【中学受験】新4年生、進学塾はどう選ぶ?タイミングは?

そろそろ中学受験の準備を始めようか・・・とお考えのご家庭も多いのではないでしょうか。お子さんの中学受験を考える場合、大半の方は小学校3年生の秋から冬にかけて、各塾の無料模試や入塾試験を受けて、中学受験用のカリキュラムが本格的に始まる3年生の2月から新・4年生として塾に通い始め、受験勉強をする、ということになります。

中学受験は3年間に及ぶ長丁場です。その間、お子さんを預けて勉強するのですから、お子さんに合った、またカリキュラムについても納得したうえで塾を選びたいものですよね。そのためには、塾を見学に行き、実際に塾の先生と話をしたうえでわが子に合っているかどうかを見極めることが大切です。

ただし、今年の場合、新型コロナウィルスの影響があるため、いろいろな塾を見学して回ることは難しいでしょう。ましてや、お子さんを連れていくのは心配ですよね。そんな状況の中でも、やはりお子さんが通い、結果を出せるように塾はしっかり選びたいものです。

今回は、新・4年生から通う塾をどのように選んだらよいのか、選び方の視点をご紹介します。お子さんに合っているかどうかが重要ポイントですので、ぜひ参考にしてくださいね。

安全に通える塾であることが大前提

塾で勉強する時間は、小学校が終わった後の夕方から夜にかけてです。多くの塾は夕方5時ごろから9時ごろまでの間で授業時間を設定しています。そのような時間にお子さんを通わせるのですから、まずはお子さんが安全に通える塾を選ぶことが大前提です。

安全に通えるかどうかを判断するポイントには以下のようなものがあります。

  • ・子どもが安全に通える場所に立地しているか
  • ・塾の建物は安全な構造か

長丁場になる中学受験ですから、基本的には同じ塾に通い続けることになりますよね。ですから、家から無理なく通える距離かどうかは大切です。通塾時間の負担は、特に受験学年になると少しでも時間を節約したい受験生にとって大きくなることが多いです。お子さんがひとりで徒歩、自転車、あるいは電車に乗ってもそれほど時間がかからない、乗り換えの手間もあまりかからないような場所にある塾を選ぶことが大切です。通い続けられなければ塾を選ぶ意味がありませんよね。

お住まいの地域の近くにどのような塾があるか、まずはピックアップしてみましょう。そして、家から無理なく通える距離かどうか、通塾のルートに繁華街や危険な場所はないか、といったことをチェックすると良いでしょう。そのようにして、少しずつここなら通い続けられるかな、という塾を絞り込んでいきましょう。そして、まずは保護者の方がその校舎まで行ってみて、塾が入っている建物のつくりをチェックしましょう。最近は地震なども多いですし、なにより多くの時間をお子さんが過ごす場となります。建物の安全性もチェックすることは大切です。

また、塾では意外とトイレが軽視されがちです。でも、ある程度長時間塾に滞在するわけですから、トイレに行く機会も多くなりますよね。あまり汚いと、お子さんがトイレに行けなくてがまんしてしまい、授業に集中できない、というケースも実は少なくないのです。動線やトイレの清潔さについてもチェックすることをおすすめします。

通い続けられる塾を選びたい

安全に通えそうな塾を絞り込むと同時に、その塾が「通い続けられる」塾であるかどうかをチェックしましょう。たとえば、以下の点などは、通い続けられる塾かどうかの要チェックポイントです。

  • 授業時間数はあまり多くない
  • 費用がそれほど高くない
  • 志望校の合格実績

最近は、塾のホームページ上に、授業の進め方や授業時間数、使用教材、場合によっては学年ごとの費用も公開されていることがあります。そういった情報はしっかりチェックしておきましょう。

低学年から進学塾のジュニアクラスにお通いの場合は、そのまま4年生以降も通い続けるというケースもありますが、多くの場合、お子さんは新・4年生からはじめて塾に通う、ということになります。新しい環境に身を置くことになるため、ハードルの高すぎない塾を選ぶというのも塾選びのポイントです。何よりも無理なく、気軽に通えることが大切です。

そのため、最初からギア全開で理解できないような高度な授業をする塾はあまりおすすめできません。もちろん、学習習慣がきちんと確立されていて、どんな授業展開でも大丈夫、という場合は別ですが、そういうお子さんはあまり多くはありません。まずは授業時間数がそれほど長すぎず、中学受験の導入としてお子さんの負担にならないことを考慮しましょう。

また、塾には入塾費用と授業料、季節講習など、費用がかかります。4年生の頃はまだそれほど授業時間も長くないので、それほど月々の費用は高くはありません。しかし、学年が進むにつれて授業時間が長くなり、講習の期間も長くなって授業料は年々上がっていきます。大手塾の場合、6年生になると月額10万円近くにはなりますし、夏期講習費用は数十万になることも少なくありません。

中学受験をお考えの場合、通塾にかかる費用というのは避けて通れない問題なので、無理なく支払いができるかどうかも大切なポイントです。また、費用が高いと、その分元をとらないと、と保護者は考えがちです。そういった潜在意識から、お子さんにスパルタであたってしまうことが少なくないので、無理のない費用感の塾を選ぶことも大切です。

ただし、最初から御三家などの最難関中学校を目指す、という場合は少し話が違います。御三家などの最難関中学校では、塾のクラスは最上位クラス、通常授業や講習に加え、志望校対策の特別授業設けることになります。そういった部分の費用も含めてご家庭に負担のないところを選びましょう。

また、そういった最難関校を受験するなら、志望校の合格実績がしっかり出ている塾を選ぶ、という視点も非常に重要です。もちろん、合格した受験生の頑張りこそが合格実績という形で出ているわけですが、塾の指導も大きく寄与していますし、何より最難関校合格のためのカリキュラムができている、ということに繋がります。志望校別コースはいつから、どのように始まるかといった点も踏まえ、またそういった指導ができる体制がある塾なのかということも選ぶ際のチェックポイントにすることをおすすめします。

さらに、塾選びにおいては、ある程度の規模感があるところかどうか、ということもチェックポイントのひとつです。お住いの地域にある塾なら、小学校の友達と一緒に通うので楽しく通える、というのは嫌がらずに塾に通うために大切なポイントのひとつです。ただし、通うこと自体が楽しくて塾の授業をしっかり聞いてこないのでは本末転倒です。小学校と異なり、塾は「受験勉強をする場」ですから、それを念頭に置いたうえで、ライバルたちと切磋琢磨できる環境かどうか、雰囲気をチェックするのも大切です。

ある程度の規模がある大手塾の場合、受験情報を豊富に持っています。中学受験は、情報戦の側面も持っているので、そういった情報をしっかり伝えてもらえるかどうか、コミュニケーションが取れる塾であるかという点もチェックしたいところです。お子さんと二人三脚で走り切る中学受験だからこそ、有益な情報を入手できるかどうかも大切なので、そういった点でも安心できる、体制の整ったところを選ぶことをおすすめします。

体験授業を受けるのがおすすめ

実際の塾での学習量や雰囲気をつかむためには、体験授業を受けてみることをおすすめします。

いくら保護者の方が足を運んだりして情報を集めても、実際にその塾でどのような授業がおこなわれているのか、1週間でこなさなければならない宿題の量がどれくらい多いのか、それともやり切れる量なのか、また授業のレベルや講師の先生の教え方はどうなのか、何よりもお子さんがついていけそうなのか、ということはわからないですよね。授業に関する情報は、実際に授業を受けてみないと分かりません

多くの塾は、体験授業を受けさせてくれます。サピックスは残念ながらモニターで授業の様子を無音声で見せてもらえるにとどまるのですが、早稲田アカデミー、日能研、四谷大塚、といった大手塾を始め、中堅規模の塾であっても体験授業を実際に受けてみることが可能です。実際に授業を受けてみないと分からないこともたくさんあるので、塾に問い合わせをする場合は、体験授業を受けられるかどうか聞いてみるようにしましょう。場合によっては、保護者も一緒に後ろで授業の様子を見学することもできることがあるので、そういった機会はぜひ活用したいですよね。

季節講習を受けてみるのもおすすめ

授業の内容や宿題量、カリキュラム、レベル感といったものを肌で感じるために、季節講習を受けてみる、というのもひとつの方法です。たとえば、いまからなら3年生の冬期講習を受けてみるという方法があります。

体験授業を受けられない塾の場合、実際の授業がどのように進められているのかを知ることができませんよね。そこで、季節講習に申し込み、実際に授業を受けてみることによって実際の塾の授業を体験すれば、お子さんから受けてみてどうだったか、という生きた情報が得られます。

また、通常授業の場合、当日にならないとテキストをもらえない塾もあります。どういうテキストで授業を受け、どのように復習するのか、ということは受験勉強を始めるうえでとても大切なことですよね。ですから、講習費用はかかりますが、講習会を受講して実体験することも塾について良く知るために有効な方法です。

講習会の場合、新・4年生であれば、それほど期間も長くありませんので、スムーズに受験カリキュラムに移っていけるでしょう。また、いくつかの塾で迷っている場合、体験授業を受ける塾、講習を受けてみる塾、といったように使い分けて、それぞれの塾の授業の進め方や雰囲気をつかむことをおすすめします。学習内容をしっかり把握し、授業を受けてお子さんがどう感じるか、そういう第一印象も考慮したうえで塾選びをすると失敗しにくい塾選びができます。

入塾試験は意識しすぎないで

大手塾の場合、入塾試験を実施することがほとんどです。いわゆる入塾試験を随時おこなうほか、オープンテストといった形で、3年生の秋に公開テストをおこない、その成績によってどのくらいのクラスに入れるか教えてもらえるという場合もあります。

ときどき、入塾試験対策は何をしたらよいのですか、というご相談を受けることがあります。そうしたご質問をされる場合は、入塾試験でいい成績をとってできるだけ上位クラスにお子さんを入れたい、ということがほとんどです。そのため、事前に入塾試験対策をしたり、何度か入塾試験を受けて一番いい成績が取れたら入塾する、というご家庭もあるのです。

ですが、入塾試験は基本的に、それまでの小学校の授業をしっかり理解しているか、漢字や読解、計算の基本がしっかり身についているか、ということを中心に見ます。高度な問題解法テクニックなどは要求されていません。

たしかに、どのクラスで授業を受けるか、ということは大切です。上位クラスであればより高度な授業を受けることができるので、できるだけ上位クラスからはじめたい、というお気持ちも分かります。しかし、最初に上位クラスに入れたとしても、その後の成績の推移によってクラスは変わるものです。

なかにはこの塾だと上位クラスに入れないからほかの塾に変わるというご家庭もあるのですが、どこの塾に行ってもその状況は変わりません。1学年に1クラスしかない塾であれば、クラスの昇降がないのでいいかもしれませんが、切磋琢磨していくためには入塾後の頑張りがものを言うので、入塾時のクラスにはあまりこだわりすぎない方が賢明です。

入塾後は、塾によって毎月のようにマンスリーテストでクラス昇降をおこなうサピックスのような塾もあれば、組み分けテストなどで3ヶ月に1回程度の頻度でクラスが変動する四谷大塚や早稲田アカデミーのような塾もあります。定期的にクラス分けのテストがあるので、少しずつ上がっていくことを目指す方が建設的です。

また、塾によって入塾試験の実施方法は異なります。入塾希望者だけを集めて試験をする場合もあれば、公開テストの場合はすでに通っている生徒さんと一緒に受けることになります。そうすると難易度に差があるのではないか、どちらのテストを受けるべきか、ということが気になるということもあるかもしれません。しかし、テストではお子さんの実力以上の結果は出ないということを肝に銘じておきましょう。そのことを念頭に置いておけば、どちらのテストを受けるかどうかにかかわらず、実力に応じたクラス分け結果、入塾の可否の結果に影響することはないと分かります。

塾によっては、入塾試験の結果によって入塾を断られるということがありますが。新・4年生の場合はまずそういったことはありません。入塾できるかどうかは、希望者がどれくらいたくさんいるかどうか、タイミングによることもあります。校舎で受け入れられる人数のキャパシティには限度があるので、タイミングによっては入塾を断られることもあり得る、という程度に考えておきましょう。

きちんと相談できる体制があるかチェックしよう

塾は選んで通い始めれば終わり、ではありません。3年間にわたって通い、志望校を受験するわけですから、その間、受験勉強自体山あり谷ありです。成績が下がった、宿題がやり切れない、学習計画が立てられない、など悩むタイミングは定期的にやってくると言っても過言ではありません。

そういったときに、ご家庭の中だけで解決しようとすると、煮詰まってしまい、お子さんに「なんでできないの!」といった叱り方をしてお子さんのモチベーションが下がってしまう、ということが少なくありません。そういった場合は、ご家庭の中でお子さんに合わせてどうしたらよいか考えることに加えて、第三者の客観的な目で見てもらい、状況を把握してもらってアドバイスしてもらうということが大切です。

そんなときにやはり頼りにしたいのは、塾の先生や校長先生ですよね。塾は随時面談を受け付けているので、そういった場をぜひ利用しましょう。逆に言えば、問い合わせは受け付けない、というスタンスの塾には通わせるべきではありません。お子さんのようすを把握せずに丸投げなどできませんよね。受験勉強をしているときに悩みごとが出てきたら、ぜひ塾に相談しましょう。

そのためにも、随時相談にのってもらえる塾を選ぶことがとても大切です。お子さんの日々のようすをきちんと見てくれている塾こそが、お子さんに合った塾だと言えるでしょう。塾は、お子さんの伴走者です。そのような存在になってくれて、分からないことや疑問に答えてくれたり、客観的なアドバイスをしてくれる、信頼できる先生がいる塾を選ぶようにしましょう。

信頼できる相談相手として塾を活用できるかどうかは、入塾前に相談に行き、実際に面談をして、信頼できるかどうかチェックしておきましょう。たとえば、1週間の学習サイクルについて、自宅での学習で気をつけるべきことをはじめ、意識している中学校についての情報をしっかり答えられるか、ということは相談相手として大切なことです。こういった質問をしてみて、真摯に答えてくれる塾こそが、お子さんを安心して預けられる塾だと言えます。

転塾するタイミングって?

さんざん悩んで塾を選んだとしても、お子さんの学習ペースが守られない、成績が上がらない、質問に答えてくれない、お子さんが通いたがらない、などさまざまな理由で転塾を考えるというご家庭は少なくありません。

最終的にはこのまま同じ塾で頑張っていこう、というケースが多いのですが、中にはすぐにでも塾を変えないと、という深刻な状態になってしまう緊急性の高い場合も残念ながらあります。たとえば、塾でいじめを受けている、先生がパワハラ的、などといったケースが実際にありましたが、そういう場合、安心して通い続けるだけでなく、しっかり受験勉強をすることすら難しくなってしまいますよね。その場合は、ほかの塾に事情を話し、フォロー体制があるかどうかを確認して転塾することをおすすめします。

また、受験勉強をしている中で、どうしてもわからないことがあり、質問をお願いしても対応してもらえなかったり、逆に塾で勉強する内容にものたりなさを感じる、という方もいらっしゃいます。そういったことが起こりがちなのは、5年生の半ば、というケースが多いです。

このような場合は、受験に必要な各単元を一通り終える5年生の終わり、6年生のカリキュラムに入る前が転塾のひとつのタイミングです。お子さんが充実して受験勉強できるための転塾なので、お子さんのレベルに合わせた塾探しをおこない、何度か面談したうえで転塾するということもひとつの方法です。その際には、転塾によるカリキュラムの違いがあった場合、フォローがあるかどうかについてきちんと説明してもらうようにしましょう。また、塾の授業自体に不満がないけれども物足りない、質問できない、といった場合は、個別指導を併用してそれまでの塾に通い続けるというのもひとつの方法です。

ぜひ、お子さんに合った、お子さんが安心して受験勉強を進めることができる塾を、ご家庭一丸となってチェックして、受験勉強の環境を整えていきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。