中学受験の併願校対策、どう効率化する?

中学受験の最大の特徴は、実は「受験者が小学生であること」という当たり前のところにあるのではと感じる時があります。

ある程度自分の意思で受験校を決め、自分で時間配分をして勉強ができる中学生・高校生と違い、小学生は受験を自分ごとと捉えにくい傾向にあります。

「親が中学受験をしろって言うから」「この学校に行けって言うから」などと、親御さんの言いなりになって受験をしている方も少なくありません。

第一志望の学校のであれば、学校見学や説明会でご本人の行きたい思いが強くなっているかと思いますが、併願校ともなると一層対策に身が入りにくいのではないでしょうか。

だからと言って対策をしないままに受験当日を迎えては、うまく解けずに自信を失ってしまう可能性もあります。

では、時間を使いすぎずに対策をするためにはどうすれば良いでしょうか。

そもそも併願校選びを工夫する

第一志望の学校に合格することを目指しながら、他の学校の対策にどれくらいの時間を使えるでしょうか。

第一志望の学校と全く傾向が異なる出題がされるのであれば、その対策のために時間を使う必要があります。

その場合、第一志望校に相当するほどの進学意思がある場合を除いては併願しない方が効率的です。

逆に言うと、長い時間を費やしてでも受けたい学校が受験をするお子様自身にあるのであれば、その学校は受けた方が満足のいく受験になるでしょう。

何のために受ける併願校か?を擦り合わせる

併願校を決める際には、その学校を何のために受けるのかを受験生ご本人と擦り合わせるようにしましょう。

ご家族がチャレンジとして受けさせるつもりでいても、ご本人がそのつもりでいなければどうなるでしょうか。仮に不合格になってしまったとしたら、それをきっかけに自信を喪失してしまうかもしれません。

せっかく頑張ってきた中学受験です。

第一志望校に合格したとしても、一つの学校に不合格になってしまったことで、後味の悪い受験の思い出になってしまってはもったいないのではと思います。

本命校に向けての前哨戦として絶対に受かりたい学校なのか、試験慣れのための練習であって合否は考慮しない学校なのか、チャレンジ校で受からなくても構わない学校なのか、ご本人も納得の上で決めていきましょう。

それを決めておくことで、対策の方向性とかける時間が決まります。

あくまでも対策に取り組むのは受験生本人です。併願校の中に、第一志望ではないが実は志望度が高い学校があるかもしれません。その学校を試験慣れの学校に設定してしまえばやる気は損なわれます。

きちんとご家族で擦り合わせを行って、どの学校にどれくらいの本気度で取り組むのかを決定してください。

過去問集に取り組む順番を工夫する

併願校が決まった後も、ただ闇雲に過去問に手を出しては非効率的です。

また、何も考えずにどんどん解いていってしまうと、受験期直前になった時に、本番を想定した初見の過去問演習ができなくなってしまいます。

直前になって解けるよう、1年度分は解かずにとっておくことにすると良いでしょう。

過去問に取り組む順番は、基本的には問題の難易度が低いものから扱うことをおすすめします。

第一志望校の問題だからといって、難しいと感じている問題ばかりを解いていてはやる気なくなってしまいます。

第一志望校に向けて学力をもっと伸ばさないといけない場合こそ、まずは難易度の低い学校の問題を解きましょう。
この場合の「難易度」とは、偏差値だけを指すわけではありません。

問題を見た瞬間に、自分にとって簡単かどうかは何となく分かるものです。解く本人の直感を、まずは尊重してみましょう。

そこで「解ける!」感覚を味わうことで、やる気が向上することはもちろん、解ける時の感覚を手に入れることができます。

だんだんと第一志望校の問題に慣れてきたときには、高難易度の学校や、同程度の難易度の学校の問題を解くようにしましょう。

過去問集を問題集として使う

併願校の対策にまとまった時間を取れない場合は、過去問集を問題集として細切れに使う方法もあります。

  • 第一志望の学校の過去問を解いて間違えてしまったものがあった際、その問題に似た傾向のものを他の学校の過去問集からピックアップして解く
  • 苦手な範囲がある場合、その範囲の問題を複数の学校の過去問集からピックアップして解く
  • 様々な過去問集のうち、漢字や計算問題の部分だけを解く

上述したような方法をとれば、無理なく併願校の過去問にも取り組むことができます。

また、まだ受験までに時間がある場合や、理科や社会などで全範囲を学習し終わっていない場合は、

  • 塾や家庭教師で習った範囲の問題を、難易度の低い併願校の過去問集から選んで解く

といった方法も考えられます。

問題の特徴的な部分を重点的に

併願校の合格のためには、その学校の問題の特徴的な部分、他の学校と違う部分を重点的に解くようにしましょう

特に、第一志望校では出題されない範囲・形式の問題は対策が必要になります。

昨年まで出なかったような範囲の問題が急に出ることはそう多くはありませんが、対策をしておけば他の学校で出題されたとしても安心です。

記述式問題の多さが併願校の特徴の場合は、時間を使ってみても良いと思います。記述式問題の対策を行うことは、他の学校の選択式問題の解答精度向上にもつながります。

しかし、他で出題されない範囲のもののために力を入れて対策するのはなかなか大変ですし非効率です。

仮にその問題を落としてしまった場合にも合格できる可能性があるのだとしたら、最初から諦めてしまう手もあります。その場合も、受験生ご本人とのすり合わせが大切です。

本番に向けてやらなくてはいけないこと、やった方がいいことは沢山ありますが、優先順位をつけて無理なく無駄なく時間を使うことを心がけてください。

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1995年生まれ。東京都出身。

中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。