中学受験・理科 地学の勉強法~苦手な人への処方箋

理科の地学分野というと、皆さんどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。「覚えることが多い」とだけ思って敬遠していませんか?生物分野に比べ、あまり身近でないイメージも持っておられるかもしれません。また、暗記だけではなく、天体や太陽などでは計算問題もありますよね。

たしかに、地学分野は暗記することが多い分野ではありますが、実際に実物を見たことがあるかどうかで、覚えられるスピードも量も大きく変わる分野なのです。地学分野は地層、岩石、気象、天体、太陽などが主な分野ですから、一見すると実物を見たことがあり、身近な存在だと思いがちですが、星を毎日見ているといっても、「あの星座は○○座で・・・」と意識することはあまりないのではないでしょうか。岩石や太陽も同じですよね。

今回は、このような身近でいて身近でない地学分野をどう克服するか、その学習法について、まとめていきます。

ダメな勉強法

地層・天体の知識をバラバラに覚えている

地学分野の場合、地層であればどのような地層があるか、化石からその地層が当時どのような環境下にあったのかなど、知識をしっかり関連づけて覚えておく必要があります。ただ単に示準化石とは何か、示相化石とはなにか、と単語をバラバラに覚えていても次の日には忘れてしまいます。まして、その単語だけ覚えていても問題は解けません。それぞれどういう意味があり、どういう違いがあり、それを見ると何がわかるのか、比較して関連づけて覚える習慣をつけることがとても大事です。

また、断層やしゅう曲の問題は、その単語の意味よりも、断層やしゅう曲ができた「理由」を聞かれることがほとんどです。その時に、ただ断層、ああ、あのずれたやつね・・・程度に単語を覚えていても、なぜできたのか、その断層を見たら何がわかるのか見抜けるように訓練しておかなければなりません。

天体も、それぞれの星座の名前を覚えることはもちろん大切なことですが、その星座がどの季節の星座なのか、同じ季節に見える星座はどのようなものがあるのか、なぜ季節によって見える星座が変わるのか、理由も理解しながら知識をしっかり関連づけていく必要があるのです。

天体の計算問題でも暗記に頼る

天体の問題は角度が入った計算問題が出題されます。塾のテキストや参考書にも必ず出てくる角度の問題です。たとえば、2016年の浦和明の星の問題では、月が1日ごとにどちらの方角に何度ずれて見えるのかを計算して求める問題が出題されました。こうした問題は、ただ角度の数字を覚えているだけでは解くことができません。知識があることによってヒントを得ることはできますが、どこでその知識を使うのかまで含めて計算問題に取り組む必要があります。ある程度パターン化されているものは暗記で正解できるものもあるかもしれませんが、入試はそう単純ではありません。1対1対応で覚えるのではなく、問題演習をする中で、どのように知識を使っていけばよいのか理解しながら訓練しましょう。

成績を上げるために守るべきルール

知識は整理して覚える

たとえば、1等星と季節の星座については、以下のように整理すると覚えやすいです。

   季節    星座      1等星

  •  春    おとめ座     スピカ
  •       しし座      レグルス
  •  夏    わし座      アルタイル
  •       さそり座     アンタレス
  •  冬    おおいぬ座    シリウス
  •       オリオン座    ベテルギウス・リゲル

このような表は、テキストや参考書にまとめてあるものもあるでしょうが、「自分で」まとめてみることに意味があります。あまり時間をかけすぎず、まとめて覚えたほうが効率の良いものはこのように表にしてしまうのです。さらにこの表に、星の色について付け加えるなどしていけば、知識がつながっていき、覚えるのが楽になります。バラバラに覚えようとするから、膨大な量に思えてしまうのです。それぞれの星座の頭文字をとるなどして、自分なりの覚え方を考えるのもとても良いやり方です。暗記は楽しく、知識をつなげて、理由も考えながら覚える。ぜひやってみてください。

計算問題は基本を大切に

天体では特に多くの計算問題が出題されますが、基本的な計算問題ができなければ応用問題はできるようになりません。まず、一番基本として出てくる問題に取り組むときから、「何が問われているのか」「どの知識を使えばよいのか」を考えながら取り組むようにしましょう。「あ、これパターンだから答えはこれだ」と、安直に答えに飛びつくのは禁物です。基本的な計算問題をやるときから、なぜそうなるのか考えながら解く習慣をつけておくと、初めて見る応用問題でも、「あれ、これどこかで見たな・・・」と気づくことができるようになります。特に入試では、一見して見たこともない問題が出るかもしれませんが、何が問われているのか、そのためにどの知識が必要なのか考えておく習慣をつけておけば怖いことはありません。基本問題をやるときこそ、応用問題を解く土台作りをする、そういう意識を持って取り組むようにしましょう。

時事問題にも関心を持つ

地学分野は時事問題に絡めて出題されることが多い分野です。たとえば、日本は地震が多い国ですから、地震と火山活動、岩石などの融合問題が出題されることが多いです。天体では、宇宙ステーションから見た地球など、視点を変えて考えさせる問題などもあります。ですが、どれも本来的には基本的な知識をどこでどう使うか、その理解を聞いているのです。特殊な知識を聞かれているわけではなく、普段の目にする、耳にするニュースを切り口に問題を作っているのですから、基本的な知識を総動員すれば大丈夫です。ぜひ、現在の社会の問題にも関心を持って地学の勉強をしていくようにしましょう。

今回のまとめ

地学分野は暗記することも多いですし、計算問題も出題されます。時事問題と絡めて思いもよらない見た目の問題が出題されることもあります。身近なようで身近でないテーマが多いことはたしかですが、天体を観察するときに星座早見盤を重ねてみてみたり、地層に触れたりしていくと、その面白さ、仕組みがわかると思います。ぜひ、できるだけ「実体験」をしてみてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。