中学受験・歴史 旧石器~縄文時代の基礎知識、忘れていませんか?

中学受験の歴史で、一番最初に学習するのは、旧石器時代や縄文時代ですよね。昔の人がどのような生活を送り、どのようなところに住み、何を食べていたのか・・・それは時代の変化とともに変わってきていますが、特に旧石器時代や縄文時代のころは、遺跡などが見つかっているものの、どの時代のものなのかを検証するには時間もかかりますから、手持ちの史料が少ないのでイメージしづらい面があります。ですから、受験生にとっては最も忘れやすい時代といってもいいでしょう。

ですが、最近の中学入試では、1つのテーマについて多角的に考えさせる問題が増えています生活様式の変化などをテーマにして、日本人の生活がどのように変化してきたかを考察させる問題が出題されたら、当然古代の歴史の基礎知識も聞かれる可能性があります。現代に生きる受験生にとっては想像もできないかもしれませんね。ですが、覚えなければならない基礎知識量や史料はそれほど多くはありませんから、一度しっかり整理し、覚えておけば、いろいろな問題に対応することができます

今回は、旧石器時代~縄文時代について、必要な基礎知識をまとめていきます。忘れないように今のうちから覚えておきましょう。

旧石器時代

発見のきっかけは・・・

1946年、考古学者であった相沢忠洋が、群馬県岩宿の関東ローム層から打製石器を発見しました。日本にも旧石器と呼ばれる、初期の石器が存在したことが明らかになったのです。覚えておきたい旧石器の種類について、まとめておきましょう。

旧石器の種類

  • 石斧:短い柄のついた斧です。直接手で握り、木材の伐採や穴掘りに利用されました。
  • ナイフ形石器:大きさや形状によって、直接持つものと、柄をつけて利用するものがありました。
  • 尖頭器:石槍とも呼ばれ、狩猟に利用されました。
  • 細石刃:3~4cm程度の打製石器を組み合わせて作られ、鋸や槍などとして利用されました。

旧石器時代の生活や食の特徴は「大型動物の狩猟と植物の採集」です。このような生活と合致する道具が旧石器時代には多く見られます。また、旧石器時代は大きく分けて前期・中期・後期に分けられますが、日本では後期(約35000年前)の遺跡しか見つかっていないので(以前、宮城県で約60万年前の旧石器時代前期の遺跡が発見されたとニュースになりましたが、のちにねつ造だと発覚し、存在が否定されました)、それ以前の生活については、集団形成も含めてわかっていないというのが現在のところです。これまでに出てきた石器や道具、生活様式の特徴をしっかり覚えておきましょう。

縄文土器

旧石器に続き、その後の時代である縄文時代の土器や石器についても整理しておきましょう。

  • 弓矢:旧石器時代の槍や投げナイフに比べると射程距離が大幅に伸び、また動きの素早い動物を狩るために狩猟犬が活躍していました。以前の大型動物中心の狩猟から、中小動物(イノシシやウサギ)や鳥の狩猟へ変化しました。
  • 縄文土器:縄文時代の名前の由来にもなった、「縄文(縄目の模様)」がついた厚手の土器(茶褐色・黒褐色のものが多い)。低温(900℃前後)で焼かれるため、もろいという特徴があります。主に、ものを煮るために利用されました。植物を煮ることができるようになり、食料を確保し、栄養面の幅も広がるきっかけになりました。
  • 磨製石器:研磨技術が向上し、石棒や石剣などの祭祀具が作られました。大型の石器は伐採や木材加工に、小型の石器は細部加工や楔に利用されました。加工技術が向上し、丸木舟も製造されるようになりました。

今から約1万年前に、日本はユーラシア大陸と切り離され、独立した列島となり、その結果、動植物の生態系が大きく変化しました。しました。この流れを押さえることができれば、縄文土器をはじめとする、様々な道具の登場にも納得できると思います。

縄文時代の食生活

縄文土器や石器ができたことによって、それらの道具を用いた、縄文時代の人々の食生活についてもまとめておきましょう。

1年のサイクル

縄文時代に入り、大陸から完全に独立した日本列島には、四季による気候の変化が生じるようになりました。そこで、縄文時代の人々は、それぞれの季節ごとに食料を適応させて、生活していました。たとえば、

  • 春:若草、貝
  • 夏:魚
  • 秋:木の実、鮭
  • 冬:動物の狩猟

といった具合です。今では季節を問わずに様々な食材が手に入る時代になりましたが、当時は季節ごとに合った食料を使い、煮炊きするなどして生活していたのですね。少しイメージがつかめるのではないでしょうか。

狩猟力の向上

弓矢や狩猟犬を使い、以前の大型動物の狩猟から、中小動物の狩猟が可能になりました。また、落とし穴や罠などを駆使して、動物の捕獲(生きたままの貯蔵)を実現することもできるようになりました。

木の実の加工

石皿にトチやどんぐりなどお木の実をのせ、すり石で粉状にしたものを焼き、パンのような形にして保存していました。また、土器の登場によりあく抜きもできるようになり、食料としても利用されるようになりました。

漁労の開始

石器の研磨技術の向上により、木材の伐採・加工技術も向上し、丸木舟の製造が盛んになりました。また、波の穏やかな湖や河川、磯などを移動する交通手段としても利用され、移動の幅が広がりました。

旧石器時代・縄文時代のまとめ

旧石器時代から縄文時代にかけて、あたらしい生産手段や生活の工夫がされていったことがわかりますね。はるか大昔のことではありますが、私たち現代に生きる人間の生活のおおもとになっているものもたくさんあるのです。

特に、「生態系の変化が新しい道具を生み出し、そこから技術が向上する」という一連の流れをつかんでいれば、食生活の理解なども難しくはありません。ちなみに、狩猟技術の向上に関して、当時の人々の視力は3.0を超えていた、というような面白い説もあるんですよ。歴史は「流れ」が大切です。人々が暮らしに工夫を取り入れた結果、道具や食生活も発展してきたのです。その流れの一つとして、旧石器時代や縄文時代についても、大切な基礎知識はしっかり整理して忘れないようにしておきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。