【中学受験】志望校に合格するために必要な、学校とのかかわり方

中学受験を目指す受験生は、毎日小学校に通い、さらに塾に通って受験勉強にとりくんでいますよね。皆さんのご家庭では、中学受験をするにあたり、小学校や塾とのかかわり方についてどのような考えをお持ちでしょうか。

中学受験では、小学校で学習しない内容が出題されることもありますから、多くのお子さんは小学校4年生に上がる頃から進学塾に通い、中学受験に必要な内容を、時間をかけて勉強しているのが普通だと思います。

親御さんも、勉強の進度は塾の方が速いので、どうしても塾とのかかわり方のみに目が行ってしまうことが多いのではないでしょうか。

ですが、最近の中学入試問題では、小学校で誰もが学ぶ、教科書にのっていることを正確に理解しているかどうかを問う問題の出題が増えています。小手先の問題を数多くとけるかどうか、よりもその年齢に応じた基本的知識をきちんと身につけているか、ただ覚えているだけではなくて本質を理解しているか、そういった力を試したい、そのような中学校側の意図も見え隠れします。

どうしても塾での勉強に偏りがちな中学受験。小学校で習う内容なんて大したことないでしょう?小学校は通ってさえいればいい、そう思っていませんか?実は小学校とのかかわり方の姿勢は、中学受験に大きく影響してきます。今回は、志望校に合格するために忘れてはいけない、小学校とのかかわり方について書いていきます。

小学校での生活は、中学受験に関係ない?

中学受験を目指す受験生は、塾のカリキュラムにそって、日々多くのことを勉強しています。量的にも質的にも、かなり高いレベルにあることはたしかです。

それに対して小学校での勉強に対してはどのような考えを持っていらっしゃるでしょうか。塾では進度も早く、小学校6年生になる頃には小学校で学習する内容をすべて終えている、ということも少なくありません。前倒しで小学校で習わないような内容まで勉強しているから、小学校の勉強は、塾でしっかり勉強していればあまり受験に関係ない・・・そのように考えるご家庭は非常に多いです。

塾ですでに習っている内容を、あとから追いかけるように小学校で勉強していてもあまり意味がないのではないか、その時間はムダだ、塾の先生の授業の方が面白い、小学校の授業はつまらない・・・もしかするとお子さんもそのように思ってしまっているかもしれません。

ですが、小学校で勉強する内容は、中学受験の勉強の根本とも言えるものです。教科書に載っていることは塾のテキストに全部載っている、そう思われている方も多いかもしれませんが、実は教科書に載っている内容をしっかり理解しておかないと、塾での勉強の内容について、わかったつもりになっていても理解できていない、できるようになっていないということがあるのです。

中学入試でも小学校での学習経験を前提として問題が出題される傾向にあります。いわゆる難関校といわれる学校でもその傾向が顕著になっています。もちろん、教科書の内容をそのまま出題するわけではありません。たとえば速く正確な計算力、正しいことばの使い方や漢字の知識、社会さkの体験学習で考えたこと、理科の実験に主体的に参加してきたかどうか、中学受験で求められるすべての要素の基本は小学校での学習にあるということを忘れてしまっていると、初めてみる問題に対してどう解いていったらよいのかわからない、ということもあるのです。

2020年から行われることになっている大学入試改革に向けて、求められる学力を身につけられているか、それも中学校は入試問題で測ろうとしています。クラスメイトと協働してグループ討論をしたり、自分の意見だけを主張するのではなく、他の人の意見も聞いて、自分の頭で問題を解決する方法を考える、さらには学習した内容を自分でまとめ、理解し、それを他の人がわかるようにプレゼンテーションする、コミュニケーションをはかる、そういった学習姿勢は残念ながら塾だけの勉強では身につけることは難しいことです。

このように、実は小学校で学ぶこと、経験することは中学受験においては非常に重要なポイントを含んでいます。では、中学受験をするにあたり、受験生や親御さんは、小学校とどのように関わっていけばよいのでしょうか。

小学校の成績も入試に影響することがある

小学校でどのように真剣に日々の授業や活動に取り組んでいたかということは、入試問題を解くうえで非常に重要なことだということを先ほど書きました。

そのような小学校での学習姿勢を、中学校はどのように測るのでしょうか?もちろん、入試問題にメッセージを込めて、受験生がどのように試行錯誤して取り組むか、その姿勢をみることによって判断するということが中心になることは間違いありません。

その他に、忘れてはいけないことがあります。最近では減ってきましたが、中学受験の出願のときに調査票または調査書、あるいは通知表のコピーを提出する学校はまだまだあります。特に、公立中高一貫校では調査書の内容が配点のうち少なくない割合を占めていますし、一部の私立中学校や男子の最難関校である筑波大学附属駒場中学校も調査書を、女子の最難関校である桜蔭中学校も通知表のコピーを提出することを求めています。

多くの場合、よほどのことがない限り、このような調査書や通知表のコピーは、合否のボーダーライン上に何人かが固まっているときに参考にする程度の使われ方をしますが、その意図は、小学校での授業や体験学習などへの取り組み方、また、不自然な学校の休み方をしていないか、塾の勉強を優先して小学校をおろそかにしていないか、などという点を小学校からの報告という形で判断材料として使うのです。

調査書は多くの場合、小学校6年生の1学期と2学期(3学期制をとっている小学校の場合ですが)の通知表をもとに作成されます。各教科の成績はもちろんのことですが、テストの点数だけでははかることのできない授業態度なども小学校の先生のコメントとして書き加えられていることが多いです。

塾の勉強が大変で、やることが多すぎて、夜寝る時間が遅くなり、遅刻が続いたり、あるいは大事な模試があるから学校を休んで一日家で勉強して・・・という不規則な生活を送っていたり、小学校での経験を大切にしていないということが、出席状況一つとってみても分かってしまうのです。

小学校の授業がつまらない、すでに習っていることだし、別のことをしようなどという考え方で、まじめに取り組んでいないなどということがあると、これらは全て入試に影響する可能性がありますから注意しなければならない点です。

最近では調査書や通知表のコピーも提出する必要のない私立中学校が増えていますが、出席日数を見るために通知表のコピーだけは提出を求める学校もあります。また、入試の答案を見れば、それまで小学校でどのように学習に取り組んできたかということは一目瞭然です。

侮ってはいけない小学校での学習態度や出席日数。一生懸命受験勉強をしてきているからこそ、そういったところで足をすくわれるわけにはいきません。普段の小学校での生活も入試では判定材料とされている可能性があることをしっかり知っていただきたいと思います。特に出席日数や遅刻の日数は意識しておきましょう。

中学受験をするなら、事前に小学校に相談しておく

塾に通ってくる生徒さんは、皆さん中学受験を考えているので、全体的にどうしてもピリピリした緊張感が漂うものです。特に学年が進んでいくほどその傾向は強くなってきます。

ですが、小学校には、中学受験をするお子さんもいれば、他のことに打ち込んで、中学受験はせずに公立中学校に進学することを決めているお子さんもいます。そのように様々なお子さんが集まっているので、小学校で過ごす時間は比較的受験ストレスから解放され、小学生らしい、普段通りの自分を出すことができるという場として、小学校は大事な役割を果たしています。

同じ年齢の友だちに囲まれて、自分を大切にすることもできますし、心の安定を保つこともできます。塾では何が何でもこれだけの勉強をして、志望校目指してもっとやれと言われ続ける、そのような毎日につかれてしまった場合、信頼できる小学校の友達や先生がいれば、塾では言えない弱音を話せることもあります。

最近はいじめ問題などもあり、必ずしも小学校が楽しく生活できる場とはならないお子さんもいると思いますが、いじめは塾でも非常に問題になっています。家ではいい子のはずの受験生が、他の受験生に対していじめを仕掛けるケースもあるのが現状です。非常に悲しいことですが。

受験生、しかもまだ人間的に未熟な小学生である中学受験生の場合、何かのきっかけで心が不安定になることもよくあることです。ストレスから、普段では考えられないようなトラブルを起こすこともあります。

親御さんも同じです。中学受験に対する不安や迷いから、塾の先生の一言に一喜一憂したり、成績の上下に目は行っても、わが子が小学校でどのように過ごしているかという点については関心を持てないということもよくあることです。

でも、もし受験をすることによってわが子が学校で、家とは違うどのような顔を見せているのか、それを把握するのはやはり親御さんの役目ですし、長丁場である中学受験を乗り越えるためにはそこから目をそむけるわけにはいきません。

中学受験をすることは、最近では珍しくないことですから、お子さんの様子に変化がみられるなど、何か変わったことがあったときにすぐに把握できるよう、学校の先生に個人面談などで話しておくのも一つの方法です。学校でのお子さんの様子を見守ってもらえるように相談をしておくとよいでしょう。

体調管理のための「お休み」はアリ?

さきほど、調査書や成績表のコピーの提出のところで、できるだけ遅刻や欠席はしないように注意していただきたいということをお伝えしました。

まだ受験まで時間があるときはぜひその姿勢を保っていただきたいですが、入試直前についてはどう考えるべきでしょうか。

入試直前になると、時期的にインフルエンザなど、病気が流行するおそれがあります。近隣の学校で学級閉鎖などが出だすと、心配のあまり小学校を休ませたくなると思います。中学受験をする場合には、どの学校をいつ受けるか、ということを小学校に報告するので、書き出してみると1月のスケジュールが見えてくると思います。

そうしたスケジュールも確認したうえで、お子さんとよく話し合ってみましょう。6年生ともなれば小学校生活の最後です。学校に行っている方が調子がいいいお子さんもいれば、あまり体が強くなくて、寒さの厳しい入試直前期には学校に行くと体調を崩してしまうお子さんもいます。

最後の小学校生活を友達と過ごせないのも寂しいことですが、入試直前期は体調を万全に整えて、入試当日を迎えてほしいものです。ただ、「入試まであと○○日しかないから、学校は休みなさい」と決めつけるのではなく、お子さんと相談して、いつは行く、いつは休む、などとご家庭での方針を決めるようにした方がよいでしょう。

小学校は基本的に、入試がある日は欠席扱いになりませんが、それ以外の日に休む日が続くと、学校から様子を聞く電話がかかってくるケースもあります。お子さんが不安定な精神状態にならないよう、親御さんがせき止めてあげることも必要になってくることも知っておいていただきたいところです。

中学受験生と学校のかかわり方のまとめ

小学校は義務教育ですから、行くのが当たり前、中学受験をするなら優先すべきは塾の勉強やテスト・・・そう思われる方が多いと思います。中学受験という、一生に一度しかない受験をするのですから、合格のためにできることは何でもやっておきたいと思いますよね。

小学校は、受験をして中学校に入る上で、基礎となる学習の姿勢を養う大切な場です。そして、受験勉強に追われているお子さんにとっては少なからず息抜きの場となっていることもあるでしょう。

ご家庭の判断によって異なるとは思いますが、小学校の先生を味方につけて、将来のために、と中学受験を応援してもらうような体勢を作り、受験勉強とのバランスをとりながら、お子さんには楽しい小学校生活を送らせてあげていただきたいと思います。

それが、中学入試で求められている力を養う上でも、とても大切なことですから。親御さんは、お子さんが安心して中学入試にチャレンジできるよう、環境を整えてあげてください

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。