【中学受験】国語-文法表現-詩の表現技法について学ぼう!〜比喩法〜

今回は詩の表現方法について、その中でも比喩法について詳しく説明していきたいと思います。 

まず比喩法とは、何かいいたい事柄を別の事柄に例えることで効果を持たせる表現技法のことをいいます。比喩法はさらに直喩明喩)と隠喩暗喩)に分けることができます。 

直喩とは「〜のようだ」「まるで〜」という言葉を使って他の事柄にたとえていう表現です。 

例えば、「彼は太陽のようだ」と表現することで、「太陽=明るくて眩しい」などのイメージを連想させ、「彼」の人柄が伝わりやすくなります。また、「〜のようだ」「まるで〜」と、比喩であることが分かりやすい言葉をともなうため分かりやすい表現技法であるともいえます。 

一方、隠喩直喩のような「〜のようだ」「まるで〜」という表現を使わずにたとえて表現します。 

以下の文をみてみましょう。 

彼女の眼は、夕闇の波間に浮ぶ、妖しく美しい夜光虫だった。
(川端康成『雪国』)

この文では「彼女の眼」を「夕闇の波間に浮ぶ、妖しく美しい夜光虫」であると表現しています。当たり前ですが、「彼女の眼」が「夜光虫」であるはずはなく、「夜光虫のようであったとたとえて表現しているのです。 

もし、この文を隠喩から直喩に変えるなら、このようになります。 

彼女の眼は、夕闇の波間に浮ぶ、妖しく美しい夜光虫のようだった。 

このように隠喩ではたとえであることを示す語句が明示されていません。 

では次に、実際の問題を参考にしながら比喩法、そしてその効果についてみていきましょう。 

【問】
「よく失明をあらわす比喩として、『ろうそくの火が消えるように』という比喩が使われますが、あれは必ずしも正しくないのかもしれません」とあるが、「『ろうそくの火が消えるようにという比喩」とは、ここではどんな意味で使われていますか。

武蔵中学校 2022年 国語問題(伊藤亜紗の文章による。なお一部省略したところがある。) 

まず、直喩か隠喩か考えてみましょう。『ろうそくの火が消えるように』とあり、「ように」の比喩表現が含まれているので直喩です。では失明を『ろうそくの火が消えるように』と表現することでどのような効果を持つのかみていきましょう。 

「ろうそく」という具体的な物が出てくることでイメージが湧きやすくなります。上の写真のようなイメージを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。ろうそくの火が消えるとあたりは暗闇になります。その暗闇の状態を失明で目が見えなくなったことをたとえています 

よって今回の問いの模範解答は「見えていたものがある瞬間に突然見えなくなるという意味」となります。 

【問題文より抜粋】
稲妻に打たれるような感覚、というのはなまじ比喩ではないらしい。

浦和明の星女子中学校 2022(秋ひのこ『はしのないせかい』) 

「稲妻に打たれるような感覚」という表現はよく使われる表現です。今回も「ような」とあるので直喩になります。では「稲妻に打たれるような感覚」とはどのような感覚なのでしょうか。 

上の図のような雷が落ちるイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。実際に雷に打たれたのではなく、雷が激しく落ちるような強い驚きや衝撃を受ける様子のことを「稲妻に打たれるような感覚」と表現します。 

2つの例を挙げて説明したように、心象などを表す際に比喩表現を使うことで、イメージを連想させ、印象づけやすくなるという効果があります。 

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