中学受験・理科 地震に関する問題、理解できていますか?

日本はとても地震が多い国です。近年は大地震やその余震が頻発したり、将来来ると言われている大地震に対する備えについても、様々なニュースで耳にする機会は非常に多いですね。そのようなニュースを見聞きすると心が痛みますし、なんとか予知できないものか、その被害を最小限にするにはどうしたらよいか、と思わされます。

地震の予知は非常に難しいですが、中学受験の理科で問われる地震の問題についても、苦手とする受験生が非常に多いところです。ですが、中学受験で問われるような知識が緊急地震速報などでも活用されているんですよ。今回は、よく耳にするけれども苦手意識を持ちやすい地震に関する問題について、勉強法を書いていきたいと思います。

なぜ地震に関する問題が苦手になるのか

地震に関する問題でよく出題されるのはやはり計算問題です。計算問題、というだけで難しく感じてしまい、解くのをやめてしまう受験生も多いです。しかし、地震の問題の計算自体は算数の基本的な計算の組み合わせで解けるものがほとんどです。特に、比や速さの問題を苦手にしていると、地震の計算問題にも苦手意識を持ってしまうことが多いです。

また、計算問題に目が行き過ぎて、根本的な知識である、地震が伝わる仕組みを理解せず、用語の意味の理解があいまいになってしまうという落とし穴もあるのです。そうすると、問題文や設問の意味が分からなくなってしまい、苦手意識が強くなってしまいます。

ダメな勉強法

地震の問題は、手っ取り早く、単純に解答を見つけようとすると失敗します。たしかに、計算問題そのものは複雑ではありませんが、震源やP波、S波の進み方など、地震が伝わる仕組みを理解しようとしないで、数値やグラフだけで解答を見つけようとすると、勘違いをしたり、解答に時間がかかったりすることが多いのです。まず必要なのは、地震が伝わる仕組みをしっかり理解することです。計算問題はそれからです。順番を間違えないようにしましょう。

どのように勉強すればよいか

算数で速さの問題を解くときは、皆さん図を描きますよね(描いていない方はかきましょう!)。それと同様に地震の問題のときも、震源や震央からP波やS波が伝わっていく様子を図で表してみましょう

地震が起きるとP波とS波が発生します。P波は秒速約8km、S波は秒速約4kmです(問題によって幅があるので、問題文をしっかり読みましょう)。地震が発生すると同時にこの2つの波の競争が始まるわけです。当然、各地点でP波が速く到達し(初期微動の始まり)、次にS波が到達(主要動の始まり)します。この到達時間の差が「初期微動継続時間」と言われるものです。この仕組みをまず理解しておきましょう。

足の速い子と遅い子が、50m走と400m走で競争した場合、スタミナを度外視すれば、距離の長い400m走の方が記録に差が出ます。それと同じく、P波とS波の競争も、震源から遠く離れれば離れるほど到達時間の差、つまり初期微動継続時間が長くなります。これは、震源からの距離とP波とS波の速さの問題ですから、比例の問題になるのですが、単なる計算問題、と飛びつくのではなく、その理由もしっかりと理解するようにしましょう。

例題

ここで、例題を解いてみましょう。

震源から、40km離れた地点Aで初期微動が始まった時間は12時15分30秒、主要動が始まったのは12時15分35秒でした。地点Bでは初期微動継続時間が15秒でした。地点Bの震源からの距離を求めなさい。また、地点Bの揺れはじめの時刻はいつですか。地震発生時刻は12時15分25秒とします。

このような問題が出たとき、まず何をするべきでしょうか?・・・そう、まず、図を描きましょう。

地点Aの初期微動継続時間は、12時15分35秒-12時15分30秒=5秒

初期微動継続時間は震源からの距離に比例するので、15秒÷5秒=3だから、震源からの距離は40km×3=120kmになります。

地震発生時期は12時15分25秒で、40km離れた地点Aには12時15分30秒に到達していますから、P波は地点Aまで、12時15分30秒ー12時15分25秒=5秒かかることになります。

だから、120km離れた地点Bには、120km÷40km=3

5秒×3=15秒かかるということがわかります。ですから、地震発生から15秒後に地点Bは揺れ始める、つまりP波が到達することになります。そうすると、12時15分25秒+15秒=12時15分40秒に地点Bが揺れ始めるとけいさんできますね。

(答え)地点Bの震源からの距離は120km、揺れ始める時刻は12時15分40秒

どうでしょうか?解答を導くまでの順序さえ理解していれば、計算自体は難しいものではありませんね。

まとめ

地震はその仕組みをしっかり理解しておけば、計算自体はそれほど難しくありません。ぜひ、まず全体像を把握しましょう。ちなみに、時事問題としてよく出題される「緊急地震速報」は、P波とS波の速さの差を利用しています。地震の知識と理解は、災害大国の日本にとって大きな意味を持ちます。今後も出題が予想される単元なので、まずはしっかり仕組みの理解をおろそかにせず、しっかり理解しましょう。そうすれば、これまで敬遠してきた問題も怖くありません。得点源にするためには、まず根本的な理解から。これを忘れずに学習していきましょう!

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。