【中学受験】休校中の今だからこそ考えたい「自分の勉強」の大切さ

現在、小学校が休校中の受験生の方は、毎日どのように過ごしていらっしゃるでしょうか。塾もオンライン授業を始めるなど、通常とは違う受験生活を送っていることと思います。落ち着かない中でも、カリキュラムは進んでいきますが、いつもと違うのは、小学校が休校中だからこそできることがあるということです。

それは、通常学校と塾のスケジュールに追われているとできなかった自宅学習の時間が多く取れるということです。今までなら詰まっていたスケジュールに空きができたといってもよいかもしれません。この時間の使い方が、今年の受験生の合否を分けるといっても過言ではありません。

時間が空いているからとただ惰性で勉強していても、効果は上がりません。大切なのは、目標をもって勉強をすること、そして何より「自分の学習」をすることです。「自分の学習」とは、決められた塾のカリキュラムに沿った追われるような勉強ではなく、今自分に何が足りていなくて、克服するために何をしたらよいかということを意識しておこなう勉強のことです。

普段のスケジュールでは、自分の学習をする時間はまず取れないことが多いでしょう。夏期講習など長期の休みの期間であっても朝から晩まで塾のスケジュールで勉強することになり、結局は自分の学習や復習に充てられる時間はほとんどなく、秋になって基礎に穴が見つかってあわてる、ということが少なくありません。

自分の学習をする時間をいかに確保していくかということは、受験勉強をすすめていくうえで非常に重要なことなのです。また、時間を有効活用することにつながるため、自立心を養うこともできますし、自己管理ができるようになるというメリットもあります。

いま必要な「自分のための学習」について、休校中の今だからこそ、考え直してみませんか。今回は、自分のための勉強の有用性や、すすめていくうえで気をつけたいことなどについてご紹介していきます。

今から必要なのは、自分のための学習

受験生の皆さんは、普段塾で集団授業を受け、宿題という形で、次回の確認テストまでに自宅学習をしてその単元を定着させる、というルーティーンをこなしてきたと思います。新型コロナウィルスの影響で現在、そのルーティーンが崩れてしまいそうになっていませんか?休校期間中という普段と異なる環境の中でどのように受験勉強をすすめていけば良いのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

普段の塾での授業、模試のなかでおこなう勉強は、いわば「他人と比較した学習」です。集団授業では、どうしてもクラス全体のペースに合わせなければならないため、一人ひとりの状態にまで目を配って授業をしてもらえるわけではありません。そのため、授業で扱われるのは実は自分の得意としているものが多く、苦手な部分を扱ってもらえないということも起こりえます。そのような経験はないでしょうか?

そのようなことが続くと、あっという間に苦手分野や単元を理解できないまま、どんどんカリキュラムが先に進んでしまうというケースが多くなります。苦手分野があるということが頭の片隅にあると不安感を抱いてしまい、受験勉強に集中できなくなってしまうこともあります。実は、受験生や保護者の方からご相談を受けるのもこの点についてであることが非常に多いのです。

模試で成績が出ないのはなぜ?

また、模試では順位や偏差値といった数字がでるので、明確に他人との比較結果が出ます。成績がよくて、このような数字がモチベーションにつながる場合であれば良いですが、苦手分野が集中的に出た、ミスを多発した場合など、思うように数字が出せない場合には、それが焦りに繋がりますよね。実際に今まで受けた模試で、成績表だけ見て頭に血がのぼり、なぜこんな成績なの、とお子さんを攻めてしまった保護者の方も多いですが、それでは模試を受けるたびに受験生は恐怖感を抱いてしまって、思うように自分の実力を発揮できなくなってしまいます。

このような事態を打開するために必要なのは、解けなかった問題を解けるようにする、つまり×を〇にする体験を積むことです。模試は自分の力を測るバロメーターですから、受けっぱなしで終わらせるのは非常にもったいないことです。これから自分がやっていくべき学習の目標を立てるために模試はあるので、その結果は本番とは異なります。この点については意識を変える必要が特に受験学年の場合にはあるのです。

模試などで結果を出すためには、×を〇にする必要があるのですから、間違えたところをよく分析する必要があります。そして、基礎的な知識が足りなかったのか、問題文を読み間違えたのか、スピードが足りなかったのか、書き間違えなどのミスをしてしまったのか、ということを1問1問分析して、できなかったことをできるようにするというステップが必要になってくるのです。

今だからこそできる、自分の学習

これまでは、学校と塾のスケジュールに追われて、模試を受けても×を〇にするという学習ができていないという受験生の方は少なくありません。では、今のように、長期間に渡って小学校が休校になり、自宅にこもって一人で勉強しなければならないようなシーンでは、どのように勉強していけばいいのでしょうか。生活の場と学習の場が直結するため、普段以上の自己管理能力が求められますが、一方で、日頃の「他人ありき」の学習、つまり誰かと自分を比べるという学習から離れ、自分のための学習に目を向けられる良い機会なのではないでしょうか。

たとえば、普段の塾の授業で問題演習をする場合、解くのが遅い人は与えられた時間内に解ききれず、自分で答えを導き出す前に解説が始まってしまうので、それをノートにとって自分で解いた気になり、わかった気になって終わってしまうパターンが非常に多いです。ですが、それは「解いて見せてもらった」だけであって、自分の力で一から最後まで解ききったというのとは全く性質が違います。この「わかった気になった」というのは、受験勉強をすすめていくうえで最も問題になる点です。人の力を借りているのに自分で解いて自分で理解したと錯覚してしまい、次に同じ問題が出たときにやはり解けず、「あのときはできたのになぜ解けないんだろう」という疑問がわいてしまい、それが苦手意識につながってしまうからです。

実際の入試や模試では、覚えた公式、知識や解法が武器になります。それらフル活用して、自力で正解できるようにしていかなければなりません。それには時間がかかります。しかし、塾のカリキュラム以外に、自分がやるべきことを残していては、なかなか目に見えて成果を出すことは難しいままです。「自分のための学習」をおこなってこそ苦手分野や単元を克服し、×を〇に変えることができるので、その時間を十分にとることができなければいつまでも×は×のままで、平行線をたどってしまいます。つまり、×を〇にするためには、自分の学習の時間をしっかりとる必要があるということが言えるのです。

「自分の学習」をするために必要なこと

いま、未曽有の状況ではありますが、当分の間小学校の休校は続くと考えられます。塾のオンライン授業や学校の宿題はあるかもしれませんが、自宅学習の時間が飛躍的に増えることになります。ぜひこの機会を活用して、自分のペースで、苦手分野を克服していくようにすることをオススメします。その際には、あわてて大量の問題を解こうとするのではなく、まず自分の苦手とする分野や単元をしっかり洗い出しましょう。そして、実際にそれをつぶすためには、ゆっくりと丁寧な学習を心掛けることが大切です。ある程度の時間をかけなければ苦手分野を克服することは難しいからです。

普段は模試やクラス分けなどで相対評価を気にする毎日ですが、それは便宜上おこなわれていることなので、必ずしも普段模試の成績がいいから、クラスが上位だから志望校に全部合格するとは限らないのです。どうしてもクラスの昇降が気になってしまい、クラス分けテストの対策ばかりに時間を割いてしまいがちですが、今はそういう状況ではありません。自宅学習の時間がしっかりとれるので、志望校に合格するために必要なボーダーラインを考えて、今の自分の実力を把握することに努めることができます。

志望校合格のために組まれた塾のカリキュラムは自宅学習でも使えます。自分がどこができていなくてどこができているのかということをまず洗い出しましょう。そのうえで、目標を立てて、今の時期にどこまでできるようになろう、と決めて学習を進めることが重要です。もちろん、計画は日々変化していきますが、大切なのは「自分が志望校に合格するために必要な学習をする」ということです。ですから、計画が変化しても動じないことが大切です。

苦手分野や単元の洗い出しは、ぜひ保護者の方が受験生と一緒に行ってあげてください。受験生と言っても小学生です。自分を客観視することはなかなかできず、「これはできていたと思う」で片づけてしまうことが多いので、「思おう」ではなく「できた」のか「できなかった」のかということを、保護者の方の大人の目でしっかりチェックしてあげることが必要です。

ただし、気をつけていただきたいのは、このような洗い出しは、お子さんを叱るためにするのではなく、あくまで「入試に向けた自分のための学習」をする材料をピックアップするためにおこなうということに注意することです。最初はあまりに数が多いと思わず「今まで何をしていたの!」と言いたくなるかもしれません。ですが、怒っても解決するわけではありません。これから克服していくのですから、「これができるようになればまた一歩目標に近づくね!」という前向きな姿勢をお子さんと共有していきましょう。

「自分のための学習」で自己管理能力を身に着ける!

今まで経験がないために、自宅学習というものに対して、親御さんとお子さん共に苦手意識を持っているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、今、小学校が休校中だからこそできる、今しかできない学習法はたくさんあります。それが×を○にする自分のための学習です。

もちろん、自宅学習の場合、普段ほど時間に追われる感じがないため、時間の管理に関しては普段以上に気を配る必要があります。毎日必ず、科目毎に目標設定をしてから学習をすすめるようにしましょう。算数ならば、「今日はテキスト第〇回の例題と基本問題、問題集の基本問題を、完璧に解ききるまで演習する」といったように、具体的で分かりやすい目標設定をするのがオススメです。抽象的に何時間算数を勉強する、では、結果を開けてみると時間をかけるだけかけて1問しか解いていない、ということも起こりえるのが小学生だということを改めて自覚していただきたいと思います。

また、学習内容そのものだけでなく、「自身の実力を把握し、目標設定をした上で実行できる」という能力は、これから長い受験生活を送る中で非常に重要な能力となってきます。苦手な分野への理解を深めながら、自身の勉強スタイルをしっかりと見つめ直せる機会は、なかなかありません。今の状況を逆手に取って、時間を有効に活用できるようにしていくことをオススメします。

まとめ

これまで、自宅学習で気をつけたいこと、考えたいことについてまとめてきました。まずは、しばらく日々の自宅学習を進めてみて、3日程度やってみたら、1日当たりにお子さんが処理可能な学習量を把握しましょう。それができたら、今度は1週間ごとの学習計画も作っていきましょう。先の見えない学習では、モチベーションを保ち続けることは困難です。小さい目標をコツコツと達成することによって、先々の学習意欲も上がっていきので、学習計画をたてながら進めていくことはとても重要です。

学習計画を立てる際は、必ず親子で一緒に考えるようにしてください。計画を共有することで、親御さんによる学習ペースの把握もスムーズになります。また、詰め込み過ぎないようにすることも大切です。入試は4教科トータルで合否が決まりますから、それぞれの教科で苦手分野や単元を洗い出し、1週間の間にバランスよく入れていくのがコツです。ぎゅうぎゅうに予定を詰めると、結局ストレスがたまりすぎてしまい、時間を無駄に使うことになってしまいますので、実現可能な時間配分を一緒に考えていくことをオススメします。

また、1つの科目にばかり注力していると、休みが明けた後に他の科目のフォローをしなければならなくなり、その負担が重くなって結果的に苦しむことになります。おろそかになりがちな理科や社会の暗記、国語の漢字練習や慣用句・熟語の暗記などにも、毎日必ず触れることを忘れないようにしましょう。それが基礎固めにつながりますし、特に国語に関してはすべての教科の基本になるので毎日触れるようにしましょう。言葉がわからなければ算数の文章題も解けませんし、理科や社会の長いリード文を読むことができません。バランスがとても重要だということを忘れないようにしてください。

自宅で親子で過ごす時間が増える今の時期は、お子さんの学習に対する姿勢を観察するよい機会です。もし気になることが出てきたら、親子でしっかりと会話し、今何を考えて勉強しているのかを聞き取ったり、志望校や日々の目標設定、普段の塾での学習などについての不安を聞き出してみましょう。今後の学習に役立ちます。

また、もし自力で苦手分野の克服が難しい場合には、個別指導を導入してもよいでしょう。個別指導の場合は、お子さんがどこでつまずいているのかをしっかり把握してくれます。また、他の受験生と比較することもありません。問題の解き方ひとつとっても、お子さんの癖を見極めてくれます。お子さんがなかなか自分の学習を進めることができないような悩みを持っているときは、よく話し合って早めに手を打つことが必要です。自分だけでは何日もかかってしまう苦手分野の克服が、もっと早く理解し、できるようになるまでに前進するのが個別指導のよいところです。

自分のお子さんがいまどういう状態なのか、志望校までの距離をどのように縮めていけばよいのかということは、保護者の目から見ると「こうすればいいのに」と思うかもしれませんが、1人で勉強していてもなかなか解決しにくいものです。この機会に、個別指導でつまずきの原因を分析してもらうのもオススメです。

小学校が休校中の今だからこそできることはたくさんあります。特に「自分のための学習」をする時間がある程度多く確保できるのは受験生にとって決してマイナスではありません。むしろ先の志望校対策を考えた場合、メリットになる可能性も高いです。ぜひ塞ぎ込むことなく、先を見据えた受験勉強を進めていくように保護者の方と受験生がタッグを組んで毎日を送っていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。