【中学受験】流水算の基礎でつまずかない考え方

中学受験において速さの問題は必須ですが、その中でも様々なパターンの問題があります。

今回はその中の「流水算」という単元の基礎について、つまずかない考え方をご紹介します。

新出単元は最初の導入が大事です。導入部分でしっかりと納得できれば、基本問題の段階でつまずくことはありません。

逆にこの単元ですでにつまずいてしまっている人は、この記事を参考にしてしっかりと基礎を理解していきましょう。

速さは3段階

川のように流れのあるところでは、普段と違う速さになることをお子さんは感覚的に理解できているでしょうか?

もしピンときていないようであれば、流れるプールやエスカレーターを連想してもらうとよいです。流れに乗って動くときと、流れに逆らって動くときでは全然感覚が違いますよね。(ただし、実際にプールやエスカレーターで流れに逆らって動くのは危険な行為なので、絶対にさせないようにしましょう。あくまでも想像の中でお話をしていただければと思います。)

実際に出題される中でも、流れるプールやエスカレーターを題材にした問題はあります。これも流水算の一種ですが、流水算の中で最も多く出題されるのは「川を上ったり下ったりする船」の問題です。

このとき、1つの船について速さは3段階考えられます。

  • 静水時の速さ=川の流れのないところでの船の速さ
  • 上りの速さ=川を上るときの船の速さ(静水時の速さー川の流速)
  • 下りの速さ=川を下るときの船の速さ(静水時の速さ+川の流速)

 

「静水時」という言葉は流水算の問題以外ではあまり使わないと思いますので、お子さんがこの言葉の意味をきちんと把握できているかどうかは最初に確認しましょう。

静水時の速さを基準として、流速の分遅くなるのが上りの速さ、流速の分速くなるのが下りの速さです。この3段階の速さを目で見てわかるように線分図で整理するようにしておくと、混乱しにくくなります。

  • (問題)毎時2㎞の速さで流れている川を、静水時の速さが毎時10㎞の船が往復します。この船の上りと下りの速さはそれぞれ毎時何㎞ですか。
  • (考え方・解答)上りの速さは静水時の速さより流速分だけ遅いので、10-2=8(㎞/時)です。下りの速さは静水時の速さより流速分だけ速いので、10+2=12(㎞/時)です。

また、ポイントとして、上りの時と下りの時で流速が変わらないのであれば、上りと下りの速さの差が流速2つ分であるということも押さえておきましょう。

 

静水時の速さを求める

流水算の問題のパターンはいくつもありますが、基本問題の定番は、問題文から上りと下りの速さが求められ、そこから流速や静水時の速さを求めるというものです。

  • (問題)一定の速さで流れる川があります。ある船がこの川を30㎞上るのに5時間、下るのに3時間かかりました。この船の静水時の速さと川の流速はそれぞれ毎時何㎞ですか。
  • (考え方・解答)上りの速さは、30÷5=6(㎞/時)です。下りの速さは、30÷3=10(㎞/時)です。このことから、川の流速が、(10-6)÷2=2(㎞/時)となり、静水時の速さは、6+2=8(㎞/時)となります。
  • (補足)川の流速が変わらない問題では、上りと下りの速さの平均が静水時の速さになります。そのため、(6+10)÷2=8(㎞/時)としてもよいです。(ここでいう平均とは、「往復の平均の速さ」という意味ではなく、ちょうど中間の速さという意味です。)

上の問題では、距離と時間の条件が与えられているため、上りと下りの速さを計算することができました。ただ、問題によっては比を利用して考えないと答えが出せないものがあります。そのような問題を次にご紹介します。

 

比を使って求める

速さの問題は「速さ」「時間」「距離」の3つのうち、2つが問題文中にあれば残りの1つを計算することができます。しかし、問題によっては、「等しい距離を進むのにかかった時間と速さは、逆比の関係になる」という考え方を利用しないと解けないものがあります。

  • (問題)毎時3㎞の速さで流れる川の上流にP地点、下流にQ地点があります。ある船がPQ間を往復したところ、上りは8時間、下りは6時間かかりました。この船の静水時の速さは毎時何㎞ですか。
  • (考え方)同じ距離を進むのにかかった時間と、速さは逆比の関係になります。かかった時間の比は、上り:下り=8(時間):6(時間)=4:3なので、速さの比は、上り:下り=③:④となります。この差が、流速2つ分にあたるので、①=3×2=6(㎞/時)です。
  • (解答)①=6(㎞/時)より、上り→③=6×3=18(㎞/時)、下り→④=6×4=24(㎞/時)です。静水時の速さは、(18+24)÷2=21(㎞/時)です。
  • (補足)逆比とは、「逆数の比」という意味ですが、2つの数の逆比を考える場合には比を逆にするだけでよいです。(もし3つ以上の数の逆比を考える場合には、逆数から考えましょう。)

ここまで紹介した問題は、「流速が変わらない」という条件の下で静水時の速さが上りと下りのちょうど中間の速さとして考えることができました。これがもし、「流速が上りのときと下りのときで変化した」という問題になると、静水時の速さはちょうど中間ではなくなります。そのような問題を次にご紹介します。

 

流速が変わる問題

川の流速については、特に問題文中に記載がなければ、上りのときも下りのときも一定の速さとして考えます。しかし、例えば急な豪雨やダムの出水などで川が増水し、流れが速くなることは考えられます。そのような問題の場合、船が川を上るときと下るときで流速が変化していることがあります。

まずは、問題文をしっかりと読み、条件通りに線分図をかくなどして整理しましょう。

  • (問題)一定の速さで流れる川があり、ある船がこの川を45㎞上るのに5時間かかりました。同じ船がこの川を下るときには、出水のために流速が上りのときの2倍の速さになっており、45㎞下るのに3時間かかりました。この船の静水時の速さと、上りのときの川の流速はそれぞれ毎時何㎞ですか。
  • (考え方・解答)上りの速さは、45÷5=9(㎞/時)、下りの速さは、45÷3=15(㎞/時)です。ただし、川の流速は、下りのときには上りのときの2倍の速さになっているため、上りのときの流速を①、下りのときの流速を②とします。線分図より、①=(15-9)÷(①+②)=2(㎞/時)、静水時の速さは、9+2=11(㎞/時)です。

流速が変化する問題の他にも、船の故障により静水時の速さが変化する問題などもあります。実にさまざまなパターンの問題を作ることができますが、今回ご紹介するのはあと1問だけです。次にご紹介する問題は、「2つの船の出会いの問題」です。

 

2つの船が出会う

船が出会うというよりは、実際には「すれ違う」という状態ですが、考え方が旅人算の出会いの問題と同じような考え方のためこのように表現しています。

  • (問題)一定の速さで流れている川があります。この川の上流のP地点から船Aが、P地点より90㎞下流にあるQ地点から船Bが、向かい合って同時に出発しました。船Aと船Bの静水時の速さはそれぞれ、毎時10㎞と毎時15㎞です。 2つの船がすれ違うのは出発してから何時間何分後ですか。
  • (考え方・解答)船Aの下りの速さと船Bの上りの速さの和は、流速の分を打ち消すことになるため、静水時の速さの和に等しくなります。90÷(10+川+15-川)=90÷25=3.6(時間)より、3時間36分です。

 

まとめ

今回の記事でご紹介した、「流水算の基礎でつまづかないポイント」は以下の通りです。

  • 速さの問題なので、距離、速さ、時間の関係からわかることを計算する。
  • 「上り、静水時、下り」の3段階の速さを線分図で整理する。(流速が変わるときは特に注意)
  • 同じ距離を往復するときは、上りと下りにかかる時間の比と速さの比が逆比の関係になる。
  • 船の出会いの問題は、流速に関係なく求めることができる。

図で整理する習慣がついていないお子さんは、流水算に限らず速さの問題でつまづきがちです。どのような図をかいて整理していくのかの参考になれば幸いです。

 

(ライター:桂川)

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