【中学受験】わが子に合った中学校を選ぶには?

中学受験を控えている受験学年のご家庭では、そろそろ第一志望校をはじめ、どの学校を受験しようかという現実的な話し合いをされている時期だと思います。

通常であれば、この時期、学校説明会や学校行事が開催されるので、実際に学校に足を運んで、ご家庭の教育方針とも合わせながら、お子さんの力を伸ばしてくれると感じる中学校をいくつかに絞り込んでいきます。しかし、今年は様相が異なります。新型コロナウィルスの影響で、学校が休校となっている影響で、夏前に行われるリアルな学校説明会や学校行事が軒並み中止となっています。

だいぶ状況としては進展してきたとはいえ、まだまだ予断を許さない状態ですから、今後どのような形で学校説明会や学校行事が行われるのか、学校に足を運ぶことが可能なのか、ということについてはわからないのが正直なところです。

ですが、お子さんの人生のうえで大切な志望校選びですから、慎重に、また情報収集をしっかりして志望校、受験校を選んでいきたいですよね。今回は、いつもとは違う状況の中で、志望校や受験校を選ぶにはどのような視点が必要なのかについて解説します。お子さんが成長著しい時期を過ごす中学・高校生活になるわけですから、ミスマッチを避けるためにも、わが子に合った中学校を選びたいですよね。そのためには、保護者の方がぶれないことも大切です。ぜひ、ご紹介する視点を学校選びの参考にしてください。

中学校選びに必要な視点とは

保護者の皆さんは、わが子に合った学校をどのように選んだらよいのか、という点に対してどのような考え方をお持ちでしょうか。ご家庭の教育方針や、現在のお子さんの学習状況などを合わせて考えていくことが一般的ですが、多くのご家庭の場合、第一志望校1校だけ選ぶというわけではなく、いくつか併願校を選んでいくことと思います。まずは、第一志望校と併願校について、学校選びの際に必要な視点について考えてみましょう。

第一志望校は譲らない

第一志望校は、長丁場の中学受験勉強生活において、お子さん、そして保護者の方のモチベーションの原動力となる大切な存在であり目標です。「あの学校に行きたいから今、大変だけど頑張っている」という受験生のご家庭がほとんどです。

だからこそ、第一志望校は決めたら譲らないことも大切です。おそらく現在受験学年の6年生のご家庭は、昨年までに学校に実際に足を運んで、学校の雰囲気に触れたり、説明会などで校長先生の話を聞いたりして、「憧れの学校」として第一志望校にしたいな、という思いを持っていらっしゃることでしょう。いくつか魅力的な学校がある場合、今の時点で決めきれなくても構いません。最終的な志望校の決定は、秋ごろになるでしょうが、それまでのモチベーションとして、少なくとも1校は魅力的だ、わが子を通わせたい、わが子も通いたいと言っているという学校を見つけることが必要です。

すでにある程度第一志望校は固まっているでしょうが、その際に、よくご相談を受けるのが、「成績が伸びないので志望校を下げようかと思う」ということです。しかし、これは現実的なように見えて危険な考えでもあります。

お子さんは、これまで「憧れの学校」をモチベーションにして受験勉強を続けてきたわけです。そのお子さんの気持ちを無視して保護者の方だけで第一志望校をころころ変えることは避けるべきです。なぜなら、モチベーションで合った学校が変わってしまった場合、また成績が伸びないから、という理由で保護者の方に変えられてしまった場合は、お子さんの受験勉強に対するモチベーションが下がってしまい、これからの大切な時期、受験勉強に身が入りません。そうすると、成績はさらに下がってしまい、場合によっては中学受験をしたくない、と思ってしまうことにもなりかねません。

ですから、第一志望校については、譲らないようにしましょう。もちろん、親子でよく話し合って、「こっちの学校の方が魅力的だから行きたい!」という場合は別です。ですが、そのようなことがない限り、あこがれの中学校の存在は変えないようにする方が受験生の精神状態も安定します。成績の上下に一喜一憂してしまいがちですが、第一志望校の存在についてはぶれずに、譲らずに学習を進めていくことをおすすめshます。

併願校は現実的な選択を

第一志望校は、いわば受験のモチベーションですから、譲らずに学習を進めていく方が賢明です。では、併願校はどうでしょうか。なかには、第一志望校1校だけ受けて、それがだめだったら地元の公立校に通わせよう、というお考えのご家庭もありますが、それは少数です。私立あるいは国立中学校の教育に魅力を感じ、ご自分のお子さんの能力を伸ばしてくれる中学校に行かせたい、と中学受験を始めたわけですから、おそらく第一志望校はここ、第二志望校以下の学校についてもこのあたり・・・と考えていらっしゃることが大半でしょう。

第二志望校以下の併願校に関しては、冷静に、現実的な選択をすることが視点として非常に大切です。すべての受験校をチャレンジ校ばかりにしてしまうと、行くところが無くなった、ということになりかねず、お子さんの中でも中学受験が「良くないことだった」という意識が強くなり、その先の高校受験や大学受験にも影響を及ぼしかねません。だからこそ、現実的な選択肢を持っておくことが必要なのです。

ですから、併願校はまずはお子さんの学力の状況をよく見て、合格可能性がありそうな学校をいくつかピックアップして、その中から選んでいくことも大切です。ただし、そこで忘れてはいけないのは、併願校であっても「わが子を通わせても良い学校だ」と思えるかどうか、という視点です。

いくら学力に合わせて大丈夫そうな学校であったとしても、わが子を通わせたいと思う気持ちが無ければ、受験に対して保護者の方も身が入りません。また、お子さんの気持ちを無視して決めていることになってしまいます。

ですから、併願校を選ぶ際も、「お子さんがあの学校もいいな」と思っていること、「保護者の方がわが子を通わせてもいいな」という視点を忘れないことが重要になってくるのです。お子さんがもし第一志望校に合格できなかったとしても、併願校に合格し、「あの学校で頑張ろう」と思えるような気持ちになることが大切です。中学高校という、思春期と重なる成長著しい時期を過ごす学校ですから、やはり入学したからには充実した学校生活を送りたいものですよね。

そういった気持ちに親子で慣れるように、ご家庭の教育方針とお子さんの気持ちをよく考えて、お子さんが「行ってもいい」、保護者の方が「通わせてもいいな」と思える学校を選ぶようにしましょう。ご家庭ごとに教育方針など、中学受験に対する考え方の軸は異なります。その軸からぶれることの内容、併願校選びを進めていきましょう。

中学受験をする際に「軸」とすべきこと

受験校選びに際しては、ご家庭の受験に対する考え方の「軸」からぶれないようにすることが大切であることをご説明しました。ここでいう「軸」とは何でしょうか。それは、ご家庭の教育方針と、お子さんの意欲、そして中学選びについて「これは譲れない」と考えるポイントのことです。軸といってもひとつではなく、ご家庭にもよりますが複数あることがほとんどです。ですから、優先順位をつけていく必要もあります。

中学受験をする際に、学校選びの基準としてご家庭が考えることとしては以下のような点が多いのではないでしょうか、

  • 学校の難易度
  • ご家庭の教育方針に合っているか
  • お子さんが興味を示しているか
  • お子さんの性格に合っているか
  • お子さんの能力を伸ばしてくれる可能性がありそうか

これらは、中学受験のモチベーションに関わる重要部分です。学校選びの際の中核とすべき「軸」だと言えるでしょう。

そもそも、中学受験をなぜしようと思ったのか、ということに一度立ち返って考えてみてください。だれだれが受験するから、保護者が中学受験の経験があるから、といったことも影響することはもちろんありますが、何よりもお子さんの幸せのために中学受験を決意したのではないでしょうか。

だからこそ、お子さんの力を伸ばしてくれるという期待ができる学校を選びたいものです。そして、ご家庭の教育方針とあっているかどうか、お子さんの性格に合っているか、ということも欠かせない視点です。もしこれらを無視してしまうと、入学後のミスマッチを起こしてしまい、せっかく入学したけれど合わなくて転向するということも起こり得るのです。ですから、これらの「軸」についてはぶれることなく受験校を決めることが大切だと言えるでしょう。

そして、こういった「軸」以外にも、受験校を決める際に必要な視点としては以下のようなものがあります。

  • 現在のお子さんの実力と学校の難易度との距離
  • 男女共学か別学か
  • 学費
  • 通学時間
  • 進学実績
  • 部活などの充実度
  • 学校施設

これらの視点は、ご家庭によって考え方の異なるところです。現在のお子さんの実力と学校の難易度の距離については、最後の最後の瞬間までどうなるかわかりません。先に述べた軸との兼ね合いも考えながら、なるべく譲らない方が良いでしょう。

それ以外に関しては、「ここは譲れない」「ここは何とか許せるかな・・・」といったように、一つひとつどこまで許容できるかどうか、ご家庭でよく話し合うことが必要です。たとえば、通学時間に関しては、体力があまりない女子の場合、あまり時間がかかるようだと負担が大きいです。一方、部活を活発にやりたいなら、帰ってくる時間が何時ごろになるか、そのあと学校の宿題などをやる時間があるかという視点も必要になります。大学受験をする場合には、予備校の授業に間に合うか、帰ってくる時間が遅くなり過ぎないかといった視点も大切です。

ご家庭によってもちろん考え方は違って良いのです。お子さんの幸せを第一に、充実した学校生活が送れるように、ご紹介したような「軸」の視点を大切にして、受験を考えている学校について当てはめて考えてみてください。もし、ご家庭のお考えとあまり離れているようなら思い切って受験校から削る、あるいはもしかするとこれまで考えてこなかった学校であっても、軸と合致することもあるかもしれません。ぜひ、軸の視点をもとにして、受験校を選ぶことをおすすめします。

中学校のホームページは情報の宝庫

通常であれば、学校に実際に足を運び、説明会を聞き、個別相談などにも参加するのが受験校選びの王道です。お子さんと一緒に足を運んで、ご家庭の受験に対する軸とどれくらい合っているか自分の目で確かめることが一番です。

しかし、まだ新型コロナウィルスの影響が否定できない現在、学校側もそういった行事を自粛していますし、受験生の構内への訪問はご遠慮ください、としているところも多いです。

そこで、今のうちにできることとして、中学校のホームページをじっくり見ておくことをおすすめします。最近の中学校は、ホームページが充実しています。学校の校長先生からのメッセージに始まり、沿革や進学実績、学校生活について動画なども交えてわかりやすくアピールしています。なかにはドローンで校内を撮影している映像を公開している学校もあるほどです。

奇抜なところに目が行ってしまいがちかもしれませんが、中高6年間を過ごすことになるかもしれない学校の歴史に育まれた教育方針や、校内の様子、学校生活の様子や在学生の生きた声など、家に居ながらにして学校生活に思いをはせることができるのが学校のホームページです。

まだ自粛は続くと考えられますので、まずは学校のホームページをじっくり親子で見てみましょう。そして、どんなところが特徴なのか、どんなところがいいと思うのか、ということについて話し合っておくことをおすすめします。

今後、いつ学校説明会や学校行事が再開されるかは不明ですし、もしかすると文化祭についても縮小されるかもしれません。そういった場合に備えて、また学校説明会が再開されたときに備えて、ご家庭が大切にしている軸の視点を持ちながら、お子さんに合っていると考えられる学校をピックアップしておくとよいでしょう。さまざまな情報の宝庫なので、そこにある情報をしっかり頭に入れて、比較できるように準備しておきましょう。

まとめ

中学受験は、実際に受験勉強をするお子さんにとっても、保護者の方にとっても一大イベントです。お子さんの成長時期に受験期間が来ることもあり、どのような学校を志望校、併願校として選ぶかどうかは非常に大切です。
 
特に今年は新型コロナウィルスの影響で小学校も休校期間が長くなるなど、通常の学年とは様相が異なります。だからこそ、その状態に柔軟に対応することが求められます。小学生であるお子さんがそれをするのは難しいですから、やはり保護者の方がうまくお子さんが受験勉強を進めることができるようにサポートしていただくことがとても重要になってきます。
 
お子さんは、日々変わらないように見えていても、この未曽有の状況に対して多かれ少なかれ不安感を抱いています。そういう状態だと、受験の目標を見失いがちです。保護者の方も同様です。ぜひ、お子さんが「あの学校に行きたい」という目標を持ち続けながら受験勉強ができるよう、しっかりサポートをしてあげてください、

自宅で受験勉強を粛々と進めるのは小学生にとってはとても大変なことです。保護者の皆さんも、ご家族の健康管理をしながら、受験生のお子さんのケアをするのは非常に負担が大きいことでしょう、まだ先がどうなるかわからない状況ではありますが、保護者だからこそお子さんが安心して受験勉強ができるようサポートしてあげてください。そして、ぜひ、お子さんが「あの学校に行きたい」と思える中学校を見つけて目標をもって受験勉強ができるよう、環境を整えてあげていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。