社会問題読解〜ドイツの近代史〜

今回は2019年度の鎌倉女学院中学校の社会の過去問を一部修正して社会の問題の解き方、さらにドイツの近代史について説明していきます。 

問題

ドイツのワイマール市では1919年に国民議会が召集され、共和国憲法が成立しました。これは世界でa社会権を規定した憲法として知られていますが、のちにbヒトラによって有名無実化されました。第二次世界大戦後、ドイツは東西に分裂しました。ワイマール市は東ドイツに位置し、首都( c )には1961年に壁が築かれました。この壁はd冷戦を象徴するものでした。 

問1

下線部aにあてはまらないものをア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。

  • ア、義務教育の教科書は無償である。
  • イ、生活保護を受ける。
  • ウ、どのような宗教を信じてもよい。
  • エ、労働組合をつくる。

解答

ウ、どのような宗教を信じてもよい。 

社会権は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ものです。社会権で保障されている基本的な3つの権利についておさえておきましょう。それは「生存権」(憲法25条)、「教育を受ける権利」(憲法27条)、「労働基本権」(憲法28条)です。 

それらをふまえて設問の選択肢をみてみましょう。

  • ア、義務教育の教科書は無償である。→教育を受ける権利
  • イ、生活保護を受ける。→生存権
  • エ、労働組合をつくる。→労働基本権

以上のようにア、イ、エは社会権にあてはまります。

ウ、どのような宗教を信じてもよい。は憲法20条の「信教の自由」にあてはまり、社会権ではなく、自由権で保障されています。 

ワンポイントアドバイス

ワイマール憲法と第一次世界大戦後のドイツについて 

第一次世界大戦後、ドイツではドイツ革命がおき、ドイツの帝政は崩壊します。そして成立したのがワイマール共和国です。共和国となり、1919年1月19日に総選挙によって選ばれた国民議会が新しい共和国憲法を制定します。同年8月14日公布され、実施された憲法がワイマール憲法です。 

ワイマール憲法のおさえるべきポイントは問題文にもありますが、世界で初めて憲法の中に社会権を規定したことです。ワイマール憲法では、個人、共同生活、宗教、教育、経済活動に至るまで細かく規定し保障した社会的基本権が明示されています。さらに「人間に値する生存」という生存権が与えられている点もこの憲法が初めてでした。 

問2

下線部bの政権下、ドイツが軍事同盟を結んでいた国はどこですか。ア〜カから2つ選びなさい。 

  • ア、イギリス
  • イ、イタリア
  • ウ、フランス
  • エ、アメリカ
  • オ、中国
  • カ、日本

解答

  • イ、イタリア
  • カ、日本

ヒトラー政権下で結んでいたのは日独伊三国同盟です。日独伊三国同盟は1940年9月27日にベルリンで調印されました。日独伊三国同盟以前の1936年に日独防共協定も締結しています。その背景にあるのは反ソ連を掲げるドイツ、日中戦争(1937年から始まった)でアメリカと対立を強めている日本の近衛内閣、ムッソリーニ率いるイタリアの思惑の合致です。 

問3

( c )にあてはまる地名を答えなさい。 

解答

ベルリン 

ベルリンはヴァイマル共和国、ナチス・ドイツから首都として栄えた都市です。第二次世界大戦後ドイツは分割されます。ベルリンの都市も分断され、東ベルリンはソ連を中心とした共産主義西ベルリンはアメリカを中心とした資本主義に分断されました。1961年に作られた壁は1989年11月9日に崩壊するまでソ連とアメリカの冷戦の象徴となりました。ベルリンの壁崩壊後、1990年に東西に分かれていたドイツは再び統一されました。 

問4

下線部dは、1989年に終結が宣言されました。その時の会談を、開かれた場所にちなんで何といいますか。カタカナで答えなさい。

解答 

マルタ 

1989年12月2、3日、地中海にあるマルタ島にアメリカのブッシュ(父)大統領ソ連のゴルバチョフ最高会議議長兼党書記長が会談したのがマルタ会談です。この会談で大戦後の冷戦の終結を宣言し、新たな時代への新しい秩序作りについての話し合いがなされました。 

東西冷戦終結の背景にあるのは、問2の解説でも触れたベルリンの壁崩壊や、東ヨーロッパ社会主義圏で起こった東欧革命などがあります。 

補足

  • 東欧革命とは?
    それまでソ連を中心とした社会主義体制に組み込まれていた東ヨーロッパ社会主義圏(東欧)で複数政党による議会制を求めたり、経済の自由化などを求める動きのこと。

まとめ

以上2019年度の鎌倉女学院中学校の過去問を用いて解説してきました。最後にドイツの近代史、第二次世界大戦から冷戦までの流れでおさえておくべきことをおさらいします。 

1919年 第一次世界大戦後、世界で初めて社会権を規定に入れた憲法、ワイマール憲法が制定される。
1932年 アドルフ・ヒトラーが首相となる。
  ワイマール憲法が反故されていく。
1939年 ドイツ、ポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まる。
1940年 日独伊三国同盟調印

1945年
8月15日

ドイツ降伏。
  東西に分けられる。
1961年 ベルリンの壁ができる。
1989年 ベルリンの壁崩壊
1990年 冷戦終結、東西ドイツ統合

 

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