【中学受験】個別指導塾を活用するメリット

受験生の皆さんは、集団塾に通いながら受験のためのカリキュラムにのっとって学習を進めておられることと思います。これまで学習してきた内容はしっかり理解できているでしょうか。また、実際に問題を解くときに使いこなせるまでに知識の理解は進んでいるでしょうか。

集団塾の場合、受験のためのカリキュラムにのっとって学習を進められるというメリットがありますが、生徒の理解度にかかわらず毎回のカリキュラムを進めていかなければならないため、どうしても一方通行の授業になってしまいがちです。一方通行の授業であっても内容を理解できていれば良いですが、多くの受験生が消化不良に陥ってしまいます。

授業は基本事項の解説よりも問題演習をできるだけたくさんおこなうことに主眼が置かれますが、解けているか解けていないかにかかわらず解説がされ、実際には解けていないのにできた気になって、いざ似たような問題を解こうとしても解法が思い浮かばないというケースは少なくありません。

そのような状況を打破するひとつの方法が個別主導塾を活動することです。集団塾の補習ではなく、「できないところ」を「できるようにする」、弱点克服のために活用するのです。

これからの時期は、自分の弱点克服を中心とした、自分のための学習をすることが大切です。ですが、集団塾の大量の問題演習だけでは弱点の克服をするどころか、弱点が増えてしまうことにもなりかねません。早いうちに弱点を克服し、秋からはじまる志望校対策を効率よくおこなうためには、個別指導塾の併用を考えてみても良いでしょう。

今回は、個別指導塾を活用するメリットについてご紹介します。集団塾との違いや、活用するとどういう面で有利になるのかお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

個別指導塾を活用するメリット

まず、個別指導塾を活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。集団塾と個別指導塾を併用して学習する場合のメリットを考えてみましょう。弱点克服のために活用できることはもちろんですが、「自分だけの授業をしてくれる」という安心感も得られるという、精神的な支えになってくれることも見逃せません。

メリット①自分に合わせたカリキュラムで勉強できる

個別指導塾の最大のメリットは、自分だけのカリキュラムを組んで学習できることです。集団塾では、理解度にかかわらず、受験に必要なカリキュラムを順々に進めていきます。しかし、個別指導塾の場合は、どこが弱点になっているのかを洗い出し、それに合わせて教科ごとに克服するためのカリキュラムを組み、「自分だけの学習」をおこないます。

そのため、わからないところはわからない、とはっきり伝えて克服するために何が必要なのかを自分で意識することができますし、理解できるまで何度でも繰り返し弱点克服をおこなうことができます。

個別指導塾は、生徒一人ひとりに合わせた指導をおこなうので、お仕着せのカリキュラムやテキストがあるわけではありません。生徒一人ひとりの状態に合わせた個別のカリキュラムを組み、最適なテキストを使って指導することが可能なところが大きなメリットです。

たとえば、算数が苦手で何とかしたい、という場合であっても、算数のどの単元が苦手なのか、どういうタイプの問題が苦手なのか、あるいはそもそもの解法や公式が抜けてしまっているのか、といったことを丁寧にヒアリングしてくれるので、算数がにがてでなんとかしたい、という漠然とした要望であってもそれを細かく自分のためのカリキュラムに落とし込んでくれるのです。

もちろん、具体的に「ここをできるようにしたい」という希望を伝えて、そこを克服できるようにカリキュラムを組んでもらうことも可能です。ポイントを絞っていけば、それに効率的に応えてもらえるので、弱点がはっきりしている場合にはそういう形でも良いでしょう。

個別指導塾には、「ここが苦手」といった場合に、何ができていないのかをチェックしてくれるノウハウがあるので、まずは一度苦手教科の実力チェックをしてもらい、どういう点に問題があるのか、それを克服するための方策はどうすればいいのか、ということを相談してみることをおすすめします。自分ができていないところを整理できるので、弱点克服も効率的にできます。

メリット②理解できるまでとことん教えてもらえる

集団塾の場合、たとえその単元が理解できていなくても次の週には別のことをおそわることになり、時間がたてばたつほど理解できていない部分が増えてしまいがちです。それが膨らんでしまうと、問題を解くどころか何がどうわかっていないのかという本質的な部分に課題を残したまま、ただ問題を解いては不正解となる状態が続くことになってしまいます。

一方、個別指導塾の場合、もちろん自分自身に合わせた個別のカリキュラムを組んでくれますが、柔軟に対応してくれるのがメリットです。そして、弱点となっているところを理解できるまでとことん教えてもらえるということが、集団塾と大きく違うところだと言えるでしょう。

本来であれば、ある単元を学習する場合、わかる→できるようになるまで徹底して基礎事項を理解し、問題演習を通してどのように理解した知識を使いこなすか、というところまでできていないと、その単元の問題が出題されても対応することが出来ません。その点、どこが分かっていないのかを見極めたうえで、わかるまでしつこく教えてもらえる個別指導塾では、できていなかったところができるようになるまで教えてもらえ、最終的には自力で問題が解けるようになるまで見てもらえます。

弱点となっているところは適切な時間をかけ、繰り返してできるようになるまでとことん学習することが必要です。集団塾のカリキュラムではそれは望むべくもありません。やるべきことは弱点克服ですが、単にもう一度授業を聞いて補習授業を受ければできるようになるわけではありません。何が、どのようにできていないのか、どういうレベルに達したいのか、という生徒ごとの設定ラインに達するまで勉強しないと弱点克服はなかなかできないことを意識しておきましょう。

個別指導塾では、分からないところはとことん説明し、理解できているか確認しながら進めてもらえますし、ときには例題や基本問題に戻って理解度をチェックしつつ、段階的に進めていくことができます。集団塾では「自分でやっておくように」とおろそかになりがちな例題や基本問題こそ理解度をチェックするには最適な教材です。そして、必要な場合は前の単元や関連単元に戻り、そこでも理解しきれていないところを洗い出して対策することもできるので、分からない状態で先へ先へ進むということがなく、土台をしっかり作ることができるというメリットがあります。

メリット③達成感を感じられて前向きになれる

個別指導塾では、理解できていないところをとことん指導してくれますし、適切な時間を空けてもう一度理解できているか確認したり、ほかの単元との関連性も意識した指導をしてもらえます。できないところができるようになるのが目標なので、ひとつ、またひとつと弱点を克服し、問題が解けるようになると、解ける実感が得られるので達成感が感じられます。そうすると、これもできるかな?もっとできるようになりたい、という前向きな気持ちを持って勉強を進めることができるのです。

できなかったことができるようになるって、教えてもらったなら当然でしょう、とお考えになるかもしれませんが、それは違います。教えてもらうところから入ったとしても、最終的に自力で問題が解けるようになり、知識も定着すれば、解ける問題が飛躍的に増えます。第一、教えてもらって簡単にできるようになるなら、集団塾の一方的授業で十分なはずですよね。でも、それでは弱点がたくさん出てきてしまうからこそ、わかる、できるまでとことん指導してもらうことが重要なのです。

また、受験生にとって最も大切なのは、達成感を持つことができるかどうかです。わからなかったところができるようになるということは、ひとつ自分で山を越えたのと同じです。わからなかったところができるようになると感じると、それは快感につながります。そうすると、もっとやりたい、という積極的な気持ちになれます。そういう感覚こそが、受験までの厳しい道のりの中でモチベーションを保ちながら学習する原動力になるのです。

そして、その「わかった」「できた」瞬間を一緒に経験してもらえ、「ここまでできるようになったね」と共感してもらえるのも個別指導ならではのメリットです。できないときの不安感も理解してくれていますから、とことんつきあって、できない不安を解消する役割も果たしてくれるのが個別指導塾のメリットだと言えるでしょう。

まずは弱点の洗い出しを

個別指導を考えるのは、弱点がたくさんあってテストなどで点数が取れない、同じような問題で間違えている、といった状態が続いているから、ということが多いです。ただ個別指導塾に丸投げしては、主体的な勉強はできません。個別指導塾を検討する際には、できるだけお子さんの弱点を洗い出しておくことをおすすめします。

弱点となっているかどうかの見極めは難しい

単に1回の模試の結果を見ただけでは、お子さんの弱点となっているところを見極めるのは難しいです。解法はわかっていたけれど解ききれなかった、解法すら浮かばなかった、計算でミスをした、知識があやふやだったなど、ある1問を間違えた場合の理由はさまざまです。

間違えたところが弱点となっているかどうかは、もう一度解き直してできるかどうかによってもチェックできますが、公式や解法を確認してみて、お子さんが説明できるかどうかも大きな判断材料になります。また、模試のときに返却される正答率表がありますが、それをみて正答率何%の問題で間違えたかどうかも把握しておきましょう。

模試は、そのときどきで問題の難易度も異なりますし、相対評価で成績、偏差値が出ます。また、これまで学んだ内容全てから出題されるので、お子さんが全体的にどの教科が弱いのか、というところはパッと見てわかったとしても、実際に細かく、どこができているのか、まぐれでできただけなのか、といった状況まで見極めるのは案外難しいものです。

本当にわかっていないのか、それともその1問だけミスしてしまったのかというところをしっかり確認しながら、弱点となっているところを洗い出すと良いでしょう。個別指導塾の面談で分析してもらうのもおすすめの方法です。

どこまでできるようになりたいか決める

弱点を洗い出して把握して丸投げ、では意味がありません。お子さんの志望校などによって、その単元のどこまでできるようになる必要があるのか、という目標を立てることがとても大切です。

どんな単元でも、いくらでも難問は作れます。ですが、必ずしも難問ばかり出題する中学校ばかりではありません。基本的な問題プラスアルファの問題を数多く出題する中学校もあります。目指す中学校によって、どの単元を、どこまで深く学習する必要があるのか見極めながら、「ここまではできるようになりたい」という目標を立て、個別指導塾と共有して一つひとつつぶしていく必要があります。

の「弱点」が、お子さんにとってどこまで克服しなければならないものなのか、ということも視野に入れて弱点を把握し、克服していくという気持ちで進めていくことが大切です。

個別指導塾を活用して弱点を克服しよう

弱点を洗い出したら、個別指導塾を活用して、実際に弱点の克服にチャレンジしていくことになりますが、個別指導塾でも消極的な授業の受け方では伸びません。大切なのは、準備し、効果的な指導を受けることです。そのために必要なことがいくつかあります。

どのレベルの問題が解けないのか把握してもらう

これまで受けてきた模試やテストの結果から、本当にその単元が弱点なのか、弱点だったとして解ける問題、解けない問題はどういうものなのかを把握してもらいましょう。

今年は新型コロナウィルスの関係で模試も例年通りの運用とは限りません。その場合は、たとえば四谷大塚の週例テスト問題集の中から、合不合判定テストの過去問を使い、個別指導の先生の前で解かせてみることが有用です。

弱点を克服するためには、どういう問題を間違えたのか、をしっかり押さえておくことが大切です。そのためにも、「このレベルは解けておかなくては」という指標を示してもらい、それを目指して弱点克服することが大切です。誰も解けないような超難問を解ける必要はありません。正答率50%、つまり平均的な問題が解けるかどうかがひとつの指標となるでしょう。

目指すレベルがから逆算して弱点克服を

どのような問題ができていないのかがわかったら、まずは教科ごとのバランスを見てみましょう。早急に対処すべきなのは、ほかの教科に比べて正答率が低い教科です。4教科すべて平均して偏差値が50以下の場合は、どれも弱点克服をしなければなりませんが、なかでも特に勉強をどう進めたら良いかわからない、という教科をピックアップし、優先順位をつけましょう。

弱点となっている教科が分かったら、今度は単元ごとの弱点の抽出を個別指導の先生と一緒におこなうことが有効です。正答率が高い問題で間違えている場合、単なるミスで解き直したらすらすらできるのか、あるいは本当にわかっていないあのか、ということを単元ごとに洗い出すのです。

ピンポイントで弱点克服

ある単元の基本は押さえられているけれど、同じような問題でいつも間違えてしまう、といったことがあるなら、ピンポイントでその種の問題に取り組む必要も出てくるでしょう。それを克服するためには、どの知識を、どこで使いこなすか、ということが分からなければいけません。

弱点となっている単元のレベルに合わせて、まったく理解できていない自覚がある場合は、対話をしながらまずは基礎基本を確認し、例題レベルからの補強が必要になります。その際に、「これも、あれも」と一度に依頼するのでは、お子さんも混乱してしまうので、かえって弱点克服ができません。欲張るのではなく、弱点となっていて克服しなければならないところ一つひとつに、できるようになるまで時間をかけるつもりで勉強することが大切です。

また、使うテキストは塾で使っているテキストである必要はありません。弱点を克服するためにはある程度の問題量をこなす必要がありますが、初見の問題を解けるようになるまでにするには、ほかの塾のテキストや基礎基本を集めたテキストなど、必要に応じて適宜問題を投入してもらってできるまでやりきることが大切です。基礎基本というと簡単そうに思われるかもしれませんが、どの問題を解くにも必ず通らなければいけない関門ですし、そういった問題ができてこそステップアップしていくことが出来るので、ばかにしてはいけません。

ここが弱点になっている、とわかった場合は、そこをまずはピンポイントで克服し、次に進む、という段階を踏むことがとても大切です。

良い個別指導塾はどう選ぶ?

弱点を克服するなら、お子さんに合った先生に指導してもらいたいですよね。そして、お子さんのようすをしっかり観察してもらい、弱点となっているところを第三者の大人の目から見てもらうことはとても大切です

具体的な提案があるか

良い個別指導塾を選ぶには、まず、これまでに受けた模試の結果を持って最初の面談に臨むと良いでしょう。その結果を見て、塾側が具体的にどのような指導をしてくれるのかを質問し、それに対してどのような対策を講じてくれるのか、しっかりコミュニケーションが取れる塾であることがとても大切です。

その際には、一般論として「この単元は苦手なお子さんが多いんですよね・・・」といったことを繰り返す塾では不安ですよね。「〇〇の単元をまず伸ばす必要があります。△の部分が理解できていない、つまずいている可能性があるからです。」といった指摘や、弱点を克服するためには「これこれこういうテキストや問題を使って、〇〇をやっていき、まずはこのレベルまでもっていきましょう」といった具体的な提案があるかどうかが、良い個別指導塾を選ぶうえで重要な視点です。

生徒が問題を解くところをしっかり見てくれるか

塾での勉強だと、生徒が問題を解いて、先生が解説授業をする、というのが一般的ですが、授業時間の中に問題を解く時間を解くのはもったいない、解説だけしてほしい、と考えるご家庭も少なくありません。

ですが、個別指導塾の場合、解いている様子をしっかり観察してもらうことが効果的な指導には欠かせません。どこでつまずいているのか、計算は速いか、問題文の読み方はていねいか、といったお子さんのようすをしっかり把握してもらうことこそ効果的な指導に繋がります。単に解説する力が優れている先生だから、というのでは足りません。お子さんの状況をきちんと把握したうえで、お子さんの弱点をどの段階から補強していけばよいのか、ということをきちんと説明してくれる先生に指導をお願いするのが良いでしょう。

面談は、教務担当者が担当することが多いですが、場合によっては実際にお子さんを指導している先生にも入ってもらって、現状はどうか、何が必要か、それをどのように進めていくか、といったことについて意見交換し、方針をしっかり伝えてもらうことが大切です。

個別指導塾は、うまく活用できれば実力を飛躍的に上げることができます。そのためには、事前の準備と、実際の指導方針についてしっかり話し合いながら進めていくことが何より肝心です。お子さんが「自分のための勉強」に集中できるよう、しっかり環境を整えてあげてくださいね。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。