今回は、そのような立教女学院中学校の、理科の出題傾向や入試対策方法についてご紹介します。
Contents
入試情報
問題構成・解答形式
立教女学院中学校の理科は、試験時間30分に対して大問が4問、総設問数が20〜25問程度となっています。ここ数年で大問数は安定していますが、総設問数は年度によってかなり変化しています。
基本的には物理・化学・生物・地学の4分野からそれぞれ1問ずつ出題されていますが、同じ分野から複数問出題されるということはほとんどありません。
近年の出題内容
2020年度
2019年度
2018年度
出題傾向
概要
立教女学院中学校の理科は、試験時間30分に対して大問が4問、総設問数が20〜25問程度となっています。
基本的には物理・化学・生物・地学の4分野からそれぞれ1問ずつ出題されており、1つの分野から複数問出題されるということはほとんどありません。
難関男子校で見られるような、難問・奇問は見られません。高度なひらめきや思考力を必要とするというよりは、単元についての本質的な理解を問うような良問が揃っています。
また当校の理科は、出題形式がかなり限定的であることが特徴のうちの一つです。一般的な中学受験理科でよく出題されるような記号選択・用語記述・並び替え問題・正誤選択問題が大部分を占め、記述問題や作図問題などはほとんど見られません。
出題傾向についての詳細
立教女学院中学校の理科では、物理・化学・生物・地学の4分野からまんべんなく出題されることが特徴的です。
なかでも物理からは「電気」「熱」「光」といったエネルギーに関する問題が、化学からは「ものの溶け方」「ものの燃え方」「水溶液の性質」といった問題が、生物からは「植物や動物の分類」が、地学からは「天体」「地形」に関する問題がよく出題されています。
難問・奇問といった、高度なひらめきや思考力を問うような問題は見られません。あくまで受験生の単元についての本質的な理解を問うような問題がほとんどです。
一方で、知識をそのまま問うというより、「今まで学習した知識をもとに答えを推測させる」ような一筋縄ではいかない問題が多いです。油断せず取り組みましょう。
難易度がそこまで高くない分、受験生同士で点差がつきにくいことも特徴的です。ここ最近の合格者平均点は8〜9割程度とかなり完成度の高い解答が求められます。
また当校の理科では、出題形式がかなり限定的であることが特徴としてあげられます。一般的な中学受験理科でよく出題されるような記号選択・用語記述・並び替え問題・正誤選択問題が大部分を占め、記述問題や作図問題などはほとんど見られません。
当校の理科は、とにかく問題分量が多いことが特徴的です。試験時間が30分と、かなり短いなかで、全20〜25問にもわたる問題を解き終えなければなりません。1問あたりにかけることのできる時間は1分程度となっています。
完成度の高い解答が求められるので、高得点を取る上では解くスピードも非常に重要です。
入試対策法
分野別対策法〜実際の過去問を解いてみよう〜
立教女学院中学校の理科では、物理・化学・生物・地学の4分野からまんべんなく出題されることが特徴的です。
そのなかでも特に頻出の、地学・生物の問題について、実際の過去問を抜粋しつつ、対策法をご紹介します。
実際の出題例1〜地学〜
(2015年度第1回・第3問より抜粋)
〔3〕東京で、天気と気象について調べました。次の問いに答えなさい。
- 問1 身近に起こっていることから天気を予想することや言い伝えのことを、「観天望気」といいます。次の観天望気のうち、天気が晴れになると考えられていることがらとして正しいものを、次のア〜オから2つ選び、記号で答えなさい。
- ア. 朝のにじ
- イ. 夕焼け
- ウ. クモの巣に露がかかる
- エ. 日がさ、月がさ
- オ. 山の上に雲がかぶさる
- 問2 観天望気の1つに、「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」という言い伝えがあります。なぜ、ツバメが低く飛ぶと雨が降ると考えられているのでしょうか。その理由として正しいものを、次のア〜オから1つ選び、記号で答えなさい。
- ア. ツバメは、しめった空気が近づいてくると、空気中の水分の影響で高く飛べないから。
- イ. ツバメが、梅雨の時期に作る巣は、低い位置にあるから。
- ウ. ツバメの巣つくりの時期と、梅雨の時期が同じだから。
- エ. ツバメは体温の変化に弱く、気温が低くなると高く飛べないから。
- オ. ツバメのえさのこん虫が、しめった空気が近づいてきたときに高く飛べないから。
- 問3 台風は、8月に最も多く発生しています。8月に台風が多く発生する理由としてもっとも正しいものを、次のア〜オから1つ選び、記号で答えなさい。
- ア. へんせい風が、日本の上空を通るから。
- イ. 1日の気温の差が大きく、空気中の水分の量が増えるから。
- ウ. 海水の温度が高く、空気中の水分の量が増えるから。
- エ. 太平洋沿岸に向けて、海風が強くなるから。
- オ. 地表付近の気温が最も高いが、上空の空気は冷たくなっているので、空気の流れが不安定になるから。
【答え】
- 問1 イ・ウ
- 問2 オ
- 問3 ウ
〔解説〕
- 問1
- イ:夕焼け→夕方に晴れている=天気は西から東へと移り変わるので、今後晴れることを意味する、という考え
- ウ:クモの巣に霧がかかる→前日の夜に晴れていて、そこから気温が下がったため霧がかかった、という考え
〔ポイント〕
- 立教女学院中学校では、物理・化学・生物・地学の4分野のなかでも、物理・化学・地学が特に頻出です。地学の問題のなかでは、天体・宇宙・地形に関する問題が頻繁に出題されています。
- 今回の問題のように、用語記述や記号選択といった問題が多いです。
- 例年基本的な知識を問うような問題が多いですが、今回の問題のように一筋縄では解くことができないような問題が多いです。「今まで学習したことをもとに論理を推測する力」が求められます。
実際の出題例2〜生物〜
(2014年度第1回・第4問より抜粋)
〔4〕光合成について、次の問いに答えなさい。
地球温暖化の原因の一つに、( X )というものの増加があります。( X )には、熱を外に出さずにためる、温室効果という性質があります。地球が誕生したころの空気には、( X )が大量にあり、気温は高温でした。しかし、現在それほど高温でないのは、( X )が減ったためです。
( X )が地球の空気から減ったもっとも大きな原因は、( X )を積極的に利用する生物、すなわち、光合成をおこなう生物が出現したからです。光合成は、光を利用して、原料の( X )と水から、デンプンや糖などの栄養物と、( Y )という気体をつくり出す生物のはたらきです。
- 問1 ( X )と( Y )に当てはまる名前を漢字で答えなさい。
- 光合成は、光の強さ、( X )の量、温度の影響を受けます。光合成の速度(一定時間にとりこむ( X )の量)と、光の強さ、( X )の量、温度のそれぞれとの関係を調べました。縦軸に光合成の速度をとり、横軸に、光の強さ、( X )の量、温度をとって、グラフであらわすと次のようになります。ただし、横軸以外の条件は、すべて同じとします。
- 問2 上のグラフからわかることとして、正しくないものを、次のア〜カの中から、すべて選び、記号で答えなさい。ただし、A〜Cは、東京の夏の、晴天時の光の強さ、現在の空気中の( X )の量、平均気温のそれぞれをあらわしています。
- ア. 光の強さがAの条件の1.5倍の強さになれば、光合成の速度はより速くなる。
- イ. ( X )の量がBの条件の1.5倍の強さになれば、光合成の速度はより速くなる。
- ウ. 温度がCの条件より10℃高くなれば、光合成の速度はより遅くなる。
- エ. 光の強さがAの条件の半分の強さになれば、光合成の速度はより遅くなる。
- オ. ( X )の量がBの条件の半分の量になれば、光合成の速度はより遅くなる。
- カ. 温度がCの条件より10℃低くなれば、光合成の速度はより遅くなる。
【答え】
- 問1 X 二酸化炭素 Y 酸素
- 問2 ア・ウ
〔解説〕
- 問2
- ア:左のグラフより、光の強さがAに到達すると、光合成の速度は一定になる。よって、正しくない。
- ウ:右のグラフより、Cよりも温度が10℃高くなると、光合成の速度は下がっているため、正しくない。
〔ポイント〕
- 立教女学院中学校の理科では、最初に長めのリード文が用意され、リード文内の下線部や空欄ごとに問題が設定されている場合が多いです。
- 試験中は時間との勝負です。リード文を全てじっくり読んでいると貴重な時間がなくなってしまうため、まずは問題にされている部分に注目しましょう。
高得点を目指す上での「カギ」とは?
知識問題では満点を目指す
立教女学院中の理科では、あくまで単元についての本質的な理解を問うような良問が揃っています。受験生の知識量や演習量がそのまま得点に直結するため、苦手分野を残さないようにしっかり対策を行いましょう。
一方で、問題によって難易度に少しばらつきがあることも特徴的です。問題によっては「今まで学習したことを関連づけて、論理を組み立てる」ような、一筋縄ではいかないようなものも見かけられます。
過去問演習は入念に
立教女学院中学校の理科では、問題形式がかなり限定的であることが特徴的です。
一般的な中学受験理科でよく見られるような、記号問題、適語補充、用語記述といった問題がほとんどです。記述問題や作図問題などはほとんど出題されていません。
まとめ
今回は、立教女学院中学校の入試情報や、理科の出題傾向、入試対策方法についてご紹介しました。
当校の理科は、試験時間30分に対して大問が4問、総設問数が20〜25問程度となっており、試験時間に対する問題量が多いことが特徴的です。
高度なひらめきや思考力を問うというよりは、単元についての本質的な理解を問うような問題がほとんどで、受験生の知識の定着度や演習量がそのまま得点に直結するような良問が揃っています。
また「記号選択、用語記述の問題がほとんど」、「様々な分野からまんべんなく出題される」といった点も特徴的です。過去問研究は抜かりなく行い、入試本番で動揺しないようにしましょう。
入試本番まで時間は限られていますが、他教科とのバランスを考えつつ、できる限りの対策を行いましょう。
おすすめ記事
参考
- カリキュラム|立教女学院中学校・高等学校
- 学校説明会・イベント|立教女学院中学校・高等学校
- 建学の精神・教育目標|立教女学院中学校・高等学校
- 教育環境|立教女学院中学校・高等学校
- 進学先・進路状況|立教女学院中学校・高等学校
- 入学試験概要|立教女学院中学校・高等学校
こんにちは!ライターの福久はなです。 都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。 塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。 これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。 皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!