受験生が苦手な音と光の攻略法!基礎基本が決め手

理科の物理分野は、受験生が苦手とすることの多い分野です。たとえば力学などはその代表です。てこや滑車、ばね、浮力、グラフ問題などがありますが、組み合わせ次第で見たこともないような問題を作ることもできるため、多くの中学校が出題します。模試を受けていても、力学の複合問題に苦戦する受験生の方も多いのではないでしょうか。

しかし、物理分野は力学だけではありません。実は落とし穴になりやすいのが「音と光」の単元です。入試で取り上げられる頻度自体は力学に比べるとそれほど多くはないのですが、出題される場合は難易度も高く、見た目もテキストとはずいぶん違う、条件もたくさん付けくわえられているといった特徴があるため、複雑、難しい、などと感じてしまう受験生は少なくありません。実際に模試でも正答率は高くないのです。

このように受験生の弱点になりやすい「音と光」ですが、弱点になりやすいということは「差が付きやすい」ということでもあります。そのため、入試でも差がつく問題として出題されることが増えています。そのため、力学だけに重点を置いてまったく音と光について勉強しないでいいわけではありません。

音や光は目に見えないこともあり、イメージがわきにくい単元でもあります。そのことも受験生の「?」を誘発する原因になっていると考えられます。小学校ではいろいろな実験を行いますが、その実験が「何のための実験なのか」を理解せずにただやっているという小学生も少なくありません。

今回は、入試で狙われやすいにもかかわらず苦手とする受験生の多い「音と光」について、どのようなことを学習のきっかけにしたらよいのか、学習する上で注意すべき点などについてお伝えします。差がつくからこそ得意にしたい単元です。ぜひ怖がらずに学習を進めてください。

原理原則こそ重要!基本問題をマスターしよう

小学校でも音や光の単元は学習します。理科の授業では、主に3年生で音と光について学習しますが、そこで学ぶ内容はそれほど突っ込んだものではありません。中学受験のテキストで学習する内容と比較すると、やはり基本をさらっと学んで終わり、ということが多いです。

しかし、音や光といった単元は実は非常に身近な理科の現象です。また、実験や観察が比較的容易にできる単元でもあります。小学校でも音や光について実験したことがある方がほとんどでしょう。

実験や観察が比較的容易にできるということは、近年理科の中学入試問題の中心となっている「実験考察問題」がたくさん作れる、ということです。そのため、入試で出題される頻度も近年増加傾向にあります。

入試問題として音や光の単元が出題される場合、用語などの知識単体の問題が出題されることはほとんどありません。図やデータの読み取り、そして作図問題が中心になるというのが特徴的です。音や光の単元は、条件さえ変えれば非常にさまざまな問題を作ることができます。

すなわち、長いリード文を読み、条件の読み取りを正確におこない、さらには作図まで求めるという、理科で重視される要素が詰め込まれる単元だと言えるでしょう。単に知識を暗記するだけ、問題のパターンを覚えるだけ、といった知識偏重のパターン学習や1問1答のような問題の学習だけでは対応できない問題が多く出題されます。

お都や光の単元の学習をする際になにより重要なのは、これは特に物理分野では重要となりますが、原理原則をしっかり理解することです。物理分野は科学現象の理解が非常に重要であり、さまざまある原理原則を正確に理解しておかないといくら問題のパターンを覚えて解こうとしても解けないという特徴があります。音や光も例外ではありません。

原理原則を理解し、そのうえで問題に出てくる条件などのデータをどう吟味するか、そして実験結果の作図といった実践的な問題に一つひとつ取り組んでいかなければなりません。

この際に重要なのが「どの問題から解いていくか」ということです。解く問題の順序の見極めと言っても良いでしょう。入試問題で出題されるのが難問だからと言って、最初から難易度の高い応用問題にチャレンジしようとしてもそうそう解けるものではありません。そもそも何の問題なのか、どの知識を使う問題なのかが分からなければ、その問題1問を無駄にしてしまうことになります。

まずは原理原則を理解したうえで、音と光に関する基本的事項を確認しましょう。そのうえで、そういった原理原則がそのまま使えるような基礎基本問題からしっかり解いていくことが大切です。その際には、簡単だからと雑に解くのではなく、どの原理原則に基づいているのか、使う知識は何に関するものか、解法は守れているか、といったことに注意しながら、セオリー通りにまず解くことがとても大切です。

こうした基礎基本問題をしっかり解くことによって、基本的な原理原則に対する理解が深まりますし、どのように使えばいいのかというとっかかりをつかむことができます。理科の問題は、一見しただけではつかみどころのない問題であることも多いので、どの原理原則をどこで使えばいいのかが分かりにくいところがあります。そのため、まずは基礎基本問題で絶対に間違えない基礎力を身につけましょう。

では、音の問題、光の問題、それぞれでまずしっかり理解すべき原理原則を見ていきましょう。

音の問題でまず理解すべきは「音の三要素」と「音の伝わり方」

音の問題を解くために必要な原理原則は「音とは何か」ということ、そして「音の三要素」です。

音の問題を解くためにまず必要な原理原則は、「音とは何か」と「音の三要素」です。「音」とは、「物体が振動し、その振動が空気や水などを振動して波となって伝わってきたもの」です。音をだすものを「音源」と言います。音は波であることそのものを理解できていない受験生も少なくありません。まずはここをしっかり押さえましょう。

音の三要素を押さえよう

音の振動は波として表されますが、そこで重要になるのが「音の三要素」です。音の三要素はいかの3つです。

・音の大きさ:振動の幅(振幅)が大きいほど、大きな音になります。

・音の高さ:1秒間に振動する回数(振動数)が多いほど、高い音になります。

・音色(ねいろ):音の波形の違いが音色になります。音の大きさや高さが同じであっても、音源によって波形が異なれば音色も異なります。

入試問題で出題される代表的な問題

実際の入試問題では、「音の高低」に関する問題が非常によく出題されます。特に「モノコード」を使った問題が多いです。モノコードとは、弦を張った器具ですが、これを使って弦の振動によって発生する音に関して、弦の太さや長さ、張る力の3つの条件を考察する問題が多く出題されます。

弦の太さ、長さ、つるすおもりの数(重さ)を変えたときに音の高低がどうなるか、その違いを比較した表が問題文とともに出され、そこからデータを読み取るといった問題が多いです。問題文とデータ、条件の正確な読み取りが必要になることが分かりますね。つるすおもりの重さによって弦を張る力が変化することも知っておかなければなりません。

こうした問題を解くために必要な基本的な原理原則としては、以下の2つを理解しておかなければいけません。

・弦が長く、太く、弦を張る力が弱いほど低い音が出ること
・弦が短く、細く、張る力が強いほど高い音が出ること

これは音に関する問題で欠かせない原理原則の知識です。条件と結果がどうなるのか正確に理解しておくことが必要です。

この原理原則と、問題に出ているデータを使って、3つの条件の間にどのような規則性があるかを見つけ出していくことが、解答へのポイントとなります。原理原則自体はそれほど難しいわけではありませんよね。ですが、データや実験という形をとると一気に難しく見えてしまうので、原理原則を理解しておけば怖くないことを知っておきましょう。

ドップラー効果は頻出問題

こうした音の問題以外に頻出のものとして、「ドップラー効果」について考察する問題が出題されることが良くあります。ドップラー効果とは、たとえば、近づいてくる救急車のサイレンの音は高く聞こえるけれども、遠ざかるときの音が低くなる、といった現象です。日常生活でよく耳にしますね。

なぜこのような現象が起こるかと言うと、音源(音をだすもの)が動くことによって、観測する人に届く音の振動数が変化するからです。入試問題でドップラー効果が出題されるときには、模式的なものも含めて非常にさまざまな条件の下での実験考察問題の形をとり、さまざまなデータが問題とともに出されます。

ドップラー効果そのものは大学受験の物理でも出題される、奥の深いものであり、小学校で詳しく学ぶことはありません。しかし、中学入試の出題では、音の原理原則を理解し、問題文をよく読んで条件を整理し、データを正確に読み取れば解ける問題であることがほとんどです。

ですから、必要以上に複雑に考える必要はありません。ほかの理科の実験考察問題でも出題されるような問題文、データの読み取り、条件整理といった基礎基本をていねいに行うことで解くことができます。過去問をはじめとして、実験考察問題、データ読み取り問題などを基本問題から順に解き、問題の流れを確認しておくことをおすすめします。

音の問題を解く際には、条件を整理し、データの規則性を見つけることが最大のポイントです。図表の読み取りの場合もあれば、グラフが出てくることもあります。それらも読み取り方の基本を押さえておけば必要以上に恐れることはありません。基本的な問題をしっかり解いてまずは原理原則と基礎基本を身につけてから応用問題に移っていきましょう。

光の性質は実際に見て確かめ、作図で理解するのがおすすめ

光の問題対策をするにあたっては、まず「光の性質」をしっかり理解することが大前提です。光には、以下の性質があることを確認しておきましょう。

・直進:まっすぐ進むこと
・反射:ものに当たると反射すること
・屈折:物の境界面で光が曲がること

どれも、小学校で実験したことがあるのではないでしょうか。ただし、それが文章になると急に難しく感じてしまうのが光の問題の難解なところです。こうした光の性質を理解するためには、何より実際の現象、光の進み方を自分の目で見て確かめておくことが重要です。身の回りにある材料で確かめることができます。

光の直進

光の「直進」の性質を利用したものとして、「ピンホールカメラ」(針穴写真機)があります。これは入試問題でも頻出ですのでしっかり押さえておきましょう。ピンホールカメラの小さな穴を通って直進してきた光によってできる像は、上下左右が反対になるというのが押さえておきたい原理原則です。

<ピンホールカメラに見る光の直進のようす>

光の直進の現象を理解するためには、ピンホールカメラを実際につくって見てみることをおすすめします。ピンホールカメラは段ボールや牛乳パックなどで簡単に作れますし、市販の実験セットもあるので、身近に手に入る材料で作ることができます。理科は実体験があるほど理解が進む教科なので、ぜひ気軽にやってみてください。理解度が違いますよ。

光の反射

光の反射という性質については、「入射角」と「反射角」が等しい、という原理原則を理解することがまず必要です。光の反射の問題では「鏡」がよく使用されますが、鏡に対して「線対象」の位置に像ができることを確認しておきましょう。

また、入試では鏡がひとつだけでなく、複数用いて、その条件の下で光の反射について問う問題が出題されることがあります。鏡が複数になると途端に問題の難易度は上がります。想像だけでは解けないので、実際に複数の鏡を使って実験してみましょう。たとえば家にある鏡を複数並べてみる、洗面所などにある三面鏡を使うなどして、それぞれの鏡の存在によって光がどのように進むのか、反射するのか、その結果写る像はどのように見えるかといったことを調べておくと、原理原則の理解と、応用問題への対応力が身につきます。

光の屈折

入試問題で非常によく出題されるのが「光の屈折」に関する問題です。光の屈折とは、光が水やガラスなど、別の物質の中に入ると、その境界線を境に折れ曲がって進む、ということです。たとえば、水の底をのぞき込むと浅く見えますよね。また、水の中に入れた棒は折れ曲がって見えます。これらの現象は、光が屈折しているからこそ起こるものです。日常生活の中で目で見て確認できるので、光がどのように屈折して、ものがどう見えるのかについて確かめてみることをおすすめします。

光の屈折に関連して凸レンズの問題は入試でよく出題されます。平行な光を凸レンズに垂直に当てた場合を考えてみましょう。このとき、レンズの中心をとおる光は直進しますが、それ以外の光はひとつの点に集まるように屈折します。このとき、光が集まる点のことを「焦点」というのです。そして、レンズの中心から焦点までの距離を「焦点距離」といいます。これらの仕組み、用語については正確に理解しておきましょう。

<光をレンズに当てたときの屈折のようす>

こうした凸レンズに関する問題は、単純な焦点や焦点距離について計算するだけでなく、実際に作図をさせて像を作らせる問題や、レンズと物体、レンズと像の距離の関係のデータを提示して、それらから焦点距離を求めさせたりする問題が出題されます。これも反射と同じく、原理原則自体はそれほど複雑ではないのですが、組み合わされることによって急に難しくなります。

こういった問題の対策をするには、普段の生活の中で、レンズを通った光がどのように屈折して像を作るかを確認してみましょう。その上で、確認した像をもとに作図をして、基本的な原理原則を理解することが非常に重要です。それができないと複雑化した問題はまず解けないので、何よりも原理原則を大切に、実体験をもとに理解し、基本問題から徐々にレベルアップするように問題演習をしていくことが大切です。

原理原則と規則性を理解すれば音と光は怖くない

音や光に関する入試問題は、リード文が長くなる傾向があります。実験考察問題が多く出題されることにより、考察に必要なベースとなる条件があり、その条件の説明をするために文章が長くなるわけですね。

リード文が長くなると、どうしてもその問題が複雑で難しいものだと敬遠してしまうかもしれません。しかし、実は一つひとつの原理原則が組み合わさっている問題がほとんどです。ですから、原理原則を正確に理解できていれば実は解けない問題はまずないと言っても良いでしょう。

原理原則さえしっかり理解できていれば、あとは長いリード文であってもひるむことなくていねいに読み進み、条件を書き出すなどして整理し、示されているデータの規則性を読み取る、といった理科の実験考察問題の基本とやるべきことは変わりません。

図表、グラフは出ないことはまずあり得ません。また、ひとつだけとも限りませんので、たしかに複雑かもしれませんが、それも図表やグラフ一つひとつを数値を大切に読み取り、規則性が見つけられればしめたものです。解けない問題は出題されませんから、必ずどこかに規則性が潜んでいます。そこは根気強く書き出すなどして見つけましょう。

そして、音や光の問題では作図が必須になることが多いです。算数でも図形の回転など作図をすることがありますよね。必ず規則性が見つかりますし、それを使って作図もできます。ただし、慣れが必要です。いきなり本番で作図しようとしてもどう書けばいいのかわからなくては知識がもったいないですから、普段から作図問題には積極的に取り組んでおきましょう

これらの対策をしておけば、初めて見たような条件設定や見た目の複雑そうな問題が出題されたとしても決して怖がる必要はありません。必ず解ける問題なので敬遠せず、設問一つひとつていねいに取り組んでいきましょう。理科の問題は前の設問の答えが次の問題の答えになっていることも少なくないので、原理原則を忘れず、データを読み切って解き進むよう訓練しましょう。

難しすぎる問題よりもまずは原理原則、基礎基本問題のマスターが大切です。知識偏重にならないよう、さまざまな問題に触れ、いろいろな出題傾向があることに慣れておくことをおすすめします。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、一橋セイシン会にて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。