【中学受験】過去問演習ー扱いを間違えると、百害あって一利なし!

中学受験生にとって欠かせないのが、「過去問演習」です。志望校の過去問を解くということは、中学校がどのような力を入試で試したいか、ということを受験生が体感することでもあります。

中学校の入試問題は、ただいろいろな種類の問題を並べて、点数をとることができた順に合格にしていくというものではありません。それぞれの学校の教育方針や、中学校に入ってからの樹豪に主体的に取り込むことができるかどうかという点まで熟慮されて作成されています。いわば、中学校からの「こういうことはできてきてほしい」「そうすると学校生活がより充実するものになる」というメッセージがこめられた問題が集められているのが、過去問というわけです。

どの学校の入試問題にも教育方針、アドミッション・ポリシーがこめられています。そのことを意識せずにただ問題を解いても、「志望校の入試問題を解くアタマ」を養うことはできません。だからこそ、過去問演習がとても重要な意味を持つのです。

塾によっては、夏期講習中に過去問を解き始めるところもあれば、今の時期、すでに自学自習として過去問演習を指示されていることもあると思います。

また、過去問演習は、授業中に取り扱われることもあります。多くは、上位クラスで行われていることですが、7月に入る頃から、オーソドックスな出題傾向の学校の過去問を時間をはかって解くということが塾の授業中におこなわれています。

そのような過去問演習は、必ずしも自分の志望校の過去問とマッチするとは限りませんし、中には志望校とは全く違う出題傾向のものを取り扱うことがほとんどです。難関校を志望するほど、そのような差が生まれることには注意が必要です。

過去問は入試問題の集まりですから、これまで皆さんが受けてきた模試やテストとは出題形式が異なることもよくあります。模試やテストは受験レベルの基本知識を身につけるために受けるものです。過去問は、少なくとも入試で出題されているものなので、模試やテストと比べて、学校の色が出やすいという違いがあります。

そのような違いを意識せずに、ただ過去問が授業で出されたからと行って、何も考えずに解くのも考え物です。しかも、4教科そろえて解くわけではなく、教科ごとに解くので、総合点でどのくらい解くことができたかということはあまり考えることもないでしょう。

塾の授業中に行われる過去問演習は、科目ごとに、入試レベルの問題がどのようなものなのかを体感する、という程度に考えておきましょう。普段解く問題と入試問題の出題のされ方を知っておくことはこの先、自分の志望校の過去問演習をおこなううえで重要な視点となりますので、「いま、なぜこのような過去問を解いているのか」を意識するようにし、時間配分を体感するつもりで解いてみるとよいでしょう。

塾で過去問を解く場合は、まだ採点や解説をしてもらえるので、自分の実力と入試レベルに必要な力との距離を測ることができますが、問題は、宿題として、自学自習で過去問を解きなさい、という課題形式で過去問演習が指示された場合です。

サピックスなどはその典型なのですが、「電話帳」と呼ばれる過去問集が渡され、その中にはいろんな学校の過去問が収録されています。そして、出題のタイプごとにカテゴリーわけがされています。

そして、志望校に合わせて、この時期にこの学校の過去問を解くように、という指示が出されるので、それに従って粛々と過去問を解いていくことになります。

もちろん、志望校の過去問だけでなく、いろいろな種類の出題形式に慣れることも重要なことですから、ほかの学校の入試問題を解くことにも意味はあります。しかし、あまりにもかけ離れていると、過去問を解いたがゆえに自信を無くしてしまうこともあるので中が必要です。

たとえば、記述式の問題が得意なお子さんが、選択肢メインの過去問を解くと全く点数がとれないということがあります。女子校でいえば、御三家を目指しているのに、選択肢問題の多い大妻中学校のような学校の問題を解くと全く解けなくて、自分は御三家を目指しても無駄だ・・・というように意気消沈してしまうお子さんも多くいらっしゃいます。

志望校の入試問題が記述中心と言っても、全く選択肢問題が出題されないというわけではないので、必要以上に心配しすぎることはないのですが、どうしても日々学校の偏差値に気をとられていると、「自分が志望している学校より偏差値が低い学校の過去問で点数がとれなかった」という事実が、お子さん、また、保護者の方の肩にすっしとのしかかってくるのです。

それだけに、過去問をいつ、どのように解いていくべきかという取り扱い方法には十分注意が必要です。そのことを考えずにやみくもに出題されたり宿題になっている過去問を解いたとしても、不安が増すばかりで、成績が安定するということは難しくなり、秋以降本格的に志望校の過去問を解く段階になったときにはすっかり自信を無くしてしまっているということも少なくありません。

今回は、過去問の扱い方や、過去問を解く意味をいかにとらえるかによって、今後の受験勉強に大きな影響を与える過去問演習について、注意すべき点をご紹介していきたいと思います。夏期講習でも過去問を解く機会が増えてくると思います。その際にも、ぜひ最大限の効果を得るために、ご参考にしていただきたいと思います。

過去問演習の目的と意味、正しく認識していますか?

先ほども書きましたが、夏期講習前のこの時期には、塾にお通いの受験生に対しては、塾から、「どの学校の何年度の過去問を」「いついつまでに、時間をはかって解いてきなさい」というような宿題形式で解くことを指示されることが多いものです。

また、在籍しているクラスにもよりますが、授業時間中に過去問演習をおこなうという塾もあります。その場合、だいたい2時間弱の授業時間のうち、受験生本人が過去問を解いているのが50分程度(科目により差はありますが)で、残りの時間を解説の時間にあてる、ということがほとんどです。しかも、時間制限があるので、すべての問題について解説がおこなわれるわけではなく、また、自分がわからなかった問題に対して解説がおこなわれるとも限りません

過去問演習を効果的に機能させるためにはどうすべきか

過去問演習のやり方には大きく分けて二つあることについてご説明しました。しかし、そのようなやり方が、本来あるべき「過去問演習」として、本当に効果的に機能しているかというと、多くの場合は当てはまらないのが実際のところです。

たとえば過去問演習を宿題として自分でやってきなさい、と出された場合はどうでしょう。宿題として出されたわけですから、もし期日までにやっていかないと、塾の先生に「なぜやってこなかったんだ!」と怒られるでしょう。

ですが、宿題だからと言って一生懸命解いた一方で、それを提出したけれど、「確認しました」というハンコ一つ宿題を見た、という形で終わらせられてしまうということも非常に多くみられます。

過去問演習だから、自分で解いて解説を読んで、わからないところは自分で克服しなさい、ということかもしれませんが、えてしてそのような場合、過去問を集めた問題集の解説は非常に不親切なことが多く、間違えたところを確認しようにも、式だけ、あるいは答えだけが並んでいて、再度自分で復習し、わからなかったことを克服できないことも少なくありません。

いわゆる「銀本」とよばれる、各中学校の年度別の入試問題を集めた過去問集がありますが、それには解説がありません。解答のみが書かれています。いったいなぜ間違えたのか、ということを確認する手段がありません。

また、多くの受験生が使うであろう、声の教育社のいわゆる「赤本」は、学校によって解説の質に差があり、特に記述問題の模範解答が的外れになってしまっていることもあります。

せっかく解いていった大切な過去問なのに、そのまま何の振り返り指導もされずに放置されてしまっては、解いていっただけ時間の無駄といっても過言ではありません。過去問は、中学入試の傾向を知るうえで非常に重要な問題の集まりです。振り返りをしないということは、そんな貴重な過去問を捨てているということと一緒です。

それなのに、振り返り指導を受けることができなくては、「ただ過去問を解いているだけ」「しかも解きっぱなし」「復習したくてもどうやって良いのかわからない」という、非常にもったいない状況になってしまいます。しかも残念なことに、そのような情況に置かれている受験生が少なくないのです。お子さんの置かれている状況は、いかがでしょうか。

もし、以上のような状況におちいりはじめている場合は、過去問の取り扱い方を早急に見直すことが必要です。

過去問演習は何のためにするのか、目的を思い出そう

どの塾に通っても、また、通っていなくても、中学受験をするのなら、過去問演習をせずに入試を受けるのは非常に危険なことです。

また、入試の形式や傾向は、中学校ごとに違います。第一志望校の過去問をやっているからといって、併願校の過去問をまったく解かずに受験しに行くという考え方も間違いです。第一志望校の偏差値が高ければ高いほど、併願校の偏差値もそれにつられて高いものになっているはずです。それなのに、その学校の過去問を解かずに受験しても、「大は小を兼ねる」という結果にはなりません。

実際に、第一志望が桜蔭中学校、そのほかに豊島岡女子中学校、浦和明の星中学校・・・という女子校を併願校にしておられた方がいました。最終的には桜蔭中学校をはじめ、女子校は全て難関校でしたが準備をしていたおかげで当然のように合格しました。

しかし、落とし穴となった学校があったのです。それは、渋谷教育学園幕張中学校でした。その受験生の住んでいらした地域は東京都でしたが、千葉県にも近かったので、1月20日から始まる千葉受験を1校受験しようとお考えになったのですが、1月になっても過去問集、いわゆる赤本を買っていませんでした。「桜蔭をはじめ、ほかの学校ですべて合格可能性が80%以上だから、学校別模試でも成績がとれているから」という理由で、千葉入試は小手調べのつもりでいらっしゃったのです。

結果は不合格でした。何度も渋幕の入試問題を1年分でも解いてください、と助言しましたが、桜蔭の対策で忙しいから、と結局1年分も解かずに渋幕を受験しに行った結果です。渋幕の偏差値は桜蔭と肩を並べるまでになっており、また、特に1月入試には特徴があります。それに見事に引っかかってしまったという苦い経験をなさったのです。

それくらい、受験する学校の過去問を解くということは、受験勉強の仕上げとして大切なことなのです。偏差値だけで測ることはできません。先ほども書いたように、記述中心の学校を第一志望にしていて、その対策はしてきたけれど、選択肢問題中心の学校では点数がとれないというケースも同じことが言えます。

過去問をはじめ、中学校の入試問題は、学校から受験生に対するメッセージです。軽視していいわけがありません。

過去問演習の目的は3つ

このように重要な過去問演習ですが、何も目的をもたずにただ3年分、5年分、・・・と遡って解いても意味はありません。本番の入試でしっかり合格点をとるためにおこなうものだという本来の目的を思い出してみましょう。そして、合格点をとるために意識すべきことは、大きく分けると以下の3つに分類できるといえるでしょう。

  1. 受験校の入試問題の「型」を把握する
  2. 受験校の入試問題を「分類」する
  3. 受験校の問題との相性を「合わせていく」ためにおこなう

過去問は、このような目的意識をもって演習していかなければ、ただ、普段の問題演習を行っていると同じになってしまいます。過去問は、学校側の出題の意図をくむために1問1問が非常に貴重なものです。それを、目的意識なく、ただ解くだけでは効果は望めませんし、時間ばかり取られてかえって基礎がおろそかになってしまいます。

では、それぞれの過去問演習の目的について、具体的にどのようなことなのか解説していきましょう。

目的①受験校の入試問題の「型」を把握する

入試問題は学校によって「型」があります。オール記述の問題を出題する学校もあれば、記述よりも選択肢問題を多くして、選択肢の吟味がしっかりできているか問う問題を中心に出題する学校、さらには「この学校でしか出題されないような問題」を出題する学校もあります。

たとえば、慶應中等部の国語の問題は、ほかの学校の入試問題にない特徴があります。それは、難関校であるにもかかわらず、記号問題がほとんどであったり、手紙文が出題されたりするといった特徴です。

難関校の対策というと、どうしても記述問題に目が行きがちです。そのためには基礎知識を完璧にしたうえで考察をするという段階をふむので、全く記号問題に対応できないというわけではありませんが、時間配分や、記号問題であるがゆえの問題数の多さに対応するためには、やはり十分な練習を積むことが必須です。

このように、明らかに出題形式に特徴がある場合には、それに合わせた準備をしていくことが必須であり、それが合格の近道になるのです。

目的②受験校の入試問題を「分類」する

入試問題は、これも学校によりますが、いわゆるサービス問題と言われるような、その学校を受験してくる受験生なら誰もが確実にとってくるであろう問題から、「これは誰もとれないだろう」という超難問まで、幅広く出題されます。大問1題の中にも、そのような難易度の違う問題がいくつも含まれていることもあります。

このような傾向から、過去問演習をするにあたっては、入試問題を、以下の3段階に分けて解いていくことが有効です。

  • 絶対に点数をとらなければならない問題
  • できれば得点を狙いたい問題
  • 皆解けないので捨ててよい問題(いわゆる「捨て問」)

特に、「できれば得点を狙いたい問題」というのは、受験生の間で「差がつく」問題だといえます。捨て問の場合、解ける受験生は少ないですし、それに時間をとられすぎるとほかの問題を解く時間が無くなってしまいます。また、受験生なら誰でも得点してくるような定番の問題は、決して落としてはいけません。だからこそ、基本知識の確認は入試当日まで必要になってくるのです。

問題は、「できれば得点を狙いたい問題=差がつく問題」の攻略です。ここでどれだけ得点できるかどうかで、合否が分かれるといっても過言ではありませんし、中学校側も、習熟度を見るためにあえてこのような差がつく問題をところどころに、かなりの数配置しています。

数年前の桜蔭中学校の算数の問題で、決して難しくはないけれども、合否を大きく分けたポイントになった問題がありました。それは、図形を回転させる問題だったのですが、三角形を、ある線を軸に回転させたときの体積を求めなさい、という問題でした。

いかにも「軸」に見える線と、補助線のように引かれた線が書かれていたのですが、典型的な立体図形(立体の回転)の問題を解き続けてきたお子さんは、設問をよく読まずに、軸とすべき線を読み間違えました。詳しくは入試問題を見ていただきたいと思いますが、軸となる線が異なると、出来上がる立体の形も変わってきますし、当然解答は全く違ってきます。

制限時間内に解かなければならないという焦りと、典型問題だという思い込みが、最上位生の目をくらませてしまい、よく読めば決して難しい問題ではなかったのですが、冷静に設問を読んだかどうかによって大きな差がついてしまいました。桜蔭中学の合格可能性80%を切ったことがなかった生徒さんでも、その問題と、そのあとに続く問題を立て続けに落とし、結果的に大問1題まるまる落としてしまうということが起こったのです。

このように、入試問題を「分類」し、差がつきそうな問題を瞬時に判断できるようにすることは、過去問演習をするうえでも、もちろん入試本番でもとても重要です。入試本番では「読み間違えた」「見間違えた」「勘違いした」は通用しません。このような問題であっても焦らず設問で聞かれていることに正確に答えることができるように練習をして慣れていくことが必要です。

このような「差がつく」問題の得点率は、模試やテストでも気にしていく必要があります。総合模試は、さまざまな傾向の問題を集めてきています。その中に、差がつく問題が多く含まれています。このような問題を克服することができれば、入試に向けて成績を上げていき、安心して過去問演習に集中することができるようになります。

ただし、このような入試問題の「分類」は、お子さん自身ができるものではありません。できれば親御さんが分類してあげていただきたいところですが、まず自分で解く必要もありますし、分類をするためには、正答率などもよく見ておこなわなければなりません。

悩んでいる時間も惜しいので、塾の先生にやり方のヒントをもらいましょう。ただし、集団塾では一人ひとりのお子さんの受験校は把握していても、そこまで細かく問題の分類をする余裕はありません。今後の過去問の学習の進め方においてとても重要なことです。どのようにしたらよいのかわからない場合は、個別指導など、お子さんだけの対策を考えてくれる指導者に判別してもらうのも一つの手です。

その場合は、必ず1対1の個別指導にすることをオススメします。「お子さんだけ」を、授業時間いっぱい使ってみてくれるのは1対1だけです。1対2や1対3では、お子さんだけを見てもらう時間は非常に短くなるので、分析してもらう時間も当然短くなります。それでは意味がありません。自分が引っかかりやすい種類の問題や、問題を解くときのクセ、こうすれば正解できた、といったステップを見てもらうことを第一に考えてみてはいかがでしょうか。

目的③受験校の問題との相性を「合わせていく」ためにおこなう

受験校を決めるためには、「過去問との相性」がとても大切です。たとえば、記述問題が多くを占める学校を受験したいのならば、記述対策を時間を割いておこなう必要があります。選択肢や記号問題が中心の学校を受験するのならば、問題文を読んだうえで、一つひとつの選択肢を吟味し、正しいものを確実に選ぶ練習を積まなければなりません。

このように、過去問演習をおこなう目的としてもう一つ大切なのは、受験校の問題形式に慣れることが挙げられます。

最初のうちは、自分が得意とする形式の問題は解けても、受験校の出題形式となかなか相性が合わないかもしれません。だからこそ、自分の実力と入試との間の距離を縮めていく必要があるのです。そのためには、受験校の出題形式をよく研究して、その出題形式に慣れていくという手順をふんでいく必要があります。

志望校の入試の形式をよく考えずに、ただ問題を解いても正解することは難しいでしょう。また、対策法がわからず、時間ばかりかかってしまうことにもなりかねません。そうかといって、自分の得意な形式の問題ばかり出題してもらうわけにもいかないのですから、自分の力を、受験校の入試で求められている力に近づけていかなければなりません。

入試問題は、受験生に対する学校のメッセージです。どのような実力をつけてくると、中学校以降の学習についていけるのか、能力を伸ばすことができるのか、ということが入試問題の中には込められています。

まず最初は、その受験校の一般的な出題傾向に慣れるところから始めましょう。それと並行して、記述問題の中でもどのような記述問題が出題されるのか(記述の字数、問題文との関連性、自分の考察を述べる、など)、選択肢問題の場合は、「すべて」選ぶのか、「一つ」選ぶのか、といった具合に、受験校の入試傾向を細かく分析していきましょう。

これもまた、お子さんが一人で分析するのは難しいことです。また、自分がどの段階まで実力をつけているのかを判断するのもまた難しいことです。親御さんをはじめとする、大人の方の眼を通して確認し、今後の過去問の進め方の計画をたてて行くようにしていきましょう。

お子さんに、過去問演習の目的と意味を正しく認識させることが肝心!

過去問演習をおこなうためには、お子さんが過去問になぜ向き合わなければいけないのか、ということを正しく認識する必要があります。まずは、先ほど解説した、過去問演習をおこなう3つの目的を、お子さんに理解させることが大切です。

実際に過去問演習をしていくのはお子さん自身です。そのお子さんが、目的意識をもたずにいくら過去問演習をおこなっても、点数が伸びず、受験校に対する「入りたい!」というモチベーションが下がってしまいます

なぜ過去問演習が必要なのか、次に、その演習を通して志望校・受験校に合格するために必要なことや、いまの実力では足りていないところを発見することが大切です。

過去問演習を通して、必要な知識そのものが足りていないのであれば、そこをピックアップしてもう一度理解し、定着させることが必要です。記述問題で点数がとれないのであれば、書くべき内容をきちんと書けているか、ということを確認する必要があります。記述問題の場合は、特に上位生に多い傾向なのですが、知識があるだけに、「設問で聞かれていないこと・関連していないこと」まで書こうとしてしまうことがあります。

過去問演習を通して、自分にいま何が必要なのか、足りないところはどこなのか、どこまで理解できていてどこからがあやふやなのか、といったことをお子さん自身に認識させることがとても大切です。ただ「またできていない」「こんな点数じゃ受からない」という否定的な声をかけるのではなく、「いま、ここを重点的にやると点数がとれるようになるよ」というように、プラスの声かけをしてあげるようにしてください。

過去問演習の際にココに気をつけると実力がアップする!

過去問演習をおこなう際には、受験に必要なすべての科目についてしっかり行っていく必要がありますが、本格的に過去問演習中心の学習に入るにあたって、「国語力」をアップしておくことをオススメします。

国語は4教科すべてに必要な土台となる力です。算数も、理科や社会も、問題文や設問を正確に読みとることができなければ、どの教科でも合格点をとることは非常に難しいです。また、学校によって独特の言い回しをする設問を出題するところもあるので、より「正確な読解力」が要求されます。

語彙力や漢字の力はもちろん必要ですが、やはり読解力がすべての教科の土台になります。ですが、国語にあまり時間をかけてこなかった、という受験生の方も多いのではないでしょうか。最近受験した模試の結果はいかがでしたでしょうか。国語に苦手意識を持っていると、ほかの教科の結果にも影響が及びます。

国語は「説明文の読解」がすべての土台。センスや感覚では解けないことに注意!

国語と一口に言っても、読解問題にはいくつか種類があります。説明文・論説文、物語文、随筆文、詩があります。その中でも、読解力を短期間に要請するには、「説明文の読解」を徹底しておこなうことが一番の近道です。

なぜかというと、説明文は物語文と異なり、文章にはっきりとした構造があり、答えが必ず問題文の中にあるからです。物語文は読みやすいけれど、結局何が書いてあるのかわからなかった、というご経験はありませんか?説明文は、文章の構造を読みとりやすいので、問題文の文章の構造を知り、その中から答えを見つけ出すトレーニングには最適と言えます。

もちろん、入試では、説明文・論説文と、物語文がセットで出題されることが多いですから、物語文の読解力をつけることも大切です。ですが、物語文の心情読み取りの問題は、入試レベルになると、かなり難問であることが多いです。そのような問題にチャレンジする前の段階としても、「説明文の読解」の演習をたくさんおこなっておくことをオススメします。

文章の構造がわかるということは、長い問題文を正確に読みとることができるということです。そして、答えがどこに書いてあるか、あるいはヒントがどこにあるのかを見抜く眼を養うことができるということでもあります。ぜひ、本格的に過去問演習に入る前に、しっかり読解練習を積んでおきましょう。

過去問に着手するのは「基本」を固めてから

いま、合格点がとれないからと悲観する必要はない

過去問に着手するには「時期」があります。塾によっては早いうちに過去問演習をおこなうところがありますが、その際によく起きてしまう「残念なケース」があります。それは、何年分も過去問を解いたのに、どうしても合格者平均点、あるいは合格者最低点になかなか届かず、モチベーションが下がってしまい、第一志望としてきた学校の受験自体をあきらめてしまう、というケースです。

 ですが、いま過去問演習をおこなっても、最初から合格者平均点をとることはまずできません。入試問題は、そもそも実際の入試の日にとけるようになっていればよいのです。

首都圏の中学受験、それも東京や神奈川の入試日は2月1日から始まります。埼玉や千葉の難関校は1月から入試が始まりますが、11月や12月の時点で合格者平均点に届いていなくてもまったく問題はありません。

ましてや、夏休み前のこの時期であれば、合格者最低点に届くこともまれだと考えた方がよいでしょう。今の時点でそれだけの点数がとれているのならば、入試までやることがなくなり、かえって入試直前に調子を崩してしまうことも起こりえます。モチベーションを保つために何をするべきか、という別の悩みが生じてしまうのです。

ですから、11月や12月、また、夏休み前の今の時点で合格点がとれないからといって、受験をあきらめる必要はまったくありません。実際のところ、志望校に合格する受験生は、12月から試験の前日までにもう一段ギアが入り、最も実力がついてくることが多いのです。これまで頑張って覚えてきた知識が結びつき、その知識を様々な出題形式に応用できるようになってくるのはその時期です。ですから、その前の時点で受験を諦めてしまうのは早すぎるのです。

過去問を解く土台となる「基礎学力の向上」こそいまやるべきこと

いま過去問で点数がとれないからといって悲観する必要は全くありません。ただし、過去問演習を本当に有効におこなうためには、その学校の過去問を解くにふさわしいレベルまで、基礎学力を高めておかなければなりません。基礎学力が達しないうちに無理に過去問演習をスタートさせても、時間の無駄になってしまうかもしれません。そして、目標とする学校によって、必要となる「基礎学力」は異なるということも意識しておきましょう。

実際に指導したことのある生徒さんのケースをご紹介しましょう。その生徒さんは、早稲田中学を志望していました。ですが、夏休み前はもちろん、夏期講習を終えて学校別対策をはじめても、まだまだ学力的に、過去問を解き、合格者平均点をとることができるようなレベルではありませんでした。

大きなブレーキになっていたのは、「基礎学力」の不足でした。算数でも、ほかの教科でも、難問を正解するのに、基本的な知識を問う問題になると、混乱してしまうということがよくありました。

さきほど、過去問演習をする際には、入試問題を「分類」するということが重要だということを述べましたが、まさにこの生徒さんの場合は、この「分類」がうまくいっていなかったケースでした。捨て問を解けたとしても、受験生なら誰でも得点できるであろうサービス問題を落としたり、受験生の間で差がつくような問題で正解できず、ほかの差をつけられてしまっていては、過去問をいくら解いても合格点をとることは難しいという状態でした。

そこで、入試問題の「分類」を改めておこないました。生徒さんは、やはり「早稲田中学はレベルが高いから、難しい問題を解けないと、解かないと合格できない」という強迫観念のようなものを持っていました。塾でもそのようにあおられて3年間勉強してきたことも、そのような意識を持ってしまう要因の一つだったのかもしれません。

受験生なら誰でも得点してくるであろう「基礎学習」の不足が点数が伸びない原因だったので、得点できていないところをピックアップし、基礎学習を徹底しました。そうすると、バラバラだった知識と問題が結びつくようになってきて、成績が上がり始めたのです。

10月、11月と模試を受けるごとに、受験の定番と言える基礎問題と、それを少しひねった「差がつく問題」に焦点を当てて学習を繰り返し、成績が伸びてきたときに一気に過去問に取り掛かりました。タイミングとしては、12月も半ばを過ぎ、最後の模試が終わっていたと思います。

一見するとかなり遅いペースですが、生徒さんが「どうしても早稲田中に入りたい」という気持ちを最後まで持ち続けたおかげで、過去問を解き続けることができました。きちんと基礎を固めてから過去問演習に入ったことによって、最終的に第一志望校である早稲田中学校に見事合格しました。

親御さんも過去問演習になかなか入れないことにかなり心配しておられましたが、現実的に「基礎学力」を上げれば点数が伸びることを実感してからは、お子さんを信じて、解いた過去問の整理など、協力してくださいました。最後は親子で勝ち取った合格だったと言えるでしょう。

過去問演習は「正しく」おこなってこそ効果が出る

これまで、過去問演習について気をつけるべきこと、意識すべきことについてまとめてきました。これ以外にも、お子さんの性格や、志望校によって考慮すべきことはたくさんありますが、第一志望校をぶれずに目標として持ち続け、常に「自分と志望校との距離」を意識しながら日々の学習をおこない、さらに時期が進んだら、過去問演習を積んでいっていただきたいと思います。

そのためには、過去問演習を始めるタイミングもとても大切です。志望校は受験生一人ひとり違いますし、どのような問題が得意で、どのような問題だととけないのか、ということも一人ひとり異なります。ですから、他の受験生の過去問の進み具合などを気にする必要はありません。あくまで、お子さんの受験であるということを今一度意識していただき、他の受験生と「比べないで」学習を続けていきましょう。

その他、過去問演習をおこなう上で注意するべき点

これまで挙げてきた過去問演習について意識すべきことに加え、いまのうちから過去問演習をおこなうときに注意するべき点を挙げておきます。

  • 同じ年度のものを何度も繰り返し解けばよいというものではない
  • 過去問演習は、あくまで受験生本人の受験に対する意欲を掻き立てるためのもの
  • 過去問演習は、実施したあとのフォローこそが大切

学校によっては、同じ年度のものを2回、3回解く場合もありますが、1回1回を真剣勝負ととらえていただきたいと思います。そのうえで、できなかったことを繰り返し、少しずつ志望校と自分の実力の距離を縮めていきましょう。

そして、過去問演習は、受験生の「この学校に行きたい!」という気持ちを後押しするためにおこなうものです。決してできなかったことがあるといって、「なぜ解けないのか」というように、責めるようなことは言わないようにしましょう。大人の目から見た、冷静な助言をしてあげることを意識してください。

そして、過去問を解いたら解きっぱなしにしないようにしましょう。まず、合格者平均点、合格者最低点と実際の得点との距離をつかみましょう。そして、足をひっぱっているのがある教科に偏っているのか、あるいは4教科全体とももう少しの底上げが必要なのかということを判断しましょう。

問題を分類して、解けた問題、解けなかった問題がそれぞれどのケースにあてはまるのかを把握しましょう。分類したら、基礎が固まっていないところがあるのか、差がつく問題で引っかかったのか、捨て問に時間をかけすぎたのか、などの分析を行いましょう。

過去問は解きっぱなしでは何の意味もありません。学校からのメッセージを読みとるための非常に重要な問題です。ですから、過去問は「正しく」使えば、たとえ始めた時期が受験直前になったとしても十分合格力アップに直結します。解きっぱなしにしていては、いくら何年分も解いたとしても、合格点をとることは難しいでしょう。

過去問演習は、お子さんの志望校合格のためにおこなうものです。お子さんに合った方法を、親御さんなりに、また、迷ったときは塾の先生や個別指導の先生などの第三者と一緒に考えていきましょう。まだまだこれからです。まずは、過去問演習をおこなうために必要な基礎学力をしっかり身につけていきましょう。

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