中学受験の併願校、どう決める?偏差値だけで決めない、併願戦略のススメ

今年も残りわずか。
併願校をどうするべきか、悩んでいる親御さんが多くいらっしゃることと思います。

併願校というと、第一志望校よりも偏差値が低い学校で受けられるもの!!と安易に決めてしまいがち。通っている塾の”よくある併願戦略”にそのまま決めてしまう方も多いでしょう。

しかし、併願校を安易に決めてしまっては、第一志望校の合格をも遠のかせてしまうことがあります。
今回は、「戦略的」な併願戦略を考える際のヒントをご紹介します。
お子様の中学受験を成功に導くための一助となれば幸いです。

色々ある!併願校のパターン

併願校には、大まかに言って以下のようなパターンがあると思います。

  • 第一志望校よりも偏差値が低い学校(=確実に抑えたい学校)
  • 第一志望校と偏差値が同程度の学校(=練習校,第一志望に志望レベルが近い学校)
  • 第一志望校よりも偏差値が高い学校(=チャレンジ校)
  • 第一志望校よりも受験日が前の学校(=練習校)

すでに併願校を考えている方は、それぞれの学校がどのパターンに当てはまるのかを確認してみてください。
合格を目指す学校なのか、練習を目的に受ける学校なのかによって勉強方法も変わってくるはずです。

上述したパターンを念頭にした際、どのようにして併願戦略を考えるのが良いでしょうか。

第一志望校はどういう存在?

まず大切なことは、第一志望校がご家庭にとってどのような位置付けなのか、です。

「絶対に受かる」「受かりそう」「頑張ったら受かる」「ちょっと背伸び」など、第一志望校とはいえども人によって状況は様々なことでしょう。

第一志望の学校に「絶対に受かる」ラインにまで到達している場合、敢えてより難しい学校も併願してみることも考えられます。
第一志望校を決めた際に「難しいかな」と諦めてしまった学校があるのだとしたら、チャレンジをしてみても良いかもしれません。

「受かりそう」と判断できる、8割くらいの確率まで到達しているならば、第一志望と同程度の難易度や少し下の難易度の学校が適切でしょう。

「頑張ったら受かる」「ちょっと背伸び」など、確実性が低い学校を志望しているのならば、受かりそうなレベルの学校も併願する必要があります。

この際に考えるべきは、「中学受験の結果どうなりたいか?」です。
第一志望校に行けなかった場合にどうしたいか、とも言い換えられます。
とにかく中学受験をしてどこかの学校に行きたいのか、いったん公立の中学校に行って高校受験でリベンジをしたいのか、どちらでしょうか。

とにかくどこかに受かることを目的にする併願戦略と、とにかく第一志望に受かることを目的にする併願戦略は全く異なります。

とにかくどこかに受かりたい場合の併願校

第一志望校への合格可能性がどうであれ、とにかくどこかの学校に受かるぞ、という戦略の場合は、「確実に受かる」か「受かりそう」な学校を併願するべきです。
ここで注意しなくていただきたいのは、ただ偏差値だけで見ないこと。

偏差値が低くても、あまり対策してきていない種類の問題が出題されれば難易度は上がってしまいます。
だからと言って、併願校一校のためだけに他の学校では出題されない形式の問題を対策するのは、非効率です。
併願校の対策に時間を使いすぎて第一志望校に手が回らなくなってしまう可能性もあり、好ましくありません。

そのため、できる限り出題形式を揃えて併願しましょう。

出題の傾向や問題の形式が揃っていると、一校の対策が他の対策にも直結するようになります。

第一志望校の対策時に見つかった苦手分野や苦手な科目が出題されない、または点数配分が低い学校が見つかった場合も併願戦略に組み込むと効果的です。

理科や社会に関しては対策が追いつかない場合もあります。その際は点数配分が少ない学校を併願すると良いでしょう。

また、大前提として、行っても良いなとお子様ご本人が思える学校をメインの併願校にしましょう。

とにかく第一志望に受かるための併願校

どうしてもこの学校に行きたい!とお子様ご本人も思っている場合、合格確率を少しでも上げることを目的に併願校を考えると良いでしょう。

この場合最初に考えたいのが、受験の練習をどうするか、です。

いくら模試受験を重ねていても、受験本番には会場の空気にのまれてしまう可能性があります。
受験会場に行ったら思っていた以上に寒くて集中できなかった!など、実際の入試を経験しておかないと分からないこともあります。

ですので、第一志望校の受験日の前にどこかの学校で入試の練習を行うことも考えましょう。

第一志望校の受験日によっては、事前に受けられる学校の選択肢が少ない場合もあります。
もちろん「とにかくどこかに受かる」ことを目的とした併願戦略と同様、出題の形式は揃っている方が望ましいです。

しかしそうも言っていられない場合、「この学校は問題が解けるかよりも受験会場に慣れることを目的として受けよう」とお子様とよく話した上で受験をしても良いでしょう。

受験日が遅くて何校か受けられる場合は、出題形式が似ている「確実に受かる」か「受かりそう」な学校を受けておきましょう。

そこで合格ができればテンションが上がって第一志望に向けて自信がつきますし、仮にダメだったとしても次に向けた対策ができます。
ただし、本命の受験の前に不合格が出るとショックを受けて自信をなくしてしまうお子様も多いので、「第一志望に受かるための練習だから」とよく話しておくことが重要です。

お子様の特性を考慮しよう

どのような併願戦略を取るにせよ、お子様の特性をよく考えることが必要になります。

本番で緊張しやすかったり慣れない環境が苦手だったりするのであれば、練習を積んでおくことで合格の可能性は高まります。

失敗をすることでやる気に火が出るのであれば、あえて、不合格になる可能性もあるチャレンジ校を早い段階で受けても良いかもしれません。

併願校であったとしても不合格になると立ち直れなくなってしまいそうならば、最初に第一志望校の受験を済ませておく方が安心な場合もあります。

受験日が連続になると疲れで体調を崩してしまう懸念があるならば、第一志望の受験日の前日の午後には、別の入試を入れない方が良いでしょう。

お子様の特性は、塾以上にご家族がわかっているはずです。

受験生とはいってもまだ小学校6年生。ご家族や塾からのプレッシャーは、私たち大人の想像するもの以上なのではないでしょうか。

中学受験に向けてしてきたたくさんの努力を、ご本人が納得して発揮できるようにすることが大人の役割だと思います。

受験シーズンが近づいてきた今であれば、今までの受験生生活で成長をしてきたご本人も交えた話し合いができるはずです。
ぜひ、大人だけで決めるのではなく、受験当事者であるお子様も含めて話し合いをしてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

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1995年生まれ。東京都出身。

中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。