【中学受験】桜蔭中学校の入試の傾向と対策①算数

8月半ばになり、受験生の皆さんは、1学期までの学習単元の復習と夏期講習、小学校の補習などで忙しくしていることでしょう。この時期になると、本格的に志望校を意識し、学校別対策をそろそろ始める段階になってきます。

今年は新型コロナウィルスの関係もあり、学校説明会なども例年と異なる様相ですが、志望校、併願校などについて意識して「あの学校に入りたい」というモチベーションを持って学習できるかどうかが、長丁場の受験勉強を乗り切るカギとなります。

そのためには、志望校がどのような受験生を求めているのか、中学校に入ってからの学びも見据えてどのような入試問題を出題するのかを分析することが欠かせません。まずは、学年にかかわらず、どういう中学校がどのような入試問題を作る傾向にあるのかをしっかり理解することが大切です。

東京の私立中学校には「男女御三家」が存在します。男子は開成、麻布、武蔵、女子は桜蔭、女子学院、雙葉です。いずれも特徴がある難関校として、秋以降の学校別対策講座が各塾で実施される学校です。なぜ学校別対策講座が設置されているかというと、対策をしなければ合格が難しい中学校だからです。偏差値もトップ、大学入試実績も高い御三家は、あこがれの学校として注目を常に浴びています。

今回は、女子御三家の中でも最高峰の難度を誇る、桜蔭中学校の算数について、入試の出題傾向と対策について解説します。どのような傾向なのかを知ることで、秋以降にやるべきことが見えてきます。また、来年以降受験学年になる方も、ぜひ参考にして勉強に役立ててくださいね。

桜蔭中学校の難しさ

女子御三家はそれぞれタイプの異なる入試問題を出題することが知られています。桜蔭中学校は、大前提として特に東京大学などの難関大学への進学を強く意識していると言えるでしょう。東京大学・国公立大学医学部への進学者が多く、東大・医学部進学予備校といっても過言ではない位置づけです。

各教科特徴がありますが、桜蔭中学校の入試問題は、高校卒業のその後を見据えた出題をおこなっています。たとえば、中学受験の答案用紙ひとつとっても、入学後の定期テストの解答用紙と非常によく似ている構成で、中学入試時点で、入学後に始まる高度な教育についてこられるかどうかを見ていると言っても良いでしょう。

では、桜蔭中学校の算数について、出題形式や頻出単元など、特徴的な点を見ていきましょう。

記述力と思考力を重視した出題が目立つ

桜蔭中学校の位置づけからも分かるように、難関国立大学を目指せるだけの能力を持った受験生が多く集まってくるのが入試の特徴です。学校側も中学入学後に展開される高度な教育についてこられるよう、各教科の出題を考えています。国公立難関校の入試は、高度な記述力と思考力が求められます。ですから、桜蔭中学校の算数でも同様に、記述力と思考力は切っても切れない関係にあります。

算数に関しては、女子校の多くは大問が10問くらいあるケースも少なくありません。そういう中学校は、どちらかというと打てば響く、事務処理能力や整理する力を重視していると言えるでしょう。しかし、桜蔭中学校は違います。例年出題される大問は4~6程度で、2020年度入試では大問4問の出題でした。

大問の数が少ないということは、1問あたりの難易度が高いということが言えるでしょう。制限時間は50分ですが、受験生の中には最後まで解ききれなかった、という方も多いです。特に後半にかけては、1問1問が非常に重たい、解きにくい構成になっているのも特徴です。

また、答案用紙も特徴的です。過去問題集の解答用紙を見ればお判りになることでしょうが、とにかく「枠の中に途中式を書く」ことを意識する必要があります。入学後の定期テストでも答案用紙の構成は非常によく似ていて、途中式や理由をとにかく書かせる問題が出題されるので、桜蔭中学校に入学する際にも、また入学してから記述力・思考力が重視されていると言えるでしょう。

このように重ための精鋭ともいえる問題が出題される桜蔭中学校の算数では、一つひとつの式を立てるにおいてもしっかり考え、順を追って立式を続けて最期には計算力で正解にたどり着くことを意識することがとても大切です。

算数の頻出単元

桜蔭中学校がほかの女子校と異なる点として、図形問題の出題数が多いという点が挙げられます。女子は特に図形問題を苦手とすることが多く、桜蔭中学校を狙うなら図形問題に対するしっかりした対策が必要となってきます。特に立体図形の切断問題や、図形の回転問題などは難解なことも多く、またひっかけ問題も出題されるので、図形が苦手だという受験生は速めに対策しておくことが必要です。

また、場合の数や条件整理などは、単に公式を覚えて計算すれば答えが出せるという単純なものは出題されません。これは、男子御三家や筑波大学附属駒場中学校でも共通するのですが、「数え上げ」「試行錯誤」を現場でしない限り解けないという問題が出題されます。現場能力と、一つひとつを面倒くさがらずに丁寧に調べ上げる手間を惜しまないという姿勢が求められているのです。パッと答えが出るような問題は出題されないので、スペースを最大限に使って丁寧に調べ上げるクセをつけておきましょう。

前半の問題(大問2まで)では、多彩な分野から、比較的短めの文章題をいくつか出題してきます。こういった問題でよく出題されるのは、場合の数、確率、つるかめ算などです。この前半部分の問題をとにかくスピーディーに、また正確に解いていくことができないと、後半に待ち受ける図形問題や書き出し問題といった、どうしても解くのに時間がかかってしまう、さらには配点が高い問題に手を付けることすらできなくなる可能性があります。このため、思考力のみならず、どのような単元が出題されてもひるまないよう、各単元の問題に慣れておくこと、スピーディーかつ正確な計算力が求められるのも桜蔭中学校の特徴と言えるでしょう。

特徴的な出題傾向

桜蔭中学校は、大問の数は少なめですが1問1問をスピーディーに正確に解いていかなければならないなど、出題問題構成に特徴があります。そういった全体的な特徴に加え、出題される問題一つひとつにもまた特徴があります。それは、「とにかく計算が難解」だということです。

受験勉強をする際には、皆さん計算問題の練習はされているでしょう。ただし、塾の計算問題のテキストでは、解答がキレイな整数になることがおおいですよね。そのため、なんとなく「あまりにも数字が汚くなったら不正解」という刷り込みがあるのではないでしょうか。たとえば、桁数が多い分数になるなど、解答が複雑で自信が持てないような数字になる、といったことです。

しかし、桜蔭中学校の場合は、塾のテキストにある、解答がキレイな数字になる計算とは対極にある計算を出題してきます。これが桜蔭中学校攻略のために大きなカギになります。基本的に正解の数字は汚いものになることが多く、もしかしたら計算ミスをしているのでは・・・といった不安をすべての問題に対して抱きながら解くことになるのですが、それに驚いていては、いくら時間があっても足りません。

最初に計算問題がいくつか出題されますが、最初の1問目から数字が汚い計算結果になることも少なくありません。そのため、桜蔭中学校の計算問題をすばやく、正確に処理していくためには、一つひとつの計算結果に常に自信を持っていられる程度に、非常に高度な計算力が必要になってきます。

このように、桜蔭中学校の算数に関しては、素早く正確な計算力、それに加えて体系的に問題を処理する思考力も求められることになります。そういったことから、数ある女子校の中でも随一と言える、非常に難解な出題傾向だと言えるでしょう。

攻略のためのトレーニング

桜蔭中学校の算数の問題の難易度は高く、計算も一筋縄ではいかないことが分かりました。では、このような難解な算数の問題に対処するためには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。

最初から応用問題は解けなくて良い

応用的な問題については、何も対策をしない段階で過去問に触れても、おそらく半分も解くことができないでしょう。過去問演習を始めたタイミングでは、このような状態に陥る生徒さんが多いですが、全く焦る必要はありません。それよりも恐れるべきなのは、応用問題が解けない、という現実を受け止めた結果、とにかく応用問題をやみくもに解きまくる、といった勉強方法に走ってしまうことです。

桜蔭中学校以外の学校にも言えることですが、基礎ができていない段階で応用問題を解くことは不可能といっても過言ではありません。ましてや、桜蔭中学校のように、応用問題の難解さに加えて素早い処理能力も求められるような中学校の対策をするためには、大前提として基礎基本を固めることが絶対条件だと言えるでしょう。

桜蔭中学校攻略に必要な基礎固め

基礎固めをするための対策としては、大きく分けて2点が挙げられます。まずひとつは、「正確な計算力の養成」です。扱う数字の桁が増えた時に計算ミスが頻発していないか、小数点や分数の計算は苦手としていないかなどをチェックしましょう。そんなの当たり前でしょう、と思われるかもしれませんが、算数は最終的に計算に持ち込んで解答する教科です。特に数字が汚くなりがちで複雑な計算が出題される桜蔭中学校の算数対策としては、そういった点を強く意識して計算トレーニングをしていく必要があります。

もう一つの対策としては、「途中式を一つひとつしっかりと書く」ということです。これも受験勉強をしている立場からすれば当たり前のことですよね。途中式を書くということは、いわば解法を整理して、問題を解きやすくするための手段だと言えます。立式ができないと計算にも持ち込めないですよね。

桜蔭中学校では、答案用紙を見ればわかることですが、途中式を書く欄が大きくとられています。つまり、そもそも途中式をしっかりと書くということが大きな得点ソースになるということです。解答の数字のみを解答欄に書く問題では、最後の最後に計算ミスをして丸々1問落としてしまった・・・ということも多々ありますが、桜蔭中学校はそもそもの問題が難解なだけに、途中式がしっかりと書けていることを要求します。つまり、問題の解き方、解法がしっかり理解できていると途中式の書き方からわかる場合は、途中式をしっかり書くことによって部分点がもらえるのです。

途中式を一つひとつしっかり書くということは、普段の勉強の際から意識していなければ、いきなり本番で実践することは難しいです。そのため、過去問に限らず、どんな問題演習をおこなう場合においても「正確な解法を順を追って整理していく」という作業を徹底的に意識するようにしましょう。

基礎固めが完璧になったと思ったら、あとはしっかり過去問を解いて、学校が好む出題傾向をつかんでいきましょう。特に、後半の重たい問題は、計算も複雑であるだけでなく、その単元における複数の知識と公式を活用しなければならない難解な問題です。特にこの部分にあたる問題は数多く演習を積まなければなりません。後半に重たい問題が集中していますが、前半の計算ですでにパンチを受けている状態でそういった問題に対峙することになるわけです。集中力が切れてくる後半に複雑な計算や根気強さが試される問題を出してくるので、面倒くさがらずに演習を積み重ねていくことが合格への近道です。

桜蔭中学校が入試で求める力とは

答案用紙ひとつとってもそうですが、桜蔭中学校では、入学後に高度な授業が展開され、また、入学者のレベルも高いので、もまれていかなければなりません。桜蔭中学校は東京大学や国立医学部などの難関大学への進学を目指す生徒がそもそも多く、学校側もそれにこたえるだけの場を提供しますが、それに耐えうるだけの受験生を求めていると言えます。中学入試の問題にも、そういった学校の方針が強く現れています。

入試を受けて終わりではなく、入学後の定期試験においても常に同じような記述力・思考力が求められますし、そのレベルもどんどん上がっていきます。数学の定期テストではもちろん、日ごろの授業中でも途中式を細かくチェックして減点していくなどは日常茶飯事です。

つまり、情報処理能力とともに体系的な思考能力をバランスよく求めてくる、それが桜蔭中学校の入試問題が要求するレベルだと言えるでしょう。

ですが、入試の時点で敬遠する必要はありません。傾向をつかみ、学校側が求める力が分かれば、あとはそれを身につけるようトレーニングを積み、攻略していくのみです。これから始まる過去問演習では、かなりハイレベルな内容になりますが、しっかり時間をかけて丁寧に解き、求められている力の両輪のレベルを上げていきましょう。

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