中学受験・社会 明治維新~江戸末期から明治時代は動乱の時代

明治維新ということばは、中学受験生なら、歴史の授業の中で耳にしたことがあるでしょう。長年続いた江戸幕府に対する討幕運動から始まり、明治政府(維新政府といわれることもあります)による天皇親政へと政治体制が変わり、それに伴って様々な改革がなされた、動乱の時代です。

短期間に非常に大きく世の中が変わった時期ですので、覚えることが非常にたくさんありますので、この時期を苦手にする受験生は多いです。たくさんの歴史用語、年号などが出てきて、覚えにくいというのが大きな理由です。

ですが、問題を作る側からすれば、しっかり知識が身についているか、どのような時代だったのか理解しているかによって差がつくような問題を作りやすい時代ともいえるのです。確かに覚えるべき知識は多いですが、しっかり整理してまとめておきましょう。

とにかく多い四字熟語

明治維新により、国の体制が大きく返還したので、制度や出来事もたくさん出てきます。なかでも、四字熟語で表される言葉が非常に多いです。ここで特に重要なものをまとめてみましょう。

  • 大政奉還(政権を江戸幕府から朝廷に返上したこと)
  • 尊王攘夷(天皇を敬い、外国の侵略を撃退しようという思想のこと。尊王攘夷運動という言葉としてもよく出てきます)
  • 公武合体(朝廷と幕府を結び付けることにより、幕藩体制を立て直そうとする思想)
  • 四民平等(身分制度を廃止して、人間の平等を根本とした国家を形成しようとする考え方)
  • 富国強兵(経済を発展させて軍事力を強化し、近代的な国家を目指すというスローガン)
  • 殖産興業(富国強兵の中の一政策。近代的産業を育てる目的で官営工場の建設、交通や通信、金融制度の整備などを行った)
  • 版籍奉還(天皇に土地と人を返還させる命令)
  • 廃藩置県(藩を解体して県をつくること)
  • 文明開化(欧米の文化が取り入れられることによって、伝統的な生活が変化したこと)
  • 地租改正(租税制度の改革。地価の3%→のちに2.5%を現金で納税するようにしたこと)

などなど、うんざりするほどたくさんの四字熟語が登場します。これらは、すべて塾のテキストや参考書に載っていますが、一度自分でまとめておきましょう。ただことばだけ覚えようとしても、ただでさえ難しい組み合わせですから、難しいでしょう。覚える際には、そのことばの内容を説明できるようになるまで繰り返しましょう。書き出したり、口に出したりして覚え、簡単でいいのでどういうことだったのか説明できるようにしておきましょう。また、最近の入試問題は漢字指定がほとんどです。内容があっていればひらがなでもいい、という中後半端な気持ちで学習するのではなく、漢字の意味もよく考えながら、正確に覚えるようにしましょう。

短期間でおびただしい数の出来事が起こった

簡単に明治維新の流れをまとめてみましょう。短期間に非常に多くの出来事が起こっています。

  • 1867年 大政奉還、王政復古の大号令
  • 1868年 五箇条の御誓文
  • 1869年 版籍奉還
  • 1871年 廃藩置県
  • 1873年 徴兵令、地租改正
  • 1874年 民撰議院設立建白書(撰の漢字に注意)
  • 1877年 西南戦争
  • 1881年 国会開設の勅諭
  • 1885年 内閣制度の創設
  • 1889年 大日本帝国憲法発布(公布は1890年)
  • 1890年 第一回帝国議会

たった30年にも満たない間に、数多くの出来事が凝縮されていることがわかりますね。江戸末期から明治時代にかけて活躍した人々のパワーに圧倒されるほどです。一気に時代が近代に動いたことがわかりますね。

歴史の勉強をするときは、それぞれの出来事をバラバラに覚えるのではなく、「流れ」の理解が重要です。ですが、これだけ短期間に多くの出来事が起こるということは、混乱もあり、順序の整理が難しい時期、ということもできます。ですから、大変ではありますが、ここはまず年号と出来事をセットで覚えてしまいましょう。似たような数字が並びますが、だからこそ年号を確実に暗記することで差がつけられます。年表を自作してもよいでしょう。

それでも、やはりこれらの出来事には起こった原因と理由があります。年号もしっかり覚えたら、どういう順に出来事が起こったのか、そしてそれはなぜなのか、だれが関わっていたのか、そういった年号と年号の間の流れも理解するようにしておきたいところです。

登場人物も整理しておきましょう

江戸末期から明治時代にかけては、はずせない重要人物がたくさん登場します。代表的な人物と、関連する出来事をまとめてみましょう。

  • 井伊直弼(日米修好通商条約、安政の大獄、桜田門外の変)
  • 坂本龍馬(薩長同盟)
  • 徳川慶喜(江戸幕府最後の将軍、大政奉還)
  • 伊藤博文(初代内閣総理大臣9
  • 木戸孝允(薩長同盟、別名は桂小五郎)
  • 吉田松陰(松下村塾、安政の大獄)
  • 勝海舟(江戸城無血開城)
  • 岩倉具視(岩倉使節団)
  • 西郷隆盛(西南戦争)
  • 板垣退助(自由民権運動)
  • 福沢諭吉(学問のすすめ)
  • 大隈重信(立憲改進党)
  • 陸奥宗光(条約改正、治外法権の撤廃)

江戸末期から明治時代に活躍した人物を一部、簡単にまとめてみましたが、どの名前も聞いたことがあると思います。それだけ、重要人物が多い時代です。人物名と、何を行ったのかについては、簡単でいいので整理し、結び付けて理解しておきましょう。

入試で明治維新がねらわれるかも?

今年は2017年、大政奉還150周年です。来年2018年は明治維新150周年。話題性がありますので、中学入試では出題の可能性が高いと予想される、要注意の時代です。以前に記事にしましたが、年号の並べ替えや史料問題としても作問しやすいところです。ぜひ、これを機会にしっかり整理し、人物、出来事、事柄を覚えておきましょう。そして、「漢字で」書けるようにしておくことを忘れないように学習してください。そうすれば、社会で差をつけることができますよ。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。