【中学受験】低学年のうちにつくっておきたい土台とは

中学受験というと、小学校4年生から集団塾に通い始め、決められた受験までの学習カリキュラムを日々こなしていく、というイメージをお持ちの方も多いと思います。また、4年生からの本格的な受験カリキュラムに入る前に、各受験塾の低学年講座にお通いになり、勉強をすることが当たり前になるように習慣づけを心がけているというご家庭も多いです。

中学受験は長丁場です。そのため、成績の浮き沈みや、精神的なアップダウンも何度も経験することになるでしょう。そんなときに戻るところは、「中学受験をしてあの学校に行きたい」という、受験に対するモチベーションです。モチベーションにはいろいろありますが、受験を考えている学校で、お子さんがのびのび学校生活を送り、部活動や課外授業にも積極的に取り組むことによって一段も二段も成長してくれることを望む保護者の方は少なくありません。さらに、大学進学実績も備われば、何としてもその学校にお子さんを進学させたい、とお考えになることでしょう。

では、お子さん自身のモチベーションはどうでしょうか。実際に受験勉強をするのはお子さんなので、自分自身が勉強をすることの「意味」について少しずつ理解していき、本格的な勉強が始まったらすっとそのカリキュラムに載っていけるだけの「やる気」が必要です。それは志望校へのあこがれだけではなく、できないことができるようになったり、知らなかったことがわかるようになったり、はたまた勉強しているところを褒めてもらえてうれしい気持ちになり、さらに頑張ろう、という気持ちになったりとお子さんによって様々です。

小学校低学年は、本格的に始まる受験勉強の土台をつくるうえで大切な時期です。わが子に受験をさせるかさせないか、させるとしたらどういう学校が我が子に向いているか、受験勉強が本格的に始まるまでにやっておくべきことはどんなことがあるのか、といったことを保護者の方がまず考え、さらには親子で共有して、一緒の方向を向いて頑張りきる姿勢が必要です。

今回は、低学年のうちにつくっておきたい、中学受験の土台についてまとめていきます。まずは受験ができる環境かどうか、受験を決めたら低学年のうちに身につけておきたい力やご家庭でできるサポートについて解説するので、参考にしてくださいね。

中学受験で成功する条件とは?

中学受験で成功する、ということは、もちろん志望校に合格することです。志望校の偏差値などはご家庭によって異なりますし、ご家庭の教育方針によっても、どこの中学校を受験するかということは変わってきます。ですから、細かく「この学校を受けるならこうでなければ」ということは特にありません。

ただし、中学受験を乗り切るために必要な条件というものは存在します。大きく分けて4つあるので、まずは受験勉強を始める前にチェックしてみてください。

中学受験で成功する条件には、大きく分けて4つあります。

・家庭に経済的余裕はあるか
・保護者の時間・労力がかけられるか
・子供の基礎学力は備わっているか
・子供の意欲はあるか

では、一つひとつ具体的に見ていきましょう。

家庭に経済的余裕はあるか

中学校は義務教育です。公立であれば中学校に通うために必要な費用はそれほどかかりませんし、なにより中学受験をしなければ受験に必要な費用が掛かりません。私立中学校を中心として、受験をして中学校に通う場合は、学費をはじめとした入学後の費用だけでなく、塾に通って勉強するのに必要な費用も高額なものになります。あえて学区にある公立を選ばないのであれば、それなりの費用が掛かることは覚悟しておきましょう。

中学校案内などが発売されていますので、初年度の学費や入学金、設備費など、安くていくら、高くていくらくらいかかるのか、まずは調べてみてください。高等学校に進学すると助成金が出るので少し安くなりますが、義務教育である中学校の間は満額支払わなければならないので、3年間でいくらかかるのか把握しておくことはとても大切です。

また、塾にかかる費用の相場も知っておきましょう。塾の月謝、季節講習にかかる費用、模試の費用などが大きな項目になります。塾の月謝や講習費用は、学年が上がるごとに高くなっていきます。通う日数が増えるだけでなく、講習期間の授業時間が長くなるからです。4年生の月謝だけ見て、これなら大丈夫、と思っても、6年生になれば倍近くになることもあります。入塾費用を徴収する塾もあるので、こちらも4年生から6年生まで、1年間にいくらかかるのか、トータルでいくらになるのかをしっかり把握し、月々に平均してきちんと支払っていけるのかどうかを検討することが重要です。

保護者の時間・労力がかけられるか

中学受験は、親の受験とも言われます。受験生は小学生なので、情報収集や学習計画を立てるなどといったことも自分ひとりではなかなかできません。「うちの子は自分で計画立てているから・・・」と思っても、実はできていないというケースは少なくありません。

小学生はまだ脳が発達途上ですから、その日何をやるか、ということは考えることができても、1週間、1か月、3か月、半年・・・といったように、先を見据えた計画を自分ひとりで立てることはまずできません。ですから、保護者の方がお子さんの力や進捗状況をよく見ながら、短期的・中期的・長期的な学習計画を立て、それをさらにタイミングによって見直して修正していくことがとても大切です。それにはそれなりの時間と労力がかかるので、その点はしっかりサポートしなければならないという点は、最初から意識しておきましょう。

学習計画は特に受験カリキュラムが本格的に始まってから力を入れて立てていくことになりますが、低学年の間から、1日の生活リズムを作るためにも、簡単な1日の計画表を作っていくと良いですね。

また、学習計画を立てる以外にも、受験を考えている中学校の情報収集は保護者の重要な役割です。成績が上がってきたらこのあたりの中学校を受けさせたい・・・というのでは、なかなか成績は上がりません。ある程度早いうちに第一志望の候補をいくつか考えておくことが必要です。お子さんの性格も踏まえて、保護者の方が積極的に学校説明会に参加するなどして情報収集をおこなうことが大切です。

志望校選びには、学校説明会に行くのが一番ですが、現在は新型コロナウィルスの関係もあり、説明会の開催の形も変わってくると考えられます。中学校のホームページをこまめにチェックし、わが子との相性はどうか考える時間をとることがとても重要です。もしその学校に実際にお子さんを通わせているご家庭があれば、入学後の情報を聞いてみるのも良いでしょう。

学習計画を立て、学校説明会などに参加して情報収集し、志望校の候補をたくさんある中学校から選び出す・・・など、保護者の時間と労力が必要になる、それが中学受験の特徴であることを意識しておきましょう。

子供の基礎学力は備わっているか

実際の受験カリキュラムが本格的に始まるのはもう少し先ですから、いまの時点で、よほど得意な教科がある場合以外は、あまり先まで先取り学習をしても忘れてしまうので意味はありません。

低学年の間に身につけておきたい基礎学力は、主に計算力と国語力です。特に、文章理解の速さは、小学校3年生までの間に大きく差がつくと言われています。もちろん挽回は可能ですが。文章を早く正確に読むことができれば、ほかの教科に時間を割くことができるので、1週間の学習をするにあたっても安心です。

計算力については、四則計算が自由自在にできるようにしておきましょう。桁数の小さい計算練習からはじめて、九九は完ぺきにしたら、さらに桁数の多い計算問題にチャレンジしましょう。市販の問題集で構いません。毎日30分程度計算練習の時間をとり、数字に関する感覚を養っておくことがとても大切です。

計算力と同時に、単位換算についても低学年のうちに感覚を身につけておくことをおすすめします。たとえばある時間について、「時間・分・秒」で表すとどうなるか、液体の量、広さを表す単位などです。実は、5年生になり、算数の学習がぐんと難しくなったときにつまずくケースが多いのがこの単位換算です。低学年のうちに、クイズ形式などで、単位換算をすばやく正確にできるように対策しておくとあとで非常に楽になります。

国語力については、文章を読むこと以外に、何といっても語彙力を充実させることが大切です。漢字、慣用句、ことわざといったものについて、難しすぎるものまで覚えさせなくても良いですが、4年生で習うものを目安に、低学年のうちに漢字の書き取りとことばの知識を身につけておくと、少し難しい文章を読むときにも混乱せずに済みます。

こういった基礎学力を身につけ、土台をつくることによって、入試を突破するための得点する力が養成されます。また、お子さんが長期間の受験勉強に耐えうる体力、精神力を養うことも大切です。受験をポジティブにとらえることができるように、声掛けも一工夫してあげてください。

子供の意欲はあるか

これはお子さんの受験に対する、また勉強に対するモチベーションといっても良いでしょう。いくらおぜん立てしたとしても、肝心のお子さんが勉強に対して意欲を持てなければ、また、中学受験をしたいと思わなければ、塾に入れたとしてもスムーズに受験カリキュラムにのることは難しいでしょう。

お子さんの意欲は勝手に湧き出てくるものではありません。やはり、周りの大人、特に一緒にお住いの保護者の方の適切な働き方がカギとなります。「あの学校を見に行ってみない?」「頑張っているスポーツをしっかりできる学校があるよ」など、お子さんが興味を持つように働きかけてあげることが大切です。お子さんの意欲は上昇したり低下したりを繰り返します。そのタイミングごとに、できたことをほめ、できなかったことはできるように頑張ろう、というポジティブな声掛けをしてあげて、「のせて」あげることも保護者の方の重要な役割です。

家庭の方針が受験成功のカギ

中学受験をするなら、ご家庭の方針をしっかり決めておくことが必要です。お子さんをどのような学校に進学させたいか、教育方針とともに考えておきましょう。受験に対するご家庭の方針があいまいなまま見切り発車してしまうと、途中で方針がぶれてしまってお子さんが混乱したり、行き当たりばったりでお子さんに対する態度が変わってしまったりするなどして、効率よくおこなっていかなければいけない受験勉強のサイクルを上手く回すことができなくなってしまいます。

そういった状態に陥らないためにも、ご家庭の中で、親どうし、あるいは親子で「うちの方針はどうするか」ということをまずしっかり考えることが必要です。もちろん、受験勉強が始まってからマイナーチェンジすることは必要になってくるでしょうが、基本的なスタンスをしっかり決めておくことが重要です。

受験に対するスタンスを決めておく

ご家庭で、受験をどうとらえているのか、基本的なスタンスを決めておきましょう。例えば、何が何でも受験をしてどこかの私立に入れるのか、あるいは志望校で残念な結果になったら地元の公立中学校に進学するので良いのか、ということが挙げられます。私立中学に通った方がお子さんを伸ばしてくれるだろうか、近所にある公立中学校の評判はどうか、ということも総合勘案しておきましょう。

また、勉強に対する取り組み方や志望校について、お子さんの意思をどこまで尊重するか、ということもご家庭の方針によって変わってくるでしょう。もちろん、お子さんは「この学校に行きたい!」ということがモチベーションとなって頑張って勉強するので、できるだけお子さんの意思は尊重することが大切です。ただし、勉強に対する取り組み方が目標に合っていないと思った場合には、それを修正してあげることが必要です。そういったときに、親子の間で本音で話し合えるようにスタンスを決めておきましょう。

小学校低学年の間は、習い事をしているお子さんも多いでしょう。塾が本格的に始まると、習い事とのバランスが大きな問題になってきます。両立できれば一番良いですが、お子さんの将来にとっていま、どちらをとるべきかということについてできるだけ早いうちに親子、保護者どうししっかり話し合っておくことも大切なステップです。

志望校について話し合う

中学受験でお子さん、また保護者の方の大きなモチベーションとなるのが、志望校の存在です。本格的に受験カリキュラムが始まる前に、まずは目標校について、ご家庭の教育方針に即しながらいくつかピックアップしておきましょう。

たとえば、私立か、国立か、公立中高一貫校か、といった学校の種類や、男子校・女子校・共学校といった学校の共学・別学、そして目指すレベルについてです。目指すレベルは、最難関校、上位校、中堅校、といったことがあります。いずれも、お子さんの性格についても十分考慮する必要があるでしょう。

塾に通うことにもスタンスを一致させよう

いまや中学受験に欠かせない塾が良いですが、塾についても、いつから、どの塾に通わせるかについてしっかりリサーチしておくことが大切です。

塾に通わせるタイミングは3年生の2月から4年生のカリキュラムが始まるので、それがひとつのタイミングですが、中にはなれるために3年生から塾に通わせるというご家庭もあります。ただし、3年生での内容と4年生からの内容は大きくレベルに差があることが多いので、無理に通うより、計算や漢字、ことばといった基礎基本の土台を自宅で固めることも選択肢のひとつになるでしょう。

また、塾には集団塾、個別指導塾があります。それを併用したり、家庭教師をつけたりと、バリエーションは様々です。また、大手塾にするか通いやすい地元密着の塾にするかについても、志望校やお子さんの性格によって一番良い選択をしたいものです。できるだけ見学にいき、体験授業を実施している塾であれば、ぜひ申し込んで一度授業を受けてみて、その様子をご覧になって決めるのもひとつの方法です。

ただし、低学年のうちに決めた方針を入試直前まで一切変えずに行くことが良いとは限りません。お子さんのモチベーションや成績など、状況が変われば、臨機応変に変えていくことも必要です。お子さんの成長時期は反抗期に重なることもあるので、個性を潰すことなく、よく話し合って修正していくことが必要です。

お子さんが低学年のときにこそ意識したいこと

お子さんが低学年のときは、本格的に受験カリキュラムが始まるまでの助走期間です。その期間に意識してお子さんに経験させたいことについてご紹介しましょう。

基礎学力こそがすべての土台

低学年でも、どんどん先に勉強させたい、というご相談を受けることが良くありますが、よほどの得意教科があるわけでなければ、無理に先取りをする必要はありません。低学年の間に身につけるべきは基礎学力です。先ほどご紹介した、計算力、語彙力が主なものです。算数に関係する数量感覚や空間把握(図形感覚)について、まずは学校の教科書を参考に、すべて理解し、できるようになっているかどうか確認してみましょう。

語彙力に関しては、漢字の練習も計算練習と一緒に、毎日の習慣にすると良いですね。その学年プラスアルファの漢字について、網羅したテキストを使って欠かさず練習していくと身につきます。その際は、その漢字をどういうときに使うのか、ということもセットで理解するようにしましょう。塾のテキストで通信販売で買えるものもありますし、学年準拠の市販の漢字練習帳で構いません

低学年の中でも、1年生、2年生の間に学習した内容があやふやだと、3年生の学習でつまずきます。その時点でつまずきがあると、本格的に受験勉強が始まってもつまずきっぱなしになるので、効率的に学習を進めることができません。例えば九九があやふやだと桁数の多い計算に手を付けることはできないでしょう。そのように、学習は段階を踏むようにできているので、先取りよりも今までのところができているか、という視点を持って学習を進めると良いでしょう。

達成感を味わうように仕向ける

お子さんが勉強するモチベーションには、「できた!」という達成感と、「保護者の方に褒めてもらいたい」という気持ちが入っています。特に、保護者の方に褒めてもらえることはお子さんにとっては本当に嬉しいことです。

受験勉強で一番良くないのは、お子さんが「点数がとれないと怒られる」と不安を抱いてしまうことです。保護者の方にとってみれば、受験を成功させたい一心から、「なんでこんな問題も解けないの!」「あんなに勉強していたのにあの時間は何だったの」などと責めてしまいがちです。しかし、そういったネガティブな叱り方をしていると、「自分はできないんだ・・・」と不安になってしまい、勉強に身が入らなくなって、最悪の場合勉強が嫌になってしまうことも少なくありません。

そういった状態にならないためにも、特に低学年の間は、ひとつできたら褒めてあげることが大切です。褒めて励まし、お子さんのモチベーションをアップして次の勉強にいざなう、というのが保護者の方がおこなうべき働きかけです。

間違えたとしても、低学年ならリカバリーがききます。たとえ間違えたとしても、あきらめずに一つひとつ頑張って勉強すれば、できなかったものもできるようになる、という達成感を味わうことができてこそ、お子さんの実力は伸びていきます、できるだけ達成感を味わい、成功体験を積ませてあげるように仕向けていきましょう。

実体験を積む

本格的な受験カリキュラムがはじまるとなかなかできないことなので、低学年の間に実体験を積んで、想像力を鍛えてあげる機会をたくさん作ってあげることをおすすめします。たとえば博物館、動物園などでは動物の生態や遺跡がどんなものであったのかを実際に見ることができますし、水族館なら、魚の生態や珍しい水中動物を実際に見て、人間との違いなどを実体験できます。

天体の学習には、星座早見盤を使うことが多いですが、プラネタリウムに行って星の動きをしっかり体感として押さえるのも非常に役に立ちます。山や海など、自然に触れることもお子さんにとっては貴重な実体験になります。今年は新型コロナウィルスの関係でなかなかお出かけは難しいかもしれませんが、そういった場合は図鑑などを一緒に見て姿かたちを一緒に覚える、といった学習も効果的です。

実体験は、お子さんの記憶に強く残ります。だからこそ忘れにくいのです。理科や社会などの勉強をするときに、特に役立ちます。知識が定着しやすいので、ぜひ実体験を積ませてあげるように仕向けてみてくださいね。

低学年で意識すべきは土台づくり

中学受験をお考えの場合、受験勉強を有利に進めるために、先取り学習をガンガンしたい、という保護者の方も少なくありません。ですが、お子さんの成長度合いを無視して単に先取り学習をしたり、難しい問題を解かせたりしていると、勉強嫌いになりかねません。

低学年の期間は、基礎基本を作る土台作りの時期だと思ってください。実際のカリキュラムが進み始めると、落ち着いて基礎基本に戻ることが難しくなってきます。そうならないためにも、低学年は土台作り、ということを徹底して意識しましょう。そして、しっかりできたら褒めてあげて、お子さんを勉強好きにしてあげてくださいね!

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