【中学受験】塾を選ぶ際にチェックしたい7つのポイント

新・受験学年の皆さんは、すでにお通いの塾で、そのカリキュラムにそって受験勉強を日々頑張っておられると思います。志望校を意識しながら、改めて受験生になったという意識を新たにしておられるでしょう。

また、これから中学受験の勉強に本格的に入るという学年の皆さんも、すでに塾を決めて通い始めている方もいらっしゃるでしょうし、なかなかどこの塾に通わせたらよいかわからない・・・と、決めきれずに焦っている方もいらっしゃるかもしれません。また、いつから通わせるのがよいのかまだ迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

中学受験は非常に特殊な受験です。国立・公立中高一貫校は学習指導要領から外れてはいけませんが、私立中学は程度の差こそあれ、学校では習わないような内容、たとえば算数では、特殊算や立体図形の難問などを出題する学校が非常に多いです。そのため、塾のカリキュラムには通常学校では習わない内容が多く含まれていますし、それ以外にも「中学受験ならではの考え方」に基づいてカリキュラムが作成されています。

この「中学受験ならではの考え方」を身につけるために、受験生は塾に通って勉強するわけです。多くの受験生は集団塾に通ってその「考え方」を身につけながら、カリキュラムにしたがって学年ごとに受験勉強を進めていきます。そして、そのカリキュラムは塾によって非常にさまざまです。

このようなお悩みを持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?たとえば、塾のカリキュラムにのって勉強をしているけれど、「なかなか成績が上がらない」「課題がこなしきれない」といったものです。塾の先生にはなかなか相談できなかったり、相談する時間がなかったり、そうしているうちに時間がたってしまい、あれもやらなくては、これもやらなくては、どうしたらいいのか、などといろいろな悩みを抱えながら受験を目指しているという方がほとんどというのが受験勉強の現実です。

筆者は、某有名進学塾で講師をしているときに子どもの中学受験を経験しました。その際、やはり悩んだのが「塾」の問題です。このままこの塾に通わせていいのだろうか、転塾させたほうがよいのだろうか、そのようなことを、特に受験学年になってからよく考えました。

今回は、塾選びの際にチェックしておきたいポイントについて、経験も交えて書いていきたいと思います。もし塾で勉強しているけれど、いろいろ悩みが尽きない、そんな方は今からでも遅くありません。塾との関係を考えてみる参考にしていただければと思います。

ポイント①合格実績

お子さんをどの塾に通わせるか考えるときに、一番保護者の方が気にされるのは「合格実績」ではないでしょうか。今年の中学入試が終わって2週間以上たっていますが、塾の窓や壁に張り出された「合格おめでとう!」の短冊を目にすることもあるでしょうし、ホームページで華々しく「A中学校合格者○○名!(過去最高)」というように、毎日のように情報が更新されていますよね。

受験をお考えの方は、当然志望校の「合格」を第1に考えて塾選びをなさると思います。志望校、興味のある学校にたくさんの合格者を輩出している塾なら、「わが子もこの塾に入れば・・・」と期待するのは当然のことだと思います。

ただし、この「合格実績」の数字にはからくりがあることも忘れてはいけません。1人の受験生が複数の学校に合格していればそれは延べ人数としてカウントされています。そうすれば、各学校へんお「合格人数」はどんどん増えてくるわけです。もちろん、補欠繰り上がりなどがあればそれがプラスされていきます。

実際に受けて合格したのですから、「合格実績」としてカウントされるのは当然…そう思われると思いますが、ここにはいくつか注意しなければならない点があります。

1つは、3年間その塾に通って勉強を続けた生徒だけの合格実績とは限らない、ということです。中には、受験学年の秋から始まる志望校別コースのみ通っていたという生徒が含まれていることもあります。また、通常授業には通わず、組み分けテストのみ受けるという最上位生を含めている場合もあります。最近は、合格実績の信ぴょう性を疑われないように、そのような生徒は省いています、という注意書きがされていることもありますが、残念ながら塾によってはその通りに発表していないところもあるのが現実です。

もう1つは、どうしても錯覚してしまいがちなのですが、「合格率」のマジックです。集団塾はさまざまな場所に校舎を持っています。通っている生徒が多い校舎もあれば少ない校舎もあります。ですが、塾全体として出す「合格実績」は、すべての校舎を含めたものです。

そして、合格率はよく「5%ルール」などと言われることがあるのですが、どこの塾でも実はあまり変わらないのです。実際に計算してみたことがあるのですが、「合格人数」の多い塾は、その母集団、つまり通っている生徒の数も多い、ということです。通っている生徒の数が少なくても、トップの生徒は合格しているという現実は、合格者数の多さに隠れて意外に見えにくいものです。

たしかに、志望校に多く合格者を出している塾であれば、安心できる、そう思いますよね。ですが、現実は、多くのクラスに分けられ、見えにくくなっていること、その年によって変化があるということを忘れるべきではありません。「合格実績」はたしかに塾選びの上で最も関心を持つであろう要素ではありますが、それだけで塾を拙速に決めてしまうと、途中で塾と合わない、成績が伸びない、ということも多いので注意が必要です。

ポイント②成績向上・講師の質

次に気になるのは、お通いの塾で頑張って勉強しているにもかかわらず、なかなか成績が上がらない、という点ではないでしょうか。これは、どこの塾でも共通して生まれる悩みではないでしょうか。

成績の向上のために重視すべきことを見誤らない

成績が上がらない、ということにはいくつかの意味があります。「校舎の中でクラスがなかなか上がらない」「模試やテストで成績がとれない」ということから、「宿題が多すぎてこなしきれない」「苦手な分野がある、またはどこかにあるけれどもどこにあるのかわからず対策が立てられずにいる」など、さまざまです。

今の時期に重視すべきことは、後者の、「宿題」の問題と、「苦手分野、穴となっているところをみつける」ことです。これができていなくては、いくらテストを受けても、成績もそうですが、クラスがアップすることも望むことは難しいでしょう。

「繰り返し」勉強する、には注意が必要

塾に入ろうと話を聞きに行ったときに、「同じことを何度も繰り返してやりますから大丈夫ですよ」と言われませんでしたか?たしかにそのとおりなのですが、期間に何度も繰り返すという意味ではありません。たとえば4年生のときに一度学んだ単元が5年生になってもう一度出てきたとしたらどうでしょう。たしかに、「繰り返し」ということはできるかもしれませんが、それは、1年間にいろいろなことを学んでいること、4年生で学んだ段階で理解できていることを前提に、「繰り返す」という意味です。

もし、4年生のときに学習した単元がしっかり理解できていないとしたら、5年生、6年生で同じ単元が出てきても理解は深まるどころか、同じ単元なのかどうかも分からなくなってしまい、完全に苦手分野ができてしまいます。そうすると、カリキュラム上は習ったはずなのにテストなどで問題を見ても、さっぱりわからない、ということになってしまいます。これでは、成績を上げ、クラスをアップさせるということはできませんよね。

カリキュラムについていき、宿題にしっかりと取り組んで、基本事項を理解できているからこそ、次の学年で出てきたときに、「あ、これは前に倣ったあの考え方をつかえばいいんだ」ということがわかるのです。基本を理解していなければ、応用問題を解くことはできません。

ですが、どうしても、「成績が上がらない」「クラスが上がらない」ということに保護者の方も目が行ってしまいがちです。そして、テストの成績が思わしくないと、お子さんを責めてしまいます。そうすると、お子さんはテストのたびに「怒られたらどうしよう」と思うようになり、力がついている部分でもミスを連発する、ということを繰り返すようになります。

成績やクラスは「目に見える」ものですよね。だからどうしても気になってしまいます。ですが、「目に見えない」お子さんのモチベーションを上げることや、苦手分野の地道な洗い出しとそれを克服することをしなければ結果は出てきません。これには、やはり塾の講師の先生の力を借りる方が良いでしょう。

講師の対応には気をつけて

もし、苦手な教科の講師に面談を申し込んだり電話をかけても対応してくれないようであれば、転塾を考える必要があるかもしれません。また、面談をしたり電話で話をしたときに、講師がお子さんの弱点や苦手分野を把握していないようなら、それも問題です。

塾は、中学受験を成功させるために、ご家庭が「活用するために」あるべき存在です。教える立場にいる講師がお子さんの状況を把握できていない、また面談を申し込んだりしても「時期が決まっていますから」とイレギュラーな対応を嫌うような塾であれば、受験直前期の対応も心配で任せられません。もし、いまお困りのことがある場合は、ぜひ塾とコンタクトをとって、反応を見てみてください。

また、これは集団塾ならではのジレンマかもしれませんが、「クラスが変わると担当する講師も変わる」ということは容認しなければなりません。また、「上位クラスを教えている先生が必ずしもわかりやすい授業をするとは限らない」ということも冷静に受け止められるようにしておくことが必要です。

講師が変わると「教え方」が変わる、と言われます。それは事実だと思います。もしクラスが下がってしまった場合、上のクラスの先生に習っていないともう上がれないのではないか、下のクラスの先生の教え方で大丈夫だろうかと不安になるのも事実です。ですが、テキストは共通ですし、いまの実力に合った問題を選んで授業がされ、宿題の範囲もより基本を重視するものになっていると考えて、チャンスだと思って苦手分野を見つけ、その部分の理解を深めましょう。

講師の良し悪しは、お子さんに「合う、合わない」「上のクラスを担当していないから心配」という主観で決めてしまいがちですが、決してそういうわけではありません。その日の授業のポイントをわかりやすくまとめてくれたり、宿題はどこまでをしっかりやってくるようにという指示ができる講師お子さんの様子を把握してくれる講師との出会いが成績を上げてくれるきっかけになります。

そのような目をもって「講師の質」を冷静に見極めるようにしましょう。塾によっては、授業見学をさせてくれないところもありますが、大半の塾は体験授業という形でお子さんが授業を受け、その様子を保護者の方が見学できる機会を設けています。疑問を感じたら、そのようなシステムを使って相談してみることをオススメします。

ポイント③カリキュラムとテキスト

塾ごとのカリキュラムをチェックしよう

大手進学塾であれば、受験に向けてのカリキュラムがしっかりできています。志望校対策に時間をとるために一通りのカリキュラムを速く(5年生の終わりまでに)終わらせる塾もありますし、一通りのカリキュラムを終えた後に受験生が苦手とする分野を集中的に学習するカリキュラムをとっている塾もあります。

ただし、教科によっては独自のカリキュラムをとっている塾もあるので、注意しましょう。もし塾を変えようと思ったときに、「未習の範囲」があることによって、転塾してすぐついていけなくなる可能性があります。それでも転塾を考える場合には、どの分野が未習になっているかを洗い出し、一通り学習しておくことも必要になります。

テキストの形式、まとめ方もよく理解しよう

塾によって、「5年の上」「5年の下」といったように製本されたテキストを使っているところと、毎回の授業の際にプリントを渡され、その日に学ぶ内容を初めて知る、という形式をとっている塾もあります。

どちらにも一長一短はあるのですが、特にプリント授業の場合は、プリントの整理が何よりも大切になってきます。番号が振られていても、何番がどの単元のプリントで、お子さんの得意な単元なのか、それとも苦手なのであとで繰り返し学習する必要があるのかを分けていかなければ、「プリントの山」ができてしまいます。また、宿題もプリントで出されていると、整理しなければ「いつまでに、何を」学習すべきなのかがわからなくなってしまいます。

中には、プリント整理のために家庭教師を雇う方もいる、という塾もあるくらいです。もちろんお子さんが自分できちんと整理できれば一番良いのですが、それはなかなか難しく、塾の授業の内容を9割がた理解できていて、やるべき宿題も明確になっているお子さんに限られるのが現状です。

最初は1枚のプリントでも、山になるのはあっという間ですし、そこからさらにやらなければならないプリントや復習させたいプリントを抜き出すのは非常に大変です。これは、やはり保護者の方の力が重要になってきます。

塾内のテストで重視すべきこと

集団塾はカリキュラムにしたがって授業を行い、テストを行います。種類としては、塾によりますが、大きく分けて

  1. その週の理解度を見る小テスト
  2. 1か月の理解度を見る少し範囲の広いテスト(マンスリーテストなど)
  3. これまで習った範囲全てから出題される総合テスト(組み分けテストなど)

の3種類に分かれます。これに、塾外の生徒さんも受けに来る、いわゆる「模試」が加わりますが、6年生になってからが一番多いです。

特に気になるのは2つ目と3つ目のマンスリーテスト、組み分けテストだと思います。その成績でクラスが昇降するからです。どうしても塾内の成績を上げたい、という場合はこれらのテストの対策が必要になりますが、塾によってはその成績やクラスが「校舎ごと」に決まるところもあります。

つまり、そのテストの結果はあくまで「その校舎でどのくらいの位置にいるのか」ということにすぎません。同じ点数をとっても、大きな校舎ではなかなか上のクラスに入れずに悲観してしまい、逆に小さな校舎だと実力を見誤る可能性があります。また、塾によってはクラス分けに講師の裁量がかなり認められているところもありますので、注意が必要です。

公開テストなど、母集団が広い総合テストの場合には、同じテキストを使って勉強をしている母集団の中での自分の立ち位置を確認することができます。このように、テストの種類によって母集団や自分の立ち位置が変わるということはぜひ理解しておいていただきたいと思います。

あくまで、入試までのテストは、「今やるべきことを見つける」「弱点となっているところをみつける」「それらを克服する」という目的をもって受けるようにしましょう。

ポイント④面倒見のよさ・質問対応・補習など

お通いの塾の規模やお子さんの性格にもよるのですが、塾の「面倒見」の具合と、「補習」などによる拘束時間の長さも塾選びで重視していただきたいポイントです。

塾が言う「面倒見のよさ」って?

塾によっては、「勉強には保護者の方は手を出さないでください」「授業から宿題の面倒まですべて塾が責任をもってやりますから」というところがあります。もしそれが本当なら、保護者の方は受験に向けて親としてやらなければならないこと、たとえば学校説明会に参加したり、学校に個別相談しに行くといったことに集中できるから非常にありがたいことです。

ですが、要所要所で目を光らせておかないと、保護者の方が注意しないことによってお子さんの勉強が「自分勝手なもの」になってしまったり、「宿題の面倒」といっても、次の授業までに解いて提出して、ハンコを押してもらってコメントもなく終わり、でも宿題は見ましたよ、ということになりかねません。

もちろん勉強そのものはお子さんがやることです。ですから、きちんと宿題をやっているのに保護者の方が「その時型はダメだ」「ちゃんとやってるのか」というのはマイナス要素になることが多いです。そういう意味で、「手を出さ図にお子さんに任せる」ことも必要です。

ある程度は保護者の手助けが必要

ですが、お子さんが好きな教科の宿題ばかりやってほかの教科は提出の前日にやっつけ仕事、ひどいときには答えを写して〇をつけているような状況では、保護者としては「手を出さない」わけにはいきません。実はこのようなお子さんは非常に多いのです。

集団塾、特に大手塾と呼ばれるところは宿題の量が非常に多いですから、お子さんも「終わらせなければ」という気持ちで焦ってしまいます。落ち着いて計画立ててできればよいですが、保護者の方に口も出されないので好きな教科に時間をかけて、あとはおざなりになってしまい、あとからそこが苦手分野になってしまうということにもなりかねません。

それでもまだ「宿題を終わらせよう」と思うなら直す余地はありますが、「何も言われないからやらない」という方向に行ってしまうお子さんもいらっしゃいます。「宿題をやらない」というのは、せっかく受けてきた授業を聞きっぱなしにして、理解せず、できるようになるまで練習もしないということです。このような状況になってから、自分からやるように仕向けるのは非常に大変です。塾からは、「宿題をやってきていません」という連絡は来るかもしれませんが、だからどうしよう、という具体的な指示まではもらえないことが多いです。

口の出しすぎはよくありませんが、塾の「面倒見のよさ」がどのようなものなのかはしっかり保護者として把握しておきましょう。講師によっては本当に面倒見がよく、宿題のやり方の「質」まで見て、注意をしてくれる方もいます。ですが、それも集団塾では限界があるのが現状です。

保護者の方は、「勉強をやることそのもの」には口を出さないとしても、何曜日にどの教科の授業があって、それに合わせてお子さんが宿題を進めているかどうかのチェックはしてあげる方が良いでしょう。小学生にすべて計画性を持ってやれ、というのは難しいことです。お子さんと一緒に各教科の宿題を見て、大枠でよいので1週間のスケジュールを立ててあげる、それを着実に実行しているかつかず離れずチェックするということはしてあげてください。

質問や補習を効果的なものにするためには

これも塾によりますが、補習を熱心にしてくれる塾があります。お子さんが授業を受けてわからなかったところ、宿題をやってわからなかったこと、テストでわからなかった問題についてフォローをしたり、テスト対策授業を別に行なったり、塾によってやり方はさまざまです。

お子さんは、「塾に行くのが楽しく」なると、補習にも積極的に行くようになります。ですが、「勉強しに」行くのではなく、同じ補習仲間と楽しく時間を過ごすために行くようになってしまうお子さんもいるので、保護者の方は目を光らせる必要があります。

「何を教えてもらいに行くのか」「補習で何を学んでくるのか」という目的意識をお子さんに持たせることが、補習を効果的にするためにはとても大切です。また、「補習授業」と時間が決まっているものに関してはよいですが、「質問に行ってくる」「補習があるから早くいく」というときは注意が必要です。帰ってきてから、講師に何を質問したのか、それで何が理解できたのか、お子さんに簡単でいいので説明させましょう。

そして、質問や補習に行ってきたのなら、「教えてもらってわかった」ことを「できる」ようになるまで練習することが必要です。これをしなくては、いくら質問に行っても補習を受けてきても意味がありません。そこまでワンセットにして勉強に向かえるよう、保護者の方もサポートしてあげてください。

ポイント⑤入塾時の説明のわかりやすさ

入塾の相談に行くとの、塾の担当の先生が説明をしてくれると思います。塾のシステム、カリキュラム、費用、など、学年に応じて説明があると思います。その説明を聞くにあたって、ぜひ疑問点などがあったらメモをしてしっかり聞いてくるようにしましょう。

なかでも、カリキュラムの進め方、テキストの使い方や宿題への対応の仕方はしつこいと思われても聞いていただきたいポイントです。ここに、「塾の姿勢」がはっきり表れるからです。その塾の特徴を、塾の先生がきちんと説明できないのは問題です。

何年生で、どのレベルに到達するのを目標にするのか、どのようなテキストを使い、授業では何を扱って宿題はどのように出すのか、それこそが保護者の方が塾にお子さんを通わせる大きな理由です。それに対して、具体的に答えられない場合には、少なくともその校舎は見送った方がよいでしょう。同じ塾に魅力を感じているのであれば、他の校舎に説明を聞くなどしてみてください。

できれば体験授業を受けてから決めよう

大手塾の多くでは体験授業を受けることができます。塾によってまちまちですが、1週間授業を受けて、宿題も同じように出してもらう形が多いです。体験授業を受けることによって、その塾のカリキュラムについていけそうか、授業がわかりやすいか、宿題はやりきれるか、などをお子さんに体感してもらうためです。

初めて塾にお通いになる場合は、お子さんも舞い上がってしまって、最初に体験授業に行った塾に行く!ということも多いのですが、できれば体験授業は複数の塾で受けてみることをオススメします。また、体験授業を行っている塾はたいてい保護者の見学もOKなことが多いですから、ぜひご一緒に足を運んで、その塾、その校舎の環境や授業の進め方、宿題の出し方は明確か、などを実際にご覧になってみてください。授業がうまい、下手というのは講師によってまちまちなことはありますが、それでも講師が「この子たちを合格させたい」「しっかり勉強させたい」という熱意を持って授業を行っているかどうかを実際に見ることはとても大切です。

そして、体験授業を受けたら、校舎長の先生や、その日授業を担当した先生に、授業への取り組み方や宿題のやり方についてアドバイスをもらうようにしましょう。体験授業を受けてさようなら、という塾であれば、体験授業は形だけです。中学受験を考えている親子は真剣です。それに対して真剣に退治してくれる塾を選びたいものです。

ポイント⑥通いやすさ・治安面

中学受験は長丁場です。中には5年生の終わり、6年生になってから通塾を始める方もいらっしゃいますが、そういう方は少数派です。6年生になると入塾させてくれない塾もあります。それまでに塾で学んできたカリキュラムをそれから詰め込んでも、志望校合格は難しいからです。

そのため、中学受験生は長期間にわたって塾に通うことになります。多くのお子さんが小学校3年生の2月から、遅くとも4年生までには入塾されます。それだけ長い期間通う塾です。また、小学生は朝から午後まで学校に通います。そこに塾がプラスされるわけですから、それだけの時間に耐えうる体力が必要になります。

そこで、塾選びの際に重要なのが「通いやすさ」です。通塾の負担はあなどれません。最初はよくても、学年がにつれて授業の日数が増え、土日も特訓授業などで塾に通う日が増えてきます。そうすると、1週間に塾に通うためにかかる時間はかなりのものになります。

その分だけ、睡眠時間など、生活の中で削らなければならない時間が増えることを念頭においてください。特に女の子の場合には、通塾の負担が体力面に直接影響するケースもあります。受験直前期にカゼをひきやすくなったり、睡眠時間を削って朝ぎりぎりまで寝ていて朝ご飯を食べないなどして、体力が低下してしまうことがあるので注意が必要です。

また、学校から帰ってきてから塾に行くので、あまり遠いと塾の授業開始時間に間に合わないことが出てきます。特に高学年になってくるとそういうケースは増えてきます。塾によっては、授業の最初にその週の小テストを行います。漢字テストや計算テスト、宿題の中からの復習テストなどです。あとでもらってうちでやればいいと思っても、それをする時間はほかの宿題などでつぶれてしまうことが多いでしょう。そのため、基礎が定着せず、成績が下降してしまう生徒さんもいらっしゃいます。

どれくらいの通塾時間であれば負担になりすぎないかは、保護者の方が決めてあげるべきことです。長い受験期間を、大変ではあっても充実したものにするためにも、通塾時間も加味して塾を選んでいただきたいと思います。

また、大手の塾は塾が固まっている、いわゆる「塾銀座」に校舎があることが多いですが、住宅街の多い駅の場合、駅までの道が暗かったり、反対に繁華街だと帰り道に何かに巻き込まれないかと心配のタネになってしまいます。最近は駅まで講師が生徒を送っていく「送り出し」も多くなりましたが、校舎によっては行われていないこともあります。そういった治安面も考慮することをオススメします。

ポイント⑦費用

中学受験には、非常に費用がかかります。塾に通う期間が長いこともありますが、通常授業に加えて長期休暇中の講習会、テスト代、土日の特別授業の費用など、学年が上がるにつれてかなりの高額になります。また、月謝制のところもあれば、学期制をとっているところもあります。学期制の場合、一度に支払う額は相当な高額になります。夏期講習会も期間が長いので、かなりの金額になります。それにオプション授業をつけると、6年生になれば1年間で軽く100万円を超えることも珍しくありません。

中学受験をお考えのご家庭は比較的金銭的に余裕のあることが多いですが、それでも安い金額ではありません。苦手科目を重点的に学習するために家庭教師や個別指導をつけるご家庭もあります。かといって、費用が安いと思って飛びつくと、オプションの嵐、ということもあります。

ある程度高額な金額がかかるのは想定されていると思いますが、「勧められるままに」オプション授業などをすべて取ると、それこそ勉強のサイクルが回らなくなり、基礎がおろそかになってしまいます。大切なのは、「取捨選択」です。

「総復習」だからといって講習会を勧める塾は多いと思いますが、「総復習」の中には、お子さんの得意な分野も不得意な分野も含まれています。ただまんべんなくもう一通りするというのではなく、目的意識を持って一巡するのは大切ですが、貴重な時間を他の受験生に合わせる必要もありません。

さまざまな選択肢がありますから、オプションが強制になっている塾がよいか、それははずしてお子さんが今やるべき勉強をすることを優先できる塾にするべきか、これは学年が上になってから出てくる悩みでもあります。ぜひ、このようなことも念頭に置きつつ、迷ったときは親子でよく話し合い、ときには個別指導や家庭教師をうまくつかったり、第三者に相談できる体制を整えておくと塾の授業も活きてきます。

まとめ

今回は、塾の選び方についてポイントをまとめました。あくまで勉強するのはお子さんですが、どのような環境で勉強するのがわが子にとってよいのか判断できるのは保護者の方です。迷われた場合はいくつかの塾、同じ塾でもいくつかの校舎を回って話を聞いたり体験授業を受けてみるなどして、長い受験期間の伴走者になってくれる塾を見つけていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。