【中学受験】苦手科目や分野の克服には戦略が必要!

中学受験生の皆さんは、今の時期どのような学習をしているでしょうか。毎週のように模試があり、塾にお通いの場合は平日以外に土日の授業や学校別特訓もあり、勉強に追われている、そう感じていませんか?

この時期になると、第1志望校や併願校も本格的に考え、その学校を目指して勉強を進めていると思います。志望校と今の自分の実力の差はどうでしょう?苦手科目が足をひっぱったり、前回はできた科目が今回はできなくて成績が安定しなくて困っている、そんな悩みを抱えていませんか?

どんな受験生でも、これからやるべき勉強は、自分が理解できていないところ、前に間違えたところを克服すること、つまり、×を〇にすることです。そのような戦略を持たずに、ただ目の前の問題をひたすら解いても、力がついている実感も得られませんし、成績にもつながりません。

今回は、×を〇にする、苦手科目や分野の克服法についてまとめていきたいと思います。

志望校との距離を知る

まずは、自分の志望校と、いまの自分の成績との距離から目をそむけないことです。模試を受けると成績表には点数と偏差値がでていて、志望校の合格可能性何%・・・と出ていますよね。それを見て、どうしていますか?点数や結果偏差値だけを見て、十分に復習をせずに次の問題、次の問題へと進もうとしていませんか?

もちろん志望校の偏差値は、自分が目指す目標を示す一つの指標ですから、軽視することはできません。ただ、その模試の偏差値が良かった、悪かったで終わらせないでほしいのです。出てきた成績は、志望校と実力の距離です。でも、漠然と4科目総合の偏差値を突き合わせていても、次に何をやるべきかは見えてきません。

あとどのくらいあれば目標に届くのだろうか、そのためには何をするべきなのか、それはどの科目を強化すればいいのか、科目の中でも苦手としている分野を放置していないか、そのように振り返って戦略を立てるために結果の数字は使うべきです。ですから、模試を受けたり問題を解いたら、そのままにせず、その中からどこを重点的にこれから勉強するべきか、しっかり分析することが必要です。

やるべきことは×を〇にすること

集団塾にお通いのお子さんは、通常授業でも学校別特訓の授業でも、過去問を解いて合格最低点をとれたか、が気になるところだと思います。授業ではたくさんの問題を解きますね。でも、解いて帰ってきて疲れ切ってまた次の日も新しい問題を解く・・・それを続けているだけでは、やみくもに問題を解いているだけで、自分がどこができていてどこができていないのかいつまでたっても把握できません。

これからどこを重点的に勉強するか、分析して戦略を立てることが今からの時期は何よりも大切です。点数を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?いつもできる問題を何度も解いても成績が劇的に上がることはありませんよね。やるべきことは、自分が苦手としているところ、つまり「×を〇にする」勉強です。

そして、どこが×なのかは、受験生一人ひとりによって全く違います。でも、一斉同じ問題を解くスタイルの授業だけでは、〇のところばかり解いていて、×のところに触れないことも多いのです。そこに、これから成績を上げていくポイントがあるのです。

必要なのは「自分の勉強」

では、どうやったら×を〇にできるのでしょうか?この時期になれば、やるべきことは一人ひとり違います。まず、塾のカリキュラムとは別に、「自分の勉強」をする時間を確保しましょう。「自分の勉強」とはすなわち、×となっているところを見つけ、〇になるまで固めていくことです。

そんなのわかっている、という方も多いかもしれませんが、この時期、模試や塾の授業に追われると、気が付くと目の前に置かれた問題を解くことだけに気が行ってしまい、×を〇にする勉強をすることを忘れてしまうのです。

これからやるべきは新しいことよりも、今までやってきたことを振り返り、×だったところを洗い出して〇になるまで潰していくことです。そのためには、「苦手科目を勉強する」ことから目をそむけるわけにはいきません。

特に意識していただきたいのは、苦手科目の中でも基礎が抜け落ちていないかどうかのチェックです。偏差値が安定しない、前回は解けたのに今回は同じような問題が解けなかった、というのは、基礎が固まっていないからです。その基礎固めを行う最後のチャンスがこれから冬休みまでの間の期間です。

偏差値が安定していない科目はありませんか?偏差値が50に届かないことがある科目はありませんか?基礎を徹底すれば偏差値50はもちろん、そこから応用問題、入試問題にチャレンジしてさらに基礎力のレベルを上げていく、それがこれからやるべき「自分の勉強」です。

入試本番で何割取れればいいか、それは学校によって差がありますが、受験生の半分が解けるくらいの基礎ががっちり身についていれば、7割は取れるようになります。基礎を固めることができれば、それをどう使うか、それが応用問題を解いていくということです。目先を変えた応用問題を解く際に、基礎が固まっていなければカンで解くのと一緒です。その時たまたま答えが合っていたとしても、次に解いたときには間違える可能性が非常に高いです。

今さら基礎なんて・・・と思っていませんか?今だからこそ、基礎を重視した勉強をするべきなのです。各科目の基礎が固まっているか確認し、穴となっているところが見つかったら、即座に戻って勉強する方を優先しましょう。基礎が固まれば、応用力は問題演習を繰り返すことでついていきます。

どの科目のどこが苦手か洗い出す

国語

国語は、毎回成績が安定しない、という悩みを持っている受験生が多い科目です。漢字やことばなどの知識は基礎中の基礎ですから、全問正解するように意識して学習し、間違えたものは書き出して毎日繰り返しコツコツ覚え、できたものは赤線を引くなどしてチェックしていきましょう。

そして、受験国語の中心となる読解問題の「読み方」「解き方」のチェックが必要です。文章をただ読み飛ばして感覚で設問を解いていませんか?まずは文章をしっかり読んで、文章の中に表れているキーワードや筆者の考え、物語文なら登場人物の心情の変化など、設問で「狙われやすいポイント」を意識して印をつけながら文章の全体像をつかむことが大事です。

この時期になっても、国語の文章を読むときに大切なところに線を引いたり印をつけたりしないで何度も読み返していては、時間のロスになります。もしそのような読み方をしているようなら、今すぐ読み方を改めましょう。文章のポイントがわかるようにしていけば、読むスピードも上がり、設問を解くのに使える時間が増えます。様々な文種がありますが、どのような文章が出てきてもポイントを外さずに読むクセを今からでもつけていきましょう。

国語はどうしても後回しにされてしまう科目です。今になって文章の読み方がわからない、という方は今すぐ読み方を改めましょう。

そして、国語は文章だけではなく、設問も読まなければならない、ということを意識しましょう。設問が何を聞いているのか、選択肢の問題ならそこには何が書かれているのか、それを含めると受験の国語で読まなければいけない文章量は非常に多いのです。正しい読み方を身につけるのは今が最後のチャンスです。

記述は配点が高いこともあり、どうしてもそこで何点取れるかが気になりますよね。記述のテクニックは確かに必要です。ですが、受験の記述は自由記述ではありません。ですから、やはり文章をしっかり読めるかどうかがカギとなります。まずはどんな文章でもしっかりポイントを押さえて読めるようにすることに重点を置きましょう。

記述問題に対処するためには、文章をどう書くか、という根本に戻りましょう。設問では何について書きなさい、と書かれていますか?何をふまえて書きなさい、と書かれていますか?そこでも読解力が重要になってくるのです。それが読みとれたら、文章の中に印をつけておいたポイントの部分を使って文章を書いていくのです。

文章は簡単に書けるようになるものではありません。読んだ人がわかる文章を書かなければならないからです。自分が書いた文章は必ず誰か指導者にチェックしてもらい、書き方のクセ、足りないところを指摘してもらいましょう。間違っても書きっぱなしにして、解答を見て写して終わり、ということのないようにしましょう。

算数

中学受験で得意な受験生と苦手な受験生が一番わかれるのはやはり算数でしょう。たくさんの単元があり、入試レベルの問題ともなれば単元を組み合わせたものになりますから、1問解けなかったとしても、どこが自分の×の部分なのか発見するのに時間がかかります。

特に文章題、図形の問題に関しては順序立てて考えていく訓練が必要です。入試では基礎力では太刀打ちできない難問も出題されますが、それが解けないからといって不合格になるわけではありません。

今解ける問題、正答率も低く解けなくても良い問題をまず仕分け、その間の「差のつく問題」が解けるように意識して問題を解くことが大切になってきます。この、「差のつく問題」がどれくらい解けるかが合否を分けるといっても過言ではありません。

また、単純なケアレスミスにも注意しましょう。取れるはずの問題を失点してしまう方が合否に対する影響は大きいです。練習でできないことがいきなり本番でできるようになることはまずありません。家庭学習で問題を解くときから本番の会場をイメージし、速く、でもていねいに解く練習を積みましょう。

苦手な分野、単元を洗い出し、これまでに間違えた基礎問題と差のつく問題を中心に点数を積み上げていくように演習を繰り返していきましょう。

理科

理科は暗記しなければいけない知識も多いですし、実験観察問題が多く出題される傾向にあります。この二つを分けて考える受験生が多いのですが、実験観察問題は、基礎となる知識、現象を理解していなければ解くことはできません。

まずは、知識の問題に穴がないかどうか洗い出しましょう。理科は苦手分野、単元が比較的はっきりしやすい科目です。苦手な分野、単元を洗い出したら、まずは基礎知識に抜けがないかどうかチェックしましょう。聞かれ方が変わっても答えられるかどうか、そこを意識して知識を正確にし、理解を深めるようにしましょう。

そのうえで、実験観察問題に取り組みましょう。実験観察問題は、読解力、知識、条件の抽出、計算力と様々な力を総合的に見る問題です。切り替えながら問題を解いていけるかがポイントになりますので、どの分野、単元の実験観察問題が苦手なのかをしっかり把握して問題を解いていきましょう。

また、最近は実験に関して、実験道具の使い方についての問題がよく出題されます。学校で扱った実験道具も多いですが、見たことのないような道具が出る場合もあります。ですが、よく特徴をみてみると、知っている実験器具に何か付け加えたり、同じような原理を使った道具が出題されることが多いのです。まずは、身近にある実験道具の使い方をしっかり整理しておきましょう。

社会

社会はやはり知識が大切です。知識量が豊富なほど有利ですが、ただ断片的な知識をいくら詰め込もうとしても頭には入りません。しかも、最近の入試問題は、あるテーマについて、多方面から聞いてくる問題が多く出題される傾向にあります。

一つの問題で地理、歴史、公民、国際関係などあらゆる知識を聞くような問題が増えているので、まずは覚えられていない苦手単元の知識を体系的に覚え直すようにしましょう。あくまで×を〇にすればいいのですから、×のものを中心にやればいいのです。

そうしたら、次は社会の入試問題や模試の問題を利用して、どのような聞かれ方をするのかを分析して、1問1問頭を切り替えながら解き進めることができるまで正確に知識が身についているかチェックしていくのです。

地理は必ず地図帳や、テキストのグラフなどのデータと連動させて覚えるようにしましょう。歴史は年号や出来事を断片的に覚えるのではなく、時代の流れと出来事同士の原因・結果の関係を意識して覚えるようにしましょう。

公民は、抽象的で暗記するのが難しいところですが、具体的にはどういうことなのか、という仕組みを意識して覚えるようにしましょう。親御さんが、ことばの意味を簡単に説明してあげると印象に残りやすいです。今年は選挙もありましたから、選挙の仕組みや三権分立などの政治分野は頻出になると考えられます。選挙権のない子どもにはイメージしにくいところですから、親御さんが易しいことばで説明してあげてください。

時事問題と絡めて各分野の知識を聞いてくる問題も頻出です。最近の政治経済や国際関係についてもニュースを見たりして日常生活の中で活きた知識を身につけていきましょう。塾に通っていてニュースをやっている時間に家にいないというときは、オンデマンドで見る方法もありますから、活用してみてください。

まとめ

入試が近づいてきた今こそ、やるべきは「自分の勉強」です。それは、×を〇にすることです。この時期になれば、他の人と比べる必要はありません。自分の基礎力がどのくらいあるのか、そのレベルを上げるにはどの科目、どの分野を重点的にやればいいのか、そういった意識をもって学習を進めていきましょう。

もちろん、得意な科目は、差をつけるチャンスですから、応用問題に挑戦していきましょう。新しい問題に挑戦することも大事ですが、その前に一度立ち止まって、自分が苦手としているところを洗い出して基礎力を固めること、その基礎力があってこそ点数も成績も伸びていく、ということを忘れずに勉強をしていっていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。