【中学受験】地図上で確認しておきたい!コメの生産高トップ5

わたしたち日本人の主食といえば、お米ですよね。毎日のように口にする、なくてはならない食べ物です。わたしたちが目にするお米というと、収穫され、精米されて白米になって袋詰めされてスーパーに積んであるという印象が強いかもしれません。稲作については古来から日本で盛んにおこなわれてきましたが、いまや手作業だけではなく、機械も使って大々的におこなう時代になっています。

わたしたちが目にするのは、炊けばすぐに食べられるお米ですが、もともとは稲作農家の人々が田植えから収穫までをおこない、収穫されたお米がトラックに積まれて全国に送られています。では、そんな日常生活に欠かせないお米はどこからきているのでしょうか。

社会の地理のデータとして重要なもののひとつに農業に関するものがあります。皆さんもテキストや資料集でも見たことがあるのではないでしょうか。そんな「コメ」の生産が多い地域について整理できていますか?

近年の中学入試の社会の問題は、さまざまなデータや資料をもとに考察を求めるものが非常に増えています。もちろんその場で考えないといけない問題もありますが、基本となるデータ、受験生なら誰でも覚えてきているデータを現場で思い出そうとすると時間がかかりますし、第一自信をもって答えられないですよね。ですから、早いうちにデータについて、数字や順位とともに、その理由を理解しておくことがとても重要です。

農業においては、農作物の種類によってさまざまなデータがありますが、わたしたち日本人の主食である「コメ」のデータについては受験生なら必ず押さえておかなければならない重要データと言えます。

今回は、日本人に欠かせない「コメ」に関するデータについて、結果とその理由、関連知識をまとめていきます。だいぶ前に勉強したから忘れていることも多いかもしれませんが、データの意味を正確に理解すれば間違うこともなくなります。ぜひ、知識を整理しておきましょう。

コメの生産高トップ5の都道府県は?

「日本国勢図会2020年」によると、2019年の米の生産高トップ5は、1位が新潟県、2位が北海道、3位が秋田県、4位が山形県、5位が宮城県となっています。この結果は、前年と同じです。ドコモ「コメどころ」として知られている件ですよね。ではなぜ、これらの県がコメの生産高トップを占めるのでしょうか。ヒントは、地図帳で位置の特徴をひも解いてみると見えてきます。まずは、これらの米どころトップ5の地理的な共通点を考えてみましょう。

生産高トップ5の共通点とは?

コメの生産高トップ5は、新潟県・北海道・秋田県・山形県・宮城県ですが、地図上で見てみると日本のどこに位置しているでしょうか。すべて東日本に位置していることがわかりますね。もちろん、西日本でもコメがたくさんとれるところはあるのですが、トップ5はいずれも東日本です。

また、地図上で見ると一目瞭然ですが、宮城県以外はすべて日本海に面している、ということも共通点として認識しておきたいところです。地図に関しては、それぞれの都道府県の白地図を出してきて位置を答えさせる問題も頻出なので、どういう形の県で、日本地図全体のどこに位置しているのか正確に覚えておきましょう。

では、東日本、そして日本海に面している、そういった共通点がなぜコメの生産高トップ5に関係しているのでしょうか。大切なのは、単にトップ5の県がどこか、という結果だけではありません。「なぜ」その都道府県がコメの生産高トップ5なのか、その理由を考えることこそが理解を深め、正確な知識にしてくれるのでワンセットで覚えておく必要があります。

地理の知識は結論と理由をワンセットで

地理分野の知識を覚えるときに、ただ県名などを覚えようとしてもなかなか覚えられないという経験をしたことはありませんか?結論はもちろん覚えておかなければいけませんが、それ以上に重要なのが「なぜそうなるのか」という、結論に対応した理由を考えて結びつけることです。

理由を考えながら地理の学習をすることにはメリットがあります。まず、ある結果のデータがあったときに、そこには書かれていない理由を、日本の国土の特徴などから推測したり、比較や分析をしたりすることによってより知識が深まります。そして、歴史や公民など、ほかの分野の知識とも関連づけて覚えることができるということが重要です。

社会の入試問題や模試では、ひとつの知識を深堀りするというよりも、設問1問ごとに次々とさまざまな知識を関連付けて聞く問題が多く出題されます。知識を単体で覚えるよりも、さまざまな分野の知識と関連付けてひとつの知識からイメージを膨らませることができると、知識が1つではなく、いくつかの関連知識が体系的なかたまりになって結びつきます。そうすると、正確なだけでなく定着するので、その知識に関連している問題が出題されたときに、知識の引き出しから的確に必要なものを取り出して使いこなせることができるようになります。

理由を考えながら覚えることのもうひとつのメリットは、推測する力を身につけることができること、ひいては近年入試で重視されつつあり、受験生も意識している「論理的思考力」を養成するための訓練ができることです。模試やテストで、この間覚えたはずなのになかなか思い出せなくて時間が足りなかった、という経験はありませんか?社会の問題の場合、もちろんその場で考えて答えられる問題もありますが、問われている知識を瞬時に判断して答えるという正確さが何より大切です。

知識が正確で、そこから何かを推測したり、論理だてて考えていく問題が増えている傾向にあるので、今自分が覚えている知識をもとに、関連性を自分で見出して、「このデータからするとこうなる、だから答えはこれ」というように、基礎知識から答えを推測する、論理的思考力が身につきます。そうすると、発展的な問題のときにもある程度のところまで考えることができますし、記述問題で理由を説明しなければならないときにも、正確に関連知識を上手く取り入れて書くことができるようになります。そうすれば点数を重ねることができ、ほかの受験生に差をつけることもできます。

なかなか模試で点数が取れない、という悩みをお持ちの場合こそ、単なる知識の丸暗記に走るのではなく、「なぜそうなるのか」という理由を一度振り返って考えてみることをおすすめします。それができるとできないとでは得点力に大きな差が出ます。論理的思考力を磨きたいという受験生や保護者の方は多いですが、その第一歩が「理由付けをしっかり考える」ことです。社会という教科ではそれが特に顕著なので、ぜひ意識してください。

なぜ東日本の日本海側ではコメがたくさんとれるの?

社会の地理分野の学習においては、理由付けをしっかり考えておくことが大切だということをお伝えしましたが、コメの生産高トップ5に戻って理由付けを考えてみましょう。コメの生産高トップ5の共通点は東日本に位置していること、1つの県を除いて日本海に面していること、でしたね。ここで理由付けを考えるポイントは「気候」と「地形」です。そこに注目して理由を考えてみましょう。

気候と地形から理由を考える

東日本ということと日本海側にある、という位置に共通した気候の特徴にはどんなものがあるでしょうか。東日本の日本海側の気候には、夏に晴天が多いことと、冬に降雪量が多い、という2つの大きな特徴があります。まずはこの2点を押さえておきましょう。

コメのもとになる稲は、夏の暑さや日光が多いことによって元気に育つという特徴があります。だから夏に晴天が多いことは、コメづくりを行う農家にとって非常に有利な条件と言えるのです。コメの生産高があまり思わしくない年には、「冷害」というニュースを見ることがありますよね。思ったほど気温が上がらず、日当たりも良くなかった場合にはコメの生産高が減ってしまいます。そうするとコメの値段が上がったりしますよね。ニュースでもコメ農家の方のインタビューで出てくる理由として夏の気温、そして日光が当たらなかったことが良く出てきます。

また、冬に降雪量が多いという特徴についてですが、日本海側は冬の積雪量が多いことで知られていますよね。気候のグラフでも北陸地方などの降水量のグラフの特徴として、冬の積雪量の多さが挙げられます。冬に日本海側の山間部で雪が多く降りますが、その雪は、「雪解け」というように、春から夏にかけてゆっくり解けていきます。春から夏は、稲作をする場合、最も水が必要となる季節ですよね。そうやって山間部に積もった雪が解けてきて、コメ作りをおこなう下流の平野に水を供給してくれるわけです。

日本海側の降雪量は非常に多いので、雪がすべて解けると、下流は洪水状態になるほど多い水量が得られます。多い水量がダムのように少しずつ平野に供給されていくため、冬に山間部に降り積もった雪は白いダム、と呼ばれることもあるほどです。どれだけふんだんに水があるか、そして効率的に必要なときに水が供給できるか、ということがイメージできますね。

ここまで気候の特徴について考えてみましたが、今度は地形面の特徴を考えてみましょう。トップ5に共通して言えることは、広い平野に位置していることです。それぞれ、新潟平野、庄内平野、秋田平野、石狩平野といった広大な平野があります。広い平野だからこそ稲作のための田んぼをつくることができ、気候的にも稲作にピッタリなので、コメの生産高が多い都道府県が東日本の日本海側、しかも広い平野があるところに集中していことがわかります。

別の視点から考えてみることも大切

コメの生産高トップ5がほぼ東日本の日本海側に位置している理由が分かりました。でも、夏の暑さや広い平野は、日本のほかの地域でも満たしている場所はありますよね。では、なぜそういう地域ではなく、東日本の日本海側に集中しているのでしょうか。

「東日本の日本海側がコメの生産高トップ5」と丸覚えしても、理解は深まりません。逆に、ほかの地域がなぜコメの生産高が劣るのか、というように聞き方を変えられてしまったら答えられるでしょうか?そういう問題は難関校を中心に考えさせる問題として良く出題されます。そういう問題への対処法として、ある条件があったとしたら、「同じような条件のところがほかにもあるけど?」と別の角度から自問自答してみることをおすすめします。

つまり自分の中で「異論・反論」を考えてみるのです。そのうえで、結果的に「だからこれがトップ5」という結論に達することができれば、知識が深まるだけでなく、日本全国の農業や稲作の歴史など、ほかの知識と結びつけることができ、ひとつのことを考えるだけで頭に入る知識の量が格段に増えます。コメの生産高に関しては、たとえば気温、平野の広さについて「ここはなぜ違うの?」と考えてみると良いでしょう。

四国や九州は暑いのに?

夏の暑さや日照がコメの生産高が多い理由として挙げられました。では、夏の暑さや日照について、ほかの地域はどうでしょうか。たとえば四国や九州などは、位置的にも暑いイメージがあるし、日当たりもよさそうに感じませんか?そういう疑問を持ってみると知識が深まります。

四国や九州は、東日本の日本海側に比べて、年間を通して平均気温が高く、温暖な気候だと言えますよね。たとえば、高知県にある高知平野などでは、稲作の歴史が長く、古くから稲の二期作がおこなわれていることで有名です。二期作とは、1年間に2回コメを栽培し、収穫することです。生産高が多いのでは?と思えるデータですよね。

ですが、四国や九州で栽培される農作物は、コメ一択ではないのです。四国や九州では、さまざまな農業の手法が実践されているうえ、温暖な気候なので、どの農作物をつくろうか選ぶことができるという選択肢があるのです。たとえば、高知県はナスの栽培で有名ですが、そういった夏野菜の促成栽培、九州でも様々な野菜の生産に力を入れる農家が四国や九州では多いという特徴があります。

特徴的な農作物をつくることができれば、ほかのどこでも栽培できそうなコメよりも、温暖な気候を活かしてさまざまな農作物をつくることができたほうが、何か想定外のことが起こったときにも対処しやすいという考え方もあります。だから、四国や九州では、夏は暑く日照時間も長いのに、コメの生産高はあまり多くないのです。

関東平野はとても広いのに?

コメをつくるためには、広い平野があることが条件でした。新潟平野、庄内平野、秋田平野、石狩平野などはそれぞれ非常に広い平野ですが、そこ以外にも広い平野はありますよね。首都圏なら、関東平野があります。日本一の広さを誇ります。それだけ広ければ、コメの生産高ナンバー1に躍り出てもよさそうなものですよね。

関東平野は群馬県、栃木県、茨城県にまたがっています。そして、見渡す限りの田園風景が広がり、農業も盛んです。ですが、東日本の日本海側に位置するコメの生産高トップ5に比べて圧倒的に大都市、つまり東京に近いですよね。大都市に近いことによって発展した農業といえば「近郊農業」です。また、抑制栽培にも力を入れています。コメつくり以外にも、それぞれ特徴的な農作物があります。たとえば群馬県ではキャベツ、栃木県ではイチゴ(とちおとめが有名ですね9、茨城県はピーマンや白菜などの野菜の生産がとても盛んです。

こういったほかの農作物を一年中作ることができる地域に比べて、東日本の日本海側は、冬になると降雪量が多いため、田畑が雪に覆われてしまい、冬の間なかなか農作物をつくることができません。また、大都市圏から遠いため、近郊農業や抑制栽培にもあまり向いていません。そういった選択肢のせまさが原因となって、農業ができない冬を見越してコメつくりだけに集中する、「水田単作」、つまりひとつの土地で、1年に1回、コメつくりだけをする農業手法を選ばざるを得なかったという事情があります。そのため、コメつくりが非常に盛んなわけですね。

寒冷地でのコメつくりの工夫とは?

このように自問自答してみると、東日本の日本海側で稲作が盛んで、コメの生産高のトップを占めることの理解が深まったと思います。ただし、稲作はただ稲を植えて育つに任せればいいというわけではありません。しっかりとした量のコメを作るためには、冬の厳しい寒さにさらされる地域ならではの工夫があるのです。

稲作は、もともと東南アジアからはじまりました。東南アジアといっても色々ありますが、特に熱帯気候の地域で盛んにおこなわれ始めたのです。最近の地球温暖化の影響で平均気温は着実に上がっていますが、それでも日本は東南アジアの中でも涼しい方です。特に東日本の日本海側ならなおさら涼しいと言えます。

そういった地域で、熱帯気候で始まった稲作をするためには、難関がありました。それを乗り越えるためにさまざまな工夫がされたことによって、いまや日本のコメの生産高トップ5を占め、コメどころと呼ばれるようになったのです。では、どのような工夫がされたのでしょうか。

品種改良

工夫その1は何といっても品種改良でしょう。一昔前までは、コメといえばササニシキ、コシヒカリの二択でした。コシヒカリはいまでも「魚沼産コシヒカリ」が有名なように、日本全国で作られるブランド米ですが、ササニシキは昔から作られていたものの、虫に弱く生産高があまり期待できないということがありました。そういった中で品種改良がおこなわれ、いまやコシヒカリ以外にもあきたこまち、はえぬき、ゆめぴりか、などさまざまなブランド米が生産されるようになりました。

これらはどれも品種改良によって生まれたコメです。東日本の日本海側は寒冷地です。そのため、寒冷地に農業試験場などの研究機関を設置して、何十年もかけて寒冷地でも育ちやすく、しかも味の良いコメを生産するべく、品種改良がおこなわれた結果、さまざまな種類のコメが作られるようになり、生産高もアップしたのです。

ぬるめ

東日本の日本海側では、山間部に積もった雪が解け、その雪解け水が下りてきて稲作に利用するという仕組みがとられています。ですが、雪解け水は冷たいですよね。あまりに冷たすぎる水だと、稲が耐え切れずに腐ってしまうこともあります。冷たい雪解け水を直接稲作をしている水田に流れ込まないようにするために、手前に水路をつくり、雪解け水をぬるくしてから水田に入れるという「ぬるめ」も地域性を考慮した工夫のひとつです。

保湿苗代(ほしつなわしろ)

東日本の日本海側は、春になってもなかなか暖かくなりません。そういった低い気温から稲の苗を守るために、保湿苗代という工夫がされています。これは、育苗ハウス(いくびょうハウス)というビニールハウスを使って稲の苗を育て、田植えまでの間に苗を守る工夫のひとつです。

客土(きゃくど)

これは特に北海道の石狩平野で有名な工夫です。石狩平野=泥炭地、という知識は皆さん覚えているのではないでしょうか。泥炭地(でいたんち)とは、枯れた植物が積み重なってできた土のことで、もともとそのままでは農業には向かない土地です。本来、植物は枯れて土に降り積もると、地中の微生物が土に分解してくれます。ですが、寒いと微生物たちが十分活動できないため、農業に適した土につくり上げることが難しいのです。

このような特徴があるので、作物が育たないとされていた泥炭地ですが、「作物が育たない土なら育つ土を運んでこよう」という逆転の発想で、別の土地から作物が育つのに適した土を運んでくるという工夫がされました。これが客土です。客土をすることによって、石狩平野は北海道随一の稲作地帯に大発展したのです。発想の転換が不毛の土地を宝の山に変えた一例だと言えるでしょう。

深く理解し、定着するまで確認しよう

わたしたちの主食として欠かせないコメの生産高の高い地域トップ5について、理由と工夫をご紹介しました。「なぜ」その土地でコメの生産高が高いのか、そのための工夫にはどんなものがあったのかということをワンセットで覚えておくと、単に○○県ではコメがたくさんとれる、といった単発的な知識ではなく、理由を深く理解することができます。

理由を考え、自分の中で自問自答してみて違う視点からもひとつの問題を考えてみる、という過程を踏むことが思考力を養成するプロセスとしては欠かせません。もしなかなか覚えられないな、理解できないな、というところがあったら、ぜひそのプロセスを踏んで、まずは深く理解することからはじめましょう。

そして、理解したら、聞かれ方が変わっても答えられるように定着を図り、自分が覚えた知識を使いこなせるようにさまざまな問題に触れてみましょう。特にデータを多用した近年の社会の入試問題ではこのプロセスが欠かせません。ぜひ、ほかの分野とも関連付けられる、自分の頭で考えた知識の量を増やしていきましょう。

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