【中学受験】理科の計算問題を克服するには

中学受験の理科について、受験生の皆さんは時間をとって学習できているでしょうか。多くの受験生の皆さんは算数や国語といった配点の高い教科、特に算数に重点を置いて日々の学習を進めていることと思います。もちろん、入試における配点が高いため算数や国語の学習に時間をかけることは大切です。もし、算数で苦手なところがあればなんとかカバーしたいと時間をかけて学習したいですよね。

算数と国語は塾での学習時間も多いですし、得点源にしたい教科でもあるので、この2教科を重点的に学習するという対策意識は間違いではありません。では、理科や社会はどうでしょうか?後で何とかなるだろうと手を付けていないということはありませんか?

理科や社会は、得点配分は算国よりも低く設定されていることが多く、なかなか意識して学習する時間をとらないことが多い教科です。しかし、最近の中学入試問題では単なる1問1答の問題ではなく、長い文章を読ませ、さまざまな観点から考察させる問題が増えています。その設問の中に計算問題が入ってくることは非常に多いのです。

理社は大量の知識を頭に叩き込んでおけば何とかなると思っていないでしょうか。たしかに、正確な知識を頭に入れておかなくては、どんなに頭の回転が速い受験生であっても正答を導き出すことはできません。ですが、頭に入れた知識を「使いこなせる」ようになっておかないと、入試問題には太刀打ちできません。また、入試に向けた大詰めの時期に慌てて着手しても、多くの場合では手遅れとなってしまいます。

今回は、そんな理科の学習の中でも特に苦手意識を持つ受験生が多い、理科の計算問題に焦点を当てて、失敗しやすい原因と対策法について解説します。計算問題で点数を落としている、何とかしたいと考えている方も多いでしょう。ぜひ参考にしてください。

なぜ理科の計算問題が苦手になるのか

まず、皆さんは理科の計算問題の対策はどのように行っているでしょうか?算数が得意な受験生は計算そのものに苦手意識を持つことは少ないでしょう。その延長で算数ができれば理科の計算問題も何とかなる、と思われがちです。ですが、実は理科の計算問題は算数と全く同じ対策をしているだけでは解けるようにはならないので注意が必要です。

算数の計算問題と理科の計算問題は根本的に違う

算数の問題を解く際は、たとえば三角形の面積の求め方といった公式を覚えて、それを使って問題文から式を立てて、それを組み合わせて計算していくのが王道ですよね。式を立て、正しく計算できればしめたものです。

しかし、理科の計算問題の場合、ただ式を立てて計算すれば正解が出る、という単純な問題ではありません。問題文を読んで式を立てる前にもう一つ、「基礎知識を活用する」というステップを組み込まなければなりません。

理科の計算問題には前提知識が不可欠

たとえば、電流の問題で良く出題されますが、直列のときはどのように流れるのか、並列のときはどのように流れるのか、といったように、電流の流れ方、それぞれの地点での電流の大きさについて計算をするとします。その場合、直列の場合、並列の場合、また電池の数によっても、どの地点にどれだけの電流が流れるのかは異なってきます。組み合わせ次第で変わりますし、正しい電流の流れ方の知識をきちんと理解して覚えておかなければ、計算自体は単純であっても太刀打ちできません。

理科の場合、その分野の計算問題を解くときには、大前提となる知識や公式を何種類も正確に頭に叩き込んでおく必要があります。理科の計算と算数の計算とを比較して、計算そのものについてはそれほど難しい、複雑なものは出題されません。それなのになぜ理科の計算問題が受験生が苦手意識を持ちやすいかというと、計算ルールや公式、理科の各分野の原理などといった基礎知識を十分理解できているいないから、ということに尽きるのです。

受験生の皆さんは、理科の計算問題のどういう問題でつまずいているでしょうか?計算問題というと物理分野や化学分野が頭に浮かぶかもしれません。たしかに、その2分野は計算問題が必須です。ですが、最近の傾向として、生物分野や地学分野でも計算問題が良く出題されるようになってきています。生物や地学というと「知識問題」ととらえている方も多いのではないでしょうか。その通り、分野ごとの知識は理科の計算問題においても大前提となるのです。このことに気づくことができるかどうかが、理科の計算問題を克服できるかどうかに大きく関わってくるのです。

計算が得意な受験生は知識問題が苦手なケースも

算数ができると成績は伸びやすいですよね。算数の場合、カリキュラムにそって学習する際に最初から計算問題が切っても切れないので、大半の時間を問題文からの立式と計算に使います。ですから、算数が得意なら計算が得意、という受験生は多いです。

一方、理科の計算問題の場合は、計算に必要なのは「比例・反比例」「相似」「割合」が大半で、式を立てることができればそれほど複雑な計算をしなくても答えを出すことができます。しかし、前提として「理科の基本知識」が無ければ、いくら計算が得意であっても正解することができないのが理科なのです。先ほどの電流の問題の例のように、計算自体は単純な問題であっても、電流の流れ方という、受験生なら誰でも知っていなければならない基礎知識をしっかり理解できていなくては、計算に持ち込むことができないので、不正解になってしまうのです。

算数が得意なお子さんは、現場思考能力が非常に高いことが多いです。ですが、理科の場合、現場で初見の問題にいくら立ち向かおうと思っても、必要な前提知識が備わっていなければ、いくらその場で考えようとしてもヒントが見つからず時間切れになってしまうということは良くあります。算数が得意なお子さんは、算数を頑張って学習しますが、他の教科の学習にあまり時間をとっていないことが多いです。すると、必要な基礎知識が入っておらず、むしろ知識レベルで差がついてしまい失敗するということが起こるのです。

上位の中学校になればなるほど知識問題を解けるのは当たり前、という前提のもとに問題が作られています。ですから、単純な知識問題は落としてはいけないですし、落とすと大きな差がついてしまいます。計算問題の場合、どのレベルの学校においても差が付きやすいです。それは、計算問題にばかり目が行きがちですが、それに必要な知識を体系立てて理解できていないことが大きな原因です。

そういったことも重なり、理科の計算問題を苦手だという受験生の方は多いですが、逆に言うと理科の計算問題は、一度解法や必要な知識を身につけることができれば、得点源にすることもできるのです。前提となる基礎知識はそれほど複雑なものではなく、必要なものを必要なときに取り出してきて使いこなす、ということが求められているからです。

算数の計算問題で点数が確実に取れているのに理科の計算問題で点数が取れない、という受験生の方は、ぜひ必要な各分野の基礎知識を見直してください。今の時期だからこそできることです。基礎知識がないままいくら理科の計算問題を解こうと思っても、まず式を立てることもできないでしょう。原理原則に戻ることも大切なことです。

各分野の代表的な計算問題

では、理科の代表的な計算問題にはどのような単元からどのような問題が出題されるのでしょうか。化学、物理、生物、地学の4分野についてそれぞれ簡単に例を見ていきましょう。

化学

化学と物理は、計算が苦手な受験生にとっては特に負担が大きくなりがちな分野と言えるでしょう。設問の中でも多くを計算問題が占めますし、必要となる基礎知識をしっかり身につけていない受験生が多いので、実はそれほど難しくない計算で合ってもつまずきがちです。

特に化学においては、水溶液の濃度や中和の計算問題が頻出です。まずは、小数点の計算を完璧にできるようにしておく必要があります。分数に比べ、小数の計算を苦手とする受験生の方は多いですので、小数の計算を十分練習しておきましょう。

化学に関しては、計算問題を解く際に必要な知識や公式自体はそこまで多くはありませんが、グラフや表から数値を導き出したり、化学反応の状態などを把握しなければならないという、独特の作業過程があります。まずは小数点の計算でミスをしないように心がけ、グラフを使った問題をいくつか解いて問題パターンを把握するところから始めましょう。

そして、グラフ問題の解きに役に立つのが「相似」の知識です。グラフのデータから物質量などの計算をする際に、三角形の相似の形を見つけられると、計算が楽になることがあります。もちろん、前提としてある物質の特徴などの基礎知識は必要です。算数と理科の基礎知識や公式を完璧なものにしておくようにしましょう。

物理

物理の計算問題は、一番苦手意識を持たれやすく、実際に理科の計算問題の中でも最も難解な問題が出題されやすい傾向があります。そのため、他の分野以上に基礎知識を固めておくことを意識的にやっておく必要があります。現場で計算を行うのに、基礎知識の時点でもたついていると、芋づる式に失点することにもなりかねないからです。

物理の計算問題としては、てこ・滑車・浮力・ばねなどの「力学」に関係するものと、「電流・磁力」、そして「音や光」に分けることができます。特によく出題されるのは「力学」と「電流」に関する計算問題です。

力学に関係する計算問題を解く際に必要不可欠となる計算の知識は「比」です。比は、算数の図形問題の中で相似の問題などでもよく使われる知識なのですが、苦手な受験生も多いところです。化学と同じように、設問で示されている図から自分で比に関わる部分を見つけ出し、それをもとに設問から式を組み立てて解く必要があります。

ただし、比といっても、算数の計算問題ほど複雑な図形が出てくるというわけではありません。比例・反比例の作用をよく理解したうえで、どこにどれだけの力がかかるのかということを問題から見極めて、比が関係する部分を抜き出すことができれば比較的楽に計算自体は解けるでしょう。

力学の中のてこや滑車などが苦手な方は、まずは基本的な問題をサンプルとして何度も繰り返してある程度パターンを覚えてしまいましょう。ある程度解法のパターンを覚えることができたら、次は問題に出ている図から式を自力で導き出せるように練習していくのです。もし、力学の勉強をしている間に比についての基礎部分があいまいなことに気づいたら、面倒くさがらずに算数のテキストにかえって比の例題を見返すのも有効です。理科の計算問題で比の知識があいまいなら、算数の問題でも比の問題が出てきたら歯が立たないということになりかねません。ですから、理科の計算問題を通して自分の算数の弱点を見つけることも意識してください。

電流や磁力に関しては、計算自体はてこなどの力学に比べて単純であることが多いですが、計算の際に必要となる理論や知識の数が多く、混乱しがちな単元であることに注意が必要です。電流の場合は、直列と並列、それぞれの電流の流れ方の違いや右ねじの法則についての基礎知識をしっかり固めましょう。また、、磁力の場合は、永久磁石に加え、電流と絡んだ電磁石の知識も必要となってきます。

右ねじの法則などは、一度図やイラストの形で頭にインプットしてしまえば、問題を解く際も簡単に思い出せる知識が多いです。実際に手を使って理解すれば、テスト会場で確認のために手を動かして正解を導き出すこともできます。

物理分野で計算問題を解く前には必ず、実験内容を図に表せるように心がけて日々の学習を行いましょう。そのことによって、基礎知識の確認もできますし、計算問題に持ち込むことができるようになります。「手を動かす」これが物理分野の計算問題の学習をするために最も重要なポイントであることを忘れないようにしましょう。

生物・地学

生物と地学に関しては、共通することも多いので一緒にご紹介しましょう。生物と地学に関しては、計算問題ももちろん出ますが、前提としての知識の正確さをより問われます。そのため、まず必要なのは正確な基礎知識の理解の徹底です。

生物や地学の計算問題で多いのは、いわゆる「実験考察問題」です。ある前提条件のもと実験を行い、その結果について考察する、その過程で計算問題が出題されるというものです。ですから、知識の整理と計算を同時に行っていく必要があるのが生物や地学の計算問題の特徴だと言えるでしょう。

もし算数が苦手な場合は、生物分野と地学分野の、「知識と数字とを結びつける」という作業過程でつまずいていることが多いです。生物でいうと細胞分裂の周期、地学でいうと月の満ち欠けの周期など、細かいところで数字が絡んでくるのが分野の特徴なので、しっかりと覚えるようにしましょう。

計算問題に関しては、そこまで難解な計算が出題されることはありません。ただし、基礎知識を総動員して、問題文をよく読み、条件を整理しないと計算に持ち込むことができない点には注意が必要です。基礎的な問題を一通り解いてみて、間違えた問題が多かったり、解きにくかったと自覚できている単元については解き直しを繰り返して、どのような知識が抜けているのか確認しながら、分野で必要な知識全体をよくアック人するようにしましょう。

まとめ

理科の計算問題が苦手、という受験生の方は非常に多いです。たしかに、一見すると何を求めなさいと言われているのかわからない、という問題も少なくありません。中学入試では、決まりきったパターン問題よりも、条件を変えるとどのように変化するのかといったような、一見新しく見える問題を出題する傾向が続いています。この傾向は今後も続いていくと考えられます。

理科の計算問題で必要になってくる計算テクニックはそれほど難しいものではありません。むしろ、計算に持ち込むための知識の正確さが問われています。初見の問題であっても、自分の知っているものに引き寄せて考える力が求められていると言っても過言ではないでしょう。

必要な計算テクニックは、比、割合といったところですが、これらは受験生が苦手とするところかもしれません。算数でも比や割合の問題で失点しているという方も多いのではないでしょうか。ただし、理科の計算問題では複雑な比や割合の問題が出るわけではありません。あくまでも基本形が身についていれば、理科の計算問題は比較的解きやすいと言えるでしょう。

理科の計算問題の学習を通して、算数の弱点補強を行うことができます。ぜひ、難しく考えすぎずに、基本的な理科の計算問題の解法を一つひとつ身につけていき、どんなに条件を変えられたとしても対応できるよう、基礎知識を徹底するように心がけて学習を進めてくださいね。それほど怖くないことがわかるでしょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。