増える国語の記述問題!オール記述にも対応できる国語力の養成法

従前は、記述問題と言えば一部難関校で出題されるもの、というイメージがありましたが、近年は記述問題を出題しない学校の方が珍しいほど、記述問題が出題される傾向にあります。国語はもちろんですが、理科・社会でも記述問題が多く出題され、算数でも途中式や考え方を書かせるという意味で「記述」はいまや中学受験生なら対策をしないわけにはいかない状況です。

特に国語の場合、記述問題の字数が多く、また記述形式・出題内容のバリエーションも非常に豊かです。そのため対策が必要だという意識は受験生も塾側も持っており、どのように対策するかということが非常に重要になっています。

しかし、受験生にとっては記述問題は難しい、苦手、という側面が否定できず、記述問題になると白紙で出してしまう、という方も少なくありません。しかし、記述問題のウエイトが増えてきている以上、すべての記述問題を白紙答案にしていては点数が積み重ねられず、ほかの教科にも悪影響が出てしまいます。

では、入試の国語で出題される記述問題を攻略するにはどのようにすればよいのでしょうか。今回は、記述問題を代表的な出題形式とともにどのように対策して行けばよいのかについてご紹介します。

オール記述の学校も!増す記述問題のウエイト

近年、記述問題を出題する中学校が非常に増えています。以前は一部の学校で出題されるため、その学校を受験する受験生が対策をおこなうもの、というイメージがあったかもしれませんが、そうもいっていられなくなりました。塾のテキストや模試などでも記述問題が非常にたくさん出されるようになってきています。では、なぜ記述問題の出題が増えているのでしょうか。

記述問題が増えている大きな原因として考えられるのは、2020年の大学入試改革です。2021年から「大学入学共通テスト」が実施される予定であり、現在おこなわれている大学入試センター試験がすべてマークシート形式であるのに対して、大学入学共通テストでは国語や数学で記述問題が出題される予定です。そういった将来の事情もあるため、小学生、つまり中学受験の段階である程度の「記述力・表現力」の素地をしっかり身につけてから入学してほしいという、中学校の意図が読み取れると言えるでしょう。

では、実際に中学入試ではどれくらい記述問題が出題されているのでしょうか。四谷大塚の首都圏難関校103校の平均データを見てみると、読解問題の設問数の割合のうち、選択肢問題が63%なのに対し、記述問題は22%となっています。この記述問題の中には、問題文の一部を丸ごと書き写す「書き抜き問題」は含みません。つまり、、選択肢問題に比べると少ないものの、5問に1問の割合で記述問題が出題されている計算になります。そして、記述問題の配点は高くなる傾向があるのも特徴です。

難関校の中には、オール記述問題の入試をおこなうところもあります。芝中学校や鴎友学園などは大問はすべて記述といった状況です。また、開成、麻布、武蔵、桜蔭、普連土学園といった御三家はじめ難関校も記述の割合が高くなっています。これまでほぼ選択肢問題歯科出題しなかった学校が記述問題を出題するようになったこともあります。たとえば共立女子中学校など、このタイプの学校は少なくありません。

中学入試の国語の出題において、記述問題のウエイトが高まっていくことはある意味必然ともいえる傾向であり、今後もこの傾向は続いていくと考えられます。

国語の記述問題の代表的な出題パターン

一口に国語の記述問題と言っても、様々な出題パターンがあります。記述問題をこれまで解いてきてお気づきのところもあると思いますが、国語の記述問題は大まかに分けて以下のような出題パターンに分けられます。

文中の語句だけで書く

基本中の基本の記述問題の形式です、たとえば、「傍線部の理由を答えなさい」という設問があり、それに対して本文中から該当する箇所を探して答えるものです。書き抜き問題と異なるのは、該当する部分の文章が長い場合は、不要な部分を削って縮めたり、複数の箇所に解答に使う部分が分かれている場合はそれらの文章を集めてきてつなぐなど、答え方にはいくつかのパターンがある点です。

基本的には、文章に書かれている語句だけで書ける問題なので、記述問題の中では基本的で比較的易しいレベルだと言えるでしょう。

文中の語句に一部自分で考えた語句を足して答える

特に物語文の記述問題に多い出題パターンがこれです。「主人公が泣いているときの気持ちを説明しなさい」といったように、心情の説明を求められるという問題が非常に多いです。本文には、心情を直接表す心情語が書かれておらず、場面の説明だけが書かれていることがほとんどです。つまり、主人公など登場人物が泣くきっかけになったできごとについては書いてありますが、その気持ちをストレートに「悲しい」「嬉しい」などとは書かれていないです。

「泣く」と一口に言ってもいろんな涙があるわけですが、どのような気持ちで泣くという行動になったのかについては場面の説明をヒントに、あるいはそれまでの経緯をヒントに自分で考え、適切にことばを足す必要があります。泣くきっかけを説明したり、はっきりとは心情語が書かれていなくても情景描写や心情がはっきりとではありませんが表現されている部分を、わかりやすくことばを自分で変えてプラスして書く、といった記述問題です。

心情語のバリエーションや、場面の正確な読み取りといった読解テクニックが必要になってきます。前提として、正確で素早い読解力を養成しておくことが攻略のカギです。

本文を自分なりに解釈・表現する

これは物語文、説明文、論説文など文種にあまり関係なく出題される記述問題で、全体のうち多くを占めます。このパターンの記述問題は非常に出題される量が多いです。

たとえば、「夕日が沈んでいく、とありますが、これはどういうことを指していますか。答えなさい。」といった問題があるとしましょう。単に夕方から夜になる、という事実を聞いているわけではありません。「夕日が沈んでいく」ということには何かが込められている、比喩的な表現です。つまり、何かの象徴として「夕日」であり「沈む」ということばが使われているわけですね。

こういう問題の場合、象徴的な表現を自分なりに解釈して答える必要があります。もちろん好き勝手に解釈していいというわけではありません。あくまで筆者がどう考えているか、ということをベースに客観的に答える必要があります。夕日が沈むという表現の前後を良く読み、文章全体で筆者が何を伝えたいのかを解釈しなければなりません。

夕日が沈むということは、また新しい明日がはじまる、というとらえ方には通常はならないでしょう。夕日が沈む、ということは夜が来る、ということですから、ものごとが終わりに近づいていくことを表しているんだな、という、表現に込められたものの見方やきまりについてあらかじめ知っていることを前提に、文章の起承転結に合わせて答える必要があります。少し大人目線の常識、と言ってもいいかもしれません。

条件付きの作文

これも記述問題では定番です。たとえば、物語文の場合、主人公の気持ちが紆余曲折を経て前向きに変化していく文章がよく出題されますよね。そういった文章をもとに、設問で「あなたの気持ちが前向きに変化した経験について、きっかけや理由も含めて書きなさい」といった、自分で文章を作る問題です。

ここで大切なのは、本文の内容を参考にしながら、自分の経験を投影させていくことと、「きっかけ」や「理由」といった、設問につけられている条件をすべて満たしながら書くことです。単に主人公と同じような経験をなぞらえて書いてもあまり得点には結び付かないでしょう。あくまで自分が経験したことを、読み手が理解できるように書くことが必要なので、あいまいにではなく、きっかけや理由を「具体的に」書くことがポイントになります。

条件付き作文を良く出題する中学校としては、暁星中学校、フェリス女学院中学校、雙葉中学校、頌栄女子学院中学校、そして栄東中学校などです。栄東中学校の2020年の入試問題では、「あなたが読んだ本の中で一番紹介したいものについて書きなさい」という問題が出ました。そこでは「文章の内容をなぞるだけでなく、あなたのことばで書きなさい」という条件が付いていました。今後、こういった条件付き作文の出題は増えてくると考えられます。

あることがらを説明させる

慶應湘南藤沢中等部の入試では、「じゃんけんをしたことがない人に、2人でじゃんけんをするときのやり方やルールを説明しなさい」「スポーツの名前を2つ挙げその違いを3点あげて説明しなさい」という記述問題が出題されました。「知らない人」に向けて、あることがらを理解できるように説明させるという趣旨の問題です。

このように、あることがらを説明させる問題は、はじめてそのことがらを知る人でも読んで理解できることを求めます。自分はわかっているから省いてもわかるだろう、ではなく、ていねいに手順を説明しなければなりません。「知らない人=採点者」が読んで理解できる、その通りにすれば知らなくてもできるようになる、ということが記述のポイントです。

出題頻度が多いのは?

記述問題を出題する学校が増え、すそ野が広がっていることから、すべての中学校で難解すぎる記述問題や複雑すぎる記述問題が出題されるわけではありません。男女御三家のように長文かつ複雑な記述問題を伝統的に出題してきた学校の場合はその傾向を踏襲していくことが考えられますが、中堅校などで出題頻度が高いのは、「文中の語句だけで書く」タイプや「文中の語句に一部自分で考えた語句をプラスして書く」タイプです。

特に説明文や論説文といった説明的文章の場合、これら2つのタイプの記述問題をいくつも出題する、ということが多く見られます。ひとつあたりの記述問題のウエイトはそれほど重くはないですが、全体を通してみるとやはり配点が高くなる傾向にあるようです。

説明文や論説文の場合、おおむね本文中に書かれている内容、使われていることばをもとにして記述問題を解いていくことになります。そこで求められるのは、文中の語句を用いながら文章全体の要約や、「筆者が一番伝えたいことは何ですか」といった筆者の思いを文章全体を使ってまとめるといったことです。そのため、この2つのパターンの記述問題が増えるのです。

難関校と言われる中学校では、「文中の語句に一部自分で考えた語句をプラスして書く」タイプの難しめの問題や、「本文を自分なりに解釈して表現する」といったタイプの記述問題が多く出題される傾向にあります。こういった問題に答えるためには、文中の語句を自分なりにわかりやすく具体的に言い換える能力が求められます。また、正確な本文の内容の把握ができなければ答えることができないといった特徴もあるうえ、大人の視点が求められることもあるので、同様の問題を集めて訓練しておくと良いでしょう。

「条件付きの作文」や「あることがらを説明させる」記述問題も、近年出題する中学校が増えてきています。今後もさらに出題が増える可能性があるタイプだと言えるでしょう。これらは、本文の正確な把握とともに、大人の常識を分かりやすくかみ砕いて説明する、ということや、これまでの自分の経験を相手に分かりやすく説明する、という「説明能力」「表現力」を求めるタイプの記述問題です。

どちらも条件が付いているので、自分の好きなように書けばよいというものではない点に注意が必要です。設問に書かれている条件にしるしをつけ、何を書けばよいのか箇条書きに書き出してみて、文章に再構築する、という手順を踏まなければなりません。「作文」「身近なことの説明」だと思うと、整理せずにいきなり書き出そうとする受験生は少なくありません。しかし、1問の記述問題を正確に解いていくためには、やはり出題側の意図やどのくらいのレベルで何を書けばよいのか、ということを整理したうえでの解答が求められているということに注意しましょう。

記述問題は書いたら終わりではない!

これはいずれのタイプの記述問題にも共通して言えることなのですが、記述問題が出題された場合、制限時間の関係もあってか、書き上げたことで力尽きてしまい、自分が書いた解答を読み返さないで終わる受験生は少なくありません。長い問題文と設問を読み、選択肢問題なども解き、いくつもある記述問題を解いていかなければいけない中学入試の国語の場合、見直しをしている余裕がないと考えられます。そのこと自体は無理もないことでしょう。

しかし、うまく書けたと思っても、読み返してみると文脈が通らなかったり、ことばを間違えて使っていたリ、文末処理がよくなかったり、場合によっては200字程度の記述を1文で書いてしまったりと、おかしなところ、読みにくいところは出てくるものです。ですが、書いているときは時間に追われて夢中で書くのでなかなか冷静に見直しながら書いていくことは難しいのも現実です。

時間配分をしっかり意識し、見直す時間を確保することや、最初からきちんとした文章が書けるように、構成をしっかりし、何をどのようにどの順番で書いていくか整理してから書き始めるといった訓練も必要になるでしょう。

普段の記述問題の練習の中で、様々なテーマの記述問題の場合、どのような手順で書いていく必要があるのか、頭からいきなり書き出さずに構成をしっかりすることや、書くべき要素を取捨選択していくこと、最終的に正しいことばを使って読みやすい文章に整えていくこと、こういったことを瞬時にやっていくように意識して表現の訓練をしていくことが大切です。

時間配分とともに、書いた文章を保護者、塾の先生、個別指導などで実際に第三者に読んでもらい、直すべきところを指摘してもらいながら訓練を積んでいくのが有効です。

記述問題につまずいてしまう原因を分析して対策しよう

近年、記述問題を出題する中学校は増加の一途をたどっています。つまり、記述問題に対応できるかどうかが国語の合格点を取れるかどうかのカギになると言えるでしょう。このように記述問題が増えている中学受験において、どのように対策をとっていくかといったことも大切なポイントです。何も対策なしにただ頭から書いていても点数をとれる記述にはならないからです。

記述問題でつまずいてしまう原因パターン

「記述問題が苦手」と言うと、どうしてもひとくくりに考えられてしまいがちなのですが、記述問題に苦手意識を持ってしまい、つまずいてしまう原因には様々なパターンがあります。自分が記述問題を苦手だと感じているのなら、どのパターンに当てはまるのかつかんだうえで対策することが大切です。

たとえば、以下のようなパターンが考えられます。

・本文に書かれていること自体が理解できない

・設問の意図が分からず、かみ合わない答えを書いてしまう

・設問の意図はつかめても、解答に使うべき箇所が本文から探せない

以上のような原因で、記述問題で点数が取れず苦手意識を持ってしまい、徐々に白紙答案でも仕方ないと考え始めてしまう受験生は少なくありません。これらの苦手になる原因パターンは、実は記述問題に限ったことではありません。選択肢問題などでも同じような原因で点数がとれないことがよく見られます。つまり、記述問題だけに特有な苦手原因というのは、読み取り以外の部分、的確に要素を見抜いて表現するという部分だということです。

反対に言えば、読み取り部分をまずしっかり建て直せば、表現力の部分を磨いていけば記述問題は怖くないのです。表現の仕方が稚拙であったり用いることばが適切でなかったり、といったところを注意しながら書くことへの抵抗をなくしていくことが何よりも大切だと言えるでしょう。

記述問題は組み合わせられていることも多い

たとえば、「主人公はなぜ泣いたのですか、その理由を書きなさい」という問題は、物語文ではよく出題されますよね。主人公が「泣いた」わけですから、その背景には心情や心情の変化があり、そのきっかけになったできごとがあったはずです。まずはそういったことが書かれている部分を本文中から抑える必要があります。

また、泣いた理由が「悲しかったから」なのか、「嬉しかったから」なのか、解答の落としどころを決めることも大切です。「悲しくなった」あるいは「嬉しかった」原因となった場面を読み込み、「悲しくなった」「嬉しくなった」きっかけとなったことがら、できごとを探しましょう。すると自然に解答に使う部分が分かるようになります。

こういった記述問題の場合は、「文中の語句だけで書く」「文中の語句に一部自分で考えたことばを足す」パターンが多いです。もちろん、心情の紆余曲折が前提となっている記述問題も多いので、単純化はできませんが、これらの組み合わせだと考えれば難しく考える必要はありません。解答に使うべき適切な部分を文中に見つけることができれば、正解への第一歩を踏み出すことができます。

記述問題に要求されるのは第一に読解力

記述問題には「表現力」が求められますが、表現力を発揮するためには、本文と設問をよく読み、正解に内容を把握することが大前提です。ですから、記述問題と言えども第一に要求されるのは正確で素早い読解力だと言えるでしょう。これがなければ記述問題を解くのに必要な部分を本文で見つけることができませんし、設問につけられている条件を見落としてしまい、正解することは難しくなります。

記述問題が出てきた瞬間から、それにばかり気をとられてしまい、本文の読解がおろそかになってしまう受験生が非常に多いのですが、実際のところ書こうと思っても書けないでしょう。それは、本文の内容を正確に把握できていないため、記述問題のヒントが分からないからです。記述問題の大前提、読解力のアップを忘れてはいけません。そのためには、復習の際で構わないので、テキストや塾で行った問題演習で使った文章の「精読」を行いましょう

精読は、長い文章を1文に分解しながら、「これは筆者の考え」「これは具体例」「これは心情が変化した箇所」といったように細かく読んでいく読み方です。制限時間内にやろうとするのは最初から難しいですが、一度問題を解いてきてからでも構わないのです。なぜ間違えたのか、その原因を追究するためにも再度精読をして、文中のどこに何が書いてあったかということを仕分けする学習をすることが結果的に記述問題を苦手から得意にすることにつながります。

入試で求められる記述力とは?

苦手意識があるために、記述問題の練習は避けて通ってしまっている、模試でも白紙で出してしまう・・・そんな受験生の方は決して少なくありません。ですが、今後もウエイトが高まっていくであろう記述問題をすべて落としてしまっては国語の合格点をとることはできなくなるでしょう。ここでは、入試で求められている記述力を身につけるために取り組みたいこと、答案を作る際に心がけたいことをご紹介するのでぜひ参考にしてください。

「書きことば」が記述の基本

記述問題の採点をしているときに気になることがあります。それは、文章を「書いている」にもかかわらず、「話しことば」を使っている、ということです。「○○なので」と書くところを「○○だけど」と書いてあったり、「している」を「してる」、「食べられる」を「食べれる」などと「ら抜きことば」で書いている答案は少なくありません。

一度、「ていうか」ということばで書き始められていた文章を見たときには筆者も力が抜けたものです。そういった話しことばから始めること自体が記述のお作法に反しているわけですが、何よりも「相手が正確に読めるかどうか」という視点がまったく欠けてしまっているのが話しことばによる記述です。ここは記述問題を解く際には必ず気をつけていただきたいことです。

できればご家庭でも、正しい「書きことば」を指導していただくと良いでしょう。日常会話でもら抜きことばを使っていたらその都度直して、正しい日本語ではない、ということを意識させたり、単語だけで「お茶」と言われたら「お茶をどうしてほしいの」と正しく文章でお願いするようにする習慣をつけるなどが家でも簡単にできることなので有効です。

また、学習の際には、「視写」が非常に有効です。視写とは、文章を書き写すことですが、正しいことばづかいで書かれている文を書き写す訓練をすると、書きことばが身につくだけでなく、語彙力もアップします。ただし、いわゆる「解答を丸写ししておしまい」にするような視写は避けましょう。解答を参考に丸写しするなら、そのあとに自分で実際に書きことばを使って設問をもう一度解いてみるといった工夫が必要なので注意してくださいね。

言いたいことを言語化する

記述問題の本質は、本文や設問を読んで頭の中に浮かんだことを「言語化」して表現するという作業です。目的は読み手=採点者が読んでわかることですから、自分だけが分かっているという状態では正しい文章を書けません。そのため、自分が伝えたい、言いたいことを書きことばで「言語化」することがとても大切です。

たとえば、日常会話の中でも工夫することは可能です。「今日は学校で何があったの?」と一言かけてあげて、お子さんに、保護者の方が分かるように話してもらいましょう。その際に、一言一言直すのではなく、まず全部話を聞いてから、「それってどういうことかな?」と質問をしてまた答えてもらう、ということを繰り返すのが有効です。途中で遮ってしまうとお子さんの言語化意欲をそいでしまうのでご注意ください。

たとえば、慶應中等部などでは「手紙」が出題されることがありますが、離れて暮らす祖父母や親戚あての手紙(実際に出さなくても構いません)を書いてみるのも正しい書きことばで、言いたいことを言語化するのに有効です。手紙を書くと、書きことばや語彙の知識を増やすことができるだけでなく、表現することで手と目からインプットすることができ、さらに表現力も身につくのでおすすめの方法です。長くなくて良いので、習慣づけると良いですね。

記述のルールは解きながら覚える

4年生から本格的な中学受験カリキュラムがはじまりますが、この時期は塾のテキストや授業で触れる文章が格段に増えます。そこで、実際に問題を解く時間、ご家庭で宿題をする時間や塾で学習してきた文章の設問を解く時間をうまく活用して記述のルールを覚えていくのがおすすめです。

記述のルールにはいろいろありますが、やはりまずは主語と述語がきちんと対応しているかどうか、という点には気を配りましょう。受験生の書いた文章を読むと主述が一致していないため意味が通らないことが非常に多いのです。「いつ、だれが、何をした」ということは文章を作る上での基本ですよね。

解答を作る際に主語や目的語、述語がなければいくら採点者が好意的に読んでくれたとしても点数は得られません。また、あいまいな表現ははっきり何が言いたいのか分かるように書くというのも重要なポイントです。普段の会話の中でも、主語と述語を意識してみること、あいまいなことばについては「それってどういうこと?」とさらなる説明を求めてみることも記述のルールを身につけるためにおすすめです。

必要十分なことを端的に書く

記述問題で点数がとれない原因のひとつに、「聞かれたことに端的に答えられていない」ということが挙げられます。これは非常に重要なことで、近年の入試の記述問題では各教科、この「端的に答える」ことにウエイトが置かれています。

記述問題は、問う側と問われる側の会話のようなものですから、聞かれたことに答えていなければ会話は成立しませんよね。だからこそ聞かれたことに端的に答えることを意識することは、記述問題を解くにあたっては非常に重要なのです。

以前、まだ記述問題が主流でなかった際には、求める要素が押さえられていれば多少余分なことを書いていても大丈夫、ということもありました。また、解答に結びつく要素を見つけ出せるだけ見つけ出して書きまくる、ということで〇とされたこともあったのです。

しかし、現在の入試で出題される記述問題で求められているのは、設問で問われていることに端的にポイントを押さえて書くことです。なんでも書けば点数をもらえるわけではなく、聞かれていることに答える、会話を成立するためのコミュニケーション能力が試されていると言っても過言ではありません

これは国語以外に社会や理科でも言えることで、知っている知識に関することだと思うと、聞かれていないことまで書いてしまう受験生は少なくありません。しかし、そうすると必ず必要な要素をいくつか取りこぼしてしまいます。聞かれたことは何か、それに対応する答えは何か、といったことを端的に押さえることができてこそ点数に結びつく記述答案と言えるのです。

書きながら考えることも必要

記述問題を書き始めるとき、聞かれていることは何かを分析し、必要な要素を書き出し、それに対応する部分を本文に探しに行き、場合によっては自分の言葉で言い換えるといった準備をしてから書き始めるのが基本です。ですが、一度で模範解答レベルの解答を書くことは難しいですよね。

実際に受験生の記述の解答を見ていると、とにかく〇がもらえる解答を書かなければいけないという意識が勝ちすぎて、まったく書けずに白紙答案にしてしまうことも少なくありません。

記述問題は部分点を稼いでいく問題だと言っても過言ではありません。ですから、完璧な〇でなくてもいいのです。△を積み重ねていって、とれるだけの点数をとる、という発想の転換が必要です。

いくら書き出しが分からないからとうなっていてもことばは出てくるものではありません。ですから、問題用紙の空欄に聞かれていることとそれに対応すること、必要な要素などをどんどん書き出す、つまり手を動かしながら考えて答案を作っていきましょう。頭の中で最後まで見切って書き始められるほど記述問題は簡単ではありません。「書きながら考える」という姿勢で怖がらずに書いていくことが大切なので、必要以上に怖がらないようにしてくださいね。

まとめ

近年は、国語だけでなく、理科や社会でも記述問題が増加する傾向が見られます。記述力は「聞かれていることに答える力」「頭の中にある答えを言語化し、相手に伝える力」です。実は日常生活で養成することができる力なのです。ただ文章に向かっているだけではなかなか身につかないこともあるので、日常会話を利用し、また解いてきた問題の文章を精読するなどして、読解の基本を身につけましょう。

記述力は、ほかの教科の得点力アップにも大きく関係してきます。算数でも途中式を書く際は、採点者が読んでわかるように書かなければ減点されてしまいますよね。理科や社会も原理原則を説明させる問題は頻出です。入試は基本4教科総合得点で合否が決まりますから、すべての教科の底上げのためにも、ぜひ記述対策をしっかり行っていきましょう

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