【中学受験】夏期講習までに押さえておくべき算数の基礎 その3 特殊算・比と割合

いよいよ夏休み、夏期講習の時期が目の前に迫っています。受験生の皆さんは、これまでに学習してきた受験カリキュラムの内容がすべて頭に入っているでしょうか?なかなかそれは難しいことだと思います。どの受験生でも、それぞれ弱点となっているところや苦手意識を持っている単元は必ずあります。それをいかに克服できるか、が夏休みの学習の最重要ポイントです。

夏休みにぜひやっておく必要があるのは、いま、どの単元で、何をどこまで理解しているのか、弱点となっているところはどの部分なのか、それはどの分野のどの部分なのか、というところまでできるだけ細分化して把握しておくことです。それをしておかないと、秋以降の総合問題演習の中で1問解くにもどの単元の問題で、自分が解いた問題に引き寄せることができるのかどうか、ということがわからず、あとから振り返ろうとしてもどこから手をつければよいのかがわからなくなってしまいます。

ということは、苦手・弱点となっている分野や単元を克服できれば、ほかの受験生に大きく差をつけることができる、ということです。弱点の克服ができれば実力を飛躍的に上げるチャンスと言えるのです。そういう弱点克服の意識を持ち、計画立ててつぶしていくことができれば、スムーズに秋以降の学習を進めることができます。

ですから、夏休みの間に、これまで学習してきた範囲を見直してみましょう。そして、今自分がどこまでできていてどこからができないのか、それは初歩的な部分なのかそれとも解法までは理解できるのか、ということを把握することがとても大切です。〇のものは〇以上にすることはなかなかできませんが、×を△に、△を〇にできれば、得点力が身につきます。これまでできなかった問題が解けるようになるということは達成感にもつながりますし、その達成感の積み重ねこそがこの時期一番やるべきことです。

今回は、夏休みにやるべき学習のうち、算数の特殊算、比や割合について押さえておくべき基礎を解説します。特殊算や比、割合といった単元は、受験生が苦手意識を持ちやすいところです。ほかの受験生に差をつけるためにも、夏までにここまでは押さえておきたいという基礎学習を押さえておきましょう。

特殊算は種類が多いので混乱しやすい

受験算数に特徴的なのが、いわゆる「特殊算」と言われる特殊な計算問題です。単なる計算問題ではなく、さまざまな形で文章題として出題されたり、速さや図形、比、割合など、さまざまな分野と融合した問題が作られたりするという特徴があります。

そのため、特殊算を自分のものにするためには、通常の計算問題の対策をするのももちろんですが、多くの文章題で要求される特殊な計算の考え方を身につけ、それに合った計算練習も必要になってきます。4年生の最初に和差算を学習したことを覚えていらっしゃいますか?和差算は受験カリキュラムの最初に出てきますが、6年生の実戦問題でも使う考え方です。

和差算以外にも、植木算やつるかめ算などが頻出の特殊算だと言えるでしょう。これらの特殊算は、最初こそ混乱も多いところではありますが、解き方を習慣化して身につけてしまえば、あとは通常の計算問題と同じく、時間をかけず正確に処理していくことができるようになるという特徴があります。

特殊算をマスターしていくには、まずはテキストの例題など、簡単な(きれいな)数字を用いた問題からチェックし直していきましょう。これらの基礎的な問題がすらすらと解けるようになったら、次は文章題に移っていくというように段階を踏んで学習を進めるのがおすすめです。

この際、計算に加えて、どのような問題でどの特殊算の考え方を使えば良いのか、ということも瞬時に判断できるようになるのが理想的です。そのためには特殊算の考え方のバリエーションを身につける必要があります。まずは基礎的な問題演習をいろいろな特殊算でおこない、自分の中に特殊算のサンプルをたくさん蓄積させていきましょう。

受験生が苦手とする特殊算と克服方法

数ある特殊算のなかでも、受験生が苦手とする特殊算がいくつかあります。あまり出てこないから力を入れて学習してこなかった、というものもあるかもしれませんが、多くは図を描いたりグラフを描いたりしながら、条件を正確に把握して視覚化して解いていく必要がある特殊算です。では、どのようなものがあるか見ていきましょう。

通過算

通過算は、速さの問題と融合することもあり、苦手意識を持つ受験生が多い特殊算です。通過算のポイントは、「列車の長さ」がどのような影響を与えるのかを見極めることです。そのため、通過算を解く際には、列車の長さも取り入れたその場面の図をしっかり描いて解くようにしましょう。

その際は、列車の進行方向(前後)がわかるように図を描くことが大切です。進行方向を間違えて図示してしまうと、問題を解く前提条件がくるってしまうので、ここは慎重に確認しながら描くことが重要です。わかりやすくするために旗を立てるのもテクニックとして大切です。

流水算

流水算は、ニュートン算とともに近年多くの中学校で出題されています。流水算も、速さの問題と密接にかかわっており、グラフなどをしっかり描いて対処することが必要です。流水算をしっかり解くためのポイントとして重要なのは、「川の流れがどのような影響を与えるのか」という点をつかむことです。

線分図を描くなら、「速さの線分図」を描くのが基本中の基本です。なかには、縦や斜めに描く方法もありますが、一番自分が理解しやすい線分図の書き方で構いません。また、流水算の中でも条件が複雑なものは、グラフを描くと一目で整理出来て、一見解けないように見える問題でも解決できるケースが多いので、手を動かして基礎問題をマスターするようにしましょう。

時計算

時計算は、考え方としては池の周りをまわる旅人算と共通することが多いです。旅人算の場合は2人、時計算の場合は時計の長針と短針を人に見立てて解けばいいので考え方としては同じだととらえて構いません。しかも、2つの針の速さはいつも同じなので、むしろ普通の旅人算よりも容易に身につけることができます。

ただし、①速さが角の速度であること、②答えが分数になることが多い、という、時計算に苦手意識をもってしまう2つの特徴があるので注意が必要です。ですが、この2つの特徴は必ず克服しないと時計算は克服できません。ですから、基礎問題をある程度の量とパターン、こなすことが必要です。

また、数年前、麻布中学の入試問題では時間の針、分の針に加えて「第三の針」である秒針を加えた3つの針の時計算が出題されたことがあります。そういった問題に対処できるようにするためにも、まずは2つの針の時計算の基礎をしっかりマスターし、角度や分数の計算問題もしっかりおこなうようにしましょう。

特殊算では「大人の視線」が必要になる

特殊算では、解法の糸口をいかに探るか、という点で、客観的に問題を分析するという大人の視線が必要になるという点で、受験算数に特有なものです。たとえば「通過算」ならば、「列車の長さがあること」によって「長さのない場合」に比べて何が変わるのか、という見方をする必要があるのです。

列車の長さを無視して答を出してしまう受験生も多いのですが、大人の視線を持って解法の糸口を探ることができれば、特殊算はそれほど怖がる必要はありません。ほかの特殊算でもそのようなことはあります。たとえば、「植木算」で「1つずれてしまった」ということは、基礎をしっかり身につけ、問題を客観的に分析すればやってはいけない間違いだということがわかるでしょう。

また、計算の手順も大切です。例えば、「時計算」で短針と長針が重なるまでの時間は、「短針と長針の差=角度」÷「長針の分速(6)ー短針の分速(0.5)」で求めることができますよね。すなわち「5.5」という数字で割る、ということが多いわけですが、多くの場合は割り切れません。

そこで、分数が必要になりますが、受験生であれば「5.5で割る」を「15.5を掛ける」にする、ということまでは基礎知識として知っていると思います。最終的には、「15.5」の分母と分子に10ではなく2をかけて「×211」とします。しかし、いきなり「211」を掛ける、と覚えてそれをそのまま使っていいのかについては吟味が必要です。

時計算は基本的には「追い越し」の問題が多いですが、なかには「出会い」の問題もありますし、そもそもの針の速さが通常の場合と異なる設定にされていることもあります。その場合は基本形をそのまま使うことはできません。そういった確認のためにも、まず「6-0.5」を基本として立式することを習慣づけましょう。このような冷静な大人の視線、バランス感覚を身につけるために、基礎問題のバリエーションを頭に叩き込んでおきましょう。

比と割合は受験算数の基本

比の問題は、5年生から急速に増えてきますよね。この単元のやっかいな所は、図形や速さなど、いろいろな単元の問題を解く上で必ず出てくるので、その問題ごとに対策が必要になってくるという点です。特に、図形問題において相似を用いるような問題は、苦手とする受験生が非常に多いです。また、速さの問題でも比や割合の考え方は必ず使うことになります。

まずは、そもそも「比」とはどのような性質なのか、という基礎中の基礎をおろそかにしないようにしましょう。百分率とは何なのか、図形における面積比と長さの比との関係はどうなのか、など、比はほかの分野に比べてもさまざまな知識が要求される単元であり、その知識があやふやだと、のちのち非常に苦労することになります。そもそも比の範囲のなかでも、自分が苦手なのはどのタイプの問題なのか、どの単元で比を使った計算を出題されると混乱してしまうのかを自分でしっかりと分析しましょう。

比を求めるには

比を求めるにあたっては、それぞれの割合(分数)が等しくなるケースだという基礎中の基礎を押さえましょう。等しいものを分子の最小公倍数にすればスムーズに解くことができます。また、逆比を使うとスムーズに解ける問題もあるので、逆比についても基礎をしっかり押さえましょう。

食塩水の問題

2つの食塩水を混ぜる場合は、「てんびん図」を使うと解きやすいです。塾では面積図を用いることが多いかもしれませんが、どうもしっくりこない、という受験生は少なくありません。そのような場合はてんびん図を使うとわかりやすいのでやってみてください。

混ぜる割合が変わる場合は、「てんびんの目盛り」の比を揃えると解決しやすくなります。食塩の重さを負っていくときは、わかりやすく書くことを心がけてください。複雑な「やり取り算」は慣れが必要です。必ず問題文を図示して、どのようなやり取りがどの順番で行われたのか、比や割合で提示されていることが多いですが、それほど複雑な比や割合ではないので、基礎的な問題をマスターすることを心がけましょう。

比の掛け算・割り算

比の掛け算や割り算に持ち込むことができると、比の便利さが実感できます。普通に掛け算、割り算をして構いません。そして、その結果も「比」で出ます。その点には注意しましょう。

比の扱い

まずは、線分図を描いてみましょう。比で表しているどこか一部分の数字が決まるように問題はできています。その「どこか一部分」がどれなのか、ゲーム感覚で取り組んでみると、楽しみながら比を使う便利さを理解することができます。比」は受験算数の中で相当重要な位置を占めています。

「比」は算数の最強ツール

「割合」はどちらかと言うとつまずきやすい分野かもしれません。食塩水の問題などでつまずいてしまう受験生も非常に多いです。しかし、「比」は一度マスターすることができれば、算数の範囲全体に良い影響を与えられる非常に重要な分野だと言えるでしょう。なぜなら、「比」を使うと数字が小さくなるので、複雑な数字を使うことなく、解きやすくなることが多いからです。

算数はその場で計算をして解かなければいけないという教科です。受験生の皆さんは、算数の問題を解くときに緊張しませんか?それは、「その場で何とかしなければいけない」という「大きな不安」を抱えているからです。その場で考えて解けるだけのテクニックをしっかり身につけていればそういった不安に襲われることはありませんが、そういった受験生はまずいないでしょう。

ということは、入試本番や模試の場で「不安」に打ち勝つことが必要になってきます。特に計算ミスをしないだろうか、という不安はいつも付きまとうものです。でも、比をマスターしていれば、複雑な計算に持ち込まなくてもいい、という安心感を与えてくれます。

また、「比」は「相似」とワンセットで考えなければいけないケースも多いので、比をマスターすれば図形問題の克服についても早道になるでしょう。比を必要以上に怖がるのではなく、「比を使える場合は使う」という意識を徹底して問題演習をおこなうことによって、得点力がアップします。ぜひやってみてください。

まとめ

今回は、特殊算、比と割合について、夏休み中のの苦手分野の克服法を解説しました。算数は、受験生の多くが苦手意識を抱えていますが、基礎基本を徹底すれば、ほかの受験生に差をつけられる教科でもあります。受験カリキュラムを一通り終えたばかりのいまのタイミングなら、基礎基本を徹底して見直すことによって対策が可能です。苦手単元の洗い出しから始め、焦らずに基礎的な問題から着実に学習していきましょう。

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