの問題も出題されることがあるので、注意しておきましょう。

他にも、白百合学園中学校ではラムネについて、鎌倉学園中学校ではスプーンに映る像について出題されました。

時事問題の増加と、社会との教科横断的出題

時事問題としては社会、と思いがちですが、理科でも時事問題を切り口とした問題は増えています。2017年度は、「ニホニウム」について、学習院中等科、麻布中学、東邦大学付属東邦中学校、立教新座中学校など多数の学校で出題されました。その他、「スーパームーン」について、頌栄女子学院中学校、慶應中等部などで、「重力波」について巣鴨中学などで出題されました。社会との教科横断型の問題の出題も増えています。

教科横断の総合的な思考、ものの見方を問う問題が増えている

女子学院中学校と渋谷幕張学園中学校では、植生の変化と気温の相関関係を示す「暖かさの指数」に関する問題が出題されました。日本列島の地図を見て、気候を頭に入れながらデータを読み取ることが求められる、理科・社会の融合問題といえる出題です。頌栄女子学院中学校、聖光学院中学校、芝中学校では、環境や進化について、幅広く、深く考えさせる問題が出題されました。

非常に注目を集めたのは、光塩女子学院中等科で出題された、「アンドロイドと人間に関する問題」です。石黒浩氏著の「アンドロイドと人間の未来」を題材に、そこに登場する桂米朝師匠のアンドロイドと、落語、茶運び人形のしくみやドラえもんのマンガなど、様々な資料を読み進めながら思考を深めていく科目横断的な総合問題で、国語、理科、社会が融合された出題となっています。非常に工夫されており、作問者が一生懸命に、光塩に入ってからの学習を受験生に伝えようとしている、当校の特徴が前面に出た問題でした。

また、広尾学園中学校では、水鉄砲で的を射る図が示され、「この図から考えられることを理科的視点に立って述べなさい」という問題が出題されました。作問にあたっては、採点基準も含め、「理科的視点」について深く議論されたことがわかる出題だったといえます。広尾学園は理系教育に力を入れていますが、「理科的に考えられる生徒を育てたい」という姿勢がはっきりと現れた問題といえます。 大学入試改革をにらみ、今後はますますこのような問題が増えていく可能性が高いと考えられます。

大学入試改革を見すえた、データ分析がカギ

特に昨年から、大学入試改革を意識した出題が増えてきています。2017年度はかなり大学入試改革について話題に上ったこともあり、さらにその傾向が進んだといえます。

分野別にみると、生物・地学・物理・化学の4分野からまんべんなく出題されてることはこれまでと変わりませんが、なかでも物の運動や状態変化のデータを分析させる問題が非常に目立ちました。問題文の長さ、内容、データの多さはもちろんですが、図、グラフを描いて答えさせるような記述問題も増えています。

問題文の長さも、年々長くなっている傾向にあります。これは、問題文に書かれた前提条件を読みとり、整理する力が問われているためだと考えられます。大学入試改革では、基礎知識をもとに、課題から問題点を読みとり、解答するまでの道筋を表現することが求められます。そういったことを意識した出題は今後も増えると考えられます。

まとめ~基本事項の確認と理科的な思考力が必要

ここまで、近年の理科の出題傾向や、求められている力についてまとめてきましたが、大切なのは、以下のような力です。

  • 教科書を中心とした基本事項を確実に理解する力
  • 問題文に書かれている条件を整理する力
  • 表やグラフなどのデータや文章を正確に読みとる力

近年は特に、身近な現象、時事的な話題など、あらゆるところから問題が作られます。ぜひ、理科の現象やニュースにアンテナをはり、体験から学ぶことも大切です。いろいろな視点から考え分析する力がとても大切です。初めてみた問題であっても、教科書などを中心とした基礎知識をもとに、その場で正確に問題文を読んで分析して解答をしていく、そのような姿勢をもって入試に臨みましょう!

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