年令算の解き方をわかりやすく解説!線分図のかき方のポイントとは?

中学受験の算数の問題の中には、「線分図や面積図で解くとわかりやすい」というものが多いです。

その中で、線分図を使うとわかりやすい問題というのは「割合に関する問題」や「和と差に関する問題」などに含まれます。

今回の記事で扱うのは「割合に関する問題」の中に含まれる、「年令算」という単元です。表記としては「年齢算」ともされますが、中学受験算数では小学生が問題を解くために簡単な方の漢字で表記しています。

また、年令算の問題では問題文に特に表記がなくても「ちょうど〇年後の今日」という意味合いで問題を考えます。誕生日の前後によっての誤差を考えません。

この記事では、年令算の問題を条件整理する場合の線分図のかき方のポイントや、よくある年令算の問題の解き方をご紹介します。

ありがちな「良くないかき方」の例

塾の先生やおうちの方が、お子さんに「線分図をかいて考えなさい」とアドバイスすることもあると思います。しかし、お子さんも最初は「線分図ってどういうもの?どうやってかけばいいの?」という状態のはずです。

線分図をかく場合の最も重要なポイントを、お子さんにきちんと伝えられているでしょうか?ポイントを理解できていないお子さんは線分図をかいてもほぼ無意味な状態になります。

(問題)現在、母の年令は42才、子の年令は13才です。母の年令が子の年令のちょうど2倍になるのは今から何年後ですか。

例えば上記のような問題があった場合に、線分図をかいてみたとします。

悪い線分図の見本

上のような図のかき方では、せっかく線分図をかいているのに、この先からどう考えればよいのかが見えてきません。

ちゃんと問題に書いてある条件の通りに線分図をかいていても、「線分図のかき方のポイント」を知っていないと、このようなわかりにくい図をかいてしまうことがあります。

ではどのような図をかけばよいのでしょうか。次に「線分図のかき方のポイント」をご紹介します。

線分図のかき方のポイント

線分図をかくときの最大のポイントは、「同じ長さの分をそろえてかく」ということです。

年令算の問題では、「誰でも同じように歳を取る」ということが重要です。この「同じ分だけ歳を取る」というところで、その分をそろえて線分図に表すことで次にどうするのかがわかるようになります。

では先ほどと同じ問題で線分図をかくとどうなるかを確認してみましょう。

分かりやすい線分図

最初の「わかりにくい図のかき方」との違いがおわかりでしょうか。「□年後」の部分を、線分図の一番左端にそろえてかいています。

  • (問題)現在、母の年令は42才、子の年令は13才です。母の年令が子の年令のちょうど2倍になるのは今から何年後ですか。
  • (考え方)上の線分図では、母と子の「年令の差」に注目して解くことができるようになっています。29才でお子さんを生んだお母さんなら、生きている限りはずっと子どもとの年令の差は変わりません。□年後の母の年令を②、子の年令を①とすると、その差の①が29にあたります。
  • (解答)②-①=①が、41-12=29(才)にあたるので、□=29-12=17より、17年後です。

このように「差が一定なので差に注目して解く」というのが年令算の基本の形になります。(余談ですが、自分が授業をするときは「さいってーだね!!」を連呼します。少しでも生徒にインパクトを残すためです。)

ちなみに、次のような問題でも同じです。

問題B 線分図
  • (問題)現在、母の年令は44才、子の年令は12才です。母の年令が子の年令のちょうど5倍だったのは今から何年前ですか。
  • (解答)⑤-①=④が、44-12=32(才)にあたるので、①=32÷4=8(才)です。□=12-8=4より、4年前です。

このように、「何年後」でも「何年前」でも、2人が同じ分だけ歳を取るので、その差に注目して解きます。これが年令算の一番基本の考え方です。

子ども2人の年令の和

年令算の問題は、先ほど紹介したように2人の年令の差に注目する問題の他にも様々なパターンがあります。中にはおじいちゃん、おばあちゃんまで登場したり、下の子がまだ生まれてなかった年まで遡って考える問題などもあります。

その中で、最もよく出題されるパターンが、「子どもの年令の和」を考えさせる問題です。例えば次のような問題があります。

問題C 線分図
  • (問題)現在、父の年令は40才、私と妹の年令は11才と7才です。父の年令が私と妹の年令の和と等しくなるのは今から何年後ですか。
  • (考え方)①年後の父の年令を①+40、私の年令を①+11、妹の年令を①+7とします。すると、私と妹の年令の和は②+18になるので、①+40=②+18であるとして考えます。
  • (解答)①+40=②+18なので、式の左右の差を考えます。②ー①=①が、40-18=22にあたるので、22年後です。

上の問題のように、父の年令の和と子ども2人の年令の和というのを考える問題では、差一定の問題とは考え方が異なります。父は毎年1才ずつ歳を取りますが、子ども2人の和では毎年2才ずつ歳を取るためです。

このような問題では、「線分図で解く」というよりも、「式の処理の仕方を理解する」というテクニックが必要です。

こうして段階を踏んでいくとだんだんと数学の初歩くらいに近づいていきますね。

分配法則の利用

例えば次のような問題でも、「式の処理の仕方」を理解していないと答えが出せません。(お子さんの中には当てはめてひたすら書き出したり、規則性を見つけて解く子もいるとは思いますが…)

問題D 線分図
  • (問題)現在、母の年令は38才、子ども2人の年令は6才と4才です。母の年令が子ども2人の年令の和のちょうど2倍になるのは今から何年後ですか。
  • (考え方)①年後の母の年令を①+38、子ども2人の年令の和を②+10とします。「子ども2人の年令の和の2倍」とは、「②+10」の2倍なので、「④+20」と考えられます。
  • (解答)①+38=(②+10)×2 →①+38=④+20なので、左右の式の差を考えます。④-①=③が、38-20=18(才)にあたります。①=18÷3=6より、6年後です。

上の問題のように、「子ども2人の年令の和の2倍」を考えるために、「②+10」という式の②も10も2倍にします。これは分配法則の利用による考え方となるので、「×2」が全体にかかることをきちんとお子さんに伝えましょう。

まとめ……の前に

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まとめ

このように、年令算の問題では「式の処理による解法」を学んでおくことでスムーズに解けるような問題も出題されます。これは「倍数変化算」(割合の消去算)にも通ずる考え方になります。

慣れるまでは難しいように感じる子もいるかもしれませんが、いずれも数学の初歩段階のものになるので、理解できるように練習しておくとよいですね。

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