米は長らく日本人の食事を支えてきました。しかし最近では食生活の変化により米の消費量は減り続けています。また入試問題としては、米の生産地はよく出題されるテーマの一つです。今回は日本における米づくりに関わる分野について説明していきます。
Contents
米の消費
日本国内での米の消費量は1960年ごろをピークに減り続けています。1962年の1人あたり消費量は年間118.3㎏でしたが、2016年には54.4㎏にまで減りました。米の消費量が減ったことで、生産量をおさえるための試みもなされています。
米の生産と消費
米の消費量が減少している理由の一つが食生活の「洋風化」です。パンやめんを食べる人が増えたことや、朝ごはんを食べない人が増えたことで日本人1人あたりの米の消費量は大きく減りました。50年あまりで1年間の米の消費量は半分以下になっています。
さて、戦後の食べ物が不足していた時期、米の生産量を増やすことは大きな課題の一つでした。そこで品種改良などの努力を重ね、ついに1965年ごろには米の完全自給(国内で必要な量を国内の生産のみで満たすことができること)を達成しました。しかし、だんだんと生活が豊かになり食事の「洋風化(多様化)」が起きたことで消費量が減り、米が余るようになってしまったのです。
減反政策
そこで、生産量を調整するために行われたのが減反(げんたん)政策でした。減反政策とは稲(いね)の作付面積を減らし(「反」とは「田んぼ」の意味です。つまり「減反」とは「田んぼを減らす」という意味になります。)、米の生産量をおさえるための政策のことです。1970年ごろからこの政策がとられ、米が余るという問題は解決されていきます。
減反政策には具体的に2種類の方法がありました。1つ目は「休耕」で、今まで稲を作っていた耕地(田んぼ)で何も作らないという方法です。2つ目は「転作」で、他の作物(麦や大豆、牧草、園芸作物など)を栽培(さいばい)するという方法でした。
この減反政策は2018年に廃止(はいし)されたことも頭に入れておきましょう。
図1 米の生産量と消費量
(農林水産省ホームページをもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
※消費仕向量とは、1年間に国内で消費された量を表す数字です。
米の輸入
日本では、米の農家を守るために米の輸入が禁止されていました(「保護貿易」といいます)。しかし1999年からは、関税を払えば自由に米を輸入できるようになりました。
主な輸入相手国はアメリカ合衆国とタイ、中国などです。特にアメリカ合衆国とタイで輸入量のほとんどをしめています。
図2 米の主な輸入相手国
(「米穀機構 米ネット」をもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
米の生産地
この章では、日本国内の主な米の生産地について書いていきます。国内で稲作(いなさく)がさかんに行われているのは北海道と東北地方で、特に東北地方では全体の4分の1を生産しています。また、米の生産には広い平野と大きな河川も欠かせません。平野と河川の名前もいっしょに覚えましょう。
生産量の多い都道府県
米の生産量が多いのは新潟県と北海道、そして東北地方の都道府県です。
表1 米の生産量の多い都道府県
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
新潟県と北海道は特に生産量の多い都道府県で、北海道が生産量1位となる年もありました。気温の低い北海道は、本来は米の栽培に適していません。しかし品種改良により生産量を増やすことに成功しました。
青字になっているのは東北地方の県です。上位10都道府県のうち5つをしめており、非常に米の栽培がさかんなことが分かります。この5県を合計した生産量は日本全体の生産量のうち25%をこえています。
また、関東地方の茨城県や栃木県、千葉県では東京都を中心とする人口の多い地域で食べられる米の栽培が行われています。ちなみに、もっとも生産量が少ないのは東京都です。
平野と川
米の生産量の多い都道府県には大きな平野と川があり、広大な田んぼで栽培がおこなわれています。これらはセットで覚えるようにしましょう。
石狩平野はもともと稲作に向かない土地でしたが、他の土地から土を持ってきて混ぜ、稲作に適した土地に改良する客土(きゃくど)という方法が用いることで生産量を増やすことに成功しました。また、越後平野も水はけが悪い土地だったため地面に管を通して水はけを良くする暗渠(あんきょ)排水(はいすい)という方法がとられました。
それぞれの地域では異なった品種がさかんに栽培されています。たとえば、北海道では「ななつぼし」や「ゆめぴりか」、秋田県では「あきたこまち」、山形県では「はえぬき」、新潟県では「コシヒカリ」が有名です。
宮城県の仙台平野は「ササニシキ」という品種の栽培がさかんな土地でした。しかし最近では改良された「ひとめぼれ」という米の栽培がさかんになっています。
表2 稲作の盛んな平野と川
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
米の生産
最後に、稲作の手順について説明していきます。抜けのないようにしっかりと覚えましょう。
稲作の作業
米を作るためにはたくさんの作業が必要です。問題として出ることは少ないかもしれませんが、万が一に備えてしっかりと勉強しましょう。
- 田起こし…トラクターを使い、田を耕す作業です。
- 代(しろ)かき…田に水を入れ、土をかき混ぜて平らにします。
図3 トラクターを使った代かき
(参照:百姓まるしぇ) - 田植え…代かきを行った田に米の苗(なえ)を植えていきます。
図4 田植えの様子
(参照:第一次産業ネット) - 中干し…稲の根を強く張らせるために田の水を抜きます。
- 稲刈(いねか)り・脱穀(だっこく)…コンバインという機械を使って同時に行います。
図5 コンバインを使った稲刈り
(参照:第一次産業ネット)
まとめ……の前に
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おわりに
この記事では米づくりに関する分野について説明していきました。
主な生産地は入試問題でよく出題されます。生産量3位以下の都道府県は特にまちがえやすいですが、しっかりと覚えるようにしてください。
また稲作の作業など細かく覚えづらい部分もありますが、だからこそ差が生まれる分野でもあります。ここで他の受験生よりプラス10点取ることで合格に近づきましょう。
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初めまして。髙橋利弥と言います。
武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。
よろしくお願いします。