図表にまとめて内容を整理しよう!調べ・推理・条件の整理【うそつき問題編】

今回の記事では調べ・推理・計算の条件に関する分野を解説してくシリーズの第4本目として,うそつき問題を取り扱っていきます。

うそつき問題というジャンルの文章題は中学受験だけでなく,大人が受けるテストでも出されることがあるくらい難しいものです。そのためあまり耳にしたことがない範囲だと言って,対策しておかないと周りに大きな差をつけられる可能性があります。

したがって早めに攻略法を身につけておくことが不可欠です。よろしければ本記事を読みながら,受験合格に向けて対策していきましょう。

「うそつき問題」とは?

はじめに,うそつき問題とは何かということについてお話ししていきます。

うそつきという単語だけ聞くと算数の問題のようには思えない人がほとんどでしょう。

この文章題は何人かの人物の会話をもとにした問題で,喋っている人のうちだれかが本当のことを・他の人はうそのことを話しているというシチュエーションが設定されている中で順位・番号・性別などの様々な事柄の実態を見破っていくという構成をとる問題のことを指します。

この問題を解くためにはうそつきを探していく必要があるのですが,その性質からうそつき問題と呼ばれることが多いです。この問題はパズルゲームに近いところがあるのですが,与えられたいくつもの情報や条件をもとに正解を絞っていくという回答手順を考えると,立派な算数の問題の一つだと言えます。

言葉をもとに考えないといけないため,図や式や数が登場する普通の文章題とは使う頭の部分が異なり,その性質上苦手とする人も多いです。

そこで本記事では分かりやすく,うそつき問題の解き方をお教えしていきます。

うそつき問題を見てみよう!

さてうそつき問題が一体どういうものであるかを確認したところで,次はどういう問題がうそつき問題だと言えるのかという特徴を見ていきましょう。例題として実際に受験で登場したものを引用してみましたので,まずは一度そちらを見ながら,どうやって解けばいいのかなと考えていただけますと幸いです。

A,B,C,D,Eの5人が異なる数字1~5が書かれているカードを1枚ずつ持っています。

A「Dさんは1のカードを持っていません。」

B「私は2のカードを持っています。」

C「私は3のカードを持っています。」

D「Eさんは5のカードを持っていません。」

E「Aさんは4のカードを持っていません。」

AとBとCの3人だけがうそを言っているとします。このと,5人のカードの持ち方は何通りですか。

(淑徳与野中学校(2017),一部改題)

上の問題ではAとBとCの3人がうそをついていると言われていますね。このように会話に参加するうちの何人かがうそをついているという設定がなされている問題は,うそつき問題だとみなしてしまっていいでしょう。

またこの問題ではうそつきが3人いて,誰が嘘をついているのかが明らかになっています。しかし問題によってはうそつきの数が1人だったり,2人だったり,あるいは1人を除いて全員うそをついていたり,誰がうそつきなのかも示されていなかったりと,いろいろなパターンの問題が展開されます。そのためどんな問題にも対応できる基礎力を身につけておきたいところです。

うそつき問題を解くには…?

それでは問題の特徴などを把握したところで,先ほど引用した問題を使いながら,本題のうそつき問題の攻略法をご紹介していきます。ここで改めて,先ほどの淑徳与野中学校の問題を引用しておきます。もう一度どうやって解けばいいのだろう,と考えていただけるといいでしょう。

A,B,C,D,Eの5人が異なる数字1~5が書かれているカードを1枚ずつ持っています。

A「Dさんは1のカードを持っていません。」

B「私は2のカードを持っています。」

C「私は3のカードを持っています。」

D「Eさんは5のカードを持っていません。」

E「Aさんは4のカードを持っていません。」

AとBとCの3人だけがうそを言っているとします。このと,5人のカードの持ち方は何通りですか。

まずは表を作ろう!

いかがでしたでしょうか。無事正解となる組み合わせの数を計算できた人もいれば,そうでない人もいることでしょう。ここからは解説に移りますので,まずは答えがあっていたか確認する前に,正しい解答手順を覚えてしまいましょう。

うそつき問題に取り組む上でまず大切なことは表を作るということです。この表を作るというテクニックは,第二回で登場した順位の問題でも使用したテクニックでしたね。

うそをついている人がいるという一文から多くの人は誰がうそつきなのかを先に考えてしまいがちですが,そのことを考えるのは表を作った後のことです。まずは問題文に登場する人物やカードの番号を下のようにまとめてから,本題となるうそつきの正体などについて考えていきましょう。

何も書いていない表

そしてそれぞれの発言内容やその真偽を確認しながら,この人はこのカードを持っていないなと思ったマスには×を・この人はこのカードを持っているだろうなと考えられるマスには○を書いていくことで,条件を整理できるということです。そのため全ての問題のベースとしてこの表が必要になってくるので,忘れずに作る癖をつけておきましょう。

うそつきの正体を考えよう!

図が作れたところで,今度はうそつきの正体をあてて発言の内容をじっくり考えていくというプロセスに進んでいきましょう。今回の問題では親切にAとBとCの3人がうそをついているという情報が与えられているので,その3人の発言が正しくないと捉えて問題を解き進めていけばいいですね。

なお問題によっては誰がうそつきかという情報が書かれていないこともあります。その場合は1人目から順番に「この人がうそつきだったら」と仮定して,何通りもの表を作っていき,その過程で矛盾や食い違いが生じたものを消していってうそつきの正体を当てなければいけません。そのためこの問題より解き方がやや複雑になる,ということを覚えておくといいでしょう。

さて元の問題に戻りますが,今回はAとBとCの3人がうそつきだと判明しているので,彼らの発言内容をどうにか反対の意味に変えないといけませんね。ここで改めて3人が何を話していたかを振り返ってみましょう。

A「Dさんは1のカードを持っていません。」

B「私は2のカードを持っています。」

C「私は3のカードを持っています。」

これらの発言を裏返すにはどうしたらいいでしょうか。うそつきの発言をひっくり返す時のポイントは述語への注目です。「〇〇している」は「〇〇していない」に,「××していない」は「××している」に置き換えることで,正しく発言を裏返せます。

うそつきの発言を直すときに余計な情報を足してしまうミスがしばしば起きてしまいがちですが,重要なのはただ単に述語をひっくり返すということです。この手順に基づいて今回の3人の発言をひっくり返すと次のように直せます。太字の部分が先ほどのものと反対になっていることに注意しましょう。

A「Dさんは1のカードを持っています。」

B「私は2のカードを持っていません。」

C「私は3のカードを持っていません。」

なお本番の問題であればこれらの発言を丸々メモ用紙などに書き写すのは面倒ですよね。その場合は「持っていません」に線を引いて「持っていません」などとし,その下に新しい情報を書くことで対応するといいでしょう。

表に情報を整理しよう!

さてうそつきの正体をもとにして5人全員の発言内容を正しく抑えたところで,次はそれぞれの発言を先ほど作った表にまとめていくという作業に移りましょう。

まずは試しにAさんの発言から見ていきます。うそつきのAさんの訂正後の発言に注目すると,Dが1のカードを持っているということが明らかになっていますね。そのため該当する欄に○が書き込めるというわけです。

なおDさんが1を持っているということは,当然のことながら,Dさんは1以外のカードを持っていないし,他の4人は1のカードを持っていないというわけなので,それらのマスには×が書き込めますね。

このように情報を少しずつ表に落とし込んでいくことで,問題の内容は下の図のように整理できます。

表2

このようにして残りの4人の発言についてもまとめていきます。続いてBさんの発言に注目すると,Bさんは2のカードを持っていないそうなので,その欄に×を書き込みましょう。

なお今回のBさんの発言で分かることはこの×ひとつだけであり,先ほどのAさんの発言と比べると明らかになる情報量が少なく不安になる人もいるかもしれません。しかし発言者によって明らかになる情報量が異なるのは当然のことなので,そういうものだと割り切って進めるのが吉です。

Cさんの発言についても同じ要領で考えると,Cさんの3のカードの欄に×を書き込めますね。このようにして地道ではありますが,3人の発言を整理できました。

表3

さて残るはDさんとEさんですね。Dさんは「Eさんは5のカードを持っていません」と発言していて,この内容は正しいことから,該当する欄に×が書き込めますね。

そして最後のEさんですが,Eさんは「Aさんは4のカードを持っていません」と発言しているので,これも同じように×を記入できます。こうして5人全員の発言内容を整理できました。完成した表は下のようになります。

完成した表

組み合わせを求めよう!

それでは最後にこの表を見て組み合わせを考えていきましょう。といってもこの図から分かるのはあくまでそれぞれのメンバーが持つカードについての可能性でしかなく,5人全員のカードの組み合わせではないため,少々頭を使わなければなりません。

しかしこの計算についても考えのコツは単純化にあります。まずこの表からDが1を持っていることは判断できるので,A・B・C・Eの4人2・3・4・5の4枚を持つときのシチュエーションを考えていき,その中のうち該当しないものを削っていくという方法で数え上げていきましょう。

ここで確率や場合の数の範囲で学んだ樹形図を作りながら,4人のカードの持ち方を考えてみましょう。4人分なのでやや長くなりますが,一度きちんと図に起こすことで間違いをなくすことができます。今回の問題だと次のような図が作れますね。

樹形図

しかしここに書いている組み合わせの全てが使えるわけではありません。上の表を見ると,Aは4を持たず,Bは2を持たず,…といったような制限が存在します。これらの条件を樹形図に落とし込んでいくことで,今回の問題に適応するものの数を調べていくと,次のように図を整理することができます。

樹形図2

このことから適合する組み合わせは9通りとなります。今回の問題は組み合わせの数のみが求められていましたが,問題によっては誰が何を持っているのかを聞いてくることもありますので,答え方については気を付けておきましょう。

A.9通り

このうそつき問題もそうですが,調べ・推理・条件の整理という単元にはいろいろな問題の要素や解き方などが使われます。今回使った樹形図をはじめとした様々なテクニックを覚えておく意識を日頃から持っておくと,文章題が一気に解きやすくなるでしょう。

まとめ……の前に

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終わりに

今回の記事ではうそつき問題に焦点をあてて,その特徴や解き方を解説していくものでした。前述したように,うそつき問題は小学生の受ける中学受験のみならず,さまざまなテストで登城する文章題です。そのため早めの対策が不可欠だと言えます。

よろしければ下記のおすすめ記事や参考文献などを活かしながら,この問題を含めたさまざまな問題に対する応用力を伸ばしていくといいでしょう。本記事が今後の学習のお役に立てば幸いです。

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参考