中学受験で使うテキストというと、やはり塾のテキストが中心になりますよね。お子さんが取り組んでいる受験用のテキストをご覧になって、どう感じますか?もちろん塾のテキストも、カラー刷りになっていたり、グラフや表、図などでビジュアルの面も工夫されています。
ですが、やはり中心は、「説明」、つまり文章ですよね。字ばかりが並んでいると、なかなか知識を理解しようとしても、読解力がなければそのテキストを使いこなすことができません。お子さんはそんな字が中心のテキストで、しっかり理解し、問題なく勉強できているでしょうか。
そこで学習教材として注目したいのが「マンガ」です。昔から社会の歴史マンガはよく読まれていますよね。ご家庭にもそろえている、という方も多いのではないでしょうか。実は、マンガは使い方しだいで、中学受験で意外にあなどれない教材になりえるのです。
今回は、わが家でも活用した、中学受験とマンガの関係について書いていきたいと思います。
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マンガを中学受験に活用する方法って?
中学受験で勉強の時間をかける科目といえば、やはり算数ですよね。学校の算数とは範囲もカリキュラムも違いますし、学年が上がるにつれて同じ範囲でも内容が深くなり、ついていくのが大変になってきます。お子さんはいかがですか?
この時期になると、模試の問題も入試を意識していますし、過去問を解くにしても一見して何の問題なのかわからなくなり、焦る気持ちを持つのではないでしょうか。
わが家の息子の中学受験においても、とにかく算数対策に時間と力をかなり注いだと思います。なかなか成績が上がらなかったり、穴となってしまっているところがあって焦ったり、算数にはかなり苦しみました。
でも中学受験は算数だけで合格できるわけではありません。ほかの3教科もまんべんなく勉強しなければならないですよね。できれば、無味乾燥でなく、興味を持って勉強してほしいと思いませんか?
算数には苦しんだわが家の息子ですが、社会などは、マンガを活用してかなり楽しく勉強していました。実は社会だけでなく、息子の友人にも、マンガを活用して受験勉強をしている方がけっこうたくさんいました。
意外にあなどれない、中学受験とマンガの活用法について振り返り、具体的な活用の仕方をご紹介していきましょう。
動画とマンガ、テキストで立体的に歴史を勉強
息子が社会の学習に本格的に取り組み出したのは6年生になってからです。もちろん、それ以前にもサピックスで授業を受けていましたし、テキストをこなしていくという勉強はしていました。でもそれだけだとあまりに無味乾燥で、ただ覚えるだけで興味を持って勉強するのは難しいかな、とも思っていました。
実は母である私自身が育った家庭が、子どものころ、何かテレビをみるといえば某局の大河ドラマしか見せてもらえないという環境でした。子どものころはそれがけっこう不満でもあったのですが、そのうち歴史を勉強するようになると、内容が面白いように頭に入っていったので、是非そういったビジュアル的なものを使うことを息子の勉強法にも取り入れようと思っていました。
そこでまず取り入れたのは歴史のシリーズのマンガを活用することです。リビングに歴史シリーズのマンガを無造作に置いておいたところ、あんのじょう息子は熱心に読み入っていました。
そして、マンガだけでなく、同じような時代の大河ドラマや映画を息抜きにときどき観るなどしてみました。そのように視覚から入っていくと、やはり面白いように塾のテキストの内容が頭に入っていったようです。
そのうち歴史の単元では、塾のテストでクラスのトップをとるようになり、歴史についてはかなり自信がついたようです。そういう小さな達成感が積みあがっていくと、「次も一番になりたい」と良い意味でのプレッシャーを感じ、自分にも課すようになっていったようです。
歴史以外・時事問題の勉強にも立体的な学習を
息子の志望校の社会の勉強の中では、時事問題対策も結構重要でした。この時期になると毎年発売される塾の時事問題集を早いうちからやってみたり、子ども新聞や時事問題集などをやっているお子さんもたくさんいらっしゃいました。
たしかに、子ども新聞は読みやすいですし、時事問題集もその年あったできごとがコンパクトにまとまっていて良いのですが、時事問題は世界で何が起こっているのかなど、イメージを持てるかどうかが重要だと思います。
そこで、わが家では時事問題関連については、テキストなどを読ませる、覚えさせるというよりも、一緒にニュースを見たり、その内容について話をしたりして、子どもと意見交換をする、そんなトレーニングをしました。なぜ今このような問題が起こっているのか、背景について子どもにわかりやすく親が説明してあげる、それに対して子どもが疑問を持ったりしてまた質問してくる、あるいは調べてみる、そんなコミュニケーションは時事問題対策としてとても役にたったと思います。
地理についても体験することで立体的な学習ができる
地理については、歴史のようにマンガはあまりありませんよね。地図帳を見るなどして国の形を覚え、特産品を覚え、工業地帯などのデータを覚える・・・受験勉強をはじめると一番最初にやる単元だけに、面白くないと思うと興味を持って学習できなくなってしまうところだと思います。
ですが、地理も立体的な学習をすることは可能です。たとえば、ご家庭の事情にもよるので、必ずできるかどうかはわかりませんが、旅行をして実際に目で見て確かめる、そんな体験型学習をするというのも、地理では効果的です。塾の社会の先生の中には、日本全国すべての県をめぐって実際にいろんな体験をして、その体験をもとに授業される方もいらっしゃいます。そういう授業だと子どもも興味を持って学習に取り組めるようです。
わが家では、私自身が大の旅行好きということもあり、興味をもった地域に実際に行ってみる、そして自分の目でその地域の特徴を確かめて実感させる、そんなことをしていました。さすがに6年生になると時間的に難しかったので無理でしたが、まだ時間的にも気持ちの上でも余裕のあった4年生、5年生の頃にはよく旅行に行って、息子にも体験をさせていました。
たとえば、「京葉工業地帯」について学習していたら、実際にその場所に行ってみることなどは、それほど時間をとらずにできます。また、なかなか目にすることの難しい「赤潮」などの学習をしていたら、瀬戸内海へ行ってみるなど・・・当然時間や場所に制約は限度は出てくるのですが、できるだけ実際に行ってみるようにしました。
実際に行くのが難しいところについては、その地域に関する動画を見たり、あるテーマが題材となっているドキュメンタリー番組をを見たり、とにかく座学だけ、一方的に知識を詰め込むだけではない、立体的な学習を心がけました。その結果、サピックスでは、社会の成績は常にトップでいられることができ、本人の自信にもつながったようです。
中には、夏休みに家族旅行をする際に、行き先を決めたら、旅行の行程をお子さんに決めさせる、そんなご家庭もありました。何時何分どこ発の何という電車に乗って、どこで乗り継いで目的地まで行くところから始まり、行った先で何を見にいくか、お土産にするならどんなものがあるか、そしてどこに泊まるか、帰りはどうやって帰ってくるか、などです。そのお子さんは、やはり社会が得意になり、さらに自分で計画を立てるということの楽しさを知って、今では御三家の中学校に通っています。
マンガを使った学習で麻布中学に合格!?
息子の友人の中には、マンガで麻布中学の記述問題を乗り切った、と豪語しているお子さんもいました。麻布中学では記述式の問題が多く出題されますが、記述式の問題をを解く上では、なんといっても国語力がモノを言いますが、そのお子さんは決して国語や作文が得意であったわけではありません。ですが、マンガが好きで、それもただ読んで楽しむだけでなく、かなり細かいところまで読み込んでいるということは、そのお子さんのお母さんから聞いていました。
合格後にお母さんが笑って言っていたのですが、マンガの文章をきっちり読むことで、いつの間にか「起承転結を意識する」ことや、「語彙力を増やす」などの国語力の基本を養うことができていたのではないか、それが記述式の問題を解くうえで必要な大切なことだったのではないかと思います。
マンガだからと言って馬鹿にはできません。細かく読んでいると相当量の文を読むことになりますし、場面の転換や登場人物の気持ちの変化などを自然に意識するようになります。よく、オチがないなどということがありますが、そういう文章は、マンガであっても読みにくいものです。
起承転結は記述式の問題の解答をつくる上で欠かせない要素です。もちろんマンガを読んでいただけではないのは当然なのですが、身近なマンガでそのような基本的な、でも身につけるのにはかなりの時間がかかる力を養成できるというのは、とてもお得だと思います。
ちなみに、わが息子は国語が大の得意だったのですが、その理由の一つとして思い当たるのは、幼い頃から行っていた「本の読み聞かせ」ではないかな、と感じています。「国語力を付けるなら読書をさせろ」と良く言われますが、個人的にも低学年までの読書週間はとても大切なのではないかと思います。
幼いころは、一人で本を読むのは難しいですから、親が少しずつでも時間をとって、感情を込めながら本を読んで聞かせること、そしてどういう感想を持ったか、簡単でも話してみるというコミュニケーションをとることによって、国語力がついたのかなと思っています。残念ながら、現在の息子はすっかり読書をしなくなってしまったのですが・・・。
まとめ
大人でも子どもでも、実体験したり、ビジュアルで納得し、理解したことは、記憶に残りやすいですよね。マンガなんて時間がないのに読ませていられない、そう思われるご家庭もあると思います。それも一つの考え方ですが、わが家の場合は、結論としてマンガは中学受験でも色々と使える!という印象を持っています。
子どもが受験勉強に取り組む際に、ただテキストを読むだけ、一方的に授業を聞いてそれをひたすら意味も分からず覚えるだけ、ではなかなか知識は定着しませんし、第一学習自体が面白いと感じられなくなることもあります。
もちろんマンガがすべてではありません。マンガに限らず、ちょっと目先や方法を変えた勉強スタイルを取り入れるなどして、実体験を伴う勉強をすることは中学受験ではとても大切なことです。いろいろな方法を試してみて、立体的に学習を進めていくと、親子ともども、大変な中学受験の勉強を少しでも楽しめるのではないでしょうか。
ぜひ、親子で話し合って学習法を考えていきましょう。ときには、親御さんの方から「こういうのもあるんだよ」と勧めてみるのもいい方法です。お子さんに合う学習方法を、合格者の親御さんから情報収集してみたりして試してみるのもいいのではないでしょうか。
長丁場の中学受験です。少しでも興味をもって、またコミュニケーションをとりながら学習していくことがモチベーションを保つ上ではとても大事です。もし何か苦手とするような分野があるなら、違う角度から勉強方法を考えてみるのもいいことだと思います。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。