【中学受験】塾でクラスアップしたい!注意すべきこと

中学受験を目指すためには、受験カリキュラムをしっかりこなしていく必要があります。そのために、塾、特に集団塾に通われるお子さんがほとんどです。集団塾の場合、校舎の規模にもよりますが、組み分けテストや模試の結果など、学力別にクラスを分けていることがほとんどです。首都圏最大と言われるサピックスの自由が丘校の場合、1学年のクラス数が20近くになることも少なくありません。

学力別にクラスが分けられるため、クラス=受けられる学校のレベル、と考えられる方がほとんどなので、できるだけ上のクラスで授業を受けさせたい、という保護者の方は少なくありません。また、受験生自身にとっても、上のクラスで授業を受けられるということは、よりレベルの高いほかの受験生と切磋琢磨して受験勉強を進めていくことができるため、モチベーションアップにもつながります。

ただし、集団塾でクラスアップするのはそう簡単なことではないのも現実です。クラスを上げるためには、そのクラスごとに設定された基準点など、組み分けテストや模試でそれなりの点数をとることが条件になります。そういったテストで安定した点数をとることができるかどうか、それが結局はクラスを上げることにつながるのです。

では、どうすれば成績が安定し、クラスを上げることができるのでしょうか。ここでは、塾のクラスを上げることのメリットや、クラスを上げるために普段から心がけたいことについて解説します。中学受験に対するモチベーションアップのためにもぜひ参考にしてください。

クラスが上がるとどんなメリットがあるの?

受験生や保護者の皆さんは、とにかく塾のクラスを上げたい、とおっしゃることが多いです。ですが、少し立ち止まって、クラスがアップするとどういういいことがあるのか考えてみてください。目的もなく、ただクラスを上げなさい、とお子さんに言ったとしてもなぜそれが必要なのか、それがお子さんにとってどんなメリットを持つのかがわからないので、保護者の方がやきもきするほどお子さんはクラス分けに必死になりません。

塾のクラスを上げるには、やはりそれなりのメリットがあるのです。それを整理して親子で共有することが、クラスを上げていくためにはまず必要です。では、クラスが上がることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。たとえば、以下の3つの点が挙げられます。

・ハイレベルな授業内容で勉強できる
・意欲ある受験生に囲まれた環境で勉強できる
・お子さんののモチベーションが向上する

これらは一例で、お子さんによってクラスが上がることが与える影響は異なります。ただ、どのようなお子さんにも共通して言えるのがこの3点なので、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ハイレベルな授業内容で勉強できる

クラスが上がることにより、授業で扱う内容や問題のレベルは上がります。クラスが上がるほど、授業で扱う内容は、どちらかというと応用問題にシフトしていきます。逆に言えば基礎基本についてはそれまでの学習、あるいは自宅学習でしっかり身についていることが前提条件となると言えるでしょう。

上位クラスでは、難関中学校の合格を目指すための指導がおこなわれます。難関中学校の問題に対応できるようになるためには、応用問題に割く時間を増やし、さまざまなパターンの問題に触れる必要があります。しかも、その内容について正確に理解し、少しひねった問題に対しても対処できるようにする必要があります。

そのため、上位クラスでは基本の説明はザっとおこなうだけで、すぐに応用問題の演習に入るという傾向があります。このように上位クラスでは授業のスピードが非常に速くなりますし、授業中に扱う問題のレベルもぐんと上がります。特に、いわゆる御三家など、最難関レベルの中学校を志望校にするなら、通常授業においてもできるだけそういった学校の出題傾向に合わせた授業を受けたいと思うのも当然かもしれません。

ただし、そういったハイレベルな授業内容についていくことができなければ意味がありません。授業で解説をしてもらっても、先生が何を解説しているのかがわからなければ、あっという間に「お客さん」になってしまいます。つまり、その場にいるだけ、ということになってしまい、主体的に勉強したくてもレベルが高いのでついていけなくなってしまうリスクがあることは知っておきましょう。

そうならないためにも、クラスアップを目指すなら、自分のための学習もしっかりおこない、基本事項を固めておくことが必要なので、ハイレベルな授業についていけるような土台を作っておこうという意識がとても大切です。

意欲の高い受験生に囲まれた環境で勉強できる

お子さんにとってクラスが上がるということは、周囲のレベルも上がるということにつながります。塾のクラスでは、それぞれのクラスに模試などの基準点が設けられているため、それをクリアした受験生が集まってきます。つまり、その模試で同じレベルの成績をおさめた生徒さんがたくさんクラスにいるという環境になるわけです。

クラスによって、受験生の受験に対する意識レベルは正直なところ非常に異なります。クラスが上がるにつれ、受験生自身が自分がどの中学校に合格したいのか、そのためには何をしなければならないのか、という意識が高くなる傾向があります。最上位クラスともなれば、やらされ勉強をしている受験生はほぼいません。自分がその位置にいるという自覚を持ち、1週間にやるべきこと、1日にやるべきことをしっかり意識しながら着実に勉強している受験生がほとんどですし、またそういう意識でないとトップのクラスに居続けることは困難です。

すべてのクラスがそのように意識の高い受験生ばかりではありません。志望校合格に向けて、同等の実力を持った受験生どうし切磋琢磨し、よいライバルに囲まれて勉強することはお子さんにとって非常に重要なことですが、周囲の受験生の意識が低い環境にいると、なんとなく授業を聞き、なんとなく宿題をして・・・というように、目的意識なくなんとなく受験勉強に身を置いているということになってしまうので、勉強にも真剣に取り組まなくなってしまうリスクがあります。だからこそ、意識レベルの高い受験生に囲まれた環境で勉強することが大切です。これがクラスを上げることによって得られるメリットとして非常に大きいと言える点です。

受験生といっても小学生ですから、どうしても周囲に流されやすいものです。良い意味で周囲に触発され、そのクラスから落ちたくない、という意識から日々の勉強にしっかり取り組むようになることを望みたいものですね。中学受験をするのも、やはり「この学校ならわが子を伸ばしてくれる」といったように「環境」を求めるから、という側面があります。それと同様に、塾のクラスを上げることには、切磋琢磨でき、勉強に対する姿勢が変化することを期待できるというメリットがあるのです。

お子さんののモチベーションが向上する

塾によってクラス昇降のタイミングは様々です。サピックスのようにマンスリーテストによって毎月昇降する塾もあれば、四谷大塚系の塾のように組み分けテストごと、つまり数カ月に1回クラスが昇降するという場合もあります。

クラスの昇降がある限り、一度上位クラスに入ったとしても、次のテストで基準点に満たなければクラスが下がってしまうことはおわかりだと思います。どうせなら意識の高い受験生に囲まれて切磋琢磨させたいと思うのは保護者の方にとっては当然でしょう。同様に、お子さんにとっても、上位クラスにとどまって、意識の高いライバルと良い意味で競い合うことはモチベーションアップに繋がり、「もっとできるようになりたい」という高い意識を持つことができることは大きなメリットです。

お子さんの受験に対する意識改革という意味でも、クラスを上げていくということには大きなメリットがあります。単なる優越感ではなく、お子さんのモチベーションアップと主体的な学習のためにクラスを上げていく、という意識を大切にしてクラスアップを目指すことが大切です。

クラスアップに欠かせない学習習慣

塾のクラスを上げるということは、単にある1回の模試で良い点数をとればいいという単純なことでは実現できません。たまたま点数が良かったからクラスが上がった、ということはあまりないのが現実ですが、なかにはそういったケースもあり得ます。そういう場合、クラスが上がったことに安心して真剣に受験勉強に取り組まないことが多いので、次の組み分けではクラスがあっという間に下がってしまいます。

せっかくでしたら、クラスをアップし、さらにアップしたクラスをキープし、できることならさらにクラスアップを狙いたいですよね。もちろん、クラスを上げるということによってどういうメリットがあるか、ということをしっかり意識してクラスアップを目指すことが前提条件で、ただやみくもに「クラスを上げなさい!」といってもできるものではありません。

クラスを上げるためには、日々の学習習慣がどれだけしっかりしているか、が大きなカギを握ることになるので、まずは学習習慣の見直しをすることをおすすめします。では、どのような学習習慣が身についているとクラスアップにつながるのでしょうか。たとえば、以下の点は必ず守りたいことです。

・塾の授業を欠席・遅刻しないこと
・授業内容を正確に理解し、定着させること
・その日の宿題はその日のうちに自力でやりとげること

え、これだけ?と思われるかもしれません。たしかに、あたりまえのことに思えますよね。しかし、お子さんの状態を良く分析してみてください。実際にこういった基本的な学習習慣を持って勉強できているでしょうか?これらの学習習慣は、受験勉強の土台となる習慣です。

また、こういった学習習慣は1日できただけでは意味はなく、継続できるかどうかがとても大切です。中学受験は長丁場なので、こういった学習習慣を続けていくことは実は大変なことです。志望校合格のために必要なことはもちろんですが、クラスを上げるためにも非常に重要な習慣なので、具体的に見ていきましょう。

塾の授業を欠席・遅刻しないこと

最近は新型コロナウィルスの影響もあり、オンライン授業となっている塾もありますので、キャッチアップは比較的やりやすいかもしれませんね。しかしそれは特殊なケースです。また、オンライン授業であっても通塾する場合であっても、非常に大切なことは、欠席(授業を受けない)しないことと、遅刻しない(遅れて授業に向かわない)ことです。

基本的に塾の授業を欠席してしまうと、同じ授業を自分のためだけにもう一度やってくれるということはありません。ですから、その回の授業がすっぽり抜けてしまい、自分だけで内容を理解しなければならなくなってしまいます。そうすると、ほかの受験生に比べて遅れをとってしまうことになります。また、単元によってはテキストを読んだだけでは理解することすら難しい回もあるでしょう。

また、欠席までいかなくても遅刻することも良くありません。授業の一部が欠けてしまうことになるわけですが、塾の授業は最初に前回の復習を少し入れたり、その日のカリキュラムの導入部分について解説があります。その部分を受けられないと、途中から授業に参加しても導入部分がわからないので授業内容の理解に欠けが生じてしまいます。

導入部分については、できるだけ生徒が分かりやすいよう、塾の先生も工夫していますから、その部分が受けられないのはもったいないことです。その部分を欠いてしまうと、いくら問題を解こうとしてもできませんよね。結果として授業についていくことができなくなってしまい、後れをとってしまうのです。

欠席、遅刻に共通して言えることですが、毎回の小テストを受けられないということも無視できません。たとえばサピックスでは毎回授業の最初に小テストをおこないます。早稲田アカデミーなどでも、漢字や計算、知識の確認テストを実施しています。

1回くらいなら、と思われるかもしれませんが、そういった知識のまとめの小テストを受けられないと、せっかく塾が用意してくれているポイントをまとめた部分に触れられないことになりますし、習慣としなければならない漢字や計算といった学習の時間をとれなくなるので、その分の時間を自宅学習の中でひねり出さなければなりません。しかし、それは時間に追われている受験生にとっては至難の業です。

お通いの小学校が私立の場合、学校が遠くて帰ってくる時間が遅くなる、ということがあるかもしれません。その場合は、間に合う中間地点の校舎を選ぶという選択肢もあるので、通塾の負担を減らせないか、ご家庭と塾でよく相談されると良いでしょう。

授業内容を正確に理解し定着させること

学習習慣として何よりも大切なのは、授業の内容を正確に理解し、できるようになるまで繰り返し、定着させることです。そうすることによってさまざまなパターンの問題に対応することができるようになるからです。

このように、1つの知識についても正確に理解し、使いこなすことができるようになるまで定着させるためにはそれなりに学習時間を要します。授業を真剣に聞いて授業時間中に理解できる部分を増やすこと、そしてそれが本当にわかっているか宿題で確認すること、間違った問題をできるようになるまで繰り返し定着することというのは受験勉強の基本中の基本です。

これをいかに着実にできるか、がクラスアップのための学習習慣として最も重要です。無理な学習計画を立てる必要はありませんが、単元によって理解に時間がかかる場合が合ったり、スムーズに理解できたりと、お子さんによって理解度が異なるので、時間がかかりそうな単元とそうでもない単元によって学習時間をメリハリをつけて配分して計画を立てることも大切です

その日の宿題はその日のうちに自力でやりとげること

上記の学習習慣でも必要なこととして挙げましたが、塾の宿題は、その回で学習した内容の理解を深めるために出されるものです。また、授業時間中に扱いきれなかった内容も含まれています。授業で教わった内容をしっかり理解できているかどうかを確認するには、宿題がスムーズにできるかを確認するのが一番の早道です。

そして、毎日のように塾の授業はありますから、その日出された宿題はその日のうちに自力で終わらせることが重要です。単に終わらせる、できないところは放置する、というのでは意味がありません。もし量が多すぎる場合は、どこまでは必ずやる、ということを最初に確認し、取捨選択してやりとげることが大切になってきます。

塾の先生と相談したり、保護者の方が「ここまではやっておこう」と示してあげるとお子さんも集中して宿題に取り組むことができます。サピックスなら問題の星の数いくつまでの問題は必ずやろう、というような形です。単元によって苦手なところも必ずあるので、その際は、問題を仕分けして、今の段階ではここまで必ずやる、そのほかの問題についてはいつやる、といったように決めてあげると取り組みやすいのでぜひやってみてください。

クラスを上げるために注意したいこと

クラスを上げたい、と考える受験生や保護者の方は多いですが、ではなぜ塾ではクラス分けをするのでしょうか。クラス分けをする際にはテストが実施されますが、塾側がクラス分けするのは大勢の生徒を一度に教えることができないという物理的な理由ももちろんありますが、そもそもそのクラスで実施する授業についていけるのかどうかを見極め、受験生の実力に合わせた授業を受けてもらうためです。

クラス分けテストは、範囲が指定されている場合とこれまで習った内容全てから出題される場合がありますが、これまで習った内容をしっかり理解しているか、実際に問題を解くときに知識を使いこなせるか、ということが攻略するためのポイントです。クラスを上げたいからといって、さらに多くの市販の問題集などを解かせていたずらにお子さんの負担を増やす必要はありません。毎回のカリキュラムに即して、その内容をしっかり理解し、繰り返して定着させることがクラスを上げるためには何より大切だということを忘れないでください。

これができれば、クラスアップだけでなく、志望校のレベルアップも見えてきます。だからこそ毎回の内容を定着するまで繰り返すことが必要なんですね。1回間違えたからといって必要以上に過敏になる必要はありません。間違えた問題こそが、これから克服しなければいけないところなので、むしろ間違いこそが宝物だと思って、一つひとつ着実につぶしていきましょう

間違えた問題は、間違いノートを作るなどして集めておき、テストのたびに解き直すなどすると、弱点の克服も効率よくできます。また、何度目で自力で解けたかをパッと見てわかるように、毎回色を変えて×印をつけておくと克服しなければいけない目標が理解しやすいのでおすすめです。

解き直しをする際には、知識が足りなくてできなかったのか、途中までは解けたのか、全く歯が立たなかったのか、失点したポイントについて意識しながらおこないましょう。そのように間違い自体を分析すると、どういった点を克服すれば得点を積み上げるのかコツがわかってきます。

まとめ

受験勉強をするなら、やはり上位のクラスで授業を受けさせたいと考えるのは当然かもしれません。ただし、お子さんの実力と志望校を考慮して、必要以上に負荷を与え過ぎないことも大切です。

志望校のレベルによっては、上位クラスで習う内容よりも基礎基本を大切にした方が良いケースもあります。モチベーションアップのために、志望校に十分合格できる程度にクラスアップを狙うことは重要です。「あの学校に入学したい」という思いを重視して、適切なクラスにアップしていくことが何より大切なので、まずは基礎基本をしっかりおさえ、学習習慣を身につけて志望校合格のためにどこまで必要なのかということを第三者と相談することもおすすめです。

クラスをアップするのはお子さんの学習習慣をきっちりすること、モチベーションを上げることが目的だということを忘れずに学習を進めてくださいね。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。