急に算数の問題が解けなくなった!?原因は前学年にある

それまで算数で困ったことはあまりなかったのに、急に問題が解けなくなった、テストで点数がとれなくなった、というお子さんは少なくありません。一度習った内容のはずなのに、再度出てきたときには解けなくなっている、というのが最も多いケースです。なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?

大きな原因のひとつとして、4年生で学習した単元でつまずいてしまい、5年生はもちろん、6年生の受験学年になっても穴になっているところがそのままになっているためにどこから手を付けたらよいのかがわからない、という状態になってしまっている、つまり前の学年のつまずきがそのままになってしまっている状態が考えられます。いわば4年生で生じてしまったビハインドを引きずっていしまっているのです。

このような前の学年のビハインドを引きずっていると、次の学年の学習内容についていけなくなってしまい、結果としてほかの受験生に差をつけられてしまう、ということは少なくありません。こういう状態は特に算数で起こりやすい現象です。中学受験の算数は、全学年で学習したことを次の学年で深く掘り下げ、さらに視点を変えた問題を大量に解く、という形で学習が進んでいきます。そのため、前の学年のどこかでつまずいてしまうとリカバーするのが難しくなってしまうのです。弱点をなんとかしたいと思っても、次の週のカリキュラムに追われて復習どころではない、というカリキュラムの速さも原因のひとつです。

しかし、中学受験、特に算数を攻略するためには、こういった前の学年の積み残しは回避したいものです。せっかく塾に通って受験勉強をしているのなら、塾の授業についていけない、という状態は避けたいですよね。塾の授業についていけないと、宿題が出ても自力で解くことができません。そういった回が続いてしまうと弱点部分が増えてしまい、たまってしまうといつまでも追いつくことができず、差がつく受験算数で点数がとれずに焦ってしまうことになってしまいます。

どの受験生でもすべての単元が完璧ということはないので、多かれ少なかれこういったビハインドは生じます。しかし、あまり多いと前にも進めないばかりか後ろにやらなければいけないことが山積みという状態になってしまい、受験学年まで持ち越してしまうと総合問題や過去問をするにもまったく解けない状態に陥ってしまいます。

志望校合格のためには、やはり塾の授業についていけないという状態はクリアにして行きたい課題ですよね。毎回のカリキュラムに完璧についていくことは難しくても、せめて基礎を徹底しておき、それに忠実に問題を解けるように訓練をしていきたいものです。

そのように基礎固めをするためには、授業についていけていない、学習内容を理解できていない、という状態を早期に発見し、改善・克服していくことが何より大切です。今回は、お子さんが塾の授業についていけていないと感じたら確認したいポイントと、伸び悩みの原因となるビハインドの対処法について解説します。つまずいてしまっているな、ときになっている方も、これからつまずかないようにしたいという方も、ぜひ参考にしてください。

4年生の学習内容は5年生以降の土台

中学受験のカリキュラムは、4年生から本格的にはじまります。算数では、4年生段階で基礎中の基礎の考え方や計算の基礎を徹底して学び、それを前提として5年生、6年生でより深く、高度な何用を学んでいくことになります。

そのため、4年生までに学習した内容があやふやだとその先の理解は難しくなりますし、なぜできないのかがわからない状態になってしまいます。よしんば解法の見当はついていてもその解法をどこでどのように使えば良いのかがあやふやだと結局問題を解くことができなかったり、どの解法を使えばいいのか考えている間に時間切れになってしまったりと、思うように学習が進まなくなってしまうのです。

どの教科でも言えることですが、基礎部分、つまりその後の学年で学ぶ内容の土台がしっかりしていないとカリキュラムに乗って先に進むことができなくなってしまいます。特に算数は、その傾向が顕著です。もちろん新しい知識は多く出てきますが、基礎的な計算力や文章題、図形の解法、公式といったものがしっかり身についていないと初見の問題を解くことはできません。そのため、土台をしっかり作っておくことがとても大切な教科だと言えるのです。

特に計算と図形は、4年生で学習する内容が土台となっています。5年生で分数を学習しますが、そこでつまずくお子さんは少なくありません。小数のかけ算やわり算が出てくると混乱してしまってさらに解けないという状態になってしまいます。計算問題ぐらい、と思われるかもしれませんが、算数は最終的に計算に持ち込んでそれを正確に解き、答えを出していく教科です。ですから、「○○くらいあとでやれば」という考え方は危険です。

中学受験生のお子さんを見ていると、3年生までは算数が好き、計算が好き、もっとやりたい、というお子さんはとても多いです。しかし、4年生で受験カリキュラムが本格的にはじまり、進度も速くなってくるとだんだんそういった気持ちが薄れてしまい、5年生になる頃には算数に対して苦手意識を持ち、6年生になると焦るけれども問題が解けずに混乱してしまう、ということが本当に多いのです。その原因となるのが4年生の内容のビハインドです。

4年生のビハインドを放置するとどうなる?

受験算数では4年生で学習する内容が土台となり、そこに5年生、6年生の学習内容が積み重ねていきます。4年生の土台がきちんとできていない、つまりビハインドが生じてしまっているのにそれを放置してしまうと、土台が埋まっていないのに道具もなく新しい問題を解き続けていく状態になります。ですが、何を使って問題を解けばよいのかがわからなければさらにビハインドは大きくなってしまいます。

中学受験の算数では、小学校の学習指導要領を超えた内容が出題されます。つまりやるべきことが非常に多いわけですね。だからこそ塾の授業はスピードも速く、レベルも高くなるのです。また、一度カリキュラムに乗ったなら、後ろを振り返って基礎に戻ってくれるということはあり得ません。戻っていると受験カリキュラムが終わらないからです。

そのため、一度ビハインドができてしまい、それを放置していると誰も手を貸してくれないということになってしまいます。だからこそ放置の山となり、一気に成績が下がるときがやってきます。そうしたときに何を同対策すればよいのかがわからなくなってしまう、それがビハインドを放置する怖さです。いくらたくさん問題を解いて克服しようとしても、ビハインド部分を放置したままでは解くことができず、時間を無為に過ごしてしまうことになり、当然のことながら結果がついてきません。

ビハインドを克服するための対処法

このように積もり積もってしまうとなかなか解消できない前学年のビハインドですが、克服する方法はあります。気づいたときに時間をとるのが一番なのですが、カリキュラムをこなしながら並行してやるのは難しい・・・と思われるかもしれません。しかし、学年のタイミングごとに対処法があるので、意識すべきこととともにご紹介します。

4年生中なら何が何でも基礎固め

4年生で学習する内容が固まらないと、5年生、6年生で大きなビハインドとなってしまいます。ですから、4年生の間は何が何でも基礎固めを意識して学習することが大切です。

どうしても受験を意識すると、スタートダッシュを早く決めたい、少しでも有利に進めたい、という考えが芽生えてしまいます。また、「できる子だと塾の先生に思ってもらいたい」という気持ちも出てくるものです、そのため、毎回のカリキュラムの土台固めよりも先取り学習を意識しがちなご家庭が多いのが4年生です。

4年生は受験カリキュラムの始まりなので、最初のうちはそれほど負担に感じないことが多いでしょう。そのため、できるうちにどんどん先に進めたい、とお考えになる保護者の方は少なくありません。なかには算数が非常に得意で、4年生の内容は完ぺき、5年生の分まで進められるというお子さんもいらっしゃいますが、そういう方はまれです。急ぎ過ぎると毎回の内容がおろそかになってしまいます。毎回学習する内容がきっちり頭に入っているか、それを使って問題が解けるか、ということが何よりも大切です。

4年生で完璧にしたいこと

4年生の間にしっかり定着させておきたい内容として、代表的なものを挙げておきましょう。

・四則計算の基本(たし算、ひき算、かけ算、わり算)
・整数計算の筆算(たし算、ひき算、かけ算、わり算)
・計算の工夫(四則の順番、カッコのついた計算)
・小数・分数の仕組みの理解と計算
・図形の性質(角度、面積の求め方など)

こうした内容は、今後学習が進んでいくたびに出てくることです。つまり、ここで土台を固めることができれば、新しいことが付け足されることはあっても、その単元を一からやり直す必要がないので、その単元の勉強に集中できます。

何よりも大切なのは、学習した内容が定着しているかどうかです。「わかった」だけでは足りません。学習したことを「使いこなして問題をとける=できる」程度まで自分のものとすることこそ重要です。学習した内容が定着しているかどうかをチェックするときには、お子さんの家庭学習=宿題の解き方を観察してみましょう。チェックポイントは以下の3つです。

・正確に問題文を読み、計算できているか
・問題文を読むスピードと計算のスピード
・解答プロセスを丁寧に表現できるか(途中式がきちんと書けるか)

この3点については、「なんとなく」では足りません。これらがすべてできていてこそその単元の土台が固まったということです。もし少しでもつまずきが見られた場合は、その問題を抽出して集めておきましょう。弱点を集めておき、テスト前にもう一度解いてみる時間を確保することが成績をアップするカギになります。

また、4年生は、小学校の勉強の機会も活用しましょう。計算問題や図形の基本、文章題の基本に取り組む時間が必ずあるので、基礎基本の確認には最適です。必ずやらなければいけないことなので、その時間も無駄にせず、受験勉強に活かすという意識も大切です。

5年生以降はビハインドの早期発見がカギ

5年生以降も、4年生と同様、ビハインドの内容に注意すべき点は共通です。ただし、受験時期が近づいてきており、また、5年生で学習する内容が中学受験の中心となるという大切な時期です。そのため、毎回の学習内容にしっかりついていき、取りこぼしをできるだけ少なくすることが大切です。

そのためにはもちろん4年生のビハインドを埋めることが大切です。それと同時に、毎回の学習の中で、ビハインドがないかどうかを見極める「早期発見」が非常に大切です。どうしてもスピードが速くなり、解く問題の量も多くなるので先に先にと気持ちが焦るものですが、土台ができていないのにひたすら問題を解いても身につきません。

大切なのは「何ができていないのか」を把握すること

塾でおこなわれる小テストなど、前回の授業の基礎が問われるようなテストで点数が下がってきていたら、ビハインドが出現したタイミングだと言えます。それが5年生で新しく習った内容なのか、それとも4年生で学習した基礎基本部分に原因があるのか、といったことをしっかり見極めましょう。

そして、できていないところが分かったら、その結果だけ見て「ここができていない」というのではなく、「どこまでができていて、どこができていないのか」という点に着目しましょう。ひとつの単元の中にもさまざまな問題があり、使われている考え方が増えるのが5年生の算数です。「こういうタイプはできている」「このタイプはできていない」「それはなぜか」というプロセスを踏んで、現在の実力をしっかり把握しておくこと、そしてつまずいている単元をしっかり認識しておくことが大切です。

ビハインドが見つかったら

5年生でビハインドが見つかった場合、それが5年生のビハインドなのか4年生のビハインドなのかを見極めることが大切です。もしビハインドとその原因が見つかったら、1つにつき時間を決めて家庭学習で克服するための学習をしましょう。塾のテキストの例題、もしそれも難しいようなら同じ単元の4年生のテキストの例題に戻って、解法そのもの、公式の暗記をし直すひと手間が、その後の学習ペースの維持にとても重要です。

また、特に計算問題でつまずいているようなら、毎日10~15分程度時間をとり、計算練習をおこないましょう。また、一行問題を解いてみて、単元の基礎が理解できているか試してみるものおすすめの方法です。

苦手な単元、つまりビハインドになっているところを克服するのは辛いと思うかもしれません。しかし、それをしておかないとその先もっとつらい思いをします。早期発見、早期の対処こそが受験学年への切符となるのです。反復練習をする時間を細切れでも良いのでとり、早め早めにつぶしていきましょう。

成績が下がってきた!克服のためのポイント

ビハインドを早期に発見し、早期に対処することが今後の学習をスムーズに進めるために大切だということはお判りいただけたかと思います。しかし、できるだけ今後もビハインドが出ないようにしていきたいものですよね。そのためには、成績が下がってきたときにチェックしておきたいポイントをしっかり押さえておく必要があります。もし成績が下がっていたら、当てはまることがないかチェックしてみてください。

 塾の出席状況はどうか

塾がはじまる時間は平日は17時ごろであることが多いです。小学校から帰ってきてから急いで塾に向かう、というお子さんも多いでしょう。ただし、事情によって遅刻や欠席が多いお子さんもいらっしゃいます。もちろん、熱を出した、風邪をひいた、といった場合は、今のご時世もありますから、無理は禁物です。しかし、それ以外の事情で遅刻や欠席が多い、というのはあまり良い状況ではありません。

遅刻や欠席が多いということは、その時間分授業に参加できていないということです。毎回違う内容を学習しますし、学年が上がるごとに内容も難しくなります。そうすると1回分抜けてしまったり、導入部分を聞きのがしたりということが積み重なると、その次の回の授業を聞いても内容が理解できなかったり、小テストで点数がとれなかったりするので、追い付いていくのがだんだん大変になってきます。

特に最初の15分程度は前回の授業で学習したことの小テストがおこなわれる塾が多いです。小テストだからあとで問題をもらって家でやればいい、と思うご家庭が実は非常に多いのです。もちろん間に合わない場合はそれでもかまいませんが、あまりに続くようだと考えものです。制限時間内で、ライバルに囲まれて小テストに向かうのと、家でのんびり問題を解くのでは雲泥の差があるからです。

なかには私立の小学校に通っていて、家から遠いため、塾にどうしても遅刻してしまう、というお子さんもいらっしゃいます。その場合は物理的に無理なので、小テストは家で時間を計り、しっかり採点までおこないましょう。しかし、塾に行く前に宿題をやっつけていて遅刻した、忘れ物をした、といった理由で遅刻してしまい、小テストや導入部分の授業を聞きのがすことは禁物です。

集団塾の場合、遅刻したり休んだりした部分についての授業内容は自分のためだけにもう一度やってくれるということはありません。ですから、その分は自分で取り返すしかないのです。独学で1回の授業分の内容を取り返すのは大変です。はじめての単元の場合は特にそうです。例題1問解くにも時間がかかり、その週の宿題に至っては手がつけられないということも少なくありません。

こういった事情でビハインドが生じやすいので、受験を決意したのなら、よほどのことがない限り遅刻や欠席はしないようにしましょう。体調不良は仕方ない部分がありますが、どうしてもハンデになってしまいやすいので、体調を崩さないように保護者の方が健康管理をしっかりしてあげてください。

授業にまじめに取り組んでいるか塾に聞く

塾の授業に毎回出席できることは受験勉強の第一歩ですが、いくら出席していても真剣に取り組んでいなければその時間は無駄なものとなってしまいます。面談などの機会や電話をかけるなどして、塾でのお子さんの授業態度を定期的に確認するのも大切です。内容を理解できているかどうかはまた別の話です。そもそものお作法として、授業を真剣に受けているかどうかをチェックしましょう。チェックポイントは以下の通りです。

・私語が多い、居眠りしているということはないか
・聞いているだけになっていないか
・わからないことを放置していないか

私語が多い、居眠り

塾に通っていて「塾が楽しい」とお子さんが言っているときには2つの意味があります。「知らないことが分かって嬉しいから楽しい」「友達とおしゃべりできるから楽しい」の2つです。前者はまさに塾に通って得るべきことですからもちろん「良い楽しい」ですが、後者は問題です。

塾での勉強より友達とおしゃべりをしていることを重視しているとしたら、それは受験勉強に身が入っていないということです。そして、その原因も重要です。毎回の授業についていけないから、休み時間だけが解放されて楽しい時間になってしまっている可能性があります。そうすると、毎回そうなってしまい塾の先生の授業を聞かず、内容が理解できないということが繰り返されてしまいます。私語については先生が注意しますが、それでも止めない生徒さんもいるので要注意です。

居眠りをしてしまう場合、睡眠不足であることが多いです。受験生は小学校の授業以外に塾で授業を受け、宿題もするので1日のスケジュールが詰まっています。すべてを完璧にこなそうとして練るのが夜中になってしまうことも。しかし、それでは長丁場の中学受験生活をしっかり走り抜けることができません。そのため、授業中の様子を塾に聞き、居眠りをしている様子があれば、ご家庭での睡眠時間確保、スケジュール管理を見直す必要があるでしょう。

こうした私語で集中していない、居眠りをしている様子は、お子さんが授業から帰ってきてノートを見れば一目瞭然です。そこで叱っても反抗してしまうことが多いでしょうから、塾に相談し、先生にお子さんと話してもらう時間をとってもらうことをおすすめします。

聞いているだけになっていないか

授業中聞いているように見えて、小テストをするとまったく点数がとれないというお子さんは少なくありません。授業態度は問題なく、しっかり聞いているように見えても、本当に聞いているだけで、内容が頭に入っていないお子さんがこのタイプに当たります。

一見まじめに見えるので、きちんと授業を聞いていると先生も思うため、問題はないと思われがちなのがやっかいなところです。お子さんも「今日もきちんと授業受けてきたよ」というでしょうし、発見が遅れやすいのです。実態を把握することが非常に重要です。

そこで簡単にチェックできるのが、授業中のノートのチェックです。板書の写し漏れや落書きが見られたら、集中できていない証拠です。また、キレイに板書を写していても、「これってどういう問題なの?」と聞いて答えられなければ、ただ写しているだけで内容が頭に入っていない証拠です。

また、家庭学習で宿題をしているときの姿勢もチェックポイントです。授業の内容が頭に入っていなければまったく解けないということはないはずです。しかし、もし基本問題で解けない、あるいはつまずいている場合は、やはり授業の内容が分かっていないことが多いです。家で宿題を解くときに塾の先生の説明を再現できないということは、理解できていないということです。理解できていなければ問題も解けません。こういった「聞いてるふり」は要注意です。早めに発見し、塾の先生に対応をお願いするのが得策です。

わからないことを放置

わからないことをそのままにしてなんとなく宿題を解いてまた次回も同じことを繰り返すというのも、ビハインドを生む原因のひとつです。わからないことをそのままにしてしまうお子さんの特徴として、控えめで「わからないことをわからないと言えない」ことが挙げられます。まじめでおとなしい性格のお子さんがこういう状態になってしまいがちです。

また、わからないと言うと保護者の方に怒られてしまうかもしれない、という意識もわからないところをわからないと言えないことにつながりかねないので注意が必要です。わからないとことをわからない、と言えるような環境を作ってあげることも保護者の方の大切な役割です。

また、そういった性格のお子さんの場合、授業中にわからないことがあってもそのあと先生をつかまえて質問することができない、ということも多いです。授業中はカリキュラムを進めるために集団塾の場合質問を受け付けていない場合もあるので、そのあとに質問したい旨事前に連絡しておくと良いでしょう。ただし、塾によっては1問聞いたらまた最後に並んで聞く、そのため帰りが遅くなる、ということもあるので、お子さんの性格と時間の兼ね合いも考慮して、個別指導でわからないところをはっきり示して一緒に解決していくのもひとつの方法です。

わからないことをわからないと言えない、というのは「ここがわからない」とわかっていることが前提です。授業を聞いておらず、どこがわからないのかわからない、という状態はこれとは違います。お子さんがどのタイプなのかチェックしてみてください。ただし、叱るのではなく、「わからないところをわかりたくない?」というように、前向きに頑張っていこう、という声掛けをしてあげてくださいね。

家庭学習の状況を保護者がチェック

塾の授業にはきちんと出席している、授業も聞いてきている、でも宿題をやらない、というお子さんも多いです。ですが、一度聞いてきただけで100%その単元の内容が理解できるお子さんはまずいません。そのために宿題が出るのであって、授業で習って「わかった」ことを「できる」ようにするプロセスが大切なのです。

家庭学習をしっかりしなければ、せっかく時間を使って塾に通って授業を聞いてもその内容はすぐに忘れてしまいます。塾の宿題は、授業の内容を理解し、定着させるために出されるものですから、それをおろそかにするということは一番大切な理解・定着のプロセスを省いてしまっているのと変わりません。そのため、1週間のスケジュールを作り、いつ、どのタイミングでどの教科の宿題に取り組むかを親子で共有しておくことが必要です。

特に多いのが、「期限内に宿題をやらない」受験生です。よく見かけますが、宿題のノートを提出してもらうと書きなぐっていたり明らかに答えを写していたりしている生徒さんがいます。これは、「今日宿題を出さなければいけないからギリギリにやればいいや」という気持ちを持っているからです。しかし、前の授業から1週間たっていると内容の記憶は薄れ、「あれ、どうやって解くんだっけ」ということになり、でもやらなければ怒られるのでやる、という良くないループにはまっているお子さんは少なくありません。

なかでも、計算や漢字といった、毎回テストがあるようなものは、塾についてから5分間テキストをながめてテストを受けてすぐ忘れる、という生徒さんは非常に多いです。これでは定着は図れません。

家庭学習は計画的にしていくことが非常に重要です。もし家に帰ってきて習ったことを再現できていないということは、授業の受け方など、何かしらの問題が生じていることがほとんどです。加えて、習ってから時間が経てばたつほど忘れてしまうということを前提に、できるだけ記憶の新しいうちにまず宿題をやるようにうながしてあげてください。

まとめ

中学受験は、いわば高い山を登山するのと同じです。合格という頂上を見据えて日々勉強していくわけですが、どうしても頂上にばかり気が行ってしまい、それまでのプロセスをおろそかにしてしまいがちになります。それこそが「ビハインド」です。

前の学年の学習内容が理解できていないビハインドが生じている状態では、先に進むことができず、たまっていくと解けない問題が増えていき、どこから手を付けたらよいのかがわからなくなってしまいます。だからこそ、足元をしっかり見ながら基礎基本、土台を大切にするよう意識しながら、少しでもつまずきがあったときには戻って土台を固めることも大切です。

ビハインドは、受験生なら必ず経験することです。いまはうまくいっているから、と思っていても、単元が移ると、あるいは学年が上がるといきなり生じます。油断せず、理解・定着度合いをこまめにチェックしてあげるのは保護者の方の役割です。お子さんはなかなか冷静に自分の状態を把握できないからです。

ぜひ、ビハインドを早期に発見し、ひとつずつ克服していきましょう。今回ご紹介したチェックポイントを確認していただき、当てはまるところを改善して万全の受験態勢を整えていきましょう!

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。